TAが語るシーグラフ2012のトレンドとは?SIG-TA主催の報告会レポート | GameBusiness.jp

TAが語るシーグラフ2012のトレンドとは?SIG-TA主催の報告会レポート

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国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)テクニカルアーティスト専門部会(SIG-TA)は9月29日、「シーグラフ報告会2012」を開催しました。
  • 国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)テクニカルアーティスト専門部会(SIG-TA)は9月29日、「シーグラフ報告会2012」を開催しました。
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国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)テクニカルアーティスト専門部会(SIG-TA)は9月29日、「シーグラフ報告会2012」を開催しました。

会場のサイバーコネクトツー東京スタジオには約20名のテクニカルアーティスト(TA)が参加し、最新のコンピュータグラフィックス(CG)に関する情報共有を行いました。

なお、当日の資料はSIG-TA公式サイトにアップされていますので、あわせてご覧ください。
(http://p.tl/DtGg)

SIG-TAは「日本のゲーム開発にテクニカルアーティスト(TA)職の確かな足場を築き、開発全体の底上げをめざす交流の場を提供する」ことをミッションとして、セガ麓一博氏を中心に、2011年2月に発足しました。冒頭、麓氏は「志高い言葉を並べましたが、要はSIGをTA憩いの場的なコミュニティにしていきたい」と抱負を語りました。

シーグラフ(SIGGRAPH=Special Interest Group on Computer GRAPHics)は、その名の通り、アメリカコンピュータ学会でCGを扱うSIG(分科会)です。米ロサンゼルスを基軸として毎年夏、国際会議が開催され、世界中の研究者による最新の論文発表が行われます。研究成果はハリウッドを中心に、まず映像分野で実用化され、数年おくれでテレビゲームに実装されていくのが通例。そのため日本でも90年代前半から、最新の技術情報を求めて、毎年多くのゲーム開発者がシーグラフを訪れるようになりました。

■ゲームでは流体表現、映像ではPapermanに要注目!

会場ではシーグラフ2012の参加報告が二部構成で行われました。第一部では「今年のビジュアルに関するトピック概要紹介」と題してセガ高森大輔氏が講演、麓氏がモデレータを務めました。第二部では「プロダクションセッションから見るキャプチャ技術について」と題してOXYBOTの杉山明氏が講演し、ソニー・コンピュータエンタテインメントの綿貫善郎氏がモデレータを務めました。このようにセッションは講演者とモデレータのペアで進行し、講演者の報告に対してモデレータが適時、質問やツッコミを入れるなどして、終始和やかな雰囲気で進行しました。

はじめに高森氏はシーグラフ参加のメリットとして、プログラマー側では「テクニカルペーパーセッションなどで、CGの最新技術やトレンドがわかる」「制作で技術的に困ったとき、過去の技術論文で解決のヒントが得られるケースがある」という2点を呈示しました。実際に今年のセッションでも、ノーティドッグによる『アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス』の水面表現で、こうした事例が紹介されました。荒れ狂う海面という無茶ぶりをされたテクニカルチームが、かつてシーグラフで発表された技術論文からヒントを得て、問題を解決したとのことです。

一方アーティスト向けのメリットとして「コンピュータアニメーションフェスティバルのセッションなどで、ハリウッド映画のCGVFXの最新メイキング解説や、制作ノウハウが得られる」「CGVFX技術は海外が先行しており、アーティストとして良い刺激や焦りを感じ取れる」という点が上げられました。また当然ながら会議は全て英語で進行するため、語学力の向上や、英語学習に対するモチベーションがアップする効果もあるといいます。

ただし「(自分のように)語学力に自信がない人間が渡航して有用な情報を得るためには、相応の「予習」も必要」(高森氏)とのこと。今回の渡航についても、事前に「シーグラフアドバンスプログラム(事前に公開されるプログラム)を翻訳する(PDFで120枚程度)」「興味が出てきた技術論文も翻訳する」「セッションに上がりそうな洋画を鑑賞する(全28本!)」という3点を実践したとのことです。また現地で講演を聴きながらツイッターでツイートすると、他者と情報共有に便利。さらに帰国後にレポートを書くうえで、非常に参考になるので、一石二鳥だとされました。

続いて今年のビジュアルに関する潮流が報告されました。まずゲーム編では「流体表現」がポイントだったそうです。ハリウッドのCGVFXでは水面や爆発シーンなど、流体表現が花盛りですが、いよいよ実機上でも取り入れるケースが出てきたとのこと。一例として報告されたのが、前述の『アンチャーテッド』のセッションでした。

同作の序盤シーンで貨物船の通路に海水が流れ込むシーンでは、はじめに3Dソフトのフーディーニで海水の動きをシミュレートし、その結果をポリゴン化してジョイントでアニメーションを設定。その後、水しぶきが上がる瞬間でパーティクルのエフェクトが発生するようにエミッタを設定して、手動でアニメーションを作成。最終的に実機上で流体シミュレートを再生しつつ、水流にシェーダーを当てて完成というステップを踏んだとのことです。

高森氏は「テクスチャレベルで流体シミュレートの結果を表現するのではなく、流体シミュレートの結果を実機上でポリゴン表現しているため、見た目のインパクトがすごく、今後のエフェクト分野のトレンドになるかも」と話していました。

一方、映像編ではピクサー&ディズニーの短編作品『Paperman』が、「2D/3Dアニメーションに革命をもたらすかも!?」と報告されました。同作品はコンピュータアニメーションフェスティバルの入選作品から特に素晴らしい短編作品を上映するエレクトロニックシアターで、招待作品として上映されたもの。マンハッタンで働くサラリーマンが主人公のモノクロムービーで、往年のディズニー映画を彷彿とさせるタッチですが、ポイントはアニメータによる手描きの味と、CGの大量生産技術が高い次元で融合している点です。

本作ではベクターベースで手描きの原画を作成し、原画から動画を自動生成するシステムがピクサーによって開発されました。動画の中割が気に入らなければ、任意のフレームを選択し、そこから修正版の中割を開始させることもできます。これにより戦前〜戦後のディズニー黄金期に見られた、流れるようなタッチのフルアニメーションムービーをCGで作り上げるシステムが誕生したとのこと。日本のアニメーション業界においても、少なからぬ影響を及ぼすのではないか、と話されました。

■プロダクションセッションで語られた最新キャプチャ技術の数々

第二部で登壇した杉山氏は、最新のハリウッド映画に見られるCGVFXのメイキングに関する講演「プロダクションセッション」の内容を縦軸、近年イノベーションがめざましいキャプチャ技術を横軸に、その最新動向について報告しました。杉山氏は1990年から98年までソフトイマージュ3Dのテクニカルサポートなどに従事し、98年以降はCGプロダクションでCG制作に従事。06年からVFXマガジン「Cinefex」日本版の編集に携わっています。また2006年から11年までCEDECアドバイザリーボードも務めました。

今年のシーグラフでは合計14のプロダクションセッションが行われました。そのうち杉山氏は『ヒューゴの不思議な発明』『アベンジャーズ』『リアル・スティール』『アメイジング・スパイダーマン』『バトルシップ』の各作品で使われたキャプチャ技術について紹介していきました。

『ヒューゴ』は2D/3D変換で制作されるS3D映画が多い中で、最初からS3Dを念頭において撮影された作品です。しかも今時珍しく、VFXシーンではセットをミニチュアで作成。見せ場の蒸気機関車が脱線して駅舎の壁を突き破るシーンでは、ミニチュアのセットに模型の機関車を走らせ、そこにCGの映像を合成し、さらには人間の動きまで加えました。その際、ミニチュアセットはレーザー計測ができる「Lidar」システムでスキャンし、Mayaのシーンデータとして活用したそうです。

人物合成では実写の人物の動きを板ポリゴンにマッピングして使用したほか、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで有名になった群衆シミュレーションの「Massive」も使用されました。また舞台となったパリの街は、大量の写真を合成して巨大なパノラマ写真が作れる自動雲台「GigaPan」でHDR撮影されています。

続いて『アベンジャーズ』では、キャプテン・アメリカや超人ハルクなどのキャラクターを、実写の役者だけでなくCGキャラクターでも表現する上で、役者の全身やフェイシャルなどを細かくスキャン。その際に「Lightstage」「Mova」などのキャプチャシステムが使用されました。役者の動きはILMが開発したイメージベースのモーションキャプチャーシステム「iMocap」が使用されています。これは反射式ではなく、QRコードにも似たマーカーが全身に張られた専用スーツを着用して、人間の動きをキャプチャーするシステム。リターゲットが容易で、大がかりなセットが不要というメリットがあります。また舞台となったニューヨークの街並みは、車載カメラやビルの屋上などから画像撮影され、そのデータを元に完全デジタル化。総撮影画像枚数は27万5千万枚にのぼりました。

また『リアル・スティール』では、モーションキャプチャのデータを元に、CGキャラクターをリアルタイムにアニメーションさせるだけでなく、カメラアングルも同時に決められる「バーチャルプロダクション」が採用されました。監督が手元のバーチャルカメラを手に持って役者に向けると、そのカメラで切り取られた映像(映像上では役者ではなく、3Dキャラクターの演技が表示されている)が、そのまま映像として確認できる仕組みです。これによってモーションキャプチャと同時にカメラアングルを決めることができ、撮影の効率化が図れます(その結果、予備の撮影班を持つ必要もなくなりました)。このほか『バトルシップ』では海軍の協力のもと、実際の戦艦ミズーリが「Lidar」システムを用いて細かくスキャンされ、デジタルデータ化されたとのことです。

人間の動きだけでなく、顔の表情や建物など、さまざまな物体をデジタルデータに写し取ることのできるキャプチャー技術は、ハリウッドの映像制作に不可欠な要素として、さらなる進化が続いています。前述のLider Scanや、バーチャルカメラ、iMocapなどはその一例です。

一方でCGのレンダリングでは、ハードスペックの向上に伴い、これまで巧みに省力化が図られていた分野が、ガチで表現できるようになってきたと杉山氏は語ります。「今年のキーワードの一つに『フィジカルベースなレンダリング』がありました」(杉山氏)。プロダクションセッションは、こうしたハリウッドの「絵作り」の最先端ノウハウが学べる場ですが、権利関係の問題などで、資料が公開されにくい分野でもあります。講演ではプロダクションセッションへの参加意義が改めて述べられ、締めとなりました。
《小野憲史》

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