【CEDEC 2012】カプコンサウンドが考える日本と海外のゲームオーディオ制作 | GameBusiness.jp

【CEDEC 2012】カプコンサウンドが考える日本と海外のゲームオーディオ制作

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CEDEC2012、2日目にはカプコン大阪制作部サウンド制作室の岸智也氏が、ハリウッドの音響制作のポストプロダクションスタジオとのコラボレーションの事例を実際の経験を元に報告しました。
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CEDEC2012、2日目にはカプコン大阪制作部サウンド制作室の岸智也氏が、ハリウッドの音響制作のポストプロダクションスタジオとのコラボレーションの事例を実際の経験を元に報告しました。

岸智也氏はカプコン入社後、『鬼武者』などでサウンドデザインを担当、その後『Lost Planet: Extreme Condition』、『Lost Planet 2』など主に海外向けのメジャータイトルのサウンドディレクターをつとめてきました。最新作の『Dragon's Dogma』も手がけ、海外市場をターゲットとしたタイトルのために、ハリウッドの音響制作スタジオとのコラボレーションの経験を活かしていきたいそうです。

まずタイトルを「カプコンサウンドの岸が考える日本と海外のゲームオーディオ制作」と言い換え、このセッションがあくまでもカプコン全体の総意ではなく、岸氏個人の見解であることを補足しつつ、本題に入りました。

岸氏が海外のポスプロスタジオとコラボレーションを行った理由は、主に海外向けのタイトルを手がけるためというマーケティングやプロモーション的な意味合いが大きかったといいます。しかしながら、音響制作の本場であるハリウッドのスキルに触れることでカプコン社内の技術力アップにつながるのではないかという期待もあったといいます。

コラボレーションを通した全体の感想としては、海外スタジオのスタッフの圧倒的なプロ意識に驚かされたことを強調しました。当然、日本とアメリカでは文化が違うという側面はありますが、仕事における職業意識の違いが一番大きかったといいます。英会話のスキルはもちろん、あるにはこしたことはないが、それ以上にプロとしての職業意識を尊重しつつ、お互いうまくやっていくことが重要であるそうです。

また「アメリカ人は常に定時で退社する」といった漠然としたイメージも、実際に働く彼らの姿を目の当たりにすることで、よりはっきりと理解できたと言います。実際に多くの海外スタッフは、定時に帰ることが多いのですが、それはあくまでも契約の範囲内できっちりと仕事を収めている前提のもとに可能になっていると言います。納期が遅れそうになった場合などは、残業を行なうことは珍しくないですが、その場合も残業代に関してきっちりとした契約を結ぶことが円滑なコラボレーションにおいて重要だと言います。

そして、コラボレーションを進めるための重要な概念として、岸氏は「ビジョン」と「ストーリー」と「タレントプール」というキーワードを挙げ、順に説明していきました。実際に海外スタジオに発注したものは、効果音、楽曲制作、ミキシング、ゲームへの実装、オーケストラ収録、ボーカル収録と多岐にわたっています。しかしながら、すべてにおいて、どういった品質のものを、どういった範囲で発注するのかという点において、ビジョンを明確にすることが極めて大事あることを強調しました。

またビジョンを明確に伝えるために、発注先に与える資料の重要性を「ストーリー」という観点から説明しました。具体的には単純な発注書だけではなく、動画資料や開発環境を貸し出すことによって、先方にどういった音が欲しいのが明確なビジョンを与えることが大切だと言います。実際のところ、海外の音響制作者はテキストの発注書を読むことは極めて少ないため、テキストをインポーズした動画を用意するなど、スムーズに意図が伝わる努力を行ったと言います。

さらに、これは国内でのコラボレーションについても言えることですが、優秀なスーパーバイザーを見出し、人間としての信頼関係を作ることは当然大切なことだと、岸氏は述べました。その点において、海外でコラボレーションを行なう上で重要になってくることとして、良質なローカライズ環境を提供すること、通訳者やコーディネーターを用意することなどを挙げました。また英会話が行えるに越したことはないが、擬音語や擬態語でコミュニケーションをはかることも重要だといいます。

参加者の多くの方が気になるコスト面に関しては、コラボレーションは決して安くはないが、通常の開発プロセスにはない費用対効果があることを指摘しました。まず岸氏は、納品物とコストという単純な費用対効果を考えるのではなく、培われるノウハウやタレントとのコネクションなどを含めた全体の費用対効果を考慮すべきだと言います。コラボレーションを行なうことは、内部開発技術の空洞化を招くという恐れがある反面、あらたなスキルやノウハウ、また海外の音響制作におけるトレンドをつかむなどのメリットもあることを指摘しました。

そして、全般的に言って海外スタジオへの委託は、コストは高いが、期日通りに期待していた以上のものがきっちりと仕上がってくる点で優秀であると、岸氏は評価しました。例えば、オーケストラ収録においては、ハリウッドの演奏者の技術は極めて高く、初見の楽譜でも二回くらい演奏すれば商品になるといいます。

またボイスアクターが80人以上の大規模なプロジェクトにおける実際の制作ワークフローの実例を紹介しました。巨大なプロジェクトであるため、重複する作業を一体化するなど工程を減らす努力をしたそうです。特にボイスファイルに関しては、あらかじめファイル名を付け、それに仮データを入れたものをスタジオ側に渡して、データを差し替え形で納品をしてもらった結果、納品前の仮チェックや納品後のチェックといった工程を減らすことが可能であったと言います。

最後にキーワードである「タレントプール」について説明を行ないました。ここでの「タレント」とは、スタジオなどの施設、コンポーザー、エンジニア、アクターなどの人材、コーディネートをする各種エージェント、それら施設と人材がある地域を総合的に捉えた概念です。そして「タレントプール」とは、それらのプロフェッショナルなリソースを効率良く集めることを意味し、なるべくコアのチームを最小限にしつつ、少ない予算で最大限の効果を発揮させる考え方だといいます。

実際に北米の大手パブリッシャーのサウンド部門では、これらのタレントをうまく活かすことで、年間30~40本のタイトルを5人で運営しているそうです。そして、それらのタレントを活かすためにやはり重要となってくるのは、ビジョンであり、社内のリソースを把握した上で、適材適所で外部のタレントを配置・構成することです。

また、タレントを生かしたコラボレーションには、いくつかの欠点があることも、岸氏は指摘しました。第一に、入念な秘密保持契約(NDA)を行なう必要があることが挙げられます。さらに有名コンポーザーを起用する時には、他のタイトルとかぶらないように注意するなど、常にトレンドを把握したタレントの起用が必要であることが強調されました。また、コラボレーションのコストは高いため、プロジェクト全体の進展に合わせたタイミングで企画する必要性があります。

最後に、海外と日本の職業意識の違いを振り返り、海外の人々が効率性を求めるのに対して、日本人は達成感を求める傾向を岸氏は指摘しました。岸氏は日本人の職業意識もそれはそれで良いものとして認めながらも、うまく海外のマネジメントを取り入れていきたいと今後の展望を述べ、ドラッガーの有名な言葉「Think globally, act locally」を引用して セッションは終えました。
《今井晋》

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