
「Project Bloom」として発表され、大きな注目を集めたゲームフリークの完全新作タイトル『Beast of Reincarnation(ビースト・オブ・リンカネーション)』。このたび2026年8月4日に発売が決定し、新トレーラーも公開されました。
世界崩壊後の日本を舞台に、主人公エマと相棒犬のクゥが旅をする"一人と一匹のアクションRPG"とは、どのようなゲームなのか。ディレクターの古島康太氏にお話を伺いました。

"一人と一匹"に全てを注ぎ込んだアクションRPG
――発売日がついに決定しました。長い開発期間を経て、今のお気持ちは?
古島氏:純粋に楽しみですね。プレイヤーがどう感じてくれるのか、どんな反応をしてくれるのか、とても気になっています。
――まず、本作がどんなゲームなのか改めて教えてください。
古島氏:世界崩壊後の日本を舞台としたアクションRPGで、主人公の穢れ人エマと相棒の腐蝕犬クゥが旅をしていく作品になっています。“一人と一匹のアクションRPG”という点が大きな特徴で、ここにフォーカスしたタイトルになっています。
――アクションRPGにもいろいろなタイプがありますが、具体的にはどんなシステムなのでしょうか。
古島氏:戦闘、探索、シナリオのすべてが"一人と一匹"というコンセプトのもとに作られています。過酷な世界の中でこの二人が絆を育んでいくというテーマがあり、バトルとしては、リアルタイムの激しいアクションの中で、相棒のクゥが助けてくれるという関係性をシステムに落とし込みました。
エマの方はリアルタイムで動かす通常のアクション操作になっていて、いつでもクゥのコマンドメニューを開くことができます。クゥのコマンドでは、技を選んで敵を拘束する、敵を攻撃する、あるいはエマを回復するといった選択肢が用意されています。
――エマを普通のアクションゲームのように操作しつつ、クゥのコマンドメニューを同時に組み合わせていく形でしょうか。
古島氏:基本的に主体となるのはエマの方です。エマがアクション中に敵の攻撃を受け流すという、いわゆるパリィを使うことで、クゥの技に使えるポイントが溜まります。このポイントを使ってクゥが強力な「開花技」を繰り出せます。
開花技は、例えば、敵を拘束する技や、エマの次のアクションにつながる技があります。具体的には、跳躍ポイントがついた植物の槍が飛んでいって敵に突き刺さる。するとその槍に向かってエマが跳躍し、距離を詰めて接近攻撃につなげることもできます。アクション面でもこの二人の相互連携で作っています。

――プレイヤーにどんな体験をしてほしいと考えていますか?
古島氏:リアルタイムのアクション中にクゥのコマンドを開くと世界がスローになるのですが、クゥのコマンドを開くタイミングが重要で、その瞬間「今は敵を倒すべきなのか」「エマのHPが減っているからどうするのか」「HPの低い敵を先に処理するべきか」といったことを判断します。アクション自体はその場その場で状況が変わっていくので、瞬間的な思考と戦略的な思考が入れ替わる体験です。
――リアルタイムなので、敵と対峙している時と距離を取っている時で、クゥに出すコマンドも変わってきますか?
古島氏:距離はやはりとても大事です。例えばHPの低い敵が遠くにいるなら、クゥの遠距離技で処理してしまって、見つからないうちに倒すといったことも可能です。
――操作は結構忙しくなりますか?
古島氏:ずっと緊迫した中で反射神経を求められ続けるというよりは、クゥのコマンドを開くことで世界がスローになりますので、いつでも冷静に考える時間が取れるようになっています。普通のリアルタイムアクションをずっと続けるよりも、緊張を緩和するタイミングや思考する時間はむしろ増えています。

難易度は調整可能。戦い方次第で難易度も変化する
――以前のトレーラーではソウルライクに見えるシーンもあり、難易度が高いのでは?と感じたゲームファンもいると思います。難易度の目安を教えていただけますか。
古島氏:前提として、アクションですので反射神経は必要です。ただ、敵の動きを観察すれば「このタイミングで受け流せばいい」とわかってきます。
それに加えて、アクションだけで戦う必要はないんです。クゥに任せて単体で戦わせることもできますし、弓矢などの遠距離武器で処理することもできます。敵が集団で待ち構えている場合も、エマの植物の能力で立体的な位置取りをして敵の上空に位置することで、順番にステルスキルして筋道を見つけていく戦略も取れます。
――ステルスキルもできる一方で、正面突破で突っ込むこともできると。
古島氏:はい。自分のプレイスタイルに合った、自分にとって一番やりやすい戦略を選び取っていく楽しみ方をつかんでいただければと思います。
――難易度選択もできるのでしょうか。
古島氏:難易度選択は可能です。本作は前提としては、アクションスキルが必要になりますので、そこを緩和したStoryモード難易度があります。Storyモードは受け流しの判定を緩くし、敵の強さが調整されます。
――コアなプレイヤーは難易度を上げたり縛りプレイに挑んだりできて、ライトな方は難易度を下げたり工夫で乗り越えたりと。
古島氏:いろいろな戦い方の手段を用意していますので、難易度を変える前に、まずはノーマルの中で工夫して戦ってみていただきたいですね。「こうやって手順・タイミングでクゥの技を使えば勝てる」といった思考の工夫が活きるようになっています。
ロードムービーのような旅になる。周回プレイのやりこみも
――バトル以外の探索要素も結構あるのでしょうか?
古島氏:本作はロードムービーのようなイメージで、10以上の区域と呼ぶステージが連なって長い旅を構成しています。ステージは"横幅の広い一本道"という形で、簡易的なセミオープンワールドに近い広さのものもあれば、高低差があったり、狭いけれど入り組んでいるものもあり、バリエーションを持たせています。

――基本は崩壊した世界に植物と廃墟がある風景だと思いますが、各ステージで雰囲気は違いますか?
古島氏:圧迫感があったり、明るかったり暗かったり、すごく怖い存在がいたり、独特な雰囲気がある場所だったり。区域ごとに特徴をつけて作っています。
――探索で得られるものはアイテムだけではない?
古島氏:アイテムだけでなく、この世界の伝承であったり、深い層の底にある何かを発見したり。RPGとしてアイテムが手に入るのはもちろんですが、探索するとより世界観を深く知ることができるようになっています。

――物語は夏から始まるとのことですが、季節も変わるのでしょうか。
古島氏:はい。夏からスタートして、半年以上かけて旅をしていきます。ゲームプレイとしてはかなり時間が経過している感覚になります。
――各区域で季節も違い、天候や時間帯も変わるのでしょうか。
古島氏:天候はリアルタイムに変化します。雨になったり日が落ちたり、同じステージでも変化が生まれます。さらに"穢れの森"という要素があって、突如として森が生えてきて、世界の雰囲気がガラリと変わります。同じ区域でも雰囲気が変わってきますよ。
――ゲームボリュームの想定を教えてください。
古島氏:おおよそ40時間ぐらいを想定しています。ただ、プレイスタイルによって変わりますし、ニューゲームプラスも用意しています。ハードモードよりもさらに難易度が高い周回プレイが楽しめるようになっています。
――スキルツリーなどのやり込み要素はありますか?
古島氏:エマとクゥにそれぞれ3系統のスキルツリーがあります。1周目ですべてを揃えるのはなかなか難しいので、自分のプレイスタイルに合わせてどう育てていくかを考えることになります。ステルスで攻めるのか、遠距離で攻めるのか、自分から突撃して倒すのか。クゥ側も防御補助を強化するか技を強力にするかなど選択肢があり、自分なりのスタイルを構築していけます。
――同じノーマル難易度でも、プレイヤーによって戦い方がまるで違うと。
古島氏:プレイテストの時点でも、プレイヤーそれぞれが自分なりのプレイスタイルを確立していました。しっくりくるクゥの使い方や戦い方は人によって異なるんです。この戦闘をどう攻略するか?というのも攻略ルートを探索していくような楽しみ方を味わっていただけます。

フルボイスで紡ぐ物語と"物言わぬ主人公"
――トレーラーでは大塚明夫さんの声も聞こえましたが、フルボイスでしょうか。
古島氏:はい、全編フルボイスです。
――NPCはたくさん登場しますか?
古島氏:過酷な滅んだ世界ですので、あまり人が多すぎて賑やかということはありません。要所要所に存在している形です。生身の人間もいますし、本作には魂を機械に転送した存在の"ゴーレム"もいて、そういったキャラクターと話すこともできます。
――エマは口数が少ないとのことですが、物語はどのように伝えられるのでしょうか。
古島氏:主人公エマは記憶も感情もありません。ただ、エマは実は何も感じていないわけではありません。エマがこの世界をどう見ているか。そのエマ自体がとらえる主観的な世界観を音楽で表現しています。プレイヤーにはエマに寄り添って、一緒に感じていただきたいと思っていて、あまりこちらから「こう感じてください」とは伝えていないんです。
――プレイヤー自身の想像力や感性に委ねる部分が大きいのですね。
古島氏:はい。エマとクゥが今置かれている状況に対して、プレイヤーに共感していただいたり、心に寄り添っていただく感覚を得てもらえたらと思います。

――楽曲面でのこだわりを教えてください。
古島氏:コンセプトとして“相棒と旅をすることで、頼もしさと温もり、寂しさを体験できる”というものがあり、音楽でもその雰囲気を表現しています。音楽は主観的なメディアだと思いますので、エマとクゥがどういう状況にいて、どう世界を捉えているかを音楽で表現するようにしました。ボーカル楽曲を多めにしていて、より主観的に感情を伝えるという意味でも声のある曲を多用しています。
――ボーカル曲といっても、激しいものもあれば落ち着いたものもあるという感じですか?
古島氏:そうですね。敵側の畏怖を描くような、日本の呪術的な雰囲気を出す声もあったりします。主人公の主観だけでなく、世界の脅威や畏怖を盛り上げる存在としても声を使っています。
コンセプトが先でフォトリアル表現に
――ゲームフリークさんとしてはあまり見られないフォトリアルな映像ですが、その理由は?
古島氏:結果だけ見ると普段と違う表現になっていますが、まずコンセプトとして相棒との頼もしさと温もり、寂しさ、といった感覚をゲームにしたいと考えました。過酷な世界で絆を描くなら、デフォルメではなくリアリスティックに高い解像度で表現したかったんです。
本作には"穢れの森"という、リアルタイムで目の前の空間が森に変わっていくシステムがあるのですが、これがデフォルメされた状態だと、おそらくちょっと可愛くなってしまう。世界が襲ってくるという脅威を表現するには、徹底的にリアルにする必要がありました。
――フォトリアルなゲームを作りたいというところからスタートしたわけではなく、表現したいものが先にあったと。
古島氏:はい。コンセプトで追い求めている感覚を、どういう表現手段でデザインするか。そこからキャラクターデザインや背景デザインに落とし込んでいった、という順番です。
――この世界観が生まれたきっかけや、影響を受けた作品はありますか?
古島氏:実は「これに影響を受けたからこうなった」という明確なものはないかもしれません。結果的にこういうゲームになったという感覚が今でも強くて。深層心理的には何かに影響を受けているんだろうとは思いますが、名指しできるものはないですね。

――やはり“一人と一匹”のコンセプトが先にあって、過酷な世界はそこから広がっていったと。
古島氏:今回植物をフィーチャーしているのも、過酷な世界には廃墟があり、植物が生い茂っているというのが直感的に想像できるからです。世界観に統一感を持たせるために、じゃあどんな敵がいいかと考えると、植物と一体化した巨大な存在や、廃墟や人工物が錆びた"死の象徴"としてのゴーレム――魂を込められた機械の敵――が自然と生まれていきました。
――主人公のデザインが特徴的ですね。笠をかぶっていたり、体型を強調しすぎない衣装だったり。デザインのこだわりを教えてください。
古島氏:過酷な世界を歩くにあたって、あまり肌を出すわけにはいきませんからね。物語は夏からスタートするのですが、それでも厚手の衣装にしています。この世界では植物が脅威ですから、布で身を守り、笠をかぶることになるだろうと。一方で、強大な敵に対してもはや鎧は意味がないので、ある程度の軽装にしています。完全な防具は装備していません。
開発は企画コンテストからの出発
――この作品が生まれた経緯を教えてください。
古島氏:元々何か新しいものを作りたいという思いがずっとありました。弊社には“ギアプロジェクト”という制度があって、通常は3人で集まって自由に試作を作りプレゼンするものなんですが、その年は代表取締役の田尻智が選考する企画コンテストが開催されまして。考えていた企画を提出して入賞し、プロジェクト化していきました。
――構想期間はかなり長かったのでしょうか。
古島氏:1~2年くらいは一人で試作を作りながら世界観設定を練ったり、シナリオのプロットを構築したりしていました。そこからゲームとして形にして再びプレゼンし、人を集めて進めていくという段階を踏んでいます。企画構想から数えると6年という長い開発期間になりました。
――パブリッシャーのFICTIONSさんとはどのようにつながったのですか?
古島氏:社内にパブリッシング機能がないので、パブリッシャーを探す必要がありました。最初はPrivate Divisionさんという会社とスタートしたのですが、FICTIONSが現在のパートナーになっています。
本作の魅力――小説の読後感のような体験を
――数ある新作の中で、本作の一番の特徴、体験してほしいポイントは何でしょうか。
古島氏:世界やストーリーをぜひ体験していただきたいですが、その感覚がやはり独特だと思います。頼もしさと温もり、寂しさを大切にしていますので、プレイヤーの心に寄り添うゲームにしたいと考えています。
――"プレイヤーの心に寄り添う"というのは大きなキーワードですね。
古島氏:あえてオンラインにしなかったのも、育んでほしいのはゲームの中の世界での関係性だからです。エマとクゥの旅を祝うのか、共感するのか、自分の意思を投影するのか。一緒に旅をする感覚を味わってほしいんです。
――刺激的で面白いというよりは、プレイヤーに何かを考えさせ、感じさせるような体験でしょうか。
古島氏:ジャンルやシステムで語るよりも、小説を読んだ後の読後感や、読んでいる最中にまとう雰囲気といったものを感じていただければと思います。アクションゲームとしての快感はもちろんありますが、最終的に味わってほしい感覚は、やはりそこにあります。
トレーラーの今後の情報展開は?
――発売まで半年ほどありますが、今後のトレーラーでも謎めいた要素を仕込まれていますか?
古島氏:そうですね。ただ、ここでいろいろ答えてしまうと、ネタバレになってしまいますので……。
――発売後にはぜひ改めてお話を聞かせてください。
古島氏:ぜひ。発売後にはもっとお話しできることがあると思いますので、よろしくお願いします。
――最後に、発売を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
古島氏:本作は企画構想から6年、長い間開発を進めてきました。2023年に「Project Bloom」として発表させていただいてから、ずっと期待してくださっているユーザーの皆さんには本当に感謝しています。それが開発メンバーのモチベーションにもなりました。本作は"一人と一匹"というテーマを突き詰めて、バトル、探索、ストーリーを構築してきましたので、ぜひ楽しみにしていてください。
『Beast of Reincarnation』はPC(Steam/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに2026年8月4日に発売予定です。







