日本でもスマホ初期のヒット作『カット・ザ・ロープ』(Cut the Rope)で知られるオーストラリアのデベロッパー、Backflip Studios。同社はゲームプレイに優れた良質な作品を多数リリースしていますが、それを裏付けるのは適切なプロトタイピングだと言います。同社の共同創業者でもあるTom Blind氏はGDC初日の開幕セッションとして「Dedicated Prototyping for Mobile Game Development」を行いました。ゲームの本制作に入る前にプロトタイプを行う事は非常に重要です。Blind氏はBackflipのパズルゲーム『Dwarven Den』を引き合いに紹介しました。この作品では事前にきちんとプロトタイピングを行わなかった影響で、核となるゲームプレイが定まらず、それによって開発も難航したそうです。作りながら考える、という体制だったのですが、スタジオでは開発を一旦止め、プロトタイプからやり直し、その結果、最終的には製品としてリリースするにこぎ着けたそうです。「最初に時間をかけることが、結果的に時間を節約することに繋がるのです」とBlind氏は語ります。Backflipのプロトタイピングチームはゲームデザイナーチームの傘下にあり、ゲームデザイナーやテクニカルデザイナーによって構成されます。最小構成ではゲームデザイナーが単独でプロトタイピングを行う事もありますが、プログラマやテクニカルデザイナーが加わった方が効果的だとのこと。単独では外部から何をやっているのか分かりづらくなったり、ゴールや方向性が明確にならないケースがあるそうです。Blind氏はプロトタイプ制作には2つの役割があると言います。一つは「新しいコンセプト」を試すことです。これは一般的です。もう一つは「コンセプトを実証する」ことです。ゲームの中で導入されようとしているコンセプトがきちんと機能するか試していく際にはチームの中で、毎週報告を行い、多数の意見を反映しながら進めていく必要があります。「プロトタイピングで動くものを示すのはどんな議論にも勝る」とBlind氏は話していました。セッションの最後では幾つかのTipsが披露されました。1.目的は明確に 総花的に作るのはプロトタイピングではない2.手段は様々 カード、おもちゃ、エクセルなどコードは無くてもアイデアを試せる3.深さではなく芽吹きを ディティールではなく花を咲かせる種を見つける4.そのままゲームにしない プロトタイプはプロトタイプ5.開発中でもやる 既に動き出しているプロジェクトでも試す6.磨かない 綺麗なグラフィックを使うと良く見えてしまうので、駄目な絵で7.沢山の人に聞く 試して貰う人は多いほうがいい8.失敗はない、とにかくトライ 何もしないことが失敗につながる9.インターンもいいかも 新しい視点で作る事も良いBackflipでは現在、3人のゲームデザイナーと1人のプロデューサーがプロトタイピングに取り組んでいて、毎週3つのプロトタイプを制作しているそうです。数多くの実験が生まれ、非常に有益なプロセスとなっているとのこと。同社ではプロトタイプで面白いものが出来た後のプロセスとして、「Blue Light」として更に詳しいゲームの仕様制作、続いて「Green Light」として強固なゲームとして固められればプリプロダクションを開始するとのこと。Blind氏は、Backflipでは既にプリプロダクションから多数の製品が生まれていて、非常に効果的なものだと述べてセッションを終えました。
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