Gamificationという言葉との出会い・・・深田浩嗣「世界を面白くするGamification」第1回 | GameBusiness.jp

Gamificationという言葉との出会い・・・深田浩嗣「世界を面白くするGamification」第1回

今年のGDCでも「Gamification Day」として1日のサミットが設けられたGamification。ゲームの面白さをサービスや製品などに応用していこうという取り組みです。GameBusiness.jpでも何度も取り上げてきましたが、本日より新連載として「世界を面白くするGamification」(

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今年のGDCでも「Gamification Day」として1日のサミットが設けられたGamification。ゲームの面白さをサービスや製品などに応用していこうという取り組みです。GameBusiness.jpでも何度も取り上げてきましたが、本日より新連載として「世界を面白くするGamification」(まだ仮題)をスタート。gamification.jpを運営するゆめみの深田氏にGamificationについて語っていただきます。それではお楽しみに。

私がgamificationという言葉に始めてであったのは、去年の9月にサンフランシスコで開催されたTechcrunch Disruptというスタートアップ企業がたくさん展示・プレゼンを行うカンファレンスに参加した時だった。いわゆるシリコンバレーベンチャーは今後どんな領域を見ているんだろう、ということを知るのが目的で、100社くらいのサービスを一気に見ることができる。スタートアップ企業向けなので展示費は(どうやら)安いようなのだが、約1000社程度の応募からセレクションされた企業のみが参加できるという仕組みになっているらしい。カンファレンスとしては、その100社の人気投票を行い、上位企業を表彰する、という形になっている。

おおなるほどこれは面白い!というものもありつつ、とても率直に言って日本人的感覚で言うと「これでサービス出来たっていってしまうのか!」という完成度のサービス、本気なのか冗談なのかわからないようなアイデアをいかにも自信あり気にプレゼンする開発者など、かなり玉石混交なカンファレンスだった。

#むしろ日本企業全然戦えるよこれ、という自信を持てたのは大きな収穫!?だ

実はそのうちの展示を行っていた1社であるBadgeville社のサービスにかなり惹かれたのである。この会社、一言で言うとWebサイトをgamificationするためのSaaS型サービスを提供する会社である。サイト内での行動をトラッキングし、特定の行動を満たすとバッジを付与したり順位表を公開して他のユーザと競争したり、というようなことが出来るような仕掛けだ。

ゆめみは自社でソーシャルゲームを運営していること、かつB2BにECやCRMのソリューションを提供している会社である。ソーシャルの概念をECやCRMに応用すると何が出来るんだろうという関心は1年ほど前からあり、既存の企業顧客にもそうした提案をしてきていた背景もあって、Badgevilleがやろうとしていることがすんなり入ってきたのである。最初に見たときには「なんか似たようなこと考えているやつがやっぱりいるなあ、サービス化してリリースしてるのはさすが早いなあ」というような呑気な感じだったのが、よくよく説明を聞いていると「gamification」という単語が出てくるのである。

ん?なんだそりゃ。そんな単語があるのかな?と思って聞いていると、どうやらこの領域にはそういう名前がついているということがわかってきた。ただまだシリコンバレー界隈でもその単語を聞いたことがない人も多く(例えば同期間中に訪ねたグーグルに勤める友人は聞いたことがないと言っていた)、目下売り出し中の概念のようだ。

たまたま、VCの紹介で滞在中に会うことになっていた現地ベンチャーキャピタリストに聞いてみたところ、まさにその人自身がgamificationという概念を広めようとしている一人で、現在はその分野を中心に投資活動を行っているということだった。この人の説明がとても簡潔で、「gamificationとは要はloyalty2.0だ」という。ゲームの持つ要素を使うことで、ユーザがもっと楽しんでサイトに訪問するように仕掛けていくことが出来る。それがgamificationの本質だ、というのである。

なるほど!その通りだ。話をしていて、自分の中でも色々と想像が膨らんでいくのがわかる。これは、Web全体がそっちに行きそうだな、という感覚が出てくる。ソーシャルの概念をゲーム以外の領域に適用していく、汎用的なコンセプトとしてこれは相当イケるんじゃないか。ロイヤリティを高める仕組みだ、というのはなんともハマりがいい。考えれば考えるほど面白い。

ホテルに帰っても興奮が続き、なかなか寝付けない。む〜やっぱりこれやわ。そして今しかない。調べてみると来年(2011年)1月にはサミットまで開催される。こいつらシリコンバレー(だけじゃないかもだけど)の連中はやっぱり動き早いぞ。

・・・てなことが、私がgamificationという言葉に出会った顛末である。あれから約3ヶ月経過し、外部に提供できるだけの材料も徐々に揃ってきた。あれだけ自分が面白いと思えるんだから、きっと皆も面白いと思ってくれるに違いない!というのが今の私の気持ちである。なんとかみなさんにも共有してもらえるよう努力しよう。

■著者紹介

深田浩嗣(ふかだこうじ)
株式会社ゆめみ(代表取締役 社長)。1976年京都生まれ。京都大学大学院情報学研究科在学中2000年1月に株式会社ゆめみを設立。高い技術力を駆使し、モバイルEC、メール配信、大規模CRMの開発やソーシャルゲームプロバイダなど「モバイルを戦略的に使うためのコンシェルジュ」として、モバイルインターネットサービスの企画・開発・運営を手がける。ゲーミフィケーションの詳細はコチラ公式ブログほか、Twitterはコチラ。facebookはコチラです。
《深田浩嗣》

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