【CEDEC 2015】「ゲーム実況」は今後どうなるのか? AppBank宮下氏が語る | GameBusiness.jp

【CEDEC 2015】「ゲーム実況」は今後どうなるのか? AppBank宮下氏が語る

ゲームの楽しみ方が多様化する昨今、とくに盛り上がりを見せているのが「ゲーム実況」です。CEDEC2015の初日、AppBank株式会社の宮下泰明氏が登壇し「ゲーム実況の今後に関して」という講演を行いました。

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AppBank株式会社 代表取締役社長CEOの宮下氏
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ゲームの楽しみ方が多様化する昨今、とくに盛り上がりを見せているのが「ゲーム実況」です。CEDEC2015の初日、AppBank株式会社の代表を務める宮下泰明氏が登壇し「ゲーム実況の今後に関して」という講演を行いました。ゲーム実況がユーザーとゲームの関係性をどのように変えていくのか、そして動画ビジネスの可能性について語られました。

講演ではまず「ゲーム実況」の変遷が語られました。宮下氏は「ゲーム実況」の源流となるのは、テレビ番組『スーパーマリオクラブ』だと紹介。視聴者参加型のゲーム番組であり「ゲームと動画をうまく融合させた企画」だといいます。

90年代半ばには、インターネットやパソコンの登場に伴い、PCゲームのプレイ動画をホームページにて配信するプレイヤーが登場しました。当時はMMORPGの黎明期であり強力なボスの攻略法などがアップされていました。

2000年代前半に入ると、Flash動画の影響もあって、ゲームを素材としたMAD動画や、TASを駆使した最速タイムアタックなどが増加したといいます。

エポックとなったのが2006年のニコニコ動画の誕生です。コメントと共に動画をみんなで楽しむという文化が生まれました。ゲーム実況が本格したのは2007年ごろで、「喋りながらゲームを遊ぶ」という現在の実況者スタイル確立していったそうです。

ひと口に「ゲーム」と言っても様々なジャンルがありますが、とくにネット動画と相性の良いものは何なのでしょうか? 宮下氏によると、『マインクラフト』など、エンディングがなく自由度の高いゲームはネットと相性が良いそうです。またホラーゲームなど配信者のリアクションが楽しめるものも需要が高いそうです。

また近年では「ゲーム実況」における人気動画の傾向が変化しつつあるといいます。有名実況プレイヤーに人気が集中しており、単に動画が面白いだけでは視聴者をなかなか増やせない状況にあります。また配信者の動画のクオリティが上がり、素人が気軽に動画を挙げづらい状況にあるそうです。

ユーザーからの需要が高まりつつあるゲーム実況ですが、メーカー側として参入しづらいのが現状だといいます。まず著作権の問題があって、会社としてどのように対応をしていくのなどコンプライアンスの問題がネックとなります。さらにRPGなどジャンルによっては、ネタバレが生じてしまい「その先は見たくない」というユーザーからの声もあります。一部ではゲーム実況を配信しているメーカーもありますが、ゲームトレーラーをアップするぐらいが大半なようです。

いかにしてゲームとユーザーを結びつけていくべきか



講演の後半では、AppBankにおける『パズドラ』で挑戦してきたことを紹介しつつ、「ゲーム」と「ユーザー」の関係性が語られました。

企業以来「いかにしてゲームとユーザーを結びつけるか」を第一に考えてきたAppBankですが、『パズドラ』ではどのような取り組みがなされてきたのでしょうか。宮下氏は当時を振り返り、「従来のコンシュマーゲームだと、単純にプレイスキルの上昇と、攻略の達成感のふたつのバランスが重要でした」と分析したうえで、「でもそれだとゲームの寿命が短いので、それだけではない魅力を発信しようと思いました」とコメント。

そのための手段が「ゲーム実況」だといいます。転機となったのは、2012年10月にAppBankのマックスむらい氏が行ったツイキャス。降臨ダンジョンの実況プレイを放送したところ、マックス村井氏のプレイがあまりにも下手だったそうです。でも下手だからこそ、最後には奇跡の逆転劇があり、そこで感動が生まれたといいます。これに手応えを感じて、その後ニコニコ生放送にてレギュラー放送を開始。その後、後を追うようにニコ生やYouTubeにてスマホゲームを扱う配信者やメーカー主催の公式番組が次々と登場していきます。

動画配信の手段は大きく「YouTube」と「ニコニコ動画」に分けられますが、どのように使い分けをしていけばいいのでしょうか。宮下氏によると、攻略コンテンツなどで新規視聴者を得ることを目的とした場合、YouTubeが適しているといいます。一方、既存の視聴者とのコミュニティを強める目的であれば、コメントで一緒になって楽しめるニコニコ動画のほうが適しているといいます。

メーカーが動画コンテンツをつくる場合は、視聴者やユーザーに寄り添う意識する必要があると述べます。動画を見るメインターゲット層は、10代の学生なので彼らに届く言葉を投げかけなければなりません。人気のある有名配信者と手を組むこと一つの手だとアドバイスしました。

最期に宮下氏は「ゲーム」と「ユーザー」の理想的な関係性について語りました。「いちばん理想的なエンターテイメントは,マニアが去らずに新規が入って来やすい,それでいてリピートしてもらえるようなコンテンツ」とプロレスラー兼ゲームライターの男色ディーノ氏の言葉を引用。その理想形がかつての素人参加型の番組『スーパーマリオクラブ』だとして、ユーザーが自ら参加して盛り上げるコンテンツをつくっていくべきだと語り、講演を締めくくりました。

《沖本茂義》

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