AI技術の急速な発展に伴い、3D制作の現場でもAI技術の導入や検証が活発に進んでいるようです。しかし実際には、「試してみたけれど、あまり使えない」「品質が安定しない」といった理由で、導入を諦めるケースも少なくありません。
一方で、AIを自在に使いこなす“AIアーティスト”は着実に成果を上げていると言います。彼らに共通するのは、単に生成モデルを使うだけでなく、画像の準備・変換・分解といったワークフロー全体をAIに最適化しているという点です。
こうした現場の課題を解決するために誕生したのが、AssetHub(アセットハブ)です。AIを活用した新しい3Dモデリングのワークフローを構築し、誰でもAIアーティストのようなアウトプットを生み出せる環境づくりを目指しています。
「AIでは使えない」を変える、新しいワークフロー
AssetHubが注力しているのは、3Dモデル生成AIの“前後”にあるプロセスです。
よくある失敗例としては、コンセプトアートやポーズ付きの画像をそのままAIモデルに渡してしまい、満足のいく結果が得られない、という事があるそうです。AIといってもまだ万能ではありません。AIにとって成果が出しやすいように入力を調整する必要があります。そこでAssetHubでは、まずはじめにAIが3D化しやすい画像へ自動変換します。
たとえば、手描きイラストをリアル調に変換したり、キャラクターの向きを正面に修正したり、AIが自動的にパーツごとに分割したりといった工程が可能です。AIエージェントが画像を分析し、「どのような処理をすれば3D化しやすいか」を判断・実行する仕組みになっています。

また、ロボットのようにエッジラインが際立つ造形の場合は、線を強調するモノトーン調に変換してから3D化するなど、対象ごとに最適なアプローチを自動的に選択します。
「AIを活用した3D化のノウハウをここまで体系化できているチームは、世界でもほとんどいないと思います」と、AssetHub代表の後藤卓哉氏は語ります。
テクスチャ編集まで一気通貫、AIが8割の手間を削減
AssetHubでは、3Dモデル生成後のテクスチャ編集機能も提供しています。
これにより、AIが全自動で作業を進めつつも、クリエイターが細部の修正や調整を簡単に行えるようになっています。
AIが約8割の工程を担い、残り2割を人の手で仕上げるという分担にすることによって、貴重なクリエイターのリソースを、より重要な素材を高品質で仕上げる、というクリエイティブな業務に集中させる事ができます。
「AIを導入することで、最終的なビジュアルを確認するまでの時間が大幅に短縮されます。最終的なアウトプットを確認しながら進めることで、手戻りのない状態で制作を進められるため、クリエイターは“創造性”そのものに集中できるようになります」と後藤氏は話します。

モデラーでなくても“3Dを量産できる”時代に
AssetHubの特徴は、専門的なモデリングスキルがなくても3Dモデルを制作できる点です。
後藤氏自身もモデリング経験がないながら、同ツールを使ってキャラクターを制作したといいます。プランナーやデザイナーが自分のアイデアを形にし、アーティストに引き継ぐ──そんな新しい制作スタイルが生まれつつあります。
「このワークフローを前提にすれば、海外アウトソーシングやオフショア制作を活用するようなフローも大きく変わります。AIを前提にしたパイプライン設計を行うことで、より効率的で高品質なアセット制作が可能になります」と後藤氏は語ります。
世界標準を見据えた挑戦
後藤氏は、ブロックチェーンも活用したコミュニティプラットフォーム「Gaudiy」の共同創業者としても知られ、同社はソニーやバンダイナムコグループから合計100億円の資金調達を実現、日本のIPを世界に羽ばたかせるプレイヤーとして注目をされています。
一方で、後藤氏は 「同時に日本からスタートして世界でビジネスする届ける難易度の高さも感じていました。だからこそAssetHubは最初からアメリカで始め、世界標準になるAIツールを目指しています」と後藤氏。
現在はサンフランシスコを拠点に、世界最先端のAI研究コミュニティと連携しながら開発を進めているそうです。「AIを活用した3D制作の“標準的なワークフロー”を定義し、それをグローバルで共有していくことが目標です」と締めくくりました。
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