一年を通したナラティブに終止符…『ハースストーン』「激闘!ドラゴンの大決戦」開発者インタビュー!『バトルグラウンド』の気になるあれこれも | GameBusiness.jp

一年を通したナラティブに終止符…『ハースストーン』「激闘!ドラゴンの大決戦」開発者インタビュー!『バトルグラウンド』の気になるあれこれも

Game*Sparkは、『ハースストーン』の新展開について解き明かすべく開発チームにインタビューを実施。プロデューサーとリードデザイナーに、開発エピソードなどを伺いました。

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一年を通したナラティブに終止符…『ハースストーン』「激闘!ドラゴンの大決戦」開発者インタビュー!『バトルグラウンド』の気になるあれこれも
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左からメリッサ・コーニング氏、ディーン・アヤラー氏

11月1日から2日にわたって開催されたBlizzCon 2019では、熱い新情報が立て続けに発表されました。『ディアブロ IV』に『オーバーウォッチ2』、『World of Warcraft』の拡張版など披露されましたが、その中でお目見えとなった『ハースストーン(Hearthstone)』の新コンテンツは、一部のユーザーにとって他の情報に埋もれたような印象があったかもしれません。しかしながら、『ハースストーン』というタイトルはリリースから5年が過ぎた今でも、カードゲームのシンプルな楽しさを届け続けています。


新たな『ハースストーン』の拡張コンテンツは今までと異なり、ひとつのストーリーを語っていきます。4月配信の「爆誕!悪党同盟」をはじめ、そのストーリーをゲーム内のイベントとカードそのものを通して展開。そして12月10日、物語を終結させる「激闘!ドラゴンの大決戦」がリリースされます。それに伴って、新しいゲームモード「バトルグラウンド」も配信開始。そのモードは「オートバトラー」という流行ジャンルを『ハースストーン』に落とし込んだものと見られます。

Game*Sparkは、そんな『ハースストーン』の新展開について解き明かすべく開発チームにインタビューを実施。プロデューサーとリードデザイナーに、開発エピソードなどを伺いました。



――まずは自己紹介をお願いします。

メリッサ・コーニング氏(以下、コーニング氏):『ハースストーン』のプロデューサーを勤めているメリッサ・コーニングです。私のチームでは主にシングルプレイヤーのイベント、最近の「恐怖の遺産」などを担当しています。拡張版の間に開催されるイベントや、発売に伴うものですね。

ディーン・アヤラー氏(以下、アヤラー氏):リード・デザイナーのディーン・アヤラーです。Blizzard Entertainmentには9年勤めていて、『ハースストーン』の開発に5年関わっています。私とチームが担当するカードデザインには二種類の目標があり、ひとつ目は、メカニック、テーマ、それらを考え出すこと。ふたつ目はメタ、アーキタイプ、バランスなどの調整です。

――「激闘!ドラゴンの大決戦」は「爆誕!悪党同盟」をはじめとした3つの拡張版を通して展開しているストーリーの終結になりますが、これを「フィナーレ」として仕上げるまでの経緯や開発テーマについて教えてください。


アヤラー氏:最初に2019年のテーマを考えていたころは、3つのセットが具体的にどんなものになるかは分かりませんでした。ラファームとその仲間の悪党同盟というキャラクター達が好きでしたし、次は探検同盟と戦わせたかったんですよね。そこで、物語に相応しい最後として、魔法の都市ダラランと砂漠のウルドゥムとはまた違った設定を考えたかったのです。それが今回の空の戦いであり、ドラゴンです。今まで登場してきたキャラクターも見られますが、ドラゴンたち、ガラクロンド、大空での戦いが目玉ですね。

コーニング氏:今回も「手先」のカードがありますよね。それについては?

アヤラー氏:初期段階からずっと「手先」を出し続けると決めていましたね。まずはセットで2枚ずつ出したかったけど、結果的に1枚になりました。ドラゴンのデッキにコントロールらしいゲームプレイを与えていて、セット全体をまとめてくれたカードだったと思います。

――ドラゴンというアーキタイプは過去のセットにも出ていましたし、ドラゴンプリーストやドラゴンパラディンなどのデッキもありましたね。「ドラゴン」をテーマにしたセットを開発することにあたって、どのようなところで「ドラゴン」らしさを打ち出そうと思いましたか。

アヤラー氏:ドラゴンというのは、『Warcraft』シリーズのコアのひとつです。今までのコンテンツで一番ドラゴンらしさが出ていたのは、たぶん「ブラックロック・マウンテン」のセットでしたね。しかし、今回の「激闘!ドラゴンの大決戦」のほうがメカニックにおいて、ドラゴンらしさが表れています。

例えば、ドラゴンのカードに「自分の手札にドラゴンがいる場合」というテキストを使っています。「ゴブリンvsノーム」に出ていたメカのカードとは大きく違います。それは大量のメカカードでフィールド上のシナジーを活かし、相手を追い込んでいくという使い方が基本でしたが、今回のドラゴンは6~10枚だけで十分です。そしてたった1枚のドラゴンが手札にあれば、このすべてのエフェクトが発動されます。

そして、ガラクロンドはヒーローカードであり、セットの最もコアな存在になります。今までのドラゴンとは全然違いますよ。テーマは同じでも、彼ならではのキーワードやプレイングを持っています。いろいろなドラゴンを試していますが、「ドラゴン」というテーマはありがちのものですよね。多くの人は、ドラゴンのことが漠然と好きです。ドラゴンの空の戦いってかっこいいよなーと、チームも思っていました。

――開発中、「善」のヒーロードラゴンの採用を検討した時期はありましたか?

アヤラー氏:それはなかったですね。実際にプレイしてみると、どのヒーローカードもスタイルが違っていることが分かります。すべてのクラスの勝利条件が特別なヒーローに進化するようなメタになったら、つまらなくなると思いますしね。

――「デスナイト」のときにはそんなこともありましたね。


アヤラー氏:たしかにそうでしたけど、デスナイトのカードはガラブロンドより独立したものでした。ガラクロンドの場合はそれを中心にしてデッキを作る、というものなので、全クラスに入ることはないかなと。

――サイドクエストは、今までのクエストと一緒に使えますか?同時にクエストとサイドクエストを発動してもいいのでしょうか。

コーニング氏:できますよ。そのための特別なUIがあります。秘策カードのスポットの一つに入りますが。

アヤラー氏:そうですね。5つのスポットをクエストや秘策に使います。今のスタンダードのメタにはクエストのカードが使われていますし、サイドクエストのカードは2枚もデッキに入れられるから、対応するようにしました。

――「祈願」についての質問です。これは過去に登場した「クトゥーン」と似たようなものですね。ただログインだけすれば全プレイヤーがもらえるレジェンダリーカードがあり、それをパワーアップするサポートのカードもあり、プレイスタイルはそのでかい一撃を放つまでの準備……というところは同じです。「クトゥーン」の時から、カードデザインの面で学んだことはありましたか。

アヤラー氏:「クトゥーン」は私が大好きなカードのひとつですね。まるでデザインのお勉強でした。この話は長くなりますが、大丈夫ですか?

――お願いします。そのつもりで伺いました。

アヤラー氏:「旧神のささやき」をリリースしたとき、すべてのプレイヤーに「クトゥーン」を無料で配布しました。プレイヤーたちの間に本当に面白い影響が生まれました。こういった戦略的なゲームでは、大多数のプレイヤーがルールややりとりを学ぶことで手一杯になります。「どのように相手を攻撃するか」、「ターンごとに何枚のカードを引けるか」とか、「ヒーローの体力はどのぐらいありますか」など……それらを学んで、基本的なアーキタイプがなんであるのかを理解していくことが大切です。メイジには「ウォーター・エレメンタル」「ファイアーボール」「フロストボルト」などのカードがあるんだな、と。そして、シナジーの効果が高いデッキに初めて出会ったときには、もっと心の底からカードゲームのことが好きになれます。

「クトゥーンの提供」で私達が目的としていたことは明確でした。クトゥーンを強化する効果を持つカードも何枚も登場しましたし、それらをデッキに入れるプレイヤーはたくさんいました。カードゲーム経験者にとってはある意味当たり前のことですよね。しかし、経験者のみでなく初心者全員にもクトゥーンを提供することで、「初めてのシナジー」をお金を払わず簡単に体験してもらうことができたと思います。

――たしかに、クトゥーンの関連カードにはコモンが多かったですよね。

アヤラー氏:「デッキ構築とはこういうものだ!」とか「この効果を使えばこのカードとこのカードが一緒に働いてくれる!」とか、そういった発見もあったでしょう。そこで『ハースストーン』の本質的な面白さに気付いて、フリーズメイジなどの高レベルデッキを作る道へ導かれます。ガラクロンドでも同じようなことを狙っています。

――クトゥーンのデザインで経験してきたことをうまく活かせたのでしょうか。

アヤラー氏:たしかに基盤は似ていますが、そこから展開するゲームプレイは異なるように開発しました。

コーニング氏:クトゥーンはミニオンで、ガラクロンドはヒーロー……という点を強く意識していましたね。

アヤラー氏:ガラクロンドにはいろいろな試行錯誤を重ねました。ヒーローカードじゃなかった時期もありましたし、そもそもカードですらないときもあったよね。ガラクロンドを「祈願」するカードがあるだけ、といったような。でもそれだと、「ガラクロンドっていったい誰なんだっけ?」と言われかねないくらい分かりにくくて。それに、拡張版のメインキャラがカードではないというのもおかしい話なので、最終的にヒーローカードにしました。

――2019年は一年を通して、セットの中でひとつのストーリーを展開しました。プレイヤーからの反応はいかがでしたか?今後も同じようなアプローチをとる可能性はありますか。

アヤラー氏:私としては非常にうまくいったと思います。実はかなり前から開発してたんですよね。例えば来年あたりに、今回のような一年を通したナラティブを無理に作ろうとは思いません。そのときのアイデアがまた3つのセットをまたぐ物語に相応しいかどうかが大事です。今回はだいぶ上手くいきましたし、新しい考え方のひとつになっているとは思いますけどね。2つか3つ、それ以上に長いストーリーを語ることだってあるかなと。

コーニング氏:私のチームとしても、一年分のナラティブの存在はすごく良かったです。キャラクターやシチュエーションが、ひとつの拡張版の外側に行っても良いわけですからね。以前のセットのカードが今のプレイヤー達の間でも意義深いのは、デザイナーとしてもうれしいです。

アヤラー氏:『ハースストーン』というゲームには、テキストがあまりないからいつもの語り方の余地はないですね。それで何回も登場するキャラクターがいれば、あまり調べなくてもすぐ分かります。同じキャラクターたちを何回も、いろんな場面で出会うとハースストーンの世界観が伝わります。

コーニング氏:カードのアートにもそういうのが気づかれています。そのカードの武器、このセットデアのキャラクターが持っている!と。私たちがそういう細かいところで積み込んでいる気持ちが伝わってくる、そういう繋がりがいいですね。


――最後となりますが、『ハースストーン:バトルグラウンド』について聞かせてください。他のオートバトラーとはどのような点が異なりますか?

アヤラー氏:『Autochess』、『Dota Underlords』、『LoL』の「チームファイト タクティクス」などをよくプレイしていますが、私たちの『ハースストーン:バトルグラウンド』はかなり違ったゲームです。8人のプレイヤーがユニットを購入して最強のチームを作る……というところは一緒ですが、プレイフィールはまさに『ハースストーン』です。『ハースストーン』の「雄叫び」や「断末魔」といった能力もありますし、「バロン・リ―ヴェンデア」や「ブラン・ブロンズビアード」もオリジナルのゲームプレイと同じように働きます。『ハースストーン』を理解していれば、『バトルグラウンド』も掴めると思いますよ。

正直に言うと、『バトルグラウンド』はシンプルに楽しいですよ!オフィスの中でも、ランチに行かず『バトルグラウンド』プレイヤーを探す人が出てきたりして。担当チームでもないBlizzard Entertainment社員も楽しんでいるのだから、これは良いゲームモードなんだなと思えました。ファンの皆さんがその楽しさに出会う日を楽しみにしています。


コーニング氏:オリジナルの『ハースストーン』で見られるカード同士のシナジーが、このモードでも再現できるところが好きです。獣や悪魔などのテーマがここにも通用するのです。

アヤラー氏:でも、『ハースストーン』を離れたプレイヤーであろうと上級者であろうと、あるいは潤沢なカードコレクションや知識を持っていない人でも『バトルグラウンド』は楽しめますよ。所持カードは関係ありませんからね。『ハースストーン』の基本メカニックが分かれば、すぐに飛び込めます。奥深いのにハードルは低い。私も何ヶ月も遊んでますし、リプレイ性の高さだって保証します。みんながプレイできる日が来たら、私も一日中ずっとプレイしているつもりです。

――本日はありがとうございました。
《Cameron Gilbert@Game*Spark》

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