米メディアが大量殺人が引き起こされる原因を“暴力的なゲーム”と誘導?繰り返される議論とスケープゴートになるビデオゲーム | GameBusiness.jp

米メディアが大量殺人が引き起こされる原因を“暴力的なゲーム”と誘導?繰り返される議論とスケープゴートになるビデオゲーム

銃乱射事件のたび、やり玉に挙げられるのはいつもゲームに。

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米国で5月14日に起きた銃による大量殺人について、Fox Newsはその原因が“暴力的なゲーム”にあると受け止められるような報じ方をしています。

まず事件の概要としては、ニューヨーク州バッファローのスーパーマーケットで白人の男(18歳)が銃を乱射し13人が死傷。被害者のうち11人は黒人である点、男が180ページに及ぶ憎悪に満ちた文書を匿名掲示板「4chan」に投稿し、黒人を標的にする計画について「Discord」で明らかにしていたことから、警察はヘイトクライムとして捜査しています。
また犯行の様子は「Twitch」でライブ配信され、銃撃から2分以内に映像を削除したものの、「Twitch」を始めとするプラットフォーム側の責任を問う声も高まっているのが現状です。

Fox Newsは同事件を番組内でとりあげた際、元司法省銃器課の特別捜査官で、現在は大学で刑事司法を教えるBernard Zapor氏をゲストとして招き、次のように尋ねました「ビデオゲームがとてもリアルで暴力的になってから、事態はとても悪くなったように思えます。ビデオゲームが引き金を引くという行為と、その行為が招く結果に対して人々を鈍感にする傾向があるという可能性は?」

Zapor氏はこれに対し「現代の個人は、核家族化が進むことで人々は断絶し、信仰から離れ、オンラインやメール、SMSという本来人間が行う“コミュニケーション”とは違う手段の繋がり方をしています。この分断が人々の内なるモラルを育むことを阻害しているのです」
「つまり『Call of Duty』と大量殺人に因果関係はないのです。携帯電話やソーシャルメディアのアカウントが、罪のない人々に発砲することへの抵抗感を削いでいるのです」と答えました。

これまで、メディアや政治家は若者による大量殺人がおこるたび「犯人は『Doom』のファンだった」など、ハリウッド映画とビデオゲーム市場にその原因を押し付けようとしてきました。今回も番組キャスターは問いかけの中で「容疑者が投稿した180ページに及ぶ憎悪に満ちた文書」には触れておらず、またもゲームをスケープゴートに仕立て上げようとしているのでしょうか。


《稲川ゆき@Game*Spark》

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