経産省が作る“入り口”eスポーツにおける広告価値の検証…経済産業省コンテンツ産業課 上田泰成氏【e-Sportsの裏側】 | GameBusiness.jp

経産省が作る“入り口”eスポーツにおける広告価値の検証…経済産業省コンテンツ産業課 上田泰成氏【e-Sportsの裏側】

eスポーツ産業の振興について、経済産業省 商務情報政策局 コンテンツ産業課の上田泰成氏(課長補佐、産業戦略担当)に今後の展望を聞きました。

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経産省が作る“入り口”eスポーツにおける広告価値の検証…経済産業省コンテンツ産業課 上田泰成氏【e-Sportsの裏側】
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昨今、世界中で大きな熱狂を見せているeスポーツ。日本のeスポーツ界では2018年に国内3団体が合併した一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が設立され、国内の選手力向上や育成、普及活動を行なっています。一方で経済産業省はeスポーツ内での広告価値の検証など、経済効果を見据えた市場調査に意欲的となっています。

今回はeスポーツ産業の振興について、経済産業省 商務情報政策局 コンテンツ産業課の上田泰成氏(課長補佐、産業戦略担当)に今後の展望を聞きました。


◆「eスポーツ」は周辺分野を巻き込んで成長が見込める

――経済産業省のコンテンツ産業課ではどのようなことを行なっているのでしょうか。

上田泰成氏(以下、上田)コンテンツ産業課ではゲームやeスポーツ、メタバース、最近ではNFTなどを扱っています。また、映画やアニメのコンテンツ業界でDXの人材育成をどうしていくかという取り組みを来年度から始めようと思っています。その中で私はゲームを中心に活動しています。

――ゲーム業界はグローバルに仕事をする企業も多いですが、アニメや映画はまだアナログな部分も多い印象です。

上田若手のアニメーターやプロデューサーの方々はデジタルの波をある程度知っていますが、中高年の方々にはまだ浸透していない。まずデジタル機器をどうやって扱うか。また、作品の制作にこれまで相当時間がかかっていたのを、3DCGなどを用いて時間短縮し、精度をどう向上させるか。そういった点の支援、人材育成をやっていきたいと思っています。

今やろうとしているのはゲームクリエイターが持っているスキルを使い、それを地方の活性化、社会課題の解決に繋げるゲーミフィケーションです。ゲームのスキルを使って人材をどう育成していくか、どういう教材を作る必要があるかなど、色々な団体を巻き込んで進めていきたいです。

――今回のオンラインセミナーのテーマにもなっている「eスポーツ」を、経産省としてどう捉えているのでしょうか?

上田2018年はeスポーツの元年と言われていて、言葉自体が流行語大賞にノミネートされました(トップ10に選出)。ゲームは単なるツールではなく、eスポーツを活用して観光や地方活性化、高齢者のリハビリに使うなど社会的に広く普及できる可能性があるものと捉えています。

eスポーツは今後も若年層を中心に市場規模が広がっていくことはもちろんですが、周辺産業も絡めてクールジャパン全体として成長が見込め、色んな分野を巻き込むことができます。例えば教育や社会福祉、観光など、色々な分野に派生できるので、経産省として「eスポーツ」を盛り上げられるように業界団体と協力しながら施策を行なっています。

◆経産省が取り組む「eスポーツにおける広告価値の検証」

――「eスポーツ」はなぜ注目されているのでしょうか?

上田Z世代(1995年以降に生まれた若年層)の存在もひとつの理由だと捉えています。Z世代は、2025年ごろに全世界で約23億人に達するという試算が出ています。Z世代は企業の経営戦略上でも重要なキーパーソンになってきますが、彼らとコンタクトを取る方法を模索する企業は多いです。

そこで現在、経産省はeスポーツにおける広告価値がどれぐらいあるのか調査を行なっています。経産省として2025年にeスポーツ市場がこれくらい伸びる、という試算は出しているのですが、企業がeスポーツに参入後、ビジネスとしてどの程度伸びるのかという試算は出ていません。

eスポーツに参入したくても、成長見込みの数字がないと、意思決定も関係者への説得もしづらいですよね。そこで経産省が、「eスポーツに参入すると、これくらいビジネスとしての可能性がある」と提示することは、参入の枠を広げるきっかけになると思っています。今はその入り口となる数字を作っているところです。

――広告価値調査における具体的な取り組み事例はありますか?

上田例えば、リアルスポーツの野球はバッターボックスの後ろに広告がありますよね。あれがリアルな試合と、『パワプロ』(実況パワフルプロ野球)のようなゲームの試合で、どちらが広告効果が高いか、という実験を元々コナミさんや慶応義塾大学さんが調査されていて、その調査と連携させていただいております。

結果的には広告効果はあまり変わらないことが判明したり、ゲーム中の広告の認知の仕方はリアルスポーツよりも適している場合があることがわかりました。こうした事例を集めながら効果を検証しています。

◆「コンテンツ」で日本経済を伸ばしていくためには


――日本のeスポーツがさらに発展していくために必要なことはなんでしょうか?

上田賞金額で日本と海外を比べると雲泥の差です。海外では賞金総額30億円を超える大会もありますが、日本は例えば昨年末に行われた『シャドウバース』の世界大会(さいたまスーパーアリーナで開催)でも賞金総額2.5億円です。日本は法規制の問題もありましたが、経産省や関係省庁でのおおよその整理は完了しました。

さらに今後、スポンサーからの協賛金をそこに促すとなると、もっと企業が参入できるように環境を整備しないといけません。国はその動機づけを作ることも重要で、Z世代を対象にしたマーケティング効果として具体的な数字を世に示す。そこから色んな企業が参入するようになるところが入り口だと思います。また、以前から議論されている一つにベッティングがあり、eスポーツに導入すると市場は活性化すると思います。現時点ではまだそこに至ってないので、まずは参入者を広げるべく国として数字、エビデンスをしっかり示す動きをしていきます。

――eスポーツに限らず、「コンテンツ」で日本経済を伸ばしていくためには?

上田日本には競争力があるコンテンツが沢山あります。世界で見ると強い立場にありますが、ビジネス面や広報面ではそうではないところもある。そこをどう環境整備していくか。日本全体のビジョンがあって、企業やコンテンツをどう応援していくかという仕組み作りが大切だと思います。

また、広く浅く事業者を支援するのではなく、これからWeb3.0の時代が来るのならそれに見合う戦略やコンテンツを展開するところを支援する。並行して、法的な整備や企業関係の整理をやっていきたいですね。ブレーキとアクセルのイメージで攻めと守り、事業者がこういう活動をすればちゃんと政府が後押ししてくれるスキームを作ることが必要です。プレーヤーにいかに気持ち良くプレーしてもらうかという視点が、コンテンツ業界でも必要なのではないかと考えています。

産業振興の観点から、eスポーツはクールジャパン政策の一環として伸ばしていきます。経産省はゲームを産業として捉え、様々な取り組みに前向きです。


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<基調講演>eスポーツ産業の振興について
経済産業省 商務情報政策局 コンテンツ産業課 課長補佐(産業戦略担当) 上田泰成氏

  1. コンテンツ産業の動向とeスポーツの可能性

  2. eスポーツを活性化されるための方策に関する検討会

  3. Z世代におけるeスポーツ及びゲーム空間における広告価値の検証

  4. 政府全体における位置づけと今後の取組み

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《森元行@Game*Spark》

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