◆「コンピューターゲームの可能性」に気づけなかった報道記者たち
筆者が「インベーダーブームを新聞はどう伝えたか?」について調査してみると、どの新聞も「『スペースインベーダー』のせいで少年犯罪が発生する」という論調の記事を掲載していることに気がつきました。
ピッ、ピッ、キューン……。大流行のインベーダーゲームは、中高生の間にインチキ硬貨を使うなどの新たな非行の芽を生むきざしも見せ、警視庁なども監視強化に乗り出したが、この機械相手のゲーム、都市のジャングルの中で遊びを失った子どもたちの心を強くとらえ、最近では小学生の間にも急速に広がっている。
(中略)
親にも内緒で、お小遣いの百円玉を握りしめ、インベーダーゲームをしに都心の盛り場に電車に乗って、“インベード(侵略)”する子も多く、子ども同士の「寸借」も目立つ。このため学校はヤキモキ。「対策を考えねば……」という声が教育関係者の間でも急速に上がっている。
(先生ヤキモキ「撃退法は?」 インベーダーゲーム 小学生にまで“侵入” ゲーム代寸借する子も 朝日新聞1979年5月18日朝刊13ページ)
「この機械相手のゲーム」とサラッと書いていますが、実は日本のコンピューターゲーム史において『スペースインベーダー』は「初めてCPUの概念を取り入れたゲーム」として知られています。これは単に一人で遊べるということだけでなく、コンピュータープログラミングが『スペースインベーダー』以前の時代よりも格段に複雑化したことの表れ。そして、こうした概念が備わっていたからこそ2020年代の現代では小学校でプログラミング教育が取り入れられ、タイトーも『スペースインベーダー』を扱ったプログラミング教室を開いています。

そうした可能性に気づけなかったことはさておいても、偽硬貨の使用や子供同士のお金の貸し借りを問題視するのに『スペースインベーダー』をやり玉に挙げる必要は一切ないはず。「ならば、目的が映画鑑賞だったらどう論じるのか?」という話になってしまうからです。
しかし、筆者が目を通した記事の殆どはそんな具合の論調で、残念ながら今回の調査では『スペースインベーダー』の意義や可能性について深く追求したリアルタイム記事は見当たりませんでした。









