
インディーゲームを表彰する「The Indie Game Awards」を主催するSix One Indieは、2025年のゲーム・オブ・ザ・イヤーなど2つの賞で表彰した『Clair Obscur: Expedition 33』の受賞を、AI生成の使用を理由に剥奪しました。
生成AI理由に剥奪…
「The Indie Game Awards」は、その名の通り今年のインディーゲームを表彰するゲームアワードです。日本からはEmotional Impact賞に講談社ゲームラボの『ダレカレ』、Women-Led Game賞に集英社ゲームズの『都市伝説解体センター』が選ばれたほか、ラテンアメリカや黒人文化に根付いたゲームを称える賞などもあり、多様な視点があるのが特徴です。
今年のGOTYおよびデビューゲーム(スタジオの初作品)賞ではSandfall Interactiveの『Clair Obscur: Expedition 33』が受賞していましたが、その後このアワードはこれを剥奪。GOTYは『Blue Prince』、デビューゲームは『Sorry We're Closed』に譲られる形となりました。

これに対しSix One Indieは、ノミネーション過程およびアワード本番での生成AI使用に対して厳格な方針を持っているとし、選考にあたってSandfall Interactiveの代表者に連絡をとり、「開発に生成AIは使用していない」ということに同意していたそうです。しかしながら、実際にはAIを少し使用していることを明かしていました。
声優のAI反対発言も影響…
背景には、今年4月にスペインのメディア・El Paísが行ったインタビューがあります。本インタビューでは、本作のプロデューサーであるフランソワ・ムリス氏が「多少はAIを使っていますが、あまり多くは使いません。重要なのは、私たちが何をしたいのか、何に投資したいのかを明確にしていたことです。」と発言。これはテクノロジーやリソースの最適化に関する話の中の発言で、UE5での制作過程にも触れています。
実際、本作のリリース当初のバージョンにはAIで生成した画像がプレースホルダー的な使われ方として含まれていました。その後すぐに差し替えが行われましたが、プリプロダクション~開発の段階で使われていたこと自体は事実だといえるでしょう。
さらに議論になっているのには、本作のマエル役声優であるジェニファー・イングリッシュ氏が「ゲームでの生成AI使用をやめて」と語っていたことも起因しています。AIツールへの理解を示しつつ、クリエイティビティに取って代わるものではないと説明し、人間らしくあるべきであると提言していました。
あわせて、ここ数週間のゲームコミュニティでは、AI生成に関する話題が“炎上の種”となっています。『バルダーズ・ゲート3』で知られるLarian StudiosのCEOであるスヴェン・フィンケ氏が新作『DIVINITY』でアイデアの探求やプレゼン資料、コンセプトアートのアイデア出し段階でAIを使用していると発言したところ大きな議論を巻き起こしました。
同氏はAI生成画像はあくまでラフとして使用し、最終段階では人の手によるオリジナルのものにすると釈明しましたが、「アイデア段階だとしてもAI生成を使用していることになる」という意見も見られました。
強く忌避される画像や音声、動画といった分野から、比較的すでに馴染んでいるチャットやコーディング、アイデア出しといった分野まで、ゲーム業界でも幅広く使われ、そして議論になっている生成AI。発展を止めることはできませんが、ゲーム業界はどのような落とし所を見つけるのか、今後も議論は続きそうです。
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