【GDC2010】海外デベロッパーが考える生き残り策〜SUMO DIGITAL | GameBusiness.jp

【GDC2010】海外デベロッパーが考える生き残り策〜SUMO DIGITAL

GDCが拡大するにつれて、世界中から数多くの業界人が集まるようになり、その役割も変わってきました。今日では会期中、会場周辺の高級ホテルでスイートルームが予約され、さまざまな商談やインタビューなどが行われています。参加者に目のつきやすい会場内だけでなく、G

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GDCが拡大するにつれて、世界中から数多くの業界人が集まるようになり、その役割も変わってきました。今日では会期中、会場周辺の高級ホテルでスイートルームが予約され、さまざまな商談やインタビューなどが行われています。参加者に目のつきやすい会場内だけでなく、G
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GDCが拡大するにつれて、世界中から数多くの業界人が集まるようになり、その役割も変わってきました。今日では会期中、会場周辺の高級ホテルでスイートルームが予約され、さまざまな商談やインタビューなどが行われています。参加者に目のつきやすい会場内だけでなく、GDCの外側でもまた、熱いビジネスが展開されているのです。

筆者もまた、ゲーム・IT向けの職業紹介やコンサルティングなどを手がけるカイオス・記野直子さんのコーディネートで、海外ディベロッパーに特別インタビューを行いました。取材先は独立系ゲームディベロッパーの集合体である米Foundation9と、その傘下のスタジオである英SUMO DIGITAL。質問に答えてくれたのは、Foundation9で欧州マネージングディレクターを務めるカール・ケーバーズ氏と、SUMOのスタジオヘッド、ポール・ポーター氏、そして同クリエイティブ・エバンジェリストのショーン・ミラード氏です。

Foundation9のカール・ケバーズ氏(左)、ショーン・ミラード氏(中央)、ポール・ポーター氏(右)


SUMO DIGITALの公式サイト同社が開発した主要タイトル


SUMO(スモウと読み、名刺にも力士のイラストが印刷されています)は英シェフィールドで120名以上のスタッフを抱えるディベロッパーで、2007年にはインドに「SUMO INDIA」として約50名のスタジオをスタートさせるなど、国際化も進めています。主なタイトルには『バーチャテニス2009』(セガ)、『Formula 1 2009』(コードマスターズ)、『GTI Club Plus ラリー コートダジュール』(コナミ)などがあり、日本のパブリッシャーとの取引実績も抱負です。

日本のゲーム業界では海外市場に向けたゲーム開発の重要性が増していますが、一方で欧米のゲーム業界もまた、不況の波に苦しんでいます。混迷を続けるゲーム業界の中で、彼らはどのような生き残り策を模索しているのか、話をうかがいました。


―――近年、欧米のゲーム開発シーンではメタクリティック(*)のスコアが非常に重要視されていますが、日本ではまだ、その存在自体があまり知られていません。このことをどのように感じますか? また高いスコアを得るために、どのような工夫をされていますか?

(*)メタクリティック(http://www.metacritic.com/)
海外でレビューサイトや雑誌などのスコアを集計し、その平均点を紹介しているサイト。映画・DVD・ゲーム・音楽などのカテゴリがあり、メタクリティックのスコアとゲームの販売本数は一定の相関関係があるとされる。近年ではメタクリティックで一定以上のスコアを納めることが、受注開発時の契約条件に盛り込まれる例もあるなど、ゲームビジネス全般に影響力を及ぼしている。

メタクリティックのスコア例


カール:うーん、どうだろう。究極的には、おもしろいゲームを作ることだね。

―――質問を変えます。メタクリティックのスコアは、ゲームの仕様の有無に基づいて上下する印象があります。たとえば、すごくおもしろいゲームだけど、オンライン機能がないためマイナス10点といった具合です。いかがでしょうか?

カール:オンラインプレイはとても重要だね。モデムの通信速度が28.8kbpsだった時代から、両チーム22人で楽しめるオンライン・サッカーゲームがあったくらいさ。これはすごくおもしろかったし、これがもっと重要になることは、当時からわかっていた。なので僕らはオンラインの仕様を常に重視してきたし、今ではオンラインが単なるシングルプレイの追加要素ではなくなっている。最初からオンラインモードを組み込むことを前提に、ゲームをデザインしているんだ。

ショーン:僕らはオンラインプレイはゲームモードの一つではなく、ゲームユーザーのコミュニティを築くツールとして捉えている。ただゲームで遊ぶだけでなく、ユーザー・クリエイテッド・コンテンツの要素についても積極的に取り入れているし、これがゲームなのか、ツールなのか、そんなことは意識しないで自然に楽しめるように注意している。これらを考慮してゲーム開発を行うことで、ユーザーの総合的なゲームプレイ体験が提供できるんだ。

一つの例として、とてもシンプルだけど効果的だったと思うのは、僕らが作った『New International Track & Field』(コナミ/http://www.newtrackandfield.com/index.html)だ。陸上競技が楽しめるDSのアクションゲームで、一人で遊ぶだけでなく、Xbox Liveのゲーマープロフィールのように、友達のスコアやタイムをウェブ上で確認できる。それもリアルタイムに情報がダウンロードされて、ニュースフィードの形で見られるようにしたんだ。このように、ユーザーコミュニティ独自の目標を設定することで、より効果的なプレイ体験にユーザーを導けるんだ。

もっとも、こういったサービスをゲームの発売後も維持・管理するのは大変だ。似たようなことは他のゲームでも行われているけど、ゲームの発売に合わせて行うだけで、継続して行われる例は少ないと思う。だいたい発売後5〜6ヶ月くらいかな。でも『Track and Field』の場合は、世界中のユーザーがウェブを通してコミュニケーションをとったり、競い合うことができるので、ユーザーコミュニティを強化することは不可欠だと思ったんだ。もっとも、これは2年前の話なので、今はもっとネットユーザーが増えているよね。対戦モードや協力モードをゲームに加えて欲しいという声はよく耳にするよ。

ただし、これは友達同士でテレビの前に座って、画面分割モードで遊ぶことじゃない。オンラインプレイが重視されているんだ。逆にファミリー向けのゲーム、たとえば『レゴ スター・ウォーズ』などでは、画面分割モードが求められる。いずれにせよ、これらのモードやオンライン要素を強められれば、メタクリティックのスコアを10点以上、上げられるんじゃないかな。

―――ハードコアゲーマー向けのタイトル開発の時は、画面分割プレイではなく、オンラインプレイが重要ですか?

ショーン:それはもちろんだよ。もっとも家族そろって遊ぶ時や、仕事から帰ってきて一家団欒に用いられることもあるから、そんな時は画面分割プレイが必要だけどね。また学生のゲーマーにも画面分割プレイは人気なんだ。

カール:つまりグループ・アクティビティが重要だってことだね。

―――欧州のコンソール機のネット接続率はどれくらいでしょうか?

カール:正確にはわからないけど、総じてXbox360はPS3よりネット接続率が高い。各国ごと、地域ごとの接続率については、何ともいえないね。

―――メタクリティックの信頼性をどのように捉えていますか?

カール:もちろん理想のツールじゃない。でも、誰もが一目でわかりやすいので、ゲームのクオリティを判断する上で、使いやすいツールだと思うよ。ほとんどの場合で、開発費が50万ドルと1000万ドルのゲームでは、スコアにはっきり差が出るしね。メタクリティックでトップスコアのゲームは、市場でも一番売れる。そのためメタクリティックは100%じゃないにしろ、公正な評価ツールに思えるよ。

ショーン:メタクリティックは何百もの雑誌やウェブに掲載されたレビューの平均点を取ることで、そのスコアが裏付けられているし、これが高い信頼性につながっている。実際に誰が行っているかはわからないけど、ウェブ上のレビューを徹底的に探して、記録する「人たち」がいるので、この数値を信用せざるを得ないと思う。

―――メタクリティックのスコアが、これほどまでに影響力を持つようになったのは、何年くらい前からですか?

ショーン:僕らはマーケティングやビジネス関連で過去3年間使ってきたけど、他のパブリッシャーでは少なくとも5年間は使っているね。

カール:そこではやはり、「オンライン」が関係しているね。これはユーザーコミュニティがネットで情報を集めるようになったからだし、だからゲームでも、オンライン関係の仕様も重視される。

ショーン:でもそれは、メタクリティックだからというわけではなく、レビューのプロセス自体にかかわる点だと思う。たとえば『ダークサイダーズ〜審判の時〜』(コナミ)は高い評価を得たアクションゲームだけど、オンラインはあまり重視していない。このように、レビューの過程でジャンルが深く関係するんだと思う。僕らが得意としているようなレースやスポーツといったジャンルでは、だいたいオンライン機能が必要だね。

―――日本のゲーム開発ではフォーカステストをほとんど行いませんが、御社ではどうでしょうか?

カール:実は僕らもそうで、フォーカステストは行っていない。でも同時に開発段階で外部の評価や意見を、何らかの形で取り入れてはいるんだ。操作性の良さや適正な難易度だったり、ゲーマーから好感が得られるようなゲームに仕上がっているかを確かめるには、良い方法だと思う。特にレースゲームでは開発中のゲームを遊んでもらって、ゲーマーからフィードバックを受けることが必要だね。

ショーン:自分たちだけのためにゲームを作っているのではないことは自覚している。でも日本でも同じだと思うけど、フィードバックを受けても、それに従ってゲームを調整することに抵抗があるんだ。だいたい何も変えられないことが多いよ。もちろん努力はするけどね(笑)。

ポール:ただ、一番嬉しいのはゲームの内容をまったく知らないユーザーに遊んでもらった時、あまりにゲームがおもしろくて、コントローラーを手放せなくなっているような状況を見るときだね。そんな時「良くやった!」と思うんだ。そもそもクオリティが高くておもしろいゲームを作っても、僕らはユーザーが実際に遊んでいる光景を見る機会が、ほとんどどない。そんな時こそフォーカステストってすばらしいって思うね。

―――御社は日本のパブリッシャーとも直接、開発受注をされていますが、日本企業とビジネスを進める上で、何か注意している点や、必要な体制作りなどはありますか?

ポール:日本企業だからどうこう、ということはいえないけど、一般論としては、どんな文化であっても、互いに敬意を払うことは大切だと思うよ。我々が最初に日本のパブリッシャーと仕事をしたのは、2004年のXbox版『アウトラン2』で、日本のセガとだったけど、そこから6年間における我々の経験では、まずお互いの考えや特性に価値があることを、それぞれ理解しないといけない。その上で相手先の日本のパブリッシャーに、自分たちが開発するものの価値を認めてもらう必要があると思っているんだ。今では、この条件が両立していると思っているよ。

たとえば自分たちが考えているアイディアが一番優れていると思い込んでいては、他の考えを受け入れることは難しいよね。でも我々はアイディアなどを共有したり、互いの考えを取り入れることが大事だと思ってきたんだ。そもそもSUMO DIGITALを起業する前から、他のゲームスタジオでもゲーム開発を続けてきたけど、パブリッシャーが必要としていることと、自分たちの考えが必ずしも同じではないということは、自覚してきた。ゲーム作りは単独で進むのではなく、常に協力体制が必要だからね。

ショーン:とはいえ、僕らと日本側の関係は、ただ言われたことを100%受け入れるような、一方通行な体制じゃない。シリーズ物の開発では、タイトルのブランド価値やゲーム性などに敬意を払いつつ、どんな風にすれば今の時代に即したものにできるかなど、たくさんの話し合いを行うんだ。セガやコナミとは、お互いの意図を考慮しつつも、思っていることは隠さずにぶつけ合う、相互的な関係が作れているよ。この中ではエゴの対立はない。とにかく正直につきあうことが大事だ。また日本の文化を尊重することも、ずごく大切な要素だと思っているよ。

ポール:あとは、できるだけ長い時間を共有することかな。仕事が終わった後で一緒にカラオケに行ったり。

ショーン:そもそも僕らは漫画やアニメ、ゲームなど、日本のポップカルチャーが大好きなんだ。ガンダムとか少年ジャンプとか。これはすごく大きいね。

―――それでは最後の質問ですが、世界的に景気が後退する中で、今後のゲーム業界で、どのような生き残り策を考えていらっしゃいますか? 

ショーン:不景気になると、所得に余裕がない人たちは、外食の回数を控えるかもしれない。でもゲームは家の中で長時間遊べるので、それほど買うのに抵抗がないと言われているんだ。このことの正否はわからないけど、少なくとも僕らはユニークな立場にいると思うよ。というのもSUMO DIGITALはFoundation9の傘下にいることで、パブリッシャーとの雑務にふりまわされることなく、おもしろいゲームを作ることに専念できるんだ。しかもEAやアクティビジョン・ブリザード、セガ、コナミ、ディズニーといったメジャー・パブリッシャーとつきあいがあるので、たとえば予算が厳しくなっても、大幅な業務の変更は避けられている。もちろん厳しい状況にかわりはないけどね。

ポール:2つの重要なポイントがあると思っている。1つめは、どんな時でも柔軟な体制がとれること。2つめは、何があってもクオリティを最優先することかな。

―――ありがとうございました。

30分ながら濃密な取材だった


約30分の取材でしたが、一番印象に残ったのは、ゲームのプレイスタイルの違いでした。日本ではコアゲーマーは長時間黙々とゲームをプレイすることを好む傾向にありますが、欧米では対戦や協力プレイなど、みんなで遊ぶことを好む傾向にあるということです。一説には北米のXbox360のインターネット接続率は約50%だと言われますが、想像以上にオンラインプレイが求められていると感じました。

また『New International Track & Field』で、2007年発売のDSタイトルでありながら、ユーザーコミュニティが前提の仕様になっていた点にも驚かされました。このようにプラットフォーム化を見越したゲーム企画の提案は今後、開発会社においても、ますます求められることが予想されます。また、こうしたオンラインプレイとの親和性の高さが、ネットの口コミ効果やメタクリティックの重要性にもつながっているのでしょう。

こうしたことは頭ではわかっていても、実際にユーザーのゲームシーンを肌身で感じていないと、つい忘れてしまいがちです。そのためにも(同社ではそれほど重要視していないと答えていましたが)、日本企業が海外市場を前提にゲームを開発する場合は、フォーカステストなどを通して、現地の評価を得ることが重要であるように感じられました。

(コーディネート:記野直子/翻訳協力:オーラ・カイ)
《小野憲史》

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