プレイヤーの感情まで理解するーゲーム運営におけるDGT流ユーザーファースト | GameBusiness.jp

プレイヤーの感情まで理解するーゲーム運営におけるDGT流ユーザーファースト

DeNA Games Tokyo(以下DGT)の井口徹也です。今回から、DGTがゲーム運営を行う上で大切にしている4つのバリューについてお話させていただきます。初回は「ユーザーファースト」です。

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DeNA Games Tokyo(以下DGT)の井口徹也です。今回から、DGTがゲーム運営を行う上で大切にしている4つのバリューについてお話させていただきます。初回は「ユーザーファースト」です。

DGTのバリュー=プレイヤーに対してDGTが約束する価値


DGTのバリューとは、「プレイヤーに対してDGTが約束する価値」だと考えています。このバリューは、2017年1月から作り始めて、約3ヶ月かけて完成させました。

もともとDGTは「ユーザーファーストを心がけてゲーム運営をしよう」、という想いでゲーム運営を行っていました。ですが、「ユーザーファーストを心がける」といっても、それはどういう意味なのか、プレイヤーにどんな価値を提供できている状態なのか、ぼんやりと分かっていながらも明言されていない状態でした。ですので、それを言語化しよう、というシンプルな流れで作り始めました。

僕は2017年1月にDGTにジョインしたのですが、そのとき、DGTのメンバーに言葉や想いをどう伝えていくか、改めて考えたかったのもきっかけの一つですね。

これまで僕は、いくつかのタイトルでゲーム運営を行ってきましたが、運営チーム内でも大切なことは言語化するようにしていました。このチームは何を目指すのかを決めて、目指すことを言語化する。チームの中で大切なことを言語化するのは、僕の中ではごくごく当たり前のことになっていました。

ですが、これまではチーム単位のミッションやビジョンといったものを作ってきましたが、会社単位で作ったのは初めてのことでしたので、難易度は高かったですね。

ゲーム運営で大切にしている想いを素直に言語化


どうやってバリューを作っていくのがいいのかと考えたとき、「こういう観点を持って作ろう」というよりは、自分たちが日々のゲーム運営の中で大切にしている想いを、素直に言語化することにしました。

バリューを一緒に作ったメンバーのほとんどがゲーム運営の現場を経験していたので、「これは大切なことだよね」と言ったとき、「大切だよね」と、スッと理解し合えたのは嬉しかったですね。


おそらく、みんなの中で「こうあるべき」みたいなゲーム運営像は固まっていたのだと思います。あとはそれをどうやって言語化するのか、だけだったのでしょう。こうして「ユーザーファースト」「品質へのこだわり」「長期的な視点」「誠実な姿勢」の4つがDGTのバリューとして誕生しました。

ユーザーファーストに込めた想い


4つのバリューの中でも「ユーザーファースト」は、最初にバリューとして入れることが決まった言葉だったかもしれません。ゲームを楽しんでくれているのはプレイヤーなので、プレイヤーに向き合って仕事をするのは当然、といった自然な感覚でした。入れる入れないの議論すらなかったですね。

もちろん他の3つのバリューもゲーム運営には欠かせない要素です。ですので、どれが一番大切といったことや並び順に意図はありません。ただ、ユーザーファーストは自ずと最初にきた、といった感覚です。すべて並列で、すべて大切なことですね。

ユーザーインタビューでプレイヤーの感情を知る


ゲーム運営を行う上で当然のことですが、プレイヤーに「自分たちに向き合っているようなゲーム運営をしているな」「ちゃんと自分たちの声を聞いてくれているな、届いているな」と、感じてもらえるようなゲーム運営を目指していきます。

DGTが高い頻度でユーザーインタビューをしているのもそのためです。また、CSの方にプレイヤーからいただいた声を分析し、レポートにまとめていただき、それをどうやってゲーム運営に生かしていくか、というミーティングも開いています。これはDGTで運営しているタイトルすべてで行っていることです。

ユーザーインタビューは僕がDGTに来てから本格的に始めたことです。僕自身がゲーム運営の現場にいたとき、ユーザーインタビューの場でプレイヤーと話をさせていただく機会がありました。実際にお会いして、自分が運営しているゲームのことを楽しそうに話してくれたとき、「この人たちのためにゲームを運営していくんだ」という想いが強くなりました。この気持ちを持つことは大切です。


ユーザーインタビューの目的や手法はさまざまありますが、DGTでは自分たちの施策が、プレイヤーにどう思ってもらえたかを聞くことが多いです。そのときの答え方によって、刺さり具合の違いが分かります。「楽しかったです」なのか「すごく楽しかったです!」なのか。プレイヤーの声や表情、話し方でどれくらい刺さっているか分かるのです。この点はいくら数値から分析しても分からない部分ではないでしょうか。

例えば「クリアした」、という状態にも、「ただ無意識にクリアした」のか「楽しんでクリアした」のか、同じクリアしたという状態でも大きく違います。こういった感情を知ることができると考えています。

また、プレイヤーは自分の視点から意見を言ってくださるので、少なくともこのプレイヤーがいるプレイヤー層の方の中から、確実にこのような意見が出ているということが分かるだけでも貴重です。プレイヤー全体のバランスを考えて施策を打っているので、ご意見をそのまま取り入れるかどうかはもちろん別だと考えています。ただし、仮説の一つとして、自分たちが考えているプレイヤー像に要素が一つ積み上がる、というイメージですね。意見の温度感というのでしょうか、文字で読んだ理解ではなく、直接会ってでしか感じられないところだと考えています。

プレイヤーと一緒にゲームを作り、一緒に楽しんでいく


ゲーム運営は本当に面白い仕事だと僕は思っています。理想ですが、プレイヤーにゲーム運営を身近に感じてもらいたいですね。

ゲームは、プレイヤーと一緒に作っていくものだと考えています。プレイヤーが「面白くない」と感じているものは、ゲームがそのまま続くことは、ほぼないでしょう。少なくとも面白くなるよう改修をするはずです。

プレイヤーとゲームを通して、一緒にゲームを作り上げ、一緒に楽しんでいけたらいいなと思っています。

次回は「品質へのこだわり」についてお話させていただきます。

■プロフィール
井口 徹也
株式会社 DeNA Games Tokyo 代表取締役社長
2013年、DeNA入社。ブラウザゲームの運営プランナーを経て、2014年よりプロデューサーに就任。その後、アプリタイトルのプロデューサー、企画マネージャーなどを歴任。2017年、DeNA Games Tokyo(http://denagames-tokyo.jp/) の代表取締役社長に就任。
《井口徹也》

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