第2回ブロックチェーンゲーム・アワード『GAM3 Awards 2023』が開催!去年と同じタイトルが受賞?【2023年末特集】 | GameBusiness.jp

第2回ブロックチェーンゲーム・アワード『GAM3 Awards 2023』が開催!去年と同じタイトルが受賞?【2023年末特集】

変わらぬ受賞作の顔ぶれには、現在のブロックチェーンゲームを取り巻くとある問題がありました。

文化 その他
第2回ブロックチェーンゲーム・アワード『GAM3 Awards 2023』が開催!去年と同じタイトルが受賞?【2023年末特集】
  • 第2回ブロックチェーンゲーム・アワード『GAM3 Awards 2023』が開催!去年と同じタイトルが受賞?【2023年末特集】
  • 第2回ブロックチェーンゲーム・アワード『GAM3 Awards 2023』が開催!去年と同じタイトルが受賞?【2023年末特集】
  • 第2回ブロックチェーンゲーム・アワード『GAM3 Awards 2023』が開催!去年と同じタイトルが受賞?【2023年末特集】

去年開催されたブロックチェーンゲーム・アワード『GAM3 Awards』が今年も開催されました。何かと悪いイメージの仮想通貨とNFTですが、昨今はスクウェア・エニックスやユービーアイソフト、Epic Gamesがブロックチェーンゲーム(以下BCG)のリリースや採用を発表。またG-Shock、ティファニーなどのファッション業界でも拡大しています。

ノミネートされたゲームは、昨年と同様に200タイトルを超え、最終候補に40タイトルが選考に残りました。投票数は昨年25万票の倍近くに上る45万票が集まり、各部門の受賞タイトルが選出。しかしながら、今回ノミネートされたゲームと昨年受賞したゲームを見比べてみると同じゲームが受賞しており、通常のゲームアワードではありえないことです。そこに、BCGの問題と課題が浮き彫りになっているように思います。

本稿では、CoinGekko(仮想通貨取引高情報サイト)が発表した今年11月のレポート「GameFiは死んだのか?75%以上が失敗(リンク先英語: Is GameFi Dead? 3 in 4 Projects Have Failed)」から一部抜粋しつつ、BCGの課題とGAM3 Awardsの受賞タイトルを紹介していきます。

※本記事は一切の投資を勧めるものではありません。


3冠受賞 『Parallel』Game of the Year / Best Strategy Game / Best Card Game

第2回GAM3 AwardsのGame of the Yearを受賞したのはトレーディングカードゲームの『Parallel』です。本作についてはトレーディングカードゲームのほか、OpenAIを活用したメタバースゲームなど複数のゲームが開発中。現在はカードゲームがクローズドテスト中で、Parallel StudioのNFTコレクションを中心に展開されており、物語を構成する5つの派閥やパラレルに焦点を当てています。プレイヤーはNFTのデッキを使用して戦います。

2冠受賞『Shrapnel』Most Anticipated Game / Best Graphics: Shrapnel

Shrapnel』は『Escape from Tarkov』の内容に近いゲーム性です。「The Zone」と呼ばれる場所を舞台に、戦闘前に装備を整えて、そのエリアで見つかるさまざまな資源を奪い合います。すべての装備をNFTとして提供しており、試合中に死亡すると持っていた装備は失われます。開発は「Codemasters」「Avalanche Studios」「Unity」「Google」などの元スタッフが携わっています。

3冠受賞『Big Time』Best Adventure Game / Best RPG / Best Multiplayer Game

BigTime』は、第一回GAM3アワードでGame of the Yearを受賞したタイトル。『フォートナイト』『Gears of War』『グランド・セフト・オート』『コール・オブ・デューティ』『オーバーウォッチ』などに携わった開発者によって制作中の、最大6人でパーティプレイ可能なアクションMMORPGです。昨年4月からアルファ版の早期アクセスが行われており、BCGでは珍しくGoogleアカウントさえあればプレイ可能で、プレイ中ランダムにNFTがドロップします。

2冠受賞『Deadrop』Best Shooter Game / Best Esports Game

Deadrop』は、Midnight Societyによって開発中のアリーナスタイルのFPSです。プレイヤーはアイテムを奪いながら、試合に勝つことで装備を自分のものに出来るようになっています。カーレース要素もあるようです。

Best Action Game『My Pet Hooligan』

My Pet Hooligan』はフーリガンなウサギが、フーリーランドシティで大暴れするアリーナスタイルのアクションPvP。バトルエリアでは物を破壊したり、プロスケーターのようにスケートボードを楽しんだり、建物にグラフィティを描いたりとフレンドと一緒に楽しむことも可能です。

Best Mobile Game『Mighty Action Heroes』

Mighty Action Heroes』は、コレクタブルフィギュアの様なヒーローを操作して、最大20人のプレイヤーで戦うバトルロイヤルゲーム。まだ開発中の本作は、ソロのミッションクリアモードなども導入する予定だそうです。

Best Casual Game『Pixels』

Pixels』は、ピクセルグラフィックが魅力的なオープンワールドゲームで、農業、探索、クラフトが中心のゲームです。広大なPixels Universeのアイテムは、すべてブロックチェーンと結び付いています。

Best On-Chain Game『Pirate Nation』

Pirate Nation』は、新しいオンチェーンの海賊がテーマのRPGゲームです。本作はカードバトルとなっており、勝利すると素材、宝物、資金を集めることが可能です。海賊たちはさまざまな冒険に挑む中で貴重な経験値を得て、レベルアップし能力を向上させていくことができます。

Best Fighting Game『Champions Ascension』

Champions Ascension』は、ローマ帝国の剣闘士時代が舞台の対戦型BCGです。闘技場では選ばれた戦士として剣闘士の戦いに参戦し、Eternalを目指します。また、Massinaの世界に住むキャラクターたちとのストーリーも展開されるそうです。

Best Racing / Sports Game『NFL Rivals』

NFL Rivals』はスリリングでアクション満載のフットボールゲームで、プレイヤーはNFLのゼネラルマネージャーとして夢のチームを築き、エンドゾーンに導く役割を担います。アーケードスタイルのゲームプレイが楽しめます。

People's Choice Award『Star Atlas』

Star Atlas』は、『Star Citizen』や『EVE Online』の様な宇宙SFをテーマにした、UE5にて制作中のメタバースゲームです。現在はプレアルファ段階にあり、マルチプレイヤー、宇宙レース、ドッグファイト、バイオームの探索が可能で、Epic Gamesストアからダウンロードできます。

Games' Choice Award『Wildcard』

Wildcard』はリアルタイムストラテジー、アリーナ型MOBA、そしてトレーディングカードゲームが組み合わさったBCGです。現在は招待制アルファ版となっており、プレイできるユーザーは非常に限られています。


以上が受賞タイトルです。BCGはまだ若いカテゴリーのため、どの作品も「開発中」で正式リリースされたものはほとんどありません。正式リリースと謳っていても、実際の内容はベータ版というゲームも少なくありません。そのため、アルファ版又はベータ版段階でのノミネートとなっています。

プレイされる前に消えていく…儲からなければ「クソゲー扱い」のBCGたち

前述のレポート「GameFiは死んだのか?75%以上が失敗」によると、BCGの開発が盛んになって以来、過去約5年間で2,817のWeb3ゲームが生まれ、そして約2,000のWeb3ゲームが消えたといいます。2018年から2023年にリリースされたWeb3ゲームの平均年間失敗率は約80%という結果です。

画像元 CoinGekkoより

これだけ多くのタイトルが開発されていたにも関わらず消えていったのは、実際のところ大半が詐欺か、弱気相場による開発断念、開発能力がそもそも無かった、思いのほか開発前に儲かってしまい開発する気がなくなった……など、様々なネガティブ要因があります。

また開発側のみならず、投機利益を求めて参加するプレイヤー側にも問題があることも。BCGを求めるプレイヤーの目的が基本的に「金儲け」を第一としているため、ゲーム通貨の新規上場を狙って参入し、ひとしきり利益を得たら他のゲーム又プロジェクトへ移るという傾向にあります。

さらには、バグやグリッチを使用した不正プレイヤーが横行し、資金を抜かれるということも頻繁に起こっています。そして、それらのゲームは出がらしの様に衰退していくというのが大抵です。詐欺も横行していることから、ゲーム開発側への信頼も薄く、継続して1年以上サービスを続けられるプロジェクトが少ないのが現状です。

通常Game of the Yearのタイトルといえば、本当に面白いゲームや革新的なゲームが受賞します。BCGの場合は、信頼できそうだから、儲けられそうだから、何だか凄そうだからという期待値が高いタイトルが受賞しています。そのため、1年後も同じ開発中のタイトルがノミネートされ続けるという「謎の現象」が起こっているのです。

しかしながらその一方で、ソニーがプレイステーションでのタイトル間でデジタル資産を移転するシステムに関する特許を出願したり、Rockstar Gamesの創設者の一人がBCGのシステムを開発する企業のアドバイザーになったりと、ブロックチェーンのシステムやNFTへの関心は広がり続けています。


ここまでWeb3ゲームやGAM3 Awardsとそれを取り巻く環境を簡単に紹介してきました。調査のためそれぞれのDiscordに参加して直ぐ出会う言葉は「Fun(楽しい)」ではなく「Earn(稼ぐ)」の一言。現状はブロックチェーンゲーマーが求めるのは「儲けられるか?」の一点に尽きます。

そのため、残念ながら遊んで楽しいゲームがリリースされても、儲けられなければ「クソゲー」と呼ばれ、やはりプレイヤー人口が減り消えていくのです。そして一般のゲーマーからは怪しいと判断されるため、最終的に誰も寄り付かなくなるという状態に至ります。

今後それらを解決できるゲームが現れるかが、BCGのターニングポイントかもしれません。コンソールゲーム、スマホゲーム、そして第3分野としてブロックチェーンゲームが確立されるかは、未だ未知数です。

UPDATE(2024/01/09 13:09): 企業名の表記に誤りがあったため、本文を一部修正しました。コメントでのご指摘、ありがとうございました。

《うなぎ@Game*Spark》

この記事の感想は?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら