主要ソーシャルゲームの課金額から考察する・・・「データでみるゲーム産業のいま」第7回 | GameBusiness.jp

主要ソーシャルゲームの課金額から考察する・・・「データでみるゲーム産業のいま」第7回

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今回も、前回に引き続きソーシャルゲームコンテンツの話題を続けます。前回は主にユーザープロフィールに焦点を当てた内容でした。今回はマネタイズの観点から主要コンテンツを考察いたします。
  • 今回も、前回に引き続きソーシャルゲームコンテンツの話題を続けます。前回は主にユーザープロフィールに焦点を当てた内容でした。今回はマネタイズの観点から主要コンテンツを考察いたします。
  • 今回も、前回に引き続きソーシャルゲームコンテンツの話題を続けます。前回は主にユーザープロフィールに焦点を当てた内容でした。今回はマネタイズの観点から主要コンテンツを考察いたします。
今回も、前回に引き続きソーシャルゲームコンテンツの話題を続けます。前回は主にユーザープロフィールに焦点を当てた内容でした。今回はマネタイズの観点から主要コンテンツを考察いたします。

対象としたコンテンツは『サンシャイン牧場』『怪盗ロワイヤル』『ブラウザ三国志』『探検ドリランド』『聖戦ケルベロス』の5本。いずれも現在のソーシャルゲーム市場を代表する有名コンテンツです。今回は、各コンテンツのMAUの中から課金ユーザー(MPU)を抽出し、その調査結果から各コンテンツの課金状況を算出しました。

【図1】をご覧ください。これは、昨年12月における、上記コンテンツそれぞれの「売上高」「課金率」「ARPPU(有料ユーザーひとりあたりの売上高)」を同一マップ上にプロットしたバブルチャートグラフです。バブル(円)の大きさはARPPUのスコアの大小と連動しています。

最初に目につくのは、GREEの2タイトル(探検ドリランド、聖戦ケルベロス)のARPPUの高さです。特に『探検ドリランド』は、売上、課金率とも近い位置にある『ブラウザ三国志』や『怪盗ロワイヤル』に比べてARPPUが大きく上回っており、マネタイズの面で非常に効率の高い運営をしていることがこのことからも分かります。

一般に、MobageよりもGREEの方がARPPUが高いといわれていますが、今回の調査結果もそれを裏付けるものとなりました。逆にいえば、『探検ドリランド』に比べARPPUが低いにも関わらず近い位置にある(=課金率、売上規模ともに近い)『怪盗ロワイヤル』は有料ユーザーの規模の面では『探検ドリランド』を大きく上回っているということになります。また、前回レポートで女性ユーザー比率が高いことをご紹介した『サンシャイン牧場』は、他のコンテンツとはビジネス形態がかなり異なっていることも分かりました。

もうひとつ別の分析データをご紹介いたします。

【図2】は同じくこれらの5コンテンツそれぞれの課金状況をグラフ化したものです。但し【図1】と違うのは、課金状況をARPPUのみの単一指標であらわすのではなく、その課金分布(課金の振れ幅)をチャート図にしている点です。作図の元データとしているのは、ARPPUの他にARPU(非課金ユーザー含むユーザーひとりあたりの売上高)とMPV(Median Payment Value:課金中央値)の2つを加えた合計3つの指標です。このMPVとは文字通り課金分布全体の中でちょうど中央に位置している課金額のことです。これは、言ってみれば、そのコンテンツをプレイしている一般的なユーザーの「標準的な課金額」を示す指標です。一部の高額課金ユーザーが平均値を押し上げている可能性のあるARPPUとはこの点において性格が異なるものです。このMPVとARPPUとの距離が長ければ長いほど、つまりチャート全体の中でMPVが左に寄っているほど、課金ユーザー全体の中で課金額の格差が激しいコンテンツであるということを示します。これら3つのデータを使ってそれぞれの位置関係を確認することによって、従来よりもそれぞれのコンテンツの課金状況が多角的に把握できます。

具体的には、「線の長さ(ARPPUとARPUの振れ幅)」と「MPVの位置」です。また、コンテンツ間で比較する際には、そのチャートそのものやARPPU/ARPU/MPVの各指標の位置関係を確認することも非常に有効です。

一番線が長く、MPVも5タイトル中最も左寄りに位置している『探検ドリランド』は、課金ユーザーの中で格差が激しい、すなわちごく一部のユーザーが非常に高額の課金をしており、その結果ARPPUを押し上げているという状況が推察できます。一方、線の長さが最も短く、ARPPUとMPVの位置も近い『サンシャイン牧場』は、ユーザー全体の課金傾向が画一的で、課金単価もおしなべて安価であることを示しています。このように、この2タイトルは課金傾向においては全く性格が異なるコンテンツであるということが分かります。『ブラウザ三国志』はちょうどその中間にあたるイメージでしょうか。また、『サンシャイン牧場』と『怪盗ロワイヤル』を見比べると、全体的な課金レンジは若干『怪盗ロワイヤル』の方が高いものの、MPVについては『サンシャイン牧場』の方が高いというのも興味深いデータです。

このように、定量データを使って分析する際には、単一指標ではなく複数の指標を使って複合的に考察を加えることでそれまで見えていなかった事象を顕在化させることができます。

ここで一点申し上げておきたいのは、ソーシャルゲームビジネスでよく使われるARPPUはあくまで結果指標であり、KPI(Key Performance Indicator:主要業績評価指標)として活用するのに適している指標であるということです。マネタイズ戦略上ARPPUを重視するあまり、課金体系がそのコンテンツを楽しんでいる大多数のユーザーの消費マインドと大きくかけ離れたものになってしまわないためにも、ARPPUだけではなく今回ご提案したMPVなどもあわせて複合的に活用した上で最適な意思決定をすることが非常に重要であると考えます。

かつてのゲーム専用機市場がそうであったように、どんな急成長産業もやがて必ず成熟期を迎えます。ソーシャルゲーム市場においても、この「課金の適正化」という問題を産業全体の課題として捉え、それに対し早期対応を図ることが求められるのではないでしょうか。

注)本レポートに掲載している課金データは、すべてユーザー調査に基づく推計値であり、実際のログデータではありません。あらかじめご了承ください。

ゲームエイジ総研
コンテンツアナリスト 池田 敬人

調査スキームについて
本ページ掲載のデータは、約2万サンプルを対象とした大規模インターネット調査の調査結果を元に、社会調査(訪問調査/毎月実施/1,200サンプル)をベースに構築したウェイトバック値(補正係数)により拡大集計したものです。この手法により、ネットバイアスを排除したユーザープロフィールの実像を推計することが可能となっています。なお、調査手法その他詳細につきましては、ゲームエイジ総研のHPにてご確認ください。
《池田敬人》

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