動画配信にゲーム楽曲は使ってOK? SNS/UGCサービスと著作権管理事業者の「包括契約」とは【CEDEC 2023】 | GameBusiness.jp

動画配信にゲーム楽曲は使ってOK? SNS/UGCサービスと著作権管理事業者の「包括契約」とは【CEDEC 2023】

フリー素材ではない既存のゲーム楽曲を使って動画配信をする場合、それは著作権侵害にはならないのか?

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動画配信にゲーム楽曲は使ってOK? SNS/UGCサービスと著作権管理事業者の「包括契約」とは【CEDEC 2023】
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フリー素材ではない既存のゲーム楽曲を使って動画配信をする場合、それは著作権侵害にはならないのか?

配信者であれば誰もが一度は悩むこの問題。ゲーム実況者にとってはまさに日常茶飯事ですが、たとえば「この曲をBGMに踊ってみた」というような動画も著作権侵害になってしまうのでしょうか?

以下、「CEDEC 2023」で行われた講演「みんながハッピーになる音楽著作権運用の最前線」から「楽曲の配信利用」の部分を抜粋してレポートします。登壇者はノイジークローク代表取締役CEOで様々な有名ゲーム楽曲を手がけている坂本英城氏と、同社マネジメント部ライツマネージャーの陣内優希氏です。

「音楽の著作権」は面倒臭い?

今回の講演の議題は「ゲーム音楽をもっと使ってもらうためには」。コンサートやイベント開催中のブースでのBGM、或いは上述の通り配信活動に広く利用してもらうための知識や現状等が解説されました。

しかし、「音楽の著作権」というと「一筋縄ではいかない」という印象を抱いている人が多いのではないでしょうか。

「まぁ~……面倒臭いイメージしかないですねぇ」(坂本氏)

「そうですね(笑)」(陳内氏)

CEDECとは思えないほどざっくばらんな雰囲気で始まったこの講演、まず初めに陳内氏から注意事項があります。

  1. いわゆる「権利の買い取り」の制度自体に反対する意図はありません

  2. 著作権管理事業者の活用こそが全ての解決の手段、という結論ではありません

  3. 厳密な意味では不正確な表現となっている可能性があります

それを踏まえた上で、「音楽著作権の利用」に関する話が進められました。

「著作権」の内訳

まずは「著作権」についてのおさらいから。

  • 著作者:著作物を創作した人

  • 著作権:著作者に自動的に発生する権利

  • 著作権者:著作権を持つ人

この3項目を鑑みると、対象の楽曲を作り出した作詞家・作曲家は「著作者かつ著作権者」になります。しかし、ゲーム業界の場合は「権利の買い取り」が自動的に行われることが大半のため、著作者は著作権者でないことも。つまり「著作者ではあるけれど著作権者ではない」ということが頻繁にあるという意味です。

「ここからもう難しいですね(笑)。頑張りましょう」(坂本氏)

その上で、いわゆる「著作権」には3つの柱があります。

  • 著作者人格権-著作者から第三者への譲渡不可

  • 著作財産権-著作者から第三者への譲渡可能

  • 著作隣接権-いわゆる「原盤権」はここに含まれる

「“財産権”だから、お金が絡む権利ですか?」(坂本氏)

「左様でございます!」(陳内氏)

上に出てきた「原盤権」は、基本的には原盤制作費を負担した人が持つ権利です。ゲーム業界では、原盤権者=発注者(ゲームメーカー)であることが殆どとのこと。

つまり、受注者である作曲家が発注者に対して譲渡する権利は「著作財産権」に該当します。著作者人格権は当初から移動できず、著作隣接権は元から発注者の手にあります。

「原盤権も持ってる強気な作曲家知ってますよ!」(坂本氏)

「わっはっはっはっ! まぁ、そういうこともあり得ますね。でもそれ、強気というか条件次第だと……」(陣内氏)

著作財産権と原盤権で何ができるか?

次に、著作財産権と原盤権があると何ができるのかを解説します。

  • 許諾の判断ができる

  • 利用料を徴収できる

「つまり、著作財産権を有していることで“使っていいですよ”“使わないでください”と判断できるわけです」(陣内氏)

さて、その著作財産権を集中管理してくれるのが読者の皆様もよく知っているJASRACやNexToneといった著作権管理事業者です。ただし、ここで重要なのが著作権管理事業者は著作者人格権や原盤権を含む著作隣接権は管理していないという点。

「従って、何でもかんでもJASRACさんに相談すればいいかと言うと、決してそうではありません」(陣内氏)

著作権管理事業者の意義

何かと話題になることが多い著作権管理事業者ですが、そもそもなぜこうした事業者が広く利用されているのでしょうか?

主な理由としては、著作財産権を持った事業者(ゲームメーカー)が著作権を直接管理すると、その問い合わせに対応する窓口を設けなければならなくなるからです。人的コストや時間的コストがかかる上、担当者は著作権に対する完璧な知識を持っていなければなりません。

「だから、公式サイトにガイドラインを記載して“ここを読んでくれ! 終わり!”というメーカーも存在します」(陣内氏)

「このスライドの絵が、デメリットしかない感じですね!」(坂本氏)

故に、当初から著作権管理事業者に任せることで人的/時間的コストの削減や専門家による適正な著作権運用、利用拡大、さらに徴収漏れを回避できるというメリットも。

旧Twitterは「包括契約」を結んでいない!?

しかし、そんな著作権管理事業者も「手が出せない分野」が存在します。

それが「インタラクティブ配信にかかる手数料」です。


《澤田 真一》

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