■月曜日 現地スタジオツアー
奨学生はGDCの初日に行けず、DoubleFine、LucasArts、Playdomという三つのスタジオのツアーに連れて行かれました。
DoubleFineは小さめの会社ですが、BrutalLegendなどのヒットを飛ばしているメーカー。会社を4つのチームに分けて、10数人規模のチームでイノベーティブなゲームを生み出しているそうです。そういった紹介を受けた後、質問攻めに移ります。この時、普段ダイレクトに日本人に言えないような、日本企業に対する彼らの見解なども聞けて、自分にとって大きな収穫でした。
LucasArtsは言わずと知れた大企業、スタジオは宮殿のように大きく、スーパーモデルのような女性が館内を案内してくれました。こちらでも実際にクリエイターから話が聞けて、DoubleFineとは対照的な大きなプロジェクトにどのように立ち向かっているかを聴くことができました。
Playdomはソーシャルゲームの大手。前提知識はあまりなかったのですが、日本のようにケータイベースではなく、Facebookベースで発展している欧米のソーシャルゲームの裏側を知ることができました。
■火曜日 サミット/チュートリアル
月曜日と火曜日は、サミット/チュートリアルという、1日〜2日かけて続けて行われる長めのセッションを受けることができます。自分はオーディオブートキャンプを聴講。ランチタイムには、講演者の方と直接話せるテーブルが設けられ、非常に有意義でした。基本的に参加者と講演者の壁はまったくなく、気になる人がいればセッション後に近づいていけば話すことができます。
Audio Boot Campで見た内容:
・Introduction to Audio for Games - なぜゲームに音を使うのか?うまく使っている作品の紹介
・Interactive Music - 音楽をいくつかに分けてレイヤーのように重ねる、または組み替える手法の紹介
(Lunch)
・Interactive Sound Design
・Tech Talks Speakers: Alistair Hirst, Simon Carlile, Nicolas Fournel - それぞれ専門分野について話す。Nicolasさんのサウンドモデリングが個人的には面白かった。
そしてこの日は、自分のMentorと初めて会う日でもありました。ゲーム業界人なのでGDC中は非常に忙しいのですが、予定を合わせて一度は会うことができます。自分の場合はオーディオミドルウェアの会社創設者、という素晴らしい方とお会いでき、自分のやりたいことを世界の最前線で実践している人からアドバイスや紹介をいただけて、本当に夢のようでした。
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■水曜日 キーノート
この日はネットから見た人も多いかと思いますが、任天堂社長・岩田聡さんのキーノートがありました。個人的にはゼルダの最新トレイラーが見れたのも大きかったですが、やはり最後の「Believe」というメッセージには勇気づけられました。
そして昼には奨学生達とがZyngaの方々に招かれて食事。採用担当の方からは、「今俺達はスマートな奴がいたら数に制限無くどんどん雇っているんだ」という勢いを感じさせることが聞けました。また、ペタバイト単位のユーザーのプレイデータを使ってゲームを改良していく話も聞けて、未来を感じることができました。
また、SonyからPSMoveをPCで利用するMove.Meという新しい開発者向けツールの発表の場に呼ばれ、早期開発ができるといった機会をいただきました。
この日行ったセッション:
・Yu Suzuki's Gameworks: A Career Retrospective - ...He was charming, isn’t it?
・Development Process of Nintendo 3DS - 社長が訊く、を読んでいたらほとんど知ってる話だったかも
・Psychoacoustic Real-Time Mixing: Seven Secrets You Need to Know - 自分のMentorが講演者を務めたセッション。サウンドのミキシングについて、かなり詳しく紹介。
■余談 パーティ
GDC期間中は毎日どこかしらで色んなパーティが開催されています。自分はお酒は飲めないしパーティが得意な方ではないと思ったのですが、行ってみると(タダ飯食える場合もあるし)友人ができて楽しいです。
火曜日は学生が中心に集まるパーティに行って、仲良くなった4人と二次会に行き、MMORPGがどうしたらもっと楽しくなるか、ゼノギアスがそんなに好きならなんでゼノブレイドを知らないのか、などと語り合っていました。
水曜日はIASIG(Interactive Audio Special Interest Group)のパーティに行き、自分と同じInteractive Musicに興味がある人を見つけ、この人とはかなり仲良くなりました。後日会って音楽マインスイーパーを見せたら、びっくりして「IASIGで紹介させてくれ!」と言われたりしました。
(もう少しつづきます)
■著者紹介
岩本 翔
札幌ゲーム製作者コミュニティ”Kawaz”代表 / Twitter:@geekdrums