主要ソーシャルゲームのユーザー重複について知る・・・「データでみるゲーム産業のいま」第17回 | GameBusiness.jp

主要ソーシャルゲームのユーザー重複について知る・・・「データでみるゲーム産業のいま」第17回

今週からご紹介するデータを3月度のものに切り替えます。

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本コーナーのデータ元である当社の月次レポート『Monthlyゲームマーケット・トレンドレポート』も、昨秋の発行開始から半年が経過し、その間に調査したソーシャルゲームコンテンツのMAU、MPU、課金率、ARPU、ARPPUなどの各種指標データがかなり蓄積されてまいりました。本コーナーでも、これまで何度かその一部を使って幾つかのデータをご紹介いたしましたが、現在のソーシャルゲームマーケットを代表するような有名コンテンツは毎月50〜100万人規模のアクティブユーザーを抱え、そのうち約2割のユーザーが課金しているというプレイ実態もこの調査を通じて明らかになりました。

これまでは、基本的にそれぞれのコンテンツごとに自己完結したデータをご紹介してきましたが、今回はもう一歩踏み込んで、それらのコンテンツ同士のユーザー重複状況や、それによる課金率の違いといった部分をクローズアップいたします。

今回、対象としたコンテンツは『ブラウザ三国志』『サンシャイン牧場』『怪盗ロワイヤル』『探検ドリランド』『ピグライフ』の5タイトル。いずれも本コーナーで何度となく調査データをご紹介してきた有名コンテンツです。

【図1】はこれら5タイトルのユーザー重複状況をクロス集計したものです。図表が3つありますが、上段(図表?)がMAU(非課金ユーザーを含むアクティブユーザー全体)のユーザー重複状況、中段(図表?)がMPU(課金ユーザー)のユーザー重複状況、そして下段(図表?)は、その重複ユーザーセグメントごとの課金率を集計したデータです。図表?/?の重複率は横計になっていますので、データを比較する際は水平方向に見て下さい。

これを見ると、それぞれのタイトルから見てユーザー重複率が高いタイトルは以下のようになっています。

『ブラウザ三国志』 ⇒ 怪盗ロワイヤル(MAU重複率:24%/MPU重複率:40%)
『サンシャイン牧場』 ⇒ 怪盗ロワイヤル(MAU重複率:13%/MPU重複率:26%)
『怪盗ロワイヤル』 ⇒ 探検ドリランド(MAU重複率:17%/MPU重複率:23%)
『探検ドリランド』 ⇒ 怪盗ロワイヤル(MAU重複率:28%/MPU重複率:48%)
『ピグライフ』 ⇒ サンシャイン牧場(MAU重複率:6%)/怪盗ロワイヤル、探検ドリランド(MPU重複率:7%)

このように、『ピグライフ』だけはどのタイトルに対してもユーザー重複率が低く、ユーザー属性が他タイトルとはかなり異なっていることが分かります。また、その『ピグライフ』以外の4タイトルは、MAUとMPUで一番ユーザー重複率が高いタイトルが一致しており、いずれもMAUに比べてMPUの方が重複率がかなり高くなる傾向を見せています。つまりアクティブユーザー全体(MAU)よりも課金ユーザー(MPU)の方が複数のタイトルを並行してプレイする傾向が強くなるということを示しているデータです。このこと自体は恐らく多くの人のイメージ通りでしょう。

そして下段の[図表?]でそれぞれの重複ユーザーセグメントの課金率を見ると、一部例外はあるものの、基本的には一番左の列の「タイトル全体」に比べて、重複ユーザーの方が課金率が非常に高くなっていることが分かります。さらに、課金率が35-40%と非常に高くなっているセグメントは、いずれも『怪盗ロワイヤル』もしくは『探検ドリランド』が関係していることも確認できます。このことは、MobageとGREEのフラッグシップタイトルとも言える両タイトルが課金の面で非常に強い吸引力を持っていることを示しているものであるといえるでしょう。

その『怪盗ロワイヤル』と『探検ドリランド』に絞ってグラフ化したものが【図2】です。左側が両タイトルのMAU重複状況、右側がMPUの重複状況です。

データは【図1】と同一のものですが、グラフ化することによりMAUでは全体の12%だったユーザー重複率が、MPUになると19%まで大きくなっていることがひと目で分かります。そして、両タイトルの単独ユーザーの比率に目を移すと、『怪盗ロワイヤル』はあまり変化がない(むしろMPUの方が若干比率が大きい)のに対し、『探検ドリランド』はMPUになると単独ユーザー比率がかなり低くなっている(31%→20%)ことも確認できます。それぞれのタイトルから見たユーザー重複状況をシンプルに言い表すと、『怪盗ロワイヤル』課金ユーザーの4人に1人は『探検ドリランド』も課金してプレイしている、逆から見て、『探検ドリランド』課金ユーザーのうち2人に1人は『怪盗ロワイヤル』も課金してプレイしているという状況です。つまり、『怪盗ロワイヤル』よりも『探検ドリランド』ユーザーの方が課金しやすい傾向にあるといえます。

ソーシャルゲームについては、その多くが採用している課金システム(F2P)によるプレイ障壁の低さ(開始時に投資を必要としない)や、いわゆる”ガチャ”と呼ばれるゲームシステムから、その中毒性の高さ、あるいは依存性の強さが以前からよく指摘されています。今回の調査でも、複数のタイトルを並行してプレイするユーザーと課金率の上昇には何らかの因果関係があることが確認できましたが、これをもってソーシャルゲームそのものが中毒性が高いと断じてしまうのは早計です。しかしながら、課金という手段がいたずらにユーザーの射幸心を煽るのではなく、そのことによりプレイの幅が拡がる、またプレイによる楽しみが“深化”するといった方向に使われることが、マーケットの適正化、ひいてはマーケットの発展につながるのは間違いありません。

ゲームエイジ総研
『Monthlyゲームマーケット・トレンドレポート』 発行人 光井 誠一

調査スキームについて
本ページ掲載のデータは、約2万サンプルを対象とした大規模インターネット調査の調査結果を元に、社会調査(訪問調査/毎月実施/1,200サンプル)をベースに構築したウェイトバック値(補正係数)により拡大集計したものです。この手法により、ネットバイアスを排除したユーザープロフィールの実像を推計することが可能となっています。なお、調査手法その他詳細につきましては、ゲームエイジ総研のHPにてご確認ください。
《光井誠一》

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