カスタムメイドは電子セックスの夢を見るのか?・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第19回 | GameBusiness.jp

カスタムメイドは電子セックスの夢を見るのか?・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第19回

コリン・ファレル主演の「トータル・リコール」をDVDで観ました。1990年に、アーノルド・シュワルツェネッガー主演で製作された映画のリメイクですが、ストーリー設定やエンディングなどが若干異なります。

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コリン・ファレル主演の「トータル・リコール」をDVDで観ました。1990年に、アーノルド・シュワルツェネッガー主演で製作された映画のリメイクですが、ストーリー設定やエンディングなどが若干異なります。

フィリップ・K・ディックの短編小説「追憶売ります」(1966年発表)の良さを生かしながらも、レン・ワイズマン監督が目指したのはリドリー・スコット(監督)が完成した「ブレードランナー」的な世界観だったのでしょう。アジアと欧米、ローテクとハイテクが混濁した完成度の高いビジュアルが魅力でした。しかし、2013年になってもアンドロイドは実現できていませんし、アーサー・C・クラークの「2001年宇宙の旅」も実現しませんでした。映画のなかで90年版の「トータル・リコール」で主人公クエイドの妻ローリー役だったのは当時のセックスシンボル的な女優シャロン・ストーン、今回の作品でケイト・ベッキンセールが演じています。どちらの女優もセクシーで狡猾です。映画のテーマは「記憶を売る」というリコール(Rekall)社の体験に興味をもった主人公クエイドが自ら「秘密諜報員として火星を旅する」というコースを選んだところ、過去の消された記憶が甦り、それにより命を狙われる・・・というストーリーです。

夢を疑似的、人為的に脳で再現し体験するということはまだ実現できていません。しかし、80年代に一時的にブームになったバーチャルリアリティを感じさせるシンクロエナジャイザー的(ヘッドフォンとバイザーをつけて光の点滅を感じるもの)なものの研究が進めば実現するのかもしれません。同じく、ディック原作の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(1968年発表)には、電気的なセックス処理の描写があったような気がしますが、その部分に於いてはかなり実現度が高まっているではないかと思うのです。

それはゲームの世界とデジタル的なデバイスの融合し合体によって実現します。

すでにテックアーツ3Dから「3Dカスタム少女」というコンテンツがUSBオナホールとセットで販売されて好評を博していますが、新たに2月22日にKISSレーベル(株式会社ワークマン)から「カスタムメイド3D with Ju-C airパック」という商品が発売になります。日本をはじめとしてアジア全域で爆発的に売れているというオナホールをゲームと連動させた商品で、オナホール側の速度や深度などをWiFiでゲームと連動させるということで限りなくリアル感を演出した商品です。実際に体験するわけには行きませんが、デモンストレーションを見せてもらいました。そうとうよくできた商品なのではないかと思います。オナホールメーカーのG PROJECT社との共同開発ということもあり、従来の商品よりも完成度は高いとのことです。

キャラクターは自分で詳細はカスタマイズが可能で、コスチューム、プロフィール、背格好、特徴、肌の色、髪型、性格的な要素などを自分でカスタマイズできることが特徴です。2D美少女好きのゲームファンには堪らないゲームなのではないでしょうか。またこれらはユーザー同士がカスタム情報を交換したり、テクスチャーを交換したり公開したりすることでCGMとして盛り上がっています。

ソフトのシリーズとしては、バージョンアップ版(パワーアップ版)も含めると累計で10万本ほど販売されているとのこと。個人によって海外に持ち込まれているケースもあるようで、ファンの間では根強い人気があるようです。北米やEUのアダルト市場は一般的には女性中心と言われていますが、日本やアジアの場合は男性中心という事情がその背景にはあるのかもしれません。

最近では、等身大の抱きまくらのなかにセットできるものなどもあり、過去に「南極1号」などと言われ、障害のある方々のために供給されてきた「空気人形」のようなものも技術の進化で以前とは異なり一般的な商材になってきたようです。アダルトグッズやショップ自体がオープン化してきたという追い風の傾向もあり、今後もこのようなソフトとデバイスのテクノロジーが融合したものはこれらも生み出されることでしょう。

おそらく、今後の課題はキネクトのようなアクション・タッチ型デバイスでのソフトの開発による、ゲーム内キャラクターとの融合を目指すこともあるでしょう。また、ヘッドマウントディスプレイなどの活用によるリアリティの向上や臨場感や匂いなどの演出。さらには3Dプリンター技術の向上により、リアリティのあるオブジェクトやボディの創作が実現するのかもしれません。その前にネットワーク化による、交換、交流も実現するのかもしれません。

ただし、アジアや日本の晩婚化、未婚化はさらに増加する可能性はあります。また、コンビニ的なセックス(自慰行為)も促進される可能性も否定できません。無味無臭でコミュニケーションがあまりなく、目的のみの物を買うコンビニ的な所作になるかもしれません。

しかし、未来は高尚なものからではなく、現実的な需要や欲求から先に実現する。これは真実です。


カスタムメイド3D with Ju-C AIR公式サイト

※2月28日 黒川文雄の黒川塾 六 開催 「フリーカルチャー@ゲーム」 ご来場をお待ちしています。

■著者紹介

くろかわ・ふみお 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、映画・映像ビジネス、ゲームソフトビジネス、オンラインコンテンツ、そしてカードゲームビジネスなどエンターテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。ブログ「黒川文雄の『帰ってきた!大江戸デジタル走査線』」、まんたんWeb「サブカル黙示録」や「ニコニコチャンネル 黒川塾ブロマガ」も更新中。
《黒川文雄》

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