【CEDEC 2012】「Too Japanese」な日本ゲームは海外で評価されないのか ― 『GRAVITY DAZE』ヒットの理由 | GameBusiness.jp

【CEDEC 2012】「Too Japanese」な日本ゲームは海外で評価されないのか ― 『GRAVITY DAZE』ヒットの理由

家電や携帯の「ガラパゴス化」という言葉が流行し、ゲームでも日本発のゲームは「ガラパゴス化」していてヒットしない世界では受け入れられないと指摘する人も多いように思います。

その他 その他
家電や携帯の「ガラパゴス化」という言葉が流行し、ゲームでも日本発のゲームは「ガラパゴス化」していてヒットしない世界では受け入れられないと指摘する人も多いように思います。
  • 家電や携帯の「ガラパゴス化」という言葉が流行し、ゲームでも日本発のゲームは「ガラパゴス化」していてヒットしない世界では受け入れられないと指摘する人も多いように思います。
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家電や携帯の「ガラパゴス化」という言葉が流行し、ゲームでも日本発のゲームは「ガラパゴス化」していてヒットしない世界では受け入れられないと指摘する人も多いように思います。

そんななか、今年2月に発売されたPS Vitaソフト『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』は日本国内のみならず、海外でも熱い支持をうけ、ヒット作となりました。本作を制作したソニー・コンピュータエンタテインメントのWorldWide Studioシニアプロデューサ五十峯誠氏、同シニアゲームデザイナー佐藤直子氏により、どのようにして本作が海外でもヒットしたのか、また、どのようにすれば日本発の作品が海外でも評価されるのかといった内容についてのセッションが8月20日のCEDEC2012で行われました。

■ファーストパーティーとしての使命

まずはじめに本作の概要を語ったのはプロデューサーの五十峯氏です。そもそもは2008年にPS3用ソフトとして制作が開始されたということでしたが、2009年にはPS Vitaのロンチにあわせて、その機能を最大限に生かした作品をリリースするという方針転換がされました。最終的にはロンチに間に合わなかったものの、同機の販売を牽引する作品となりました。

■国内・海外市場向けのコンセプト

今回登壇した両氏がともに強調したのはどちらに向けても、

・新ハード発売のタイミング
・重力操作という新システム
という2つを最大限にアピールするということでした。加えて日本市場では、
・ストーリーdriven
・アニメ調
・アクションADV

という「日本人になじみのある、受け入れられやすく、わかりやすいコンセプト」にした、ということです。

一方で、海外市場に向けては、日本とは少し違った切り口で、

・「バンド・デジネ(≒欧州マンガ)」という切り口
・「日本のアニメ」という切り口
・「コミックヒーロー」という切り口

を本作の売りを本作の売りとしてアピールしました。バンドデジネだけでは難解なイメージを与えかねず、世界でも広く親しまれる日本のアニメの要素を付加しました。また、「コミックヒーローという切り口は、完全に北米を意識した」ということです。

■国内・海外の評価

それでは実際に発売されてどのような点が評価がされたのか、日本国内、海外を通じて以下の順番で評価が高かったということです。

・重力操作という新システム
・ビジュアルとサウンド
・Vitaの機能を生かしたシステム
・キャラクター

また、海外では「バンド・デジネ」と「日本のアニメ」という点も評価が高かったそうです。

ここで興味深いのは、国内と海外でユーザーが不満とした点が異なっているということです。

【国内での不満点】
・ボリュームが少なかった
・ストーリーに未回収の部分がある
・一部でロードが長い

【海外での不満点】
・戦闘時にロックオンがなくてやや操作性が悪い
・戦闘が単調になりがち
・オープンワールドの遊びが少ない

と、日本とは違う批判があったようです。

なお、海外メディアの評価も、新ハードで新規IPという「革新的で野心的なチャレンジを実現している」「欠点もあるが、それらを補ってあまりある魅力がある」「これほど日本らしさを誇りにしたゲームは久しぶりで新鮮」と軒並み高評価だったということです。

最後に五十峯氏は海外での高評価をうけ、「日本らしさに誇りを持ち野心的な挑戦を実現すれば、多少の欠点など補って余りある魅力的なゲームになる」と締めくくりました。

続いて登壇したのは、本作シニアゲームデザイナーの佐藤直子氏(代表作:『SIREN』シリーズ、『サイレントヒル』など)です。五十峯氏はゲームのコンセプトやどのような評価をされたかという点についての説明が主でしたが、佐藤氏は実際にどのようにして、作品を作り上げたかという点について語りました。

本作のコンセプトは、「主人公は少女」で「舞台は架空都市」。「架空言語」をつかいながら「アニメ調」のキャラが動き回るという極めて日本的な要素が多い作品になっています。海外を意識した際にかなり悩むことも多かったということですが、どのような切り口からひとつひとつを解決していったのでしょうか。

■なぜ、少女が世界を救うのか?

海外でも成功を収めようとした際に、まず考慮しなくてはならないのが以下のような日本と海外のギャップです。

・市場規模
・開発規模、技術
・文化背景
・趣味思考

市場規模や開発の規模などは一朝一夕で解決できるような簡単な問題ではありませんが、下の2つは乗り越えることが可能です。しかし実際にどのようにして解決していったのでしょうか。

佐藤氏が提示した具体的な例は「日本のシナリオはなぜ少年少女が世界を救うのか?」ということです。この問題を提起したのは本作のローカライズも担当した同チームのエリック氏。佐藤氏曰く、彼は日本の文化に造詣があり、「かなりジャパナイズされた人間です」ということでした。そんな彼でも不思議に思うことが多くあったようで、最たるものがこの問題提起です。

日本人のイメージでは「幼さ=純粋=神聖」という構図が組み立てられますが、アメリカ人の彼からすると、とても違和感があるそうです。海外のイメージでは「幼さ=バカ=死にやすい」という連想になり、日本のシナリオには首をひねることが多いそうです。

■お決まりの記号化をさけてリアリティを追求

日本人には記号化され、疑問にも思わない描写が、海外ではそれが読み取れなかったり、不快に思ったりすることもあるということ。例えば、

・笑うときに目を閉じる
・悩んだり、考えたりするときに頭をかく

といった描写はかなり不自然で気になるということでした。

また、ゲーム内唯一のお色気シーンでは、「日本の80年代アニメのお決まり」を取り入れ、主人公キトゥンがバスタオル1枚の姿を見られた男性を殴り飛ばすシーンをいれようしていました。このシーンも海外ではウケが悪いという指摘をうけ、最終的には殴り飛ばす描写はカットしたということです。先ほどのシナリオもそうですが、日本では当たり前に「記号化」され、「お約束」になってしまった表現を極限まで避けることで、作品に「リアリティ」をだす表現・設定を構築していきました。

■「リアリティ=現実的」ではない

Too Japaneseなコンセプトの根幹は変えずに、作品に「リアリティ」を出すために、「リアリティ」という言葉の再構築が行われました。そこででた結論は、「リアリティ=(架空の世界観において)理解できる」ということでした。あくまで、コンセプトはそのままにいかにユーザーを納得させる(=リアリティのある)設定にできるかを追求しました。具体的には

・街を救うために戦うというシンプルな設定
・特殊能力が使えるのは全て猫によるもの

という違和感なく物語に導入できる設定にしたということです。

■主人公もリアリティのある存在に

また、キトゥンについても、日本で記号化された容姿ではなく、金髪に褐色の肌という、どこの国の人も異国感を感じるデザインにしたほか、

・巨大な装飾品をつけない
・笑うときには目を開ける
・奇抜な髪型にしない
・いわゆるアニメキャラのような仕草はしない

という設定になりました。また、言動や思考についてもとにかくリアリティを求め、女性から嫌われないキャラクターを目指しました。この点については、佐藤氏が女性スタッフから意見を求めていたということで、「ゲーム業界で働く女性の姿が投影されている」ということです。

こうやって構築されたキトゥンは、海外では「魅力的な女の子」「魅力的でユーモアもあるが、セックスアピールが少なくて新鮮」「ストーリーが明るくユーモアたっぷりで期待以上」と非常に高い評価を得て、新たなヒロインが誕生しました。

■海外の成功にはローカライズが不可欠

海外展開の際に、重要となるのがローカライズ作業です。通常ローカライズというとどうしても後回しになりがちですが、本作では日本語版と北米英語版が同チームで制作されたということです。ローカライズの際は英語が基準言語となるため、日本版と同じクオリティのものができることで、他言語のローカライズ作業も効率が上がりハイクオリティになりました。

さらにローカライズを容易にしたのが、「架空言語」の採用です。全世界共通で使用できるため、ローカライズコストもカットできました。また、フルボイスを避け、架空言語使用したことで、「音声収録語でも台詞の変更が可能になったり、細かい調整が可能になった」と語りました。

■評価の真意を読み取れ

最後に佐藤氏は

・「インパクト」のあるチャレンジ
・「一貫」したコンセプト
・「得意」な分野で勝負
・「お約束」に逃げない

以上の4点をあげ、「Too Japaneseだから受けないのではなく、Too Japaneseだから受けるのだ」と締めくくり、大きな拍手に包まれセッションは終了しました。
《宮崎紘輔》

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