
先日、ゲーム業界を揺るがしたXbox首脳陣の突然の交代劇の裏側について、海外メディアThe Vergeによって内部関係者への聞き込みにもとづいた調査レポートが公開され、大規模な人事異動の裏側にはこれまでの事業方針に対する内部の不満と業績の低迷が関係していると報告されています。
突然の発表はリークのせい
日本時間2月21日、長きにわたり『Xbox』ブランドを牽引してきたフィル・スペンサー氏と社長のサラ・ボンド氏が揃ってマイクロソフトを去り、後任の最高経営責任者には元AI部門幹部であるアシャ・シャルマ氏が抜擢されたとの電撃発表がありました。
実はこのニュースは正式な社内通知の前に外部へ漏洩してしまい、リークが表に出るよりも先に、本来の予定日だった日本時間2026年2月24日(つまり本日)よりも早く発表せざるをえなかったというのが真実のようです。そのため、現場の従業員が報道を通じて事実を知るという混乱を招いてしまい、発表の直前にLinkedInでXboxのアクセシビリティ機能についてポストしていたボンド氏のSNS担当チームも慌てていたとのこと。
“Xbox everywhere”が招いた反発
2023年10月にXbox部門のバイスプレジデントに就いたボンド氏は、専用ハードウェアに縛られない“Xbox everywhere”路線を推し進め、多様なデバイスでXboxゲームをプレイ可能な環境の実現を目標としていました。しかし、スマートフォンやタブレット端末をゲーム機と同等に扱う活動は従業員の反発を生みました。
また、“Xbox everywhere”の理念を疑ったり、従わない者を排除するようなチーム構造を作っていたのではないかということも暴露されています。取材に応じたほとんどの現従業員や元従業員は、ボンド氏がマイクロソフトを離れることを歓迎しているようです。ただし、ボンド氏が他社や開発者と提携を結ぶ手腕については評価もされています。
社内で積もった反発の他に、Xbox Series X|S本体の売上は3年連続で落ち込んでおり、PS5との市場争いでも厳しい状況が続いていました。ボンド氏の戦略は内部で疑問視されていたといい、記事では従来からのファンを蔑ろにしているという指摘もされており、そういったことがボンド氏ではなくシャルマ氏がトップに抜擢された理由のようです。
フィル・スペンサー氏の避けられない引退

長年Xboxを率いていたフィル・スペンサー氏は、昨年に長期休暇を取得した際に引退の噂が立ちましたが、表向きには引退を否定していました。しかしながら、同氏はここ1年の社内において「引退は避けられないもの」と思われていたそうです。
The Vergeは、アクティビジョン・ブリザード買収後の大規模なレイオフなども含め、現場に混乱と不安が広がっていたことを言及。現場を立て直すために、シャルマ氏に託されたと報じています。
新CEOによる原点回帰

新たにトップの座に就いたシャルマ氏は、2011年にマイクロソフトでのマーケティングから社会人としてのキャリアを始め、わずか15年でXbox部門のトップに立つという脅威の快進撃を見せつけています。
The Vergeによると、マイクロソフトはボンド氏の戦略を推し進めるのではなく、リセットボタンを押したとのこと。シャルマ氏は従業員に対して、Xboxの復活(Return of Xbox)を約束しています。なお「Xboxを最初に築き上げたときの反逆精神」に戻ろうとしている件についても、マイクロソフト公式ブログで言及されていました。
シャルマ氏について、エンターテインメント分野での経歴が浅く、以前の役職からAIを過剰に導入するのではないかと警戒する意見もコミュニティでは存在しますが、同氏は「目先の利益や効率化のためにAIで環境を汚染することはありません。ゲームはこれまでもこれからも、人間の手と最新技術によって創り出される芸術です」と宣言しています。

ゲーマーとしてのバックグラウンドを持っていない点を指摘されるシャルマ氏ですが、1月からは30本以上ものゲームに手を出し、Xboxの新たな牽引者としての役目を果たそうとしていることが、公開されたゲーマータグ“AMRAHSAHSA”の活動履歴から伺えます。

Xでは自身のお気に入りとして『Halo』、『Valheim』、『ゴールデンアイ 007』を上げ、リプライでオススメされた『ボーダーランズ2』もすぐに手を出すなどフットワークの軽さも見せつけています。 多忙な身であることから長時間のプレイは難しいようですが、短時間でもプレイできるインディーゲームを積極的に遊び、『Firewatch』は全ての実績を解除、『Ball x Pit』も98%まで解除しています。(筆者も『Ball x Pit』にかなり沼りましたが実績は50%に届いていません……)
過去に複数の世界的企業で大規模なプラットフォームの構成やユーザー獲得を成功させてきた実績を持つシャルマ氏。そんな彼女の右腕は、エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフコンテンツオフィサーになったマット・ブーティー氏です。事業の立て直しに、シャルマ氏とブーティー氏がどのような一手を打ち出してくるか注目が集まります。
ボンド氏からのメッセージ
一方、マイクロソフトを離れるボンド氏もメッセージを発信しており、アクティビジョン・ブリザードの統合などこれまでの歩みを回顧し、次世代Xboxの開発も順調と述べ、今は次の道へ進むべき最適なタイミングだと語っています。特別な役職を持ったアドバイザーとして、シャルマ氏へのスムーズな権限委譲をサポートします。
さらに、かつての危機的状況から組織を救い出し、Game Passやクロスプラットフォームなどで業界に多大な貢献を果たしたフィル・スペンサー氏の功績にもボンド氏は深く感謝しています。
※UPDATE(2026年2月24日19時25分):Xbox関連人事について日本向けの公式発表があったため、アシャ・シャルマ氏のカタカナ表記を変更しました。また、本文を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。
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