AWSを活用して魅力的なメタバースの構築を―「Amazon Game Tech Conference 2022」レポート | GameBusiness.jp

AWSを活用して魅力的なメタバースの構築を―「Amazon Game Tech Conference 2022」レポート

AWS(アマゾンウェブサービス)はゲーム開発とどのように関わっていて、メタバースは今後ゲームとどのように交わるのか?さまざまな視点からの見地や展望が語られました。

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2022年11月10日(木)、東京・渋谷ヒカリエおよびオンラインでアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社による「Amazon Game Tech Conference 2022」が開催され、AWSを活用した柔軟なゲーム開発環境の構築やメタバースを題材にビジネスからエンジニアリングまで幅広くフォローした最新情報が発信されました。本稿では「Opening Session - AWS for Games」と「パネルディスカッション - メタバースとゲームの交差点とは」の模様をお届けします。

Opening Session - AWS for Games

まずはAWSの今日までの歩みが振り返られました。2006年に北米で「Amazon Simple Storage Service(S3)」をリリースしたAWSは、2011年には東京リージョンを開設するまでの広がりを見せました。

サービスという観点では「Amazon Simple Storage Service(S3)」に始まり「Amazon RDS」、「Amazon DynamoDB」、「Amazon Aurora」、「AWS Lambda」と発展し、2016年には初のゲーム業界特化サービスとなる「Amazon GameLift」をリリースするなど、日々イノベーションを加速させてきました。

AWS Japan飯田博征氏はそうした歴史を振り返りながら「ゲーム業界の方々は、AWSを黎明期の頃からご活用くださっている先駆者です。新規サービスが次々に出てくる今日、AWSの新たな使い方を積極的に開示することで、皆さまとご一緒に世界中のゲームユーザーにワンチームで笑顔を届けられれば」と語りました。

そうした思いからAWSのサービスとソリューションを組み合わせる形で提供されるようになったのが、2022年3月に発表された「AWS for Games」です。

AWS for Gamesは「BUILD」、「RUN」、「GROW」という3つのレイヤーと6つのソリューションで構成されています。

BUILD」が意味するものはゲーム開発のクラウド化です。ゲーム制作は開発の大規模化と、それによる長期化コスト増という課題を抱えていますが、それと同時にユーザーはより一層高い品質を求め続けています。

こうした課題や傾向は今後も変わることがないので「BUILD」領域での支援は今後さらに重要になると考えられます。

RUN」が意味するものは、サーバーやセキュリティなどゲームの運営を担う領域です。昨今はオンラインマルチプレイやMMORPGなどが身近なものとなり、これまでよりも多くのサーバーと、それを適切に管理するコストが必要とされます。

また、安定したサービスを提供するうえではセキュリティも欠かせません。AWSは元々セキュリティを最優先事項と捉えており、さまざまなソリューションを提供しています。それらをいかに組み合わせ、セキュアな環境をいかに迅速に作るか。これからもその支援をさせていただきたいと飯田氏は語りました。

3つ目の「GROW」は、ゲームビジネスをいかに伸張させるか、そしてそのためにクラウドでできることは何かを提案するソリューションで、LiveOps分析AI&MLという3つのカテゴリーに分けられます。

プレイヤーたちの傾向をどのように分析し、いかに離脱を防ぐか。そしてそのためには、ゲームをどのように改善していけばいいか。Amazon自身がAIやマシンラーニングを活用しているノウハウとサービスを組み合わせ、強固にサポートされます。

そして、それらを実現するにはパートナー企業のソリューションも必要不可欠です。海外企業ではゲーム開発エンジン「Unreal Engine」で知られるEpic Gamesや、同名のゲーム開発高速化ツールで知られるIncredibuildなど30社以上の企業が名を連ねています。

飯田氏は「ここに日本企業のロゴを増やし、よりよいサービスを提供できるようにしていきたい」と展望を語りました。

「BUILD」「RUN」「GROW」レイヤーの具体事例

AWS Japan吉田英世氏からは、挙げられた3つのレイヤーの具体的な事例が紹介されました。

BUILD」の事例で紹介されたのは『ポケットモンスター』シリーズの開発で知られるゲームフリークです。世界的な人気を誇る『ポケットモンスター』シリーズは同社による少数精鋭体制で開発されてきたタイトルですが、開発の大規模化によるオンプレミスのリソース不足にどう対応するかが課題となっていました。

さらに、コロナ禍になると世界的な半導体不足で開発機材の調達も困難に。そこで同社はクラウドの活用に注目してAWSを選定。WindowsLinux上の内製ライブラリ静的コード解析ゲームプレイログの解析に「Amazon OpenSearch Service」を導入して運用負荷を軽減し、リソースをゲーム開発に集中できるようになりました。

コロナ禍になって以来、同社にかぎらずこのようなビルド周りの問い合わせが増加しているとのこと。いつでも任意のリソースを調達できることから、ビルド周りはAWSの恩恵を特に受けやすい領域である…と吉田氏は補足しました。

RUN」の事例として挙げられたのは『ニンジャラ』を手がけたガンホー・オンライン・エンターテイメントと、『エルデンリング』で知られるフロム・ソフトウェアです。

ニンジャラ』は2020年6月25日のサービス開始以来、16時間で100万ダウンロードを達成したタイトルで、ガンホーは安定したサーバー運用が急務となりました。そこで、特定のルールに基づいてプレイヤーをマッチングする機能やそのプレイヤー同士を同じゲーム空間でプレイさせるリアルタイム通信機能などを備える「Amazon GameLift」を導入しました。

自前でサーバーなどを用意するそれまでのメソッドと比べて構築コストはおよそ半分になり、運用コストも毎月4人月を削減できているとのことです。

フロム・ソフトウェアは『エルデンリング』において、バックエンドにAWSとオンプレミスでKubernetesを実行できる「Amazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)」を採用し、さらにサーバーログ収集のために「Amazon Kinesis」を導入しています。

同社は元々AWSの仮想サーバーサービス「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」でタイトルを運用してきたものの、デプロイ時におけるライブラリなどの環境差分をいかに解消するかが課題となっていました。

そこで2016年からアーキテクチャのモダナイゼーションに取り組み、Kubernetesで一元化するために「Amazon EKS」を採用しました。

エルデンリング』は当初20万同時接続を想定していましたが、リリースから2週間で150万同時接続を達成する大ヒットタイトルに。しかし、スケーラブルな環境を構築していたことでサーバーリソースを柔軟に増やすことができ、予期せぬ大ヒットにも迅速に対応できました。

同社のサーバーは4名からなるチームが管理していますが、こうしたマネージドサービスの導入によってスピーディーな開発体制と安定した運営を両立できているとのことです。

最後に「GROW」の事例として紹介されたのは、2022年7月19日にAWSとの提携が発表されたRiot Gamesです。

同社は『リーグ・オブ・レジェンド』や『VALORANT』などのeスポーツ配信にデータ分析ソリューションの「Stats powered by AWS」を導入。これにより、試合の配信時にそのチームを勝利に導くカギとなるデータポイントを視聴者に伝えられるようになりました。

トッププロチームのランキングをほぼリアルタイムで作成し、試合中に画面上に表示する「AWSグローバルタワーランキング」や、競技シーズンを通しての優勝チームを予想するブラケットチャレンジ「Pick'em powered by AWS」では、機械学習のソリューションも活用されています。

吉田氏は、こうした分析・統計ソリューションはユーザーのリテンションをいかに高めるかという目的で使用されることが多かったが、最近ではイベントなどでの活用事例が増えてきている、とまとめました。


《蚩尤》

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