リワード広告は「アリ」か「ナシ」か・・・小霜和也「ゲーム広告はこう作れ」第6回 | GameBusiness.jp

リワード広告は「アリ」か「ナシ」か・・・小霜和也「ゲーム広告はこう作れ」第6回

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ゲーム業界の皆様、こんにちは。今回は読者からのご質問にお答えしようと思います。
  • ゲーム業界の皆様、こんにちは。今回は読者からのご質問にお答えしようと思います。
ゲーム業界の皆様、こんにちは。今回は読者からのご質問にお答えしようと思います。

「小霜さん、リワード広告をどう思います?」

いや実は…これ聞いて来たのは「非」読者なんですけどね。こないだ、長年の付き合いのアプリプロデューサーと飲みに行ったとき、

「ほらオレ、Gamebusiness.jpでコラム連載してるじゃない?」と言ったら、
「…え?そうなんですか?」
「…え?知らなかったの?」
「…え?いや、全然知りませんでした」
「…え?Gamebusiness.jpってゲーム業界人読んでるって聞いたんだけど…違うの?」
「ハア、まあ、たまに…ですかね…」

という会話がなされ、以前から密かに抱いていた実はこのコラムただのオナニーをしてるだけなのでは疑惑が僕の中で確信に変わった瞬間となったのでした。

しかし、実は根暗なように見えて超前向き志向の私としては、1万年後ぐらいに人類が滅びて異星人が地球調査に訪れたとき、このコラムが発見され、

「おう、これは我が惑星のゲームCMに使えるじゃん!」

とか言われ異星人版ゲームオタの間で話題になったりして、異星人版「Civilization」系ゲーム中で「古代遺跡を発見した。ゲーム広告の作り方を獲得して文化ポイントが50上がった」とかいった使い方をされるんじゃなかろうか的妄想で自分を慰めつつ筆を進めたいと思います。

えー…それで、何でしたっけ。
「リワード広告をどう思うか」でしたね。
彼がそんなことを質問してきた意図というか心情は、スマホゲーム関係者ならほぼ察しがつくでしょう。
そう、良心の呵責。それにゲームクリエイターとしてのプライド。

「ブーストしましたね!」

とか業者に笑顔満面で言われても、

「でも、ゲームが受けてそうなったわけじゃないし…」

と投資効果に満足しながら凹むのがクリエイターとしての正しい姿かと思います。ハッキリ言えば、リワード広告って騙しですよね。ステマに近いもの。そうじゃないと思う方、挙手をお願いします。はい、いませんね(たぶん)。

だって今や、ランキングは生活者が商品を買ったりサービスに加入したりするとき最も信頼する指標です。それを、ポイント欲しさでバナーをポチッとやっただけの人を集めて、人気ランキング1位とか2位とか言ってるわけですよ?それを見た人たちに「このアプリ人気なんだな」と勘違いさせようってメソッドですからね。


ランキング施策は最も有力なマーケティング手法となっている


そして、ポイント目当ての人たちは当然ながらアプリなどやりもせずそのまま離脱していく。本当にアプリをやる人はそのランキングを見てから入って来るので、ゲーム内施策をやるなら時間差で、というのがセオリーになっていますね。

そしてこれは合法なので、アップルとグーグルの頭痛の種化しているという話もあり、アップルは「あまりにやり過ぎだろ」というアプリはリジェクト(排除)するようになって来ているようですが、その規準も曖昧なため混乱を生んでいる側面もあります。

なので、健全なスマホゲーム広告をおやりになるのなら、リワード広告など導入すべきではない。

とは、僕は言いません。

スマホゲーム業界も殺らなければ殺られるLive and let dieな世界に突入した中で、そんなこと言ってたら会社が潰れます。

今のところ残念ながら(?)いろんなアプリコミュニケーション施策の中で、リワード広告は最もコスパが良く、最初に導入検討すべきものとなっているのが現実のようです。リアルタイムでDLとか課金のグラフがどっかんどっかん上がるのを目の当たりにする時に得られる手応えは、プロデューサーにとって病みつきになるほどの力もあるみたいです。

僕はエンタメ系に限らず、新規事業の立ち上げサポートでいろんな企業にお呼ばれします。で、本当にどんな企業の経営者も、真面目にココロ清らかに、いい製品をお客さまに届けたい、そんなことを思っているわけです。日本は本当にいい国ですよ!そこで僕が経営者の方々によく言うのは、

「この事業は危ういです。それは、社長が真面目すぎるからです」

と。なぜこの世に悪徳商法やインチキ商品がはびこるかというと、詐欺師は自分たちの売り物が偽物だとわかっているから、どうやって買わせようかとコミュニケーションをものすごく研究するわけですよ。
でも真面目な会社は、いいものだから売れるだろうという安心感でそこをおろそかにしがちなんですね。
たとえば商品のバックストーリーだって、偽物商品はどんだけでも嘘つけるわけで、オバマ大統領もすっかりハマっちゃってますぐらい言ったって平気なわけですが、誠実商品は事実の範囲内でしか書けません。
こりゃ負けますわな。

だから僕は、業界用語で「ギミック」なんて呼び方しますけども、嘘にならない範囲での誇張とか、客寄せパンダ的な要素とかは大事ですよと言います。自分たちは偽物商品を売ってるんだ、と思っとくぐらいでいいと。良いものなら、買えばわかってくれる。

結果的にお客さまがいいもの買ったと喜んでくれる、それがブランドなのだと。

僕はこれまでゲームCMを数百本作って来たけど、記憶する限り、「ゲーム買ったけどCMで言ってることと違うじゃないかよ」といったクレーム来たことはないです。そこで嘘つくとブランドを毀損するから。

広告クリエイターとしてそういった矜持はあるけども、スマホゲームコミュニケーションにおいては、そこに行き着くまでをどうするかが大きい。スマホゲームのプロモーションも、依頼されたら最も効率的な施策はどれか冷静に判断して組み合わせます。その中には当然リワード広告も入って来るでしょう。

ただし、そういった手法で手に取ったユーザーが、

「なんだこれクソじゃねーかよ」
となってしまったら、本当にインチキ商法に成り下がってしまいます。そうならないように、

「こりゃ面白い!」
「ストレス発散されるなー」
「最近通勤が楽しくなった」

といった声が聞こえるようなコンテンツを開発していただきたいですね。そうすれば結果オーライですから。順序は逆だけど、ウソをホントにする、と言いますか、実力でも人気ランキング上位になっちゃったねと、そういうのを目指したいものです。

ちなみに今回の質問をしてくれたプロデューサーにこの原稿を読んでもらったのですが、

「リワード広告をやる時の抵抗感がだいぶなくなった気がします!」

と、やや元気になってました。

では、来月も1万年後の異星人に向けてメッセージを発信しようと思います。


■著者紹介

小霜和也 (こしも かずや)
コピーライター、クリエイティブディレクター、クリエイティブコンサルタント。博報堂でコピーライターを務めた後、独立し現在は株式会社小霜オフィス、ノープロブレム合同会社代表。プレイステーション、KIRIN一番搾り、その他日本を代表する数々の広告キャンペーンを手掛けてきた。ゲーム関連での実績多数。近著「ここらで広告コピーの本当の話をします(宣伝会議)」が大ヒット中。
ノープロブレム合同会社 / 小霜オフィス
《小霜和也》

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