ターゲット世代はこう決めろ・・・小霜和也「ゲーム広告はこう作れ」第5回 | GameBusiness.jp

ターゲット世代はこう決めろ・・・小霜和也「ゲーム広告はこう作れ」第5回

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ゲーム業界の皆様、こんにちは。
今回はゲーム広告とターゲット世代の関係について語ってみます。

数日前カラオケに行ったんですが、50チョイ過ぎの僕が歌ったのは、つんく♂の歌を数曲と、クマムシ、ゲスの極み乙女。ここに現在の日本の消費構造が集約されています。つまり、「若い世代の創ったカルチャーを、オッサン・オバハンが消費する」構造です。

いま最も消費パワーを持っているのは60代前半の団塊世代。単純な話、人口が圧倒的に多いからです。しかも子育ても終わってわりかしお金が余ってる。その次に人口多いのが彼らのジュニア、40代前半。この40〜60代の人たちが、政治からカルチャーまで日本の全てを動かしていると言っても過言ではないでしょう。

20数年前にバブルが発生したのは、団塊世代が30代だった頃、ジュニアのために一戸建てを買い始めたからなんですね。それが一巡してバブルが終わると今度は経済が大混乱に陥ったわけで、それだけの世代パワーを持っているわけですが、今だって彼らの動向で日本は振り回されます。

「若者が選挙に行かないからいつまでも安倍政権が…」なんて声をよく耳にしますが、残念ながら若者が政治にどれだけ目覚めても日本はさほど変わらないでしょう。数が違いすぎるからです。「シルバー民主主義」などと揶揄される所以ですね。そして、コンテンツ界を動かしているのも40〜60代です。

たとえばTVドラマにやたら医療系が増えたのは、オッサン・オバハンは健康を気にするからです。彼らが若い頃、医療ドラマなんてシリアスなものが少しあるぐらいでした。アイドルオタクも、大部分は40代のオッサンです。10代、20代の支持だけではアイドルブームはここまでにならなかったと思います。

40〜60代は若者カルチャーを消費することに抵抗がありません。銀座のカラオケスナックに行っても、別に演歌ばかりではなく、若いアーチストの歌が歌われてます。アニメファンも多いし、コミックも読む。逆の言い方をすると、この数十年、本質的なところではエンタテインメントコンテンツは変革されていないのだと思います。動画系、ゲーム系はもとより、音楽も80年代にデジタルの大変革があって以降は、基本的にどれもマイナーチェンジだと思う。これはテクノロジーの要因が大きいでしょうが、若いクリエイターたちが消費パワー層の取り込みをどこかで意識しているからかもしれません。

間違えてはいけないのは、「今は」40〜60代にパワーがあるわけですが、10年前は30〜50代にパワーがあったわけで、10年後は50〜70代にパワーがある。消費パワーのある世代は刻々と変わるということです。10年近く前にWiiがヒットした理由は大きく二つあると思っています。当時、PS2タイトルは操作がどんどん複雑化していって、若い層が着いてこられなくなってました。高校生が「難しすぎてできない」と言ってたのを聴きました。それへの反動。

もうひとつは、団塊ジュニア世代が30過ぎぐらいで幼い子どもを抱えていて、彼らにちょうどぴったりハマった。ただ、その子たちも数年もすると一人で遊ぶようになり、家族の関係も変わっていきます。Wiiはそういった世代の変動に対処できなくなって、失速していったのだと思います。

世代の変動に敏感でなくては、どんなビジネスもうまくいきません。あらゆる世代が同じだけの消費パワーを持っているようにイメージしがちですが、それは錯覚。「今は」40〜60代の動向を注視しなくてはいけないし、ここを取り込めないとビッグヒットにはなかなか結びつかない、ということです。

パワー世代をうまく取り込んで成長して来たのがディズニーです。彼らはずいぶん前から「子ども向け」コンテンツ路線を「親子向け」にチェンジ。その最大の成果が「アナ雪」でしょう。子どもが「観たい!」という前に親に「観たい!」と思わせたわけです。「相棒」は若者にも人気ですが、水谷豊の存在なくしてこれだけのヒットはなかったでしょう。同じ構造のコンテンツは他にもたくさんあると思います。

ゲーム広告を企画制作する際も、「パワー世代の取り込み」については意識しておくべきです。PSVita「共闘先生」シリーズの主ターゲットは高校生でした。であれば、セオリー的には登場人物は4人とも高校生であるべきです。
でも僕は、一人オッサンを入れておきたかった。表面は若者訴求に見えても、実際に動くのはオッサン層ではないかと案じたためです。結果的にうまく行ったのは、そのあたりのバランスが良かったからだろうと思っています。

スマホゲームCMで言うと、「Candy Crush」は岡田君だけでなく、遠藤憲一を加えてますが、じつはこれが大きいんじゃないかと。

オッサン・オバハンは、「オッサン・オバハン向け」と言われるとちょっと抵抗あるんです。「自分が受け容れられる範囲の若さ」が欲しいんですよね。だから、

イメージターゲット:若者
リアルターゲット:オッサン・オバハン


が、しばらくは鉄板になっていくだろうと予想してます。

次回は…何について話しましょうか。
《小霜和也》

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