「Nintendo Switch」発表会、市場に溢れる思惑の正体とは【Re:エンタメ創世記】 | GameBusiness.jp

「Nintendo Switch」発表会、市場に溢れる思惑の正体とは【Re:エンタメ創世記】

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「Nintendo Switch」発表会、市場に溢れる思惑の正体とは【Re:エンタメ創世記】
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■市場は任天堂に何を求めているか

任天堂の株価が乱高下している。

2016年を振り返ってみると、7月の『ポケモンGO』で31,000円台を迎え、その後順調に推移するかと思われたが、徐々に株価は下落、12月16日の『スーパーマリオンラン」で29,000円台にまで一時的に回復した。それも束の間、年末に向かい徐々に下落傾向に陥り、1月13日の「Nintendo Switch」発表直前には25,000円ほどまで戻すものの、1月13日、発表会の進行途中もコンテンツのタイトル発表とともに株価は微妙なレンジで上下動を繰り返し、その後、原稿を書いている現在も下落傾向にある。

遡れば、任天堂の株価は2007年の年末近くに70,000円台まで上昇した実績がある。(※株式購入は100株単位なので、当時購入するには700万円相当が必要)

この数値は当時新発売になった「Wii」(2006年12月2日日本発売、北米11月19日発売)に対しての期待値と思われるが、それをピークに下落の一途を辿った。また、近年の株価を俯瞰して見ると10,000円台の中盤を推移している。

その点から見れば、現在の株価は普通に考えれば悪くないと思うこともできるが、投資家、市場は何を期待しているのだろうか?と考えさせられるところが多い。

■従来と異なる異色のプレゼンテーションとその内容


「Nintendo Switch」本体と、発表されたソフトラインナップだが、私個人としては十分に価値のあるものだったと思っている。

ちなみに、興味のあるかたは既にご覧になっていると思うが、発表会におけるプレゼンテーションは従来の任天堂の発表会とは異なり、趣向に富んだもので、新しいテイストを盛り込み、発表方法の演出やゲストの登壇方法もよく練りこまれたものだったと思う。

1月13日の「Nintendo Switch」内容自体に大きなサプライズはなかったが、時代にマッチしたハードウェアを準備してきたのではないだろうかという印象だ。

いうなれば、1983年7月15日に発売された初代ファミリーコンピュータ(ファミコン)を現在のテクノロジーとライフスタイルで再生したハ-ドウェアではないだろうか。「Nintendo Switch」は、登壇した君島社長は「多様化された据え置き型ゲーム機」と言ったが、そこには家庭用ゲーム機というコンセプトに拘りつつも、家庭外=アウトドアでのプレイ・スタイルや、持ち運びと言う部分でスマホ的なプレイ・スタイルを取り入れた部分に現代的なアレンジを感じる。

それ以外のスペック面は、10月24日に開催された発表会より具体的な内容が紹介されたということになるだろう。

■スペックと価格と導入作品

「Nintendo Switch」=「多様化された据え置き型ゲーム機」の液晶モニターサイズは現行のiPhone 7 Plusの5.5インチよりも大きく6.2インチ。

「Nintendo Switch」本体の大きさは、タテ10.1センチ、ヨコ17.3センチ、ヨコの長さに関しては筆者の10月時点の予想よりも短かった。全体には思ったよりもコンパクトという仕上がりだ。

また、「Nintendo Switch」同士、最大8台までローカル通信で集まってプレイすることも可能で、その場での対戦や協力などマルチプレイが楽しめるそうだ。それらは、2017年の秋までには無料でインターネット通信対戦が可能な設定になっているという。(※本来は有料の「Nintendo Switch」向けオンラインサービス)。これによって、世界中とのネット対戦が可能になっている。

また「Joy-Con」はHD振動機能を有しており、リアルな触感を演出するという。おそらく、この触感自体、今はあまり多くの用途が見いだせない可能性があるが、私の予想では「Nintendo Switch」的なVRゲームやVR的なアクション・プレイにつながる布石と思っている。できればその際には、従来と異なるようなヘッドマウント・ディスプレイやVR体験方式も同時に提案されることを期待している。

■市場の期待の正体は?


「Nintendo Switch」の日本での販売価格は29.980円(税別)、高くはない、十分魅力的な価格だと思う。同時発売ソフトは『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』。

それ以外での注目コンテンツは、手が伸びる対戦アクションゲーム『ARMS(アームズ)』(今春発売)、『Splatoon2』(今夏発売)、続く『スーパーマリオ オデッセイ』(今冬発売)となっており、自社のコンテンツを全面的な押し出していることからも必勝態勢の布陣は間違いない。

また、任天堂としてはサードパーティの誘致と販売促進も怠りはない。セガ、EA、アトラス、スクウェア・エニックス、カプコン、グラスホッパーマニュファクチュアなど50のソフト会社と提携し、現在既に80作品以上のコンテンツが開発中とのことだ。

しかし、「Nintendo Switch」のハードウェアと、これらの新作をもってしても維持できなかった市場の株価に表れた期待感の正体は何だったのだろうか?

様々な点で時代にマッチした「多様化された据え置き型ゲーム機」=「Nintendo Switch」であっても、このような状況に至るとなると、序盤で述べた失望感は「今の市場は、もうスマホで十分なんだよ」という投資家と市場の声ならぬ声に違いないのではないだろうか……。もしくは、任天堂がiPhoneやアンドロイド携帯端末のようなデバイスを出すことを期待していたのだろうか……。

そして、その答えは3月3日に出る。

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■著者紹介
著者:黒川文雄(くろかわふみお)
プロフィール: 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミDE、にてゲームソフトビジネス、デックス、NHN Japanにてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。コラム執筆家。アドバイザー・顧問。黒川メディアコンテンツ研究所・所長。コンテンツとエンタテインメントを研究する黒川塾を主宰。『ANA747 FOREVER』『ATARI GAME OVER』(映像作品)『アルテイル』『円環のパンデミカ』他コンテンツプロデュース作多数。
《黒川文雄》

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