【CEDEC 2015】第二の鈴木裕は誕生なるか? 岡山理科大学がはじめたゲーム開発者教育の挑戦とは | GameBusiness.jp

【CEDEC 2015】第二の鈴木裕は誕生なるか? 岡山理科大学がはじめたゲーム開発者教育の挑戦とは

人材育成 教育

【CEDEC 2015】第二の鈴木裕は誕生なるか? 岡山理科大学がはじめたゲーム開発者教育の挑戦とは
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世界中の大学でゲーム開発者教育が進み、論文や知見が蓄積される中、日本だけがこの輪の中に入れないでいる昨今。そこには言語の壁もさることながら、日本だけ異質な人材教育が行われている点があります。

こうした中、岡山理科大学では2014年4月から、IGDA日本理事で同校教員の山根信二氏の旗振りで、他に類を見ないユニークな人材教育がスタートしました。世界標準に準拠ともいえる教育内容がどのようなものか。山根氏はCEDEC2015で「ゲーム開発者教育の国際動向と実践報告」と題して、現状を紹介しました。

「日本はゲーム開発の優位性を保つために、あえて英語論文を書かせないのでは?」といった誤解に基づく議論が真顔で行われている・・・山根氏はこのように警鐘を鳴らします。もっとも、この背景には大学が卒業生のロールモデルとしてゲーム開発者を重視してこなかった点もあります。山根氏の所属する岡山理科大学も、『バーチャファイター』『シェンムー』で知られる鈴木裕氏の母校ですが、学内ではほとんど知られていません。こうした点からも、日本の人材教育の異質性が感じられる・・・山根氏はこのように指摘します。

こうした現状を変えるために、2014年4月から岡山理科大学の情報科学科で、海外規準の本格的なゲーム開発者教育がスタートしました。最大のポイントはゲーム開発の授業を必修科目としたことで、ゲームづくりを学んで学位が取れること。これは国内の大学では珍しい取り組みだと言います。教育内容はIEEEやACMといった国際会議におけるゲーム開発者教育に準拠し、カリキュラムの作成にはIGDAが策定したゲーム開発者カリキュラムフレームワークを活用。初年度の教科書には名著として名高い『The Art of Gamedesign』が原著で用いられました。

IGDAカリキュラムフレームワークは2003年にIGDAが策定したもので、2008年に改訂版が策定され、現在も改訂作業が続いています(日本でもウェブ上に邦訳版が掲載中:http://www.dcaj.or.jp/project/report/pdf/2008/dc_08_03.pdf)。ポイントはカリキュラムのモデルではなく、さまざまなカリキュラムの集合体で、教育機関がカリキュラム編成を行う上で参考になるものであること。山根氏は本フレームワークに準拠することで、「ナラティブ」などの用語統一や体系知のチェックができるメリットがあると指摘しました。

同校ではカリキュラムフレームワークを参考に、既存カリキュラムに対する追加項目を洗い出して、新科目「ゲームデザイン」を立ち上げました。情報科学科の2年生、約70人に対して行われ、前述のように英語教科曽をベースに日本語で講義を実施。サブテキストとして日本語のスライド資料と電子掲示板も併用されました。このうち40名が成績順や志望などで選抜され、3年次の前期から一般的な情報科学の授業を履修。後期からは実際にゲームを開発する演習科目に進む予定です。一方で今年度から新しく2年生70名が授業を履修中とのことです。

もっとも昨年1年間の評価を行ったところ、英語教科書については50%が「英語がまったく理解できない」という事態に陥りました。ただしサブテキストの活用や、試験で英語での出題を控えたことから、授業評価のアンケート結果は高かったとのことです。またゲーム開発について学ぶことで、情報デザインやシステム開発といった、既存の学習項目の一部もカバーできることがわかったと指摘。「ゲーム開発を通して情報科学の一部が学べることがわかれば、他の学校でもより導入がしやすくなるのでは」と山根氏は補足しました。

なお言うまでもありませんが、本科目を履修した卒業生が必ずしもゲーム業界に就職する必用はない。その一方で学位取得者にふさわしい人材として、広く社会で活躍して欲しい。山根氏はそのように語ります(そのためには間接的ながら学生の就職率も一つの指標になるでしょう)。まだ1年目の座学が終了したばかりで、目標は第二の鈴木裕氏を10年程度で排出すること。また、まったく新しい取り組みだけに、第三者評価や相互評価などを通して、カリキュラム全体の質的向上も必用になります。山根氏も広く評価者を募集中だと呼びかけました。

一方で同校の取り組みは周辺の大学や専門学校などに波紋を広げています。2015年8月に実施された福島GameJam2015に向けて、6月・7月にはUnityやUnreal Engineの勉強会が岡山市内で開催。福島GameJamでは全5チームが発足し、ゲーム開発に挑戦しました(http://fgj.igda.jp/dokuwiki/doku.php?id=okayama)。この成功を受けて、2016年1月にはGlobalGameJam岡山会場の運営も検討中とのことです。同校の取り組みを通して、これまでゲーム開発者コミュニティの死角とされてきた岡山エリアにどのような変化が起きるか、今から楽しみです。
《小野憲史》

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