スマホゲームの低遅延音声再生を実現するCRI ADX新機能「SonicSYNC」を徹底解説【CRI CREATORS CONFERENCE 2021】 | GameBusiness.jp

スマホゲームの低遅延音声再生を実現するCRI ADX新機能「SonicSYNC」を徹底解説【CRI CREATORS CONFERENCE 2021】

CRIによるオンライン展示会「CRI CREATORS CONFERENCE 2021」より、CRI ADXの新機能「SonicSYNC」に関するセッションのレポートをお届けします。

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スマホゲームの低遅延音声再生を実現するCRI ADX新機能「SonicSYNC」を徹底解説【CRI CREATORS CONFERENCE 2021】
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CRI・ミドルウェア、ウェブテクノロジ、ツーファイブ、アールフォース・エンターテインメントは、2021年8月3日から5日にかけて参加費無料のオンライン展示会「CRI CREATORS CONFERENCE 2021」を開催しました。

同展示会では、CRIが提供するデジタル展示会プラットフォーム・DXExpoで各社の製品を紹介するブース展示が行われたほか、YouTubeのCRI・ミドルウェアチャンネルで講演や各社のブース紹介が行われました。本稿では8月4日に行われた講演のひとつ「ゼロ遅延再生技術SonicSYNCについて」のレポートをお届けします。

講演のモデレーターは、CRI・ミドルウェアのエンターテインメント事業本部 研究開発部エンジニアで、SonicSYNCの開発をメインで担当した大町祥輝氏が務めました。大町氏はプライベートでよくリズムゲームをプレイしており、SonicSYNCの開発にはリズムゲームのユーザーの1人としての自身の知見も込められていると挨拶しました。

CRI・ミドルウェアが提供するCRI ADXは、スマートフォン、ゲーム機などの幅広いプラットフォームで高圧縮、かつ高品質な音声再生を実現する高機能サウンドミドルウェアで、SonicSYNCはそれに含まれる追加機能のひとつです。

SonicSYNCは2021年7月以降に配布されているCRI ADXのSDKに含まれるので、新規タイトルでSonicSYNCを導入したい場合は、それを使用するのみ。すでに配信・運営されている既存のスマートフォンタイトルに導入する場合も、ゲーム内のランタイムライブラリを2021年7月以降のSDK内のものに交換するだけで終わります。SonicSYNCは後方互換性があるので、CRI Atom Craftなど既存のツールで作成したデータをそのまま利用できるとのことです。導入するにあたって追加料金は一切発生せず、導入や移行に関するサポートも無料で提供されます。

大町氏はSonicSYNCの開発の背景について、今日スマートフォンで配信されてるリズムゲームのうち多くのタイトルで、タップ音の遅延が大きいことを指摘。この遅延に対し、開発者のみならず、ユーザーがさまざまな工夫をするというシーンも珍しくなく、「グランドピアノの鍵盤をタッチして音が出るまでの時間(50ms前後)まで遅延を少なくできないだろうか」と考えたのがきっかけだと語りました。

氏は本講演中における遅延を、「(スマートフォンゲームで)ユーザーのアクションに対応した音声の再生までにかかる時間」と定義。具体的には「UIをタップしてから操作SEが鳴るまでの時間」、「リズムゲームでノーツオブジェクトをタップしてからタップ音が鳴るまでの時間」などが挙げられます。

さらに、CRI・ミドルウェアの分析では遅延発生のメカニズムは大きく3段階に分けられると指摘し、その内訳を、

1.ボタンや画面タッチによる入力を認識するまでの時間

2.デコードやエフェクト処理など、音声再生に関する時間(ADXが使用する時間)

3.音声をデバイスから出力するまでの時間

と解説。SonicSYNCは「2」の遅延を大幅に削減すると紹介しました。遅延は設定などで多少の差は生じるものの、上記「1」から「3」の総計でおおむね100msを超えることが多いとしながらも、SonicSYNCを導入すると従来のADXが60msほどを要していた「2」の処理を数ms程度に短縮。それにより、全体的な遅延を大幅に軽減します。

こうした軽減は最適化と処理手順の改善によって実現されているため、SonicSYNCを導入してもCPU負荷にはほとんど変化がないのも大きなポイントであると大町氏は続けます。さらに、また、ある程度の負荷をかける余裕がある場合は、さらに高いパフォーマンスを発揮させることもできるとのことです。

低遅延の実現は映像と音声の同期性向上につながるので、開発者は遅延に合わせて映像をオフセットする必要が少なくなるほか、ユーザーのゲーム体験向上にも寄与します。高いレスポンス性でゲームへの没入感が増幅されるだけでなく、遅延の総合時間が短くなることで、Bluetoothイヤホン利用時の遅延減少にもつながります。

また、SonicSYNCの具体的な採用事例としては、タイトーが配信するスマートフォン用のディズニー最新音楽ゲーム『ディズニ ーミュージックパレード』の名が挙げられました。SonicSYNCを先行採用したところ、ユーザーから好評の声がより多く寄せられるようになったとのことです。

スマートフォン以外のプラットフォームへの対応も視野に入れつつ、「ADXを最も低遅延なオーディオシステムにし、スマホ音楽再生の新たなスタンダードとする」ことを目指すSonicSYNCは、機能を体験できるスマートフォン用アプリが無料で配信中です。また、CRI ADXのライトエディション(無償版)となるCRIWARE Unity Pluginにもすでに対応しており、CRIWARE for Gamesで公開中です。

SonicSYNCの技術的な詳細は、8月24日から26日にかけてオンライン開催される「CEDEC2021」内のセッション「スマホ音楽ゲームが変わる!楽器レベルの低遅延再生への挑戦」で公演予定とのことです。同セッションは、8月24日17時30分から開始予定です。

2021年8月1日に設立20周年をむかえ、その記念事業として国内のCRIグループ4社(CRI、ウェブテクノロジ、ツーファイブ、アールフォース・エンターテインメント)を1か所の拠点へと集結させたCRI・ミドルウェア。2021年内にはコーポレートサイトの全面リニューアルを行い、翌2022年中には、CRI ADXへの理解度を視覚化できる検定を開始する予定とのことです。

《蚩尤》

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