著作権の適切な活用でコンテンツ産業の飛躍を・・・ACCS久保田専務理事に聞く | GameBusiness.jp

著作権の適切な活用でコンテンツ産業の飛躍を・・・ACCS久保田専務理事に聞く

マジコン、P2Pソフト、ダウンロード違法化、などゲームやコンテンツ産業は著作権と切っても切り離せない問題です。しかし今ひとつ「著作権」という言葉に敷居の高さを感じてしまうのも事実。GameBusiness.jpでは社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の久保

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マジコン、P2Pソフト、ダウンロード違法化、などゲームやコンテンツ産業は著作権と切っても切り離せない問題です。しかし今ひとつ「著作権」という言葉に敷居の高さを感じてしまうのも事実。GameBusiness.jpでは社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の久保
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マジコン、P2Pソフト、ダウンロード違法化、などゲームやコンテンツ産業は著作権と切っても切り離せない問題です。しかし今ひとつ「著作権」という言葉に敷居の高さを感じてしまうのも事実。GameBusiness.jpでは社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の久保田裕専務理事・事務局長にお話を聞くことができました。

―――まずACCSの活動についてお聞かせ下さい

久保田: ACCSでは著作権をはじめとする知的財産権が適切に保護される社会を実現するため、三つの観点での活動を行っています。一つは「啓発・教育」です。これはポスターやチラシ等の配布や今回のインタビューのような形で広く著作権の保護、ひいては知的財産権の保護の必要性を周知していくということです。二つ目は「技術的保護手段」の検討です。これにはDRMの導入などの研究があります。最後は「法律・ルール」です。これには著作権を保護するための適切な立法を訴えかけていく活動や著作権侵害を受けた会員企業の権利行使への支援などがあります。我々はJASRACのように会員から権利自体を信託されている団体ではありませんので、メーカー等の著作権者と歩調を合わせて一心同体となって活動を行っています。


久保田専務理事


―――なるほど

これらの3つをバランス良く行っていくのが大事だと思っています。単純に著作権違反を摘発していくだけで問題が解決するわけではありませんし、法律を作ってもらうだけで解決するものでもありません。そうした活動が目立つのも事実ですが、実は地味に学校を回ったり、講演活動を行ったりという啓発活動にも力を入れているんです。

というのも著作権はもはやクリエイターと呼ばれる人やメーカーなどの企業だけのものではなくなっているからです。例えば携帯電話で写真を取っただけでも、それはその人の著作物になります。あるいは、子供の作文でも立派な著作物です。

インターネットが広まって誰もが創作物を公開できる世の中になり、他人に権利を侵害されるリスクも、他人の権利を侵害するリスクも増しています。しかし権利を上手く活用すれば大きなビジネスにも成り得ます。ですから、誰もが基礎的な知識として著作権を学ぶということが意味を持つ時代になったと思います。

―――著作権という言葉は知っていても、その中身は余り知られてないですよね

そうですね。意外に罰則が重いというのも余り知られていないと思います。著作権侵害には10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれらの併科という刑が規定されています。これは諸外国と比べても重い刑です。
この重さについては議論もある所ですが、考え方としては、日本という国は資源に乏しく、創意工夫を凝らして知的財産を生み出し、生きていくしかないという想いが込められているものだと解釈しています。

著作権保護というと利用を制限する方ばかりに目がいきがちですが、著作権を適切に活用することで新しいコンテンツを生み出したり、ビジネスを創造することができると思っています。そうした社会を作るのがACCSの最終目的です。

―――なるほど。どうしても悪いニュースばかりが目に付いてしまいますね

残念なことです。先日も、2テラバイト、本数にして1万2千本以上のアニメーション作品をファイル共有ソフトで公開していた男性が逮捕されました。ACCSが捜査協力して刑事摘発が行われた事件は、2010年度の一年間だけで45件に上っています。

ファイル共有ソフトによる事件は本当に多くなっています。「Share」や「Winny」などファイル共有ソフトの利用はほぼ違法な行為に直結しています。「Winny」の開発者は合法的なファイルも共有できると主張されていましたが、確かに理屈としてはそうなのですが、実際に我々が調査を行った結果では、こうしたファイル共有ソフトで共有されている著作物ファイルのうち、98%が違法なものであるということが分かっています。また、こうしたソフトではダウンロードとアップロードを同時に行うようになっていますので、ソフトを利用するだけでも違法行為を行うリスクが非常に高くなっています。

―――違法なファイルをダウンロードするだけでも違法というように法改正がありました

2010年1月から、違法にアップロードされたものと知りつつ映像や音楽などのファイルをダウンロードすることも違法とされるようになりました。これまで、ダウンロードに関しては私的利用目的の複製ということで合法とされてきました。しかしながら、私的使用目的の複製というのは書籍のコピーを取るとか、ビデオを録画するといったことを想定されていたものですから、現実に即した法改正と言えると思います。

ただし、違法ファイルのダウンロードが違法化されたと言っても、刑事罰は定められておらず、民事での対応となります。これは経過的な措置で、刑事罰を設ける方向での議論も実際に他の権利団体からは上げられています。ただしACCSとしては、現時点では刑事罰を設ける必要性を主張はしていません。アップロードする人がいるから、ダウンロードする人がいる、ということだと思いますし、まだまだ啓発によって現状を変えられる余地があると思っているからです。

―――改善されていくものでしょうか

可能だと思います。アメリカの団体が毎年調査をしている世界各国のPCソフトの違法コピー率調査の2010年の結果が発表され、日本は世界同率一位の20%にまで低下しました。昔の日本はこうした状況でなく、同調査で世界ワースト3位という年もありました。
しかし地道な啓発を続けた結果、今ではビジネスの世界で違法コピーソフトを使うというのは稀な状況になりました。これを一般コンシューマーの世界でも実現するのは無理な話ではないでしょう。

―――ゲームの場合、どのくらいの割合で違法ソフトが流通しているものなのですか?

そうした調査も行っていますが、割合や金額を全体として算出することは難しいところがあります。
しかし、例えばニンテンドーDS用のゲームソフトに関して調査した事がありますが、当時発売されていた全てのタイトルがファイル共有ソフトで共有されていました。

―――健全なビジネスを阻害していると言われます

その通りです。日本でPCゲームが勃興したPC-88の時代。人気ゲームはすぐにコピーが出回りました。いかにユーザーが増えても、こうした環境でビジネスは育ちません。特殊な機構を設けて、コピー対策を行った、任天堂のファミリーコンピューターなどの家庭用ゲーム機にゲームメーカーが殺到したのは当然の事でした。当時のパソコンと同じことが、携帯ゲーム機の分野で起きているように思います。「マジックコンピューター」いわゆる「マジコン」です。

「マジコン」は動かないはずの違法コピーゲームをゲーム機で動かしてしまう機器のことです。これに対して不正競争防止法をもって差し止め訴訟などを行われてきました。しかし不正競争防止法には刑事罰がなく実効性が乏しいものでした。そこで、マジコン自体を違法化する必要から、不正競争防止法が改正され、5月31日に成立、6ヶ月以内に施行される予定となっています。これにより、刑事罰が付加されるほか、同時に成立した改正関税法によって輸出入禁止品に追加されています。

―――立法に対する働きかけも機能しているということですね

さきほど話題となったダウンロードに関する著作権法改正は、ゲームも録画物、録音物としてその対象となっていますが、コンピュータプログラム自体を保護の対象とするような働きかけも行っているところです。


■著作権を活用するためにも知るべき

―――著作権を上手く活用して発展していくという方向ではどのようなことが考えられるでしょうか?

例えば、他人の著作権は絶対に使ってはならないというわけではありません。著作者に許諾を得ればいいんです。正式に許諾を得て、上手に加工や組み合わせを変えることによって新しいものを生み出す。そうした環境を整備するのが著作権の趣旨です。

著作権が守られないということは、クリエイターや市場に落とされる対価に影響していきます。どんな優れた物を生み出すクリエイターも対価が払われなければ創作活動を行うことはできません。著作権が守られない市場は必ず衰退していきます。それはPC-88の例でも分かる通りです。

著作権を生み出す人には特に著作権について学んでいって欲しいと思います。どのようなものがオリジナルと認められるのかを知れば、自分の表現の幅も広がるはずです。

ACCSが後援している「ビジネス著作権検定」は著作権に関連する全ての人を対象とした検定です。クリエイターや著作物を扱った仕事をされている方は是非初級、あるいは上級を受けてもらえればと思います。単に法知識として著作権を知っているだけでなく、実際のビジネスシーンでどのような判断をすればいいのか、実践的な内容になっています。是非受験して、著作権を知ることによって、コンテンツやビジネスを飛躍させるきっかけにしてもらえればと思います。

■ビジネス著作権検定

インタビューの最後に登場した「ビジネス著作権検定」とは、ビジネス実務や日常生活で必要とされる著作権に関する知識や関連する知識について、基礎的な理解や、判例や実務における実務的な応用力を測る検定です。

検定には上級と初級の2つのコースが存在し、それぞれマークシートの筆記試験で実施されます。次回は11月21日(日)に上級・初級の両方が全国10会場で実施される予定です。受験料は上級が7300円、初級が4700円。申し込みの締め切りは、10月30日(日)。

公開試験以外にも、企業や学校などで団体試験を実施することも可能。詳しくは公式サイトをご確認ください。

公式問題集やテキスト等も用意されていますので、是非チェックしてみてください。

■ビジネス著作権検定 第23回公開試験

試験日 平成23年11月20日(日)
申込締切 平成23年10月30日(日)
実施級 上級・初級
実施都市 全国10都市
《土本学》

メディア大好き人間です 土本学

1984年5月、山口県生まれ。幼稚園からプログラムを書きはじめ、楽しさに没頭。フリーソフトを何本か制作。その後、インターネットにどっぷりハマり、幾つかのサイトを立ち上げる。高校時代に立ち上げたゲーム情報サイト「インサイド」を株式会社IRIコマース&テクノロジー(現イード)に売却し、入社する。ゲームやアニメ等のメディア運営、クロスワードアプリ開発、サイト立ち上げ、サイト買収等に携わり、現在はメディア事業の統括。

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