「iPad」がAndroidに敗れ去る5つの理由(前編)・・・・・・北村勝利「モバイルゲーム屋が見るビジネスの未来」第8回 | GameBusiness.jp

「iPad」がAndroidに敗れ去る5つの理由(前編)・・・・・・北村勝利「モバイルゲーム屋が見るビジネスの未来」第8回

いよいよ発売になった「iPad」。私も購入して週末中遊んでいましたが、非常に良い感触で、新しい何かが生まれるでろうという予感をヒシヒシと感じました。それは北村氏の家庭でも同様で、今までのPCでは味わえない体験がタブレットでは生まれそうです。ただ、「しかし

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いよいよ発売になった「iPad」。私も購入して週末中遊んでいましたが、非常に良い感触で、新しい何かが生まれるでろうという予感をヒシヒシと感じました。それは北村氏の家庭でも同様で、今までのPCでは味わえない体験がタブレットでは生まれそうです。ただ、「しかし」と北村氏は言います。詳しくは以下で。前後編です。(土本)

■パーソナルコンピュータからソーシャルコンピュータへ

まず「iPad」を購入して真っ先に行なった事がある。

それは溜まりに溜まった家族写真とビデオを「iPad」にまとめる事。

私には三人の娘が居てデジカメ、ケータイ、ムービーカメラで撮影したデータが山積している。その撮影された画像は皆で見る機会なくパソコンやDVDに焼かれて棚で埃をかぶっていた。

子供達の将来の為に記念としての姿を撮影しておいてあげよう、という親心であったので撮り溜め続ける事で満足していたが、皆で見られる機会を増やそうとデジタルフォトフレームを購入したりもした。

撮影する「機械」や「機会」は沢山あるけど、みんなで見る(共有する)「機械」がないなぁ、とはついぞ思っていたので直感的に「iPad」はその「機械」になると感じて、仕事用としていつでもアクセス出来る16GB+3G通信タイプとは別に、家庭用にはWi-Fiタイプであるが写真やムービーを入れるべく62GBタイプの2台を購入した。

写真の他にゲーム、楽器アプリ、お絵描きアプリと皆で楽しむ事を前提としたアプリをダウンロードしていたが、皆で楽しむことってPC(パソコン)すなわちPersonal Computer=個人的な利用方法ではないよね、と感じた次第。

つまり一人ではなく家族、友人、恋人etc…つまり複数の利用者で使う始めての「機械」なんだなって。

なのでパーソナル・コンピューターならぬ、今流行りのキーワードを使ってソーシャル・コンピュータなんだなって定義した方がビジネスにはめやすいな、と思っているところ・・・。

■デジタルデバイド<情報格差>

デジタルデバイドというキーワードはご存知ですよね?パソコンやネット環境を、「持つ者」と「持たざる者」に広がる情報格差がもたらす弊害の事を指します。

私も子供達にはデジタルデバイドを意識して、デジタルに触れる「機会」も「機械」も与えてきたのですが、現在のケータイ世代はケータイで十分とあってパソコンを活用してくれません。

ところが、「iPad」は取り合いの状況に。理由は簡単。

従来のパソコンでは、(1)スイッチを入れる (2)辛抱強くWindowsが立ち上がるのを待つ (3)IDとパスワードを入れる (4)アプリケーションを立ちあげる (5)ネットにつなぐ・・・と、YouTubeの動画を見るのに5分はかかる状況です。

とにかく、ケータイ世代の子供達にとって現在のパソコンは、やりたい事が出来るまでの準備作業が長過ぎて覚える気にならないのでしょう。

その点「iPad」は

(1)スイッチ入れて (2)指ではねてログインして (3)YouTubeアイコンをクリックする・・・これだけの5秒程度で出来るんですから比ではないですよね。

ケータイのお手軽感覚でPCのネット環境が使えるイメージでしょうか。

分からない事や興味を持った事は、すぐネットで調べる。収集、比較、参照して、多くのボキャブラリーを持ってベストな判断、意思決定が出来る。そんなデジタルを活用する理想の教育環境が「iPad」のお陰で整ったのではないかと思っています。

パソコンやネットに縁がなかった全てのユーザーを対象に出来るコンピュータ、それが「iPad」なのでしょう。

余談ですが、「The 10`S」というフレーズをどこかの業界の人から聞いたことがあります。2010年から始まるこの10年の社会的変化は、過去100年の歴史に相当するほどのエポックメーキングな2010年代になるという事らしいのですが、「iPad」の様なマシンの登場と進化と普及により、デジタルデバイドが解消される事が最大要因になるのではないかと思っています。

■精密機械だったコンピュータからマルチメディアボードへ

「iPad」は持ち運び、常に手に持って使うマシンですから堅牢性も高く作られております。また私的な使い方ですが、家にあるジップロックにいれて風呂での時間潰しにゲームしたり産経新聞を読んだりしています。

(ちなみに新聞との相性は抜群です。新聞社はこのようなデバイスを2年間の購読契約でしばり各家庭に無償配布してデジタル化時代の新しいプラットフォームを整備するべきでしょう。ただ、ここでも新聞販売店の利益というイノベーションのジレンマに囚われますが・・・余談が多くてスイマセン)

基本はパソコンなので精密機械なのですが、そのデリケートさを感じさせない「iPad」のハードウェア仕様は様々な利用シーンをイメージさせてくれます。

パソコンというよりも情報収集と加工ができるタフな電子ボードっていうイメージ。

汚れや水気が気になる農場や工場・浴場などで、大きな画面でタッチだけで使えるのですから現場の生産性向上やサービスの向上に活用できるアプリケーションアイデアは泉のように湧き出てくるでしょう。

だって今までは1台何十万円もする専門業界向けの特殊なPCの話でしかなかったのですから。

いいかえるならば、「タフさ」と「簡単さ」を兼ね備えた真の「いつでも・どこでも・誰でも」端末が実現できるのですから、ビジネスアイデアも広がるっていうものです。

(前編終わり)

「iPad」は素晴らしい。しかし悪夢は繰り返す → 続きは金曜日に

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■著者紹介

北村勝利
1965年 福岡県田川郡生。今年で起業20年。モバイルビジネス10年のキャリア。現在はモバイル系ゲームパブリッシャー、株式会社サクセスネットワークス代表取締役。Twitter @katz7777
共著に「マーケティング2.0」(翔泳社刊)
《北村勝利》

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