プレイヤーに「面白さ」を届け続けたいーDGTがユーザーインタビューをする理由 | GameBusiness.jp

プレイヤーに「面白さ」を届け続けたいーDGTがユーザーインタビューをする理由

ゲーム開発 テスト・QA

GameBusiness.jpをご覧のみなさま、株式会社 DeNA Games Tokyo(以下DGT)の企画部 部長の川口 俊です。

過去2回の記事では、ユーザーファーストやUXビジョンについてお話させていただきましが、その中で、ユーザーインタビューの活用についても、少しですがご紹介していました。そこで今回は、DGTで行っているユーザーインタビューを、より深くお話させていただきます。

ユーザーインタビューの3つの軸


DGTで行っているユーザーインタビューですが、数名(その時々により増減あり)のプレイヤーに来ていただき、2時間ほど、プレイいただいているゲームについて、グループインタビュー形式で実施しています。

今回はユーザーインタビューのやり方だけではなく、そこで得たものをゲーム運営に活かすまでの取り組みを、以下の3つの軸からお話させていただきます。

1.ユーザーインタビューを実施するまで
2.ユーザーインタビュー実施
3.ユーザーインタビュー後のコンテンツ開発

1.ユーザーインタビューを実施するまで


・目的を決める
ユーザーインタビューもゲームのイベントの企画と同様に、まずは実施する目的を決める必要があります。
目的はゲームの状況によってさまざまですが、「UXビジョンの方向性が妥当か確認したい」、「新規イベントがどうだったか知りたい」、「離脱しそうになる瞬間を聞きたい」、などが多いかと思います。

・目的を定義付けし、数値に落とし込む
実施する目的が決まった後は、その目的に合致しているプレイヤーを探します。目的を「長年遊んでいただいていたプレイヤーが、どういった理由でやめるか知りたい」とした場合、この条件に合致するプレイヤーに来ていただく必要があります。

ですが、ここで1つ問題が発生します。「長年」の定義です。「長年」とは一体いつからいつなのか、登録してくれている期間が長ければそれだけでいいのか、など、定義が曖昧です。まずは言葉に定義を付け、プレイヤーのプレイ状況を数値に落とし込んでいきます。


・条件に合うプレイヤーにオファー
条件に合致しているプレイヤーにはDGTから直接オファーをして、インタビューに参加していただけるか確認します。オファーをしたからといって、全てのプレイヤーが参加していただけるというわけではありません。ですので、過去に実施したユーザーインタビューのデータを参考にし、返信率や承諾からの出席率などを加味してオファーをし、インタビューを実現させていきます。

私自身もこれまでユーザーインタビューを行ってきたのですが、最も難しいのは、離脱したプレイヤーにインタビューすることです。

「なぜ離脱したか」という話を聞きたいのですが、そもそもゲームから離れているので、インタビューに参加してもらうハードルが非常に高いです。

・プレイヤーに楽しんでもらえるよう企画
参加していただけるプレイヤーが決まった後は、チーム内で誰がどのように進行するか、何の質問をするか、などを企画していきます。

重要なのは、来ていただいたプレイヤーが楽しくゲームを語れる場を作ることです。そのために、運営しているゲームのグッズを持っていったり、パネルディスカッション形式やクイズ形式にしたりなど、企画を設計していきます。

私は、ユーザーインタビューもゲーム体験の一部だと思っています。ですので、来ていただいたプレイヤーには楽しい時間を過ごしていただきたいので、まずはプレイヤーが楽しめるかどうかを前提に、ユーザーインタビューを設計しています。

2.ユーザーインタビュー実施


ここでは、私がユーザーインタビューを実施して、うまくいったこと、うまくいかなかったことをお伝えします。

・うまくいったこと=プレイヤーにあだ名を付ける
うまくいったことは、「来ていただいたプレイヤーの緊張をほぐす」ということです。ユーザーインタビューの場では、全員が「はじめまして」になるので、場が温まるまでは時間がかかるものです。そこで最初に、プレイヤーに「あだ名」を付けています。

方法はくじ引きです。くじを用意して、そのくじに「あだ名」を書いておきます。このあだ名はゲーム内のキャラクターを設定することがポイントです。くじを引いて、名前を見た後に、「やった、このキャラだ!」や「うわっ、そっちのキャラが良かった」など、ちょっとした盛り上がりが作れます。これもゲームを愛して遊んでいただいているからこそ起こることだと思います。

あだ名が決まったら、プレイヤー同士もお互いを呼びやすいんですよね。インタビュー中、1対1でインタビューをするよりも、プレイヤー同士で話していただいた方が会話が弾み、より楽しい場になります。そのためにも、呼びやすいあだ名を付けることは大切だなと思いました。

・うまくいかなかったこと=開始時間の設定
うまくいかなかったことは、インタビューの開始時間です。プレイヤーが来てくれやすいようにと考え、平日の18~19時に開催することが多いのですが、この時間はゲームが盛り上がっている時間(フィーバータイムなど)が多いです。

プレイヤーからは、「ゲームをやりたいのに、なんでこの時間?」や「インタビュー中にゲームしていいですか?」など質問されることがありました。

こういったお声を聞いたときは、申し訳ないなと思う気持ちと嬉しいなと思う気持ちがあります。ここまで自分たちが作っているゲームを楽しんでいただいているのだなと感じる瞬間でもありました。

ユーザーインタビュー後のコンテンツ開発


ユーザーインタビューをさせていただいた後、企画を考えているときに、来ていただいたプレイヤーの顔が、頭に浮かぶようになりました。

これまではプレイヤーを、お問い合わせでいただいた文字や効果測定をした数値、自分のプレイ体感などから想像していた「架空のプレイヤー像(ペルソナ)」でしたが、はっきり「●●さん!」と、顔も声も人柄も明確にイメージすることができるようになりました。

そうすると、企画を考えているとき、「●●さんはこの企画を面白いと思うだろうか」、「●●さんが面白い企画ってどういう企画だろう」、など、これまで考えていたペルソナや情報とは別の観点から企画を立案していくことができるのです。

1でお話させていただいた通り、ユーザーインタビューはゲーム運営チームが知りたいことを教えていただくため、プレイヤーの中から代表して来ていただいています。そこで知りたいことを知れるのはもちろんですが、「来ていただいた●●さんのために面白い企画を届けたい」と思えるようになることは、ゲームにとっても良い結果を残す可能性が高いと思っております。

プレイヤーに長くゲームを届け続けるために


ゲーム運営のプランナーをやっていると、数値で分析をして、プレイヤーの気持ちを分かった気になってしまいがちだと思います。やってはならないのは、プレイヤーを分かった気になって、ゲーム運営チームの自己満足にしかならない企画を届けることでしょう。

プレイヤーが感じるUX(ユーザーエクスペリエンス)を全て把握するのは非常に難しいことです。ですが、ゲーム運営チームが、プレイヤーのUXを理解するための努力を怠らないこと、理解するための取り組みをし続けることが重要だと思います。

ユーザーインタビューはその取り組みの1つに過ぎませんが、DGTのゲーム運営は、今後もこの取り組みを大切にし、プレイヤーと一緒にゲームを作っていきたいと思います。


■川口 俊
株式会社 DeNA Games Tokyo 企画部 部長
大学を卒業後、輸送用機器メーカーの事業企画に従事。2013年、DeNAに入社。ブラウザゲームの運営プランナーやディレクターを経験する。2016年よりDeNA Games Tokyo(http://denagames-tokyo.jp/)のプランナーマネージャーを担当。2017年、企画部 部長に就任。
《川口俊》

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