自社プラットフォームを展開する理由とは? ポリゴンマジック鶴谷社長に聞く・・・北村勝利「モバイルゲーム屋が見るビジネスの未来」第20回 | GameBusiness.jp

自社プラットフォームを展開する理由とは? ポリゴンマジック鶴谷社長に聞く・・・北村勝利「モバイルゲーム屋が見るビジネスの未来」第20回

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今回は数あるSAPの中でも長年ゲーム業界で生き抜いてきているポリゴンマジックの鶴谷社長に、今後についてのお話を伺ってきました。
  • 今回は数あるSAPの中でも長年ゲーム業界で生き抜いてきているポリゴンマジックの鶴谷社長に、今後についてのお話を伺ってきました。
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今回は数あるSAPの中でも長年ゲーム業界で生き抜いてきているポリゴンマジックの鶴谷社長に、今後についてのお話を伺ってきました。


ポリゴンマジック株式会社 
代表取締役 鶴谷 武親 氏


北村: ソーシャルゲームではモバゲータウンで好成績を収めていますし、自社でもプラットフォーム展開をする「ポリマジゲームス構想」を表明されました(プレスリリース)。そこのところのお考えを伺いたいと思います。まずはポリマジゲームス自体の進捗はいかがですか?

鶴谷: 1月中にはいろいろなコンテンツが揃う予定です。ガラケーをメインにするのか、PCやスマートフォンに広げていくのかはまだ検討中ですが、自社のコンテンツと他社のコンテンツ両方を提供していく予定です。

現時点で課金まわり、ゲーム内通貨、本通貨のシステムはすでに動いています(キャリア課金とウェブマネー)。売り上げは鋭意努力していく、という感じです。

「もの作り」としてやることの重要性を優先しながら、マーケティングも考えて行きたいと考えています。OEM的にリアルの店舗系とケータイビジネスと連携してやっていくというアイディアもあります。

北村: もうそんなに進んでいるんですね。ところで、この発想に行き着いた背景をお聞かせ下さい。

鶴谷: まずは弊社の立ち位置の所から解説させて頂きたいのですが、弊社は15年目を迎えるゲームデベロッパーでして、アーケード時代からコンソール、PCと時代の変遷でゲームに関わって来ました。中でもソーシャルゲームという新しいカテゴリーは凄く重要な取り組みという認識なんです。

といいますのも、今までは売上の大半は受託案件で、弊社のお客様というとまずは企業クライアント(BtoB)、その次に実際に遊んでいただくユーザー(BtoBtoC)だったんです。

ただ、ビジネスのあり方や投資サイズなども含めてもっとエンドユーザー寄りに変えていきたいという気持ちが常にあって、まずはユーザーありきで、どういう体験をしてもらってお金を気持ちよく使ってもらうかという感性を大事にしたいんです。それが、結局は受託におけるクライアント企業への貢献につながると思うんです。

ソーシャルゲームはユーザーに一番近い存在。厳しさやおもしろさも含めて、お客様の動きを気にしないといけないので。ですから、エンドユーザーに近いソーシャルゲームは弊社の歴史的背景からしても重要な取り組みになります。

北村: よくわかります。特に受託案件が増えるとエンドユーザーが見えなくなって来ますよね。とはいえ自社でプラットフォーム展開するというのは思い切った取り組みですが、勝算は?

鶴谷: 正直に言っちゃうと長期的な戦略云々ではなく、見ておかなくちゃいけないから。ゲームデベロッパーの試練として、鍛錬として「やらなくちゃいけない」という観点で取り組んでいます。

ゲームの最適化をして、ユーザーログを見て、どうやってユーザーを獲得するのか、ビジネスモデルはどうするか・・・自らがプラットフォームになると考えるポイントが多くなります。

他社様のプラットフォームに乗っている状態ではわからない事も沢山ありますから。実際にエンドユーザーと対峙する事で学んでいこうという考えです。

作り手としての想いもあります。プラットフォームや技術が変わってきているなかで「お客様に喜んでいただく」という本来の目的を達成する、という観点であればプラットフォームはあくまでも手段にすぎない。

どんなプラットフォームが一番お客に喜んでもらえるかを悩んだり、予測したり、考える事、いわゆるサービスを考えることもゲーム作りの一環だと考えています。

Facebookであれ日本のSNSであれ、ゲームを提供するというスタンスとプラットフォームのスタンスは違います。

入り口から中身まで全部見て改善する、もっともよい環境でコンテンツを提供するにはコンテンツだけじゃなくてプラットフォームの部分も見ていないといけないのでは?と思っています。それにより、プラットフォーム企業とお付き合いする際にも、よりよいコンテンツを提供したり、より的確な要望を出したりできるようになる、と思っています。

■面白いものを作りたい
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北村: なるほど。目線が高いですね。ゲーム以前にサービスという視点は勉強になります。今のお話を伺って御社の成り立ちに興味が出てきました。そこのところを。

鶴谷: 成り立ちはデジタルハリウッドやIMJと言った企業と同じグループとして始まりました。日本のネットの勃興期で、皆でワイワイやってました。3Dポリゴンを研究、製作し、ゲームコンテンツとして提供する会社としてスタートしています。社歴15年で、社員数130人を超えています。ちなみに独立系です。

事業分野は、アーケード系(ゲームセンター)、コンソール、遊技系(パチンコ・パチスロ)、オンライン、ソーシャルと多岐に渡りますが、売り上げの半分は受託開発です。

北村: 私も現在の会社の代表を務めるにあたって、ゲーム分野は初めてだった事もあり、ゲーム会社や歴史、ビジネス構造を改めて調べたのですが、大手パブリッシャーは別としてアーケード時代から現在まで生き残っているゲーム系の中小企業は意外と少ないんですね。

鶴谷: そうですね。アーケード、コンソール、PC(非オンライン)、1〜2年にひとつ新しいプラットフォームに対応してきた形ですね。すべてのプラットフォームを体験してきている事が弊社の強みでしょうか。

北村: 同じ経営者としての興味本位な質問なのですが(笑)売り上げ管理の分類はどういう分け方されてます?

鶴谷: 大きく3つの構成です。

・遊技機受託部門=パチンコ・パチスロ
・ゲーム受託部門=アーケード、コンシューマー、ソーシャルゲーム
・自社部門=ライセンス料、開発ロイヤリティ、レベニューシェア、商品売上

受託は売上の半分程度を占めていますが、「新しいものをやっていないと死んでしまう」、という野性の勘で、常に時代を先取りしたR&D(研究開発)をやってきています。

実はR&Dから派生したライセンス収入も一定量育っています。

例えば・・・

「ドットコード」というライセンスビジネスを早くからやっています。アーケードにあるカードゲームのカード部分の技術ですね。


ドットコード


サッカーゲームもできますし、100枚並べてもちゃんとスキャンできる。2次元バーコードでは不可能だった「向き」の情報を持たせることもできます。赤外線のセンサー技術をつかっている非RFIDの印刷技術です。コードが見えない形でフルカラー印刷が出来るカードです。カード1枚につきロイヤリティが入る形態です。

R&Dやライセンスというと大げさですが、面白半分というか、楽しんでやった結果です。

楽しんでやったといえば日本未発売の釣りゲーもやっています。

北村: しかも、リアル釣りゲー(笑)。Wiiに釣竿がくっついてるじゃないスか?(驚)


WE FISH


鶴谷: そうなんです。『We Fish』というWii向けのパッケージでアクティビジョンというパブリッシャーが欧米で展開しています。ラパラというルアーメーカーのブランドを使ったゲーム、というシリーズはもともとアクティビジョン側にあって、新たな方向性とオプションリールに合わせて開発したゲームです。海外パブリッシャーと直接共同開発することや、様々な釣りプレイにあわせてゲームバランスを合わせないといけないのが難しかったですね(海外の紹介記事)。

北村: おもしろい。ではインタビューは続きますが「現在」注目していることは何ですか?

■データマイニングに注目
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鶴谷: データマイニングが楽しいですね。弊社の求人にも出していますが、数学者を募集しているくらいです。ソーシャルゲームに対しての取り組みが楽しく且つ重要だと思うのは、データマイニングのためのログ情報が多いからなんです。

誤解を恐れずに言わせていただきますが、ゲーム業界の失敗でいえば、日本は映画型・作家型のゲーム作りを追及した一方で、アメリカはテレビ型というかユーザー動向を分析、マーケティングして仕組みを作る方法、ゲームシステム、エンジン、AIという方向にいった。ゲームシェアNo.1の座を奪われた要因の1つがここにあると思っています。

ご存知の通りソーシャルゲームもデータマイニングが命です。

ちょっと前でいえばセマンテックウェブみたいな。ウェブ上のデータを分析して最適化するという流れにいくのではないか、と。ここに注力するためにも数学者を募集している位です(笑)

北村: ゲーム業界で話題になった昨年末のNHKの特番にもありましたが、コンソールの世界トレンドもデータマイニングの流れになっていますね。

鶴谷: 日本の状況は、というと・・・。

一部の現場では、昔パッケージ販売の実績があるプロデューサーのいうことがすべて・・・のような、皆「監督」扱い。映画業界みたいです。監督がすべて決めて、社長も口出せないみたいな風潮。ユーザーに「何がウケるか!?」ではなくて、「何が作りたいか!」で作っている。産業が衰退していくような状況も含めて映画業界に似てきている。

ただ、一概に悪いと思ってはなくて、アーティストの世界はあるべきだろうし、同時に敬意も持っています。でもビジネスになったときはあくまでも「商品」。

みんながアーティストならいいけれど、実際には海外のピュアビジネスで「商品企画=ビジネス」を追及している企業と戦わなければらない。これに焦りを感じます。

北村: 事実、世界市場のシェアで見たときには数字で負けていますからね。では、今後の取り組みという意味でスマートフォンに対してのお考えをお願いします。実は結構出してるんですね。すでに。

鶴谷: 去年の実績としては、ゲームにこだわらずアプリを複数タイトル出しています(主な開発実績)。

アンドロイドに関してはプラットフォームとしてのスタンスも維持しつつ、どういったところがお客様に受け入れられるかを見ていきたいですね。

オープンフェイント対応のものも開発していますので、ソーシャルアプリやMORPGなどのブラウザ型とDL型アプリの2本立てで見ていきます。

プラットフォームに関しては、まだ勝者が決まっていないので、自社のプラットフォームを立ち上げる事に力を入れながら、市場がどこを選ぶか、を見ていくつもりです。

北村: では最後に・・・唐突な質問になりますが5年後なにやってます?(笑

鶴谷: おー。そうきましたか。そうですね、電子教科書をやりたいですね。13年前に着想して作った会社もあるくらいでして。実は既に東京都の教育デジタル化事業などをやっています。

ゲームデザインは、飽きさせないという意味で教育のコンテンツ設計の大切なエッセンスだと思っていまして。

頭のところで勝たせるからもう1回やろうと思うけど、簡単すぎるとバカにしてるのかと思って子どもはやらなくなる。

適度なハードルを用意しないといけないけど、ハードルが長すぎるとやめちゃう。長すぎて飽きる前に次の勝利を与えないといけない仕組みです。

教育という異なるジャンルのなかに、ゲームやデジコンで培ってきたノウハウが流れていく、それによる貢献が多々ある、またその逆も然りだと思いますね。

たとえばデータマイニングやテキストマイニングなど、コンテンツ業界で使われてこなかったものが入ってきて、それを改善していって、教育や社員育成だとか、何かの製造プロセスの改善に生きていくみたいなことですね。

北村: 大いにありえるビジョンですね。ゲームで培ったUI設計力は必ず役に立ちます。

―――長時間ありがとうございました。
《北村勝利》

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