コロナ禍でもうまくチームを運用し、プロジェクトを遂行するには? 人気アプリ「REALITY」開発における生産性3倍のマネジメント術【CEDEC2021】 | GameBusiness.jp

コロナ禍でもうまくチームを運用し、プロジェクトを遂行するには? 人気アプリ「REALITY」開発における生産性3倍のマネジメント術【CEDEC2021】

本セッションは「チームで仕事を進めていく上で、なにが作業のボトルネックなのかを洗い出し、生産性をいかに上げたか」についてまとめられています。コストをかけてでも作業環境に投資する効果の大きさなどを語っています。

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コロナ禍でもうまくチームを運用し、プロジェクトを遂行するには? 人気アプリ「REALITY」開発における生産性3倍のマネジメント術【CEDEC2021】
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国内最大のゲームカンファレンス「CEDEC2021」が8月24日から26日にかけて開催され、「パンデミックにも負けない!元気なアートチームの作り方~オンラインにおけるナレッジマネジメントと情報透明化~」のセッションが公開されました。

本セッションには、株式会社REALITYのプラットフォーム事業部・マネージャーを務める吉川真美氏が登壇。主にチームの課題を解決するマネジメントをどう行うかをまとめたほか、現在の新型コロナウィルス流行の問題も言及しています。

会社へ直接出社しして業務をこなすことが感染のリスクとなるため、リモートワークへ切り替えざるを得ない事情が各社にあります。しかしリモートワークではさまざまな要因によって、作業の生産性が落ちてしまうリスクが少なくありません。今回のセッションでは、リモートワークでも生産性アップと安定性の高いチームを保つ、マネジメントのメソッドが紹介されました。

生産性をコロナ下でも3倍にした課題解決手法

まず吉川氏は、自社の中心プロジェクトである、基本無料のバーチャルライブ配信アプリ「REALITY」のプロジェクトに関わってきたことを紹介。

本アプリでは、ユーザーは好きな姿ののアバターとなり、ライブ配信をしたり、他のユーザーとコミュニケーションを取ったり、まさにVtuberやVRチャットが全盛の時代に合わせたサービスを特徴としています。

しかし吉川氏は「こんな華々しい見た目のサービスですが、裏ではすごく大変でした……」と振り返ります。

というのも、開発の初期には作業工程と各チームの役割が完全に分離しており、各部門でフォローしあうのが難しい状態だったとそうです。そのため、3D制作チームに負担がかかり、量産体制に移れない問題が発生していました。

そこで試行錯誤を重ねた結果、無事に量産体制の構築に成功。1人あたりの生産性は2倍に増加。総生産数に至っては3倍にもなり、新型コロナ下であってもすさまじい作業効率を上げることができたといいます。

今回のセッションでは、いかにチームの課題を解決し、量産体制を確立することで生産効率を上げてきたかをポイントに話を進めていきます。情報の透明化と管理コスト削減や、製作工程の効率化といった課題をいかにして解決してきたかが、ここでは語られました。

情報の透明化と、情報管理コストの削減

まず初めに、量産体制の一歩目として情報の透明化と管理コストについて言及。これまでは、スプレッドシートを利用してデータベースを管理しようとしたり、Team Ganttでスケジュールを管理しようとしたりとさまざまな管理を同時にやろうとした結果、これらの管理をする管理にコストがかかり現場に根付かない本末転倒のものとなってしまいます。

問題を考えなおした結果、「そもそも、必要な情報を取得するためにブラウザのページを行き来するのが面倒」ということに気付き、データからスケジュールまでひっくるめて管理できるツールを探すことにします。

そこで利用したのが「SHOTGRID」というツールでした。もともと映像系に特化した管理ツールでしたが、本ツールであれば先述した情報をひっくるめて管理できると判断し、導入に至りました。データベース機能では全アセットのステータスや外見、担当者をすぐ把握できるほか、チームの運用に合わせてカスタマイズ可能な利点が揃っていたとのことです。

続いてスケジュール機能では、個人スケジュールページからアセットのページなど複数の観点からステータスに遅れがないかどうかを簡単に確認できるのも利点だったといいます。

さらにSlackとSHOTGRIDの自動連携によって、制作進行プロセスも円滑になったとのこと。

通常では制作進行のポジションにあるスタッフが、他スタッフの開発スケジュールの進捗に遅れが出ているときにアナウンスする場面がありますが、こちらのSlackとの連携では、進捗が遅れているスタッフに対し自動でアナウンスのチャットを送るシステムになっているとのこと。こうした環境構築により、制作進行のタスクを削減することに成功します。

最後に統計解析ソリューションとして、実績の可視化を行ったそうです。こちらは施策ごとの生産数の実績を表示するほか、外注費などさまざまな要素を自動で統計を取ることができるといいます。すぐに実績を把握できることから、次に何をするかを設定するのに役に立ったそうです。

こうしてSHOTGRID導入によって、情報の透明性を実現し、ツールの管理コストならびに制作管理コストも押さえることに成功。この結果、スタッフが自ら情報を把握できるようになり、リモートでも対面での業務でも変わらない制度で自走できる環境が作れたとのことです。

制作工程の効率化

続いて、少人数のスタッフでも大量生産を実現するために、制作工程の見直しが図られたといいます。

そこで行った施策は、まず「ルーティンワークにコストを払い続けない」ことと、「2Dアーティストが作れる3Dアイテムを作る」ことだと説明。吉川氏は「これらの施策を実現するためにはコストがかかりますが、将来を考えて惜しまずに投入した」と振り返りました。

まず「ルーティンワークにコストを払い続けない」施策について解説します。吉川氏は主にアプリ内で動くキャラクターモデルがいかに制作されるかのプロセスを説明。

3Dアーティストがデザインを元に3Dモデルを作成し、Unityへモデルを投入し、アプリに実装するための要素を設定。平行して、UIデザイナーがアイテムの撮影やアイコンなどを作成することで、ひとつのモデルが完成します。

こうした制作プロセスにおいて、初期は各部門のスタッフが手作業で行っていたとのこと。ですがそれでは工数がかかりすぎるため、制作プロセスのルーティンワークに当たる部分を自動化する施策を行いました。

そうした各作業プロセスにて自動化ツールを実装することで、制作チームのコストダウンに成功したとのこと。さらに自動化ツールによって、人の手ゆえに発生するケアレスミスを減らすことができたそうです。こうしたツールを日々更新することで、効率化を維持していったとまとめました。

続いて、「2Dアーティストが作れる3Dアイテムを作る」の解説では、主に制作コストの低いものを作ってもらうことにしたと説明。

REALITYのアイテムは5つの作り方に分けられており、それらは制作コストのランクがあります。新規アイテムはゼロから作るためコストがかかりますが、かなりコストが下がるダサTアイテムと色変えアイテムがかなりコストが低く、2Dアーティストが制作できる対象なのだと解説されました。

ダサTアイテムと色変えアイテムはUnity上でロゴやプリントを移動させるだけで作れたり、衣装の色データを変えるだけでよいので、3Dアーティストの専門技術はさほど必要ないため、2Dアーティストに任せることができたとのことです。

このように柄替えやダサTアイテムや色変えアイテムを2Dアーティストに任せるようにした結果、生産性はかなり向上したそうです。仕様の見直しと既存アイテムの全修正を何度も重ねることで、こうした量産が実現されたとのことです。

チームの属人化の解消

続いて「チームの属人化をいかに解消したか」を解説します。

たとえば、新使用のアイテムを作りたいと考えた時、特定のスタッフにしか作れなかったりする場合があるとします。一度そのスタッフが作業して以降、同じスタッフにどの仕様のタスクが振られ続け、結果的にそのスタッフにしかわからない作業工程、いわゆる属人化した工程が出来上がってしまう問題を、いかに解消したかをポイントとしています。

これはさまざまな現場で起こり得ることなのですが、吉川氏は「弊社では基本的に、そうした属人化した工程になってもいい。ただし、マニュアルの作成とレクチャーといったナレッジ共有をセットでお願いしている」ことで問題解決を図っているとのことです。

こうした施策によって、他のスタッフも作業工程を理解できることで属人化が解消されるため、同じ作業に他のスタッフをアサインできるようになったといいます。後の生産性を向上させる効果の大きさを考えても、作業のナレッジ共有にかける初期コストを惜しまないことが大切とのことです。

リモートワークでもチームが円滑に作業するためのマネジメント

最後に、コロナ下で活発になったリモートワークでのチームマネジメントについて解説。

リモートでのチームマネジメントでの理想とは、まず「組織における役割と目標が明確」、「メンバー間で互いの関連性がわかっている」そして「互いの “見える化”で安心」、「ワークライフバランスへの配慮」だと言います。

まず「組織における役割と目標が明確」にするためには、事業のミッションやビジョンをはっきりさせ、それをもとにスタッフの目標計画の基準を決め、方向性がブレないようにすることが大事だと指摘。ポイントは、スタッフ個人の目標において、、会社の事業の成功と個人の成長をむずびつけることで、仕事の成果がどういうふうに貢献しているのかを明確にすることだといいます。

「メンバー間で互いの関連性がわかる」には、KPI会の実施が有効だったとのこと。KPIとは通常使われる“Key Performance Indicator(重要業績評価指標)”ではなく、Keep、Problem、Tryの頭文字を合わせたもので、続けていきたいこと、課題の認識、挑戦したいことを表しています。

こうした会で課題を報告し合うことによって、チームの方向性について全員の認識が合っているかを確認し、チームが自分から協力して問題解決に動けるようにしたといいます。

「互いの “見える化”で安心」では「日々気を付けていれば出来ることですが、案外難しい」と吉川氏は説明。日々Slackでコミュニケーションを行っており、関連するスタッフの末端までメンションをつけたり、話題が分散しないようにスレッド化しているそう。ここでのポイントは、スタンプでの反応でも良いから「あなたの発言をみていますよ」と伝えることで、スタッフを安心させることだそうです。

最後に「ワークライフバランスへの配慮」について解説。これは退勤済みや、有休中のメンバーには基本的にSlackでメンションを飛ばさないことや、不要な会議や定例を排除することで、スタッフに無用な負担を掛けないようにすることがポイントとのことです。

また、月2回ランチを開催することで、コミュニケーションのサポートを行うことも大きな効果があるとのこと。

REALITYではこれらの施策を行ったことで、見事に量産体制を実現し、3倍の生産性を実現したとのことです。セッションを聞いて感じたことは、多少コストがかかっても自動化できるツールの制作や、作業のナレッジの用意といったものへの投資を惜しまないことや、シンプルながらチーム間での目標をいかに上手く設定していく重要性でしょう。

生産性の向上はどこのチームでも課題にあるでしょうが、業務の状況を改善するのもかなりコストがかかるため、なかなか取り掛かりにくいもの。しかし今回のセッションでは、その効果の大きさを感じるものでした。

《葛西 祝》

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