【GDC China 2011】巨大パブリッシャーの技術戦略とは・・・スクウェア・エニックスの例 | GameBusiness.jp

【GDC China 2011】巨大パブリッシャーの技術戦略とは・・・スクウェア・エニックスの例

スクウェア・エニックス・グループでワールドワイドテクノロジーディレクターを務めるJulien Merceron氏はGDC China 2011にて「Designing A Technology Strategy For A Large Publisher」(巨大パブリッシャーでテクノロジー戦略を立案する)と題した講演を行いました。

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スクウェア・エニックス・グループでワールドワイドテクノロジーディレクターを務めるJulien Merceron氏はGDC China 2011にて「Designing A Technology Strategy For A Large Publisher」(巨大パブリッシャーでテクノロジー戦略を立案する)と題した講演を行いました。

Merceron氏はユービーアイソフトで様々なゲーム開発に携わった後、アイドスに移籍。アイドスはIO InteractiveやCrystal Dynamicsなどを傘下に置く中堅パブリッシャーで、2009年4月にスクウェア・エニックスが買収。Merceron氏は日本と英国の架け橋としてテクノロジーの融合や技術戦略の立案に奔走することになります。

2009年当時、スクウェア・エニックスの和田洋一社長が「日本のゲーム産業は世界から遅れを取った」(2008年TGS基調講演)と語ったように、大規模なハイエンドゲーム開発で世界から取り残されつつある状況でした。同社も『ドラゴンクエストIX』のヒットにより直近の収益は好調でしたが、将来は不透明でした。また技術面だけでなく、オンライン化やマイクロトランザクション(少額決済)のようなゲームのあり方も急速な変化を予感させるものでした。

日本と英国の交流は早速2009年夏頃から始まり、Merceron氏も様々なプロジェクトに関与し、多くの開発者と交流し、現状の問題点と解決策を模索する日々が始まります。そこから得られた教訓の幾つかは、「全てのサイズに適合した戦略はない」(技術も会社としての全体戦略に則る必要がある)、「それぞれの良さがある」(アイドスは技術、スクエニはアート)、「グローバルとローカル(スタジオ)の2層構造の戦略が必要」といったことです。

これらに基づき技術戦略の構造としては、グローバルで全体を取り仕切る各国代表者によるグローバル・テクノロジー・コミッティーと、東京では担当者による東京・テクノロジー・コミッティー、各スタジオには技術責任者としてローカル・テクノロジー・ディレクターを置き、ローカルとグローバルの階層構造で全体戦略を決定します。また、各担当者レベルでのナレッジ共有システムを整備、現場レベルでの交換留学のような仕組みも始めました。

具体的な技術ではG2やCDCといったこれまで使用してきた社内ツールに加えて、「Luminous Project」に基づくCrystal Toolsを東京で開発。これは単なる新たなゲームエンジンではなく、日本やスクウェア・エニックスが強みとしてきた独特の映像表現とアイドスが培ってきた欧米的なプロジェクト進行や技術手法を取り入れた日本と英国を繋いだ成果となっているとのこと。

ここまでが現在までの過程ですが、今後の課題もMerceron氏は述べました。最も大きいのは売り切り型からサービス型へのシフトです。よりMMOライクで、ソーシャルやコミュニティの要素が重要視されてきます。ゲームも"ライブである"ことが不可欠になってきます。ビジネスモデルもパッケージからマイクロトランザクション(少額決済)が主流になります。また、家庭用ゲーム機だけでなく、スマートフォン、SNS、PC、OnLiveのようなクラウドプラットフォームまで幅広くなってきます。今後はこうした課題に対応していくことが重要になってきます。

ただし一方で最先端テクノロジーが重要でなくなったということではありません。Merceron氏はDirectX 11に対応することはこれから2015年くらいにかけて非常に重要でアドバンテージを取る必要があると言います。また、ネットワークの時代においてストリーミングやLODのような要素技術の重要性も益々増しています。ローカルとグローバルで競争力を獲得していこうというスクウェア・エニックスの取り組みには今後も注目です。
《土本学》

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