『DEATH STRANDING』World Strand Tour 2019 Tokyoレポ!発売後初の小島監督インタビューもお届け | GameBusiness.jp

『DEATH STRANDING』World Strand Tour 2019 Tokyoレポ!発売後初の小島監督インタビューもお届け

PlayStation(R)4用ソフトウェア『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』発売記念イベント「WorldStrandTour2019」東京会場が開催されました。日本語版の主要声優陣が一堂に会しトークショーを実現。これまでの長旅を振り返り、涙を誘う場面も。

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「World Strand Tour 2019」は、世界の10都市を巡る『DEATH STRANDING』の発売記念イベントです。2019年11月10日はいよいよ東京会場での開催となり、抽選で選ばれた200名のファンが集いました。

『DEATH STRANDING』の発売後としては小島監督に対して初となる(ファン・メディアによる)質疑応答の時間が設けられ、またギネス世界記録認定式が執り行われるなど、ファンにとって嬉しい内容となりました。ステージには日本語版の主要な声優陣が勢ぞろいし、これまでの制作の小話を含めたトークショーが展開されました。


これほど豪華なメンバーが実際に同じ場で集うのは初めてのことだそうです。発売したてということもありキャストの方々もゲームプレイはまだまだ序盤で、自分の声が出るか否かと緊張しながら進めている様子でした。

この日の一般参加者には「いいね!」のプラカードが配布されており、ステージ登壇者の話に応じて掲げられる光景も見られました。特に、デッドマン役の石住さんが『DEATH STRANDING』を遊ぼうとしたものの、PS4のディスクをどこにいれるのかでつまづいてしまったという逸話には、ひときわ「いいね!」が送られていました。デッドマンは同作の序盤から登場する重要キャラクターでもあるため、この日の参加者にとっても馴染み深い存在だったのかもしれません。


イベントは続けて参加者からの質疑応答の時間となりました。質問を採用された参加者には非売品のポスターがプレゼントされるというサプライズも。うらやましい!

◆演じられたキャラクター以外でお気に入りは?監督の一番のお気に入りキャラは?


小島監督と津田さんは「選べない!」とひとこと。特に津田さんは主人公ということもあり、あらゆるキャラクターとの関りが深く、難しい質問だと頭を悩ませていました。

ダイハードマン役の大塚さんは「まだプレイできていないけど、あのメガネの子(ママー)がいいね!」と返答。ただの好みじゃないか!と突っ込まれる一幕に。

アメリ役の井上さんとフラジャイル役の水樹さんは、共に「BB!」と女性らしい返答に会場からも「いいね!」の反応が。続けてクリフ役の山路さんも「私もBBです」としながらも「フラジャイルのツンとした感じが、個人的には良いかな」と答え、またもや好みの話になってしまいました。すかさずデッドマン役の石住さんも「がんばってBBにお乳をあげたいです」と答えだし、全員から突っ込まれる事態に。

最後にヒッグス役の三上さんは「アメリです」とクールに答えました。またもや女性の好みか!?とのツッコミもありましたが、実はヒッグスは作中でアメリとの関りが強い存在でもあるので、役者としてのプロ意識を滲ませたと言えるでしょう。

◆以前から小島監督と仕事を共にしているキャストの方々へ。これまでの作品と収録現場で変わったと感じたところは?


「一緒ですよね?」と小島監督がはにかんだところで大塚さんが割り込み、「一番大きな違いは、英語で収録された音声の長さに合わせる形で演技しなければならないことで、これが大変だった」と振り返りました。

それでも日本語版をプレイするにあたっては全然不自然なところを感じません。小島監督はその点について「本来、吹き替えには様々なルールがあるが、皆さんには自由にやって頂きました」と解説。しかしすかさず大塚さんから「監督は自由にって言ってるけど自由じゃなかったじゃねーかよ!」と反論が飛び込む事態に。

そうした技術的な違いはあれど、井上さんは「昔から本当に変わらないのは、小島監督の“誠実さ”」とその姿勢を評価しました。

◆今回は出撃を見送る側を演じることとなった大塚さん、これまでの出演作品との違いはあった?


先の質問に繋がる部分でもあるとしながら、大塚さんは「ミッションの内容をプレイヤーに伝えなければならない立場であるため、何を言っているのか分からないようではプレイヤーが困ってしまう。だからこそ、自分を出す前に“分かりやすくする”ことを常にこころがけていました」と、演じる上での明確な課題を設定していたことがわかります。

小島監督は「英語版では優しく語りかけるタイプの演技となっているけど、日本語版ではそれでも大塚さんの味がでている」と、その違いについても解説を加えました。

◆(マッツ・ミケルセンのファンからの質問)監督から山路さんへこだわってもらった点、山路さんが演じる上で気を付けたことは?


クリフは重要な役であるため多くは語れないとする小島監督は「やはりマッツ・ファンが満足し、山路ファンも満足し、そして僕も満足する。そんな感じですかね、でも間違いなく良かったです」と振り返りました。

山路さんは「とにかくマッツ・ファンが許さないかも!というのをプレッシャーのように繰り返し聞かされていましたね」と苦笑い。しかし大塚さんは「安心してください。山路さんの演技でマッツの魅力もバンバンでていますから。これは同業者として保証しますよ!」と太鼓判を惜しみませんでした。

◆主人公サムを演じるにあたり、津田さんは監督からどんなオーダーがあった?


目立つオーダーは無かったとするものの、シーンに応じての細かい打ち合わせはあったようです。小島監督は「もう津田さんに決めた時点で、大丈夫だと思っていた」と全幅の信頼を寄せていた様子。津田さんは「画質としてキャラクターが高いレベルで描かれているので、細かいニュアンスなどに合わせて演技できた」と、モデルの高精細な品質を評価しました。

小島監督によれば「カットシーン」「一人で歩いている時」「プライベートルーム」の三面を持つキャラクターがサムであり、これを切り替えて役を作っていった、と細かい方針があったことを明かしました。

「とにかく収録が楽しくて、終わってしまって寂しい」と叫ぶ津田さんは、自ら何度もリテイクを望むほど真剣に取り組んでいたようです。


既に報じられている通り、質問会の後はギネス世界記録認定式となりました。認定項目は「Twitterのフォロワー数が最も多いゲームディレクター」および「Instagramのフォロワー数が最も多いゲームディレクター」の2つです。

認定を受けて、大塚さんは「小島監督が英語のアカウントを作成して、爆発的に伸びていった姿を見て凄いと感じていました。“俺たちの小島秀夫”が世界の舞台に駆け上がっていくのを見ているのは、報われている感じがしてとても嬉しいです。おめでとうございます!」と改めて祝いの言葉をかけていました。


参加者とのフォトセッションの後は、登壇者からの挨拶で締めくくられました。


【三上さん】
ヒッグスはまだ出てきていませんが、いよいよ本格的に配達をはじめるところです。皆さんと繋がっていければと思います。今日はありがとうございました。

【石住さん】
PS4のユーザーIDを入力するところで止まっていますので、帰ってすぐにでもやりたいと思います。本日はありがとうございました。

【山路さん】
本日はありがとうございました。クリフのことは多くを語れませんが、ただひとつだけ。皆さん、誕生日だけは登録しておいてください。



【水樹さん】
改めておめでとうございます。この日を楽しみにしていました。また私は、小島監督から色んな試練を与えられる役を演じるんだなと思いながら、全力投球で取り組みました。フラジャイルも人生という色んな荷物を背負ったキャラクターなので、ぜひみなさんに愛して頂けたらと思います。今は特にワンクリックで繋がれる世の中ですが、サムのように体を張って、色んな形で傷つきながらも、直接会いに行ったり触れたりできるという繋がりをこのゲームを通して感じて頂けたらと思います。本当に今日はありがとうございました。

【井上さん】
監督、無事に発売おめでとうございます。ゲームの世界の中でアメリとして生きているということが、夢のようでした。このゲームはきっと面白いに違いないと想像しながら取り組んできて、実際に遊んでみると、その想像の何百倍も面白い世界が広がっていました。このゲームの楽しさをたくさんの方に感じて頂けるように、私も何かつぶやいたりしていきたいと思います。皆さんが仲間なんだなという気持ちで一杯です。過酷かもしれないけど楽しい世界を生きていけたらと思います。皆さんのことをビーチで待っています。今日はありがとうございました。



【大塚さん】
新生コジプロが生まれ、思えば孤独の孤という字が背中に書いてあるかのような時期があって、小島監督を信じて付いてきたスタッフや色んな人の人生が監督の肩にかかっていました。“今回こけてしまったら”というギリギリの中でやりながら11月8日の発売ができて、ここに向けてチームが繋がり一つになり、ユーザーの皆さんも一つに繋がって、この日を迎えられたということが俺は嬉しいです。皆さん、今日はどうもありがとうございました。

【津田さん】
本当に感慨深いですね。小島監督からTwitterのDMでですね……TwitterのDMですよ?“ゲーム興味ありますか”と声をかけていただいて、そこでまず繋がれました。実質それほど長い期間ではないのですが、凄く凄く長い旅を、僕はサムと、小島監督と、そしてスタッフの方々や皆さんとしてきた思いであります。僕でさえそんな長い旅をしてきたつもりですから、小島監督やゲームを作るスタッフの皆様は更に長い旅を、崖のぼったり……雪山のぼったり……されてきたんだなと感じます。それが、こんな凄い作品として世界に繋がっていくというのがとても感慨深いです。11月8日の発売が楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。そして今日も、こうして皆さんとお会いできるのを本当に楽しみにしていました。こうして旅が繋がっていくんだなと思うと、それが嬉しいです。また皆さん、繋がっていきましょう。本当にありがとうございました。

【小島監督】
4年前に独立をして、何もない状態ではありましたが、僕が作るものを待っている皆さんがいて、頑張ってみようと。アーティストの皆さん、ミュージシャンの皆さん、俳優の皆さん、声優の皆さんの繋がりを辿って何とかここまで来れました。3年9か月くらい色々ありましたけど、皆さんに遊んでもらえるということほど幸せなことはないので、とても感謝しています。僕ひとりの力ではなく、繋がるのは大切だなと、ゲームでもそういうことを訴えて制作過程でも感じていました。ゲームでも人生でも、皆さんはひとりで色んな荷物を背負い、大変な思いをしながら転んだりしていると思います。それでもひとりじゃないということが分かると思います。そうした人達が世界中にいっぱいいて、そうした人達と繋がって自分たちは生きている、というのを感じて頂ければいいと思います。世界で色んなことがありますけど、僕たちが繋がって生きていくということが大事なんだと思います。今日はありがとうございました。

特に大塚さんの涙ながらのメッセージは、多くの方の心を動かしたのではないでしょうか。メッセージの後は、津田さんの「小島監督が作る世界は美しいです!」との言葉とともに、記念の花束が贈呈されました。


イベントの後は、メディアによる小島監督への囲み取材が行われましたので、その内容を一部紹介します。



──ギネス世界記録への感想をお聞かせください。また、SNSで築き上げた繋がりで何をしていきたいですか?

小島監督:SNSは諸刃の剣というか……使い方次第な所があると思います。繋がっていることは悪いことではないですが。僕の場合は、例えば何か本を読んでその感想をつぶやくと、ファンの方々が拡散してくれて、最終的にはその著者本人に届く。SNSのポジティブな面に目を向ければ、今はそれが可能な時代だと思いますし、そういうことをしていきたいです。

──日本のプレイヤーと海外のプレイヤーとでは遊び方に違いはありますか?

小島監督:今は個の時代。ゲームはその象徴でもあると思います。“俺が一番強い”といった感じで。そういうこととは真逆の形で製作したので、国によって印象は変わるのかもしれません。

──先程は大塚さんの涙が印象的でした。本日のイベントの感想をお聞かせください。

小島監督:4年ぶりの新作、World Tourは10年ぶりです。繋がろう繋がろうと言っているけれど、実際に会うのがやっぱり一番。フォトセッションなどで握手したり、お互いの気持ちを交換するといったことはしばらくやっていませんでしたが、凄く良いですね。

初めて会う人ばかり、言葉も違う中で、体温を感じる。本来的に必要なこと、10年ぶりにやってみて改めてそう思いました。日本の方はあまり近づいてこないけど、今日の撮影会では僕の方からやってみました。意外と喜んでくれますね。

──今作は映画界で有名なキャストが多く出演していますが、映画とゲームの垣根という問題についてどのように考えていますか。

小島監督:映画とゲームは昔は180度違うものでした。フィルムとデジタル。だけど今は両方デジタルとなり、将来的にはストリームといった技術で同じ場所に集まるはずです。映画は映画でスクリーン・劇場として残るし、今のゲームの形も残るけれど、これからどんどんどちらでもないような新しい形のエンターテイメントが出てくると思います。

映画とゲームは途中までのプロセスは一緒だけど、その最終出力の形が異なります。途中までの同じ道のりの中には同じテクノロジーなどがある。そうなれば当然、その同じ部分にクリエイターやキャストが入ってくることになります。そうして段々と垣根が無くなっていくことで、大きな土壌が広がるのではないかと。僕はそうしたゲームと映画の橋渡しをしなければいけない世代だと思っています。5年、10年後にはそういった議論はなくなるかもしれません。


──今作は新しい要素がたくさんありましたが、その中でも小島監督が最もチャレンジだと感じた部分はどこですか?

小島監督:新しいものというのは“形”になっていないと分かりません。言葉や絵で説明したり、と。だから最初はスタッフの理解を得るところが大変でした。「とにかく僕のことを信じてください」というところから初めて、作り始めました。そして形ができてくると皆も分かってきます。

例えば「いいね!」については、はじめ逆の要素である「ネガティブ」は何故ないのか?という声がありました。今のSNSに「サムズダウン」があるように。さらに、ゲーム要素としてお金にならないし、直接役に立つわけではないので、なかなか理解を得られませんでした。

ゲームは“自分の有利になること”でなければプレイヤーが取り組まないと言われたりもしました。ここは難しいところでした。それをやってしまうと普通のゲームになってしまう、とにかく“ポジティブ”というのは無償の愛なんだと。1年半くらい制作を続けて、ようやく皆が分かってきてくれました。

──数あるドキュメントを読み進めると死生観の話が多く取り入れられていました。エジプトの話などを選んだ理由はなんですか?

小島監督:東洋と西洋の死生観は違うところがあり、実はエジプトだけではなく、全世界に対応して制作にあたっていたので、あらゆる死生観を入れるようにしました。生命が誕生した後、死を自覚するようになり、宗教が生まれることになります。生と死という概念を獲得したことが人類の起こりだと思っています。

色々な文化の要素を入れてはいますが、ゲームの中では知りたい人だけが知れるようにドキュメントを揃えています。映画とは異なりこれはゲームなので、キャラクターのコスチュームなど、分かる人は分かるし、分からなくても遊べるように構成しています。

──「月」のモチーフが採用されていますが、どういった意図なのでしょうか?

小島監督:僕は不可能とされるものの7割は可能だと思っています。当然、絶対に不可能はあると思います。そもそも人間は空を飛べない。けれど、飛行機で飛ぶことはできる。人生で色々できないことがあった時、それを諦めると評価はされません。できないことを越える為にどうするかが“知恵”なのです。まともに越えられなかったとしても良く、回り込んでいくこともあります。これは、ゲームデザインにも通じます。

子供の頃に宇宙飛行士に憧れていて、50年も前に人類が月に到達したとされる話を聞いた時に、それなら何でもできると感じました。そうした個人的な思いが反映されています。ゲーム内では、クリフのセリフなどですね。

──オープンワールド的なゲームでありながら、ナラティブ要素の強い作品だと感じました。自由な中へどのように物語を組み立てていったのでしょうか?

小島監督:ゲームとストーリーテリングは本来とても相性が悪いものです。マルチエンディングなどのゲームも好きだけど、僕は「ストーリー」ではないと考えています。

「ストーリー」はある一本の運命が通っていなければならないと考えています。僕のゲームの中では、選んだ方向で運命が変わっていくというのはありません。そうなると、ゲームの中では一本で進めていくしかない。

『DEATH STRANDING』はオープンワールドなので自由度がないと意味がありません。だから“ルートの自由”を確保することにしました。あくまでもストーリーはA・B・C・D……と流れていきますが、AとBの間はどのように向かってもいい。そのように組み立てています。

──赤ん坊タイプのBTが座礁地帯に登場しますが、普通のBTとの違いはありますか?

小島監督:赤ん坊のままBTになった人もいる、ということです。また、BBとの対比・メタファーという意味もあります。BTにも本当は色々なバリエーションを用意したかったのですが、メモリの都合などであのような形になりました。

──ゲームをクリアしたあとも、配達を続けたい・他の人と繋がりたいという方がたくさん出てくると思います。そうした方々に向けて、何らかのアップデートや施策を置かない予定はありますか?

小島監督:DLC等は、今の所予定はしていません。クリア後も配達依頼は受けられますし、隠れているプレッパーズもいるので、ストーリーが終わっても結構遊べるようにはなっていますよ。


(C)Sony Interactive Entertainment Inc. Created and developed by KOJIMAPRODUCTIONS.
《Trasque@Game*Spark》

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