JCGを買収した日テレから、「ゲーミンググミ」販売ブースまで―eスポーツブースレポート【TGS2023】 | GameBusiness.jp

JCGを買収した日テレから、「ゲーミンググミ」販売ブースまで―eスポーツブースレポート【TGS2023】

今回は2023年9月に開催された「東京ゲームショウ2023」のビジネスミーティングエリアを取材。eスポーツ業界以外の企業が「eスポーツ業界への参入を決めた理由」など、面白い話を伺うことができたのでレポートします。

文化 eSports
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「弊社もeスポーツ業界に参入したい」

そう思ったものの、何から手をつけたら良いか分からず悩んでいる企業担当者は多いでしょう。

今回は2023年9月に開催された「東京ゲームショウ2023」のビジネスミーティングエリアを取材。eスポーツ業界以外の企業が「eスポーツ業界への参入を決めた理由」など、面白い話を伺うことができたのでまとめました。

自社のeスポーツ業界参入を後押しするヒントが見つかるかもしれません。

空間作りのプロフェッショナルがeスポーツに参入
セイビ堂

ーーeスポーツへの取り組みを始めた経緯を教えてください。

弊社は看板制作、デジタルサイネージ、照明、映像装置、配信装置などを専門としています。eスポーツは照明や配信システムと非常に親和性が高いため、既存の技術を活かしてeスポーツプラットフォーム「SOL TOKYO」を開発し、eスポーツビジネスを始めました。

SOL TOKYOは、eスポーツの大会をオンライン上で簡単に開催できるもので、大会での勝利時につくポイントをためてストックできる仕組みがあります。

そのポイントを使って、弊社が運営するゲーミンググッズECサイト「LEVELIQQ GAMES」で若年層でもお金をかけずにゲーミングギアを揃えられればいいなと思っています。

ーー御社オリジナルのゲーミングギアを教えてください。

ヘッドホンスタンドや光るアームスタンドなどを提供しています。おしゃれに光るインテリアとしての役割も果たしてくれます。

弊社ならではの機能としては、モニターと照明を接続して連動させるシステムがあります。具体的には、モニターに表示された色合いに連動して室内の照明を同じ色に変化させるもので、没入感の高いゲーミング体験になります。

電飾やインテリアと向き合い、空間演出をしてきた弊社のノウハウが活かされています。

頑丈さと座りやすさを重視したゲーミングチェアも制作できたため、弊社の製品で部屋がまとまるようになりました。

ーー今後はどのような展開を考えていますか。

より多くの製品を揃えて「LEVELIQQ GAMESに行けばゲームギアが全て揃う」という状況を作りたいです。

また、eスポーツ大会に出場したり、大会を開催したりしてみたいけど難しいと感じている方もいると思うので、カジュアルに、お金を使わずに自分のエネルギーで自分の欲しいものを得られるようにできたらいいなと思います。

弊社はeスポーツ業界ではまだまだ駆け出しなので、アドバイスやご意見いただけたら嬉しいです。

セイビ堂 事業内容

デジタルサイネージ・LED看板が専門。昨年スタートしたeスポーツ事業では、誰でも簡単にオンライン大会を開催・参加出来るウェブプラットフォームのSOL-TOKYOとゲーミングギアの総合販売ECサイトであるLEVELIQQ GAMESを展開している。マウス・キーボード・ヘッドホン・デスク・ゲームチェアなど、多種多様なゲーミングギアを取り揃えている。

引用:https://tgs.nikkeibp.co.jp/tgs/2023/jp/display/exhibit/exhibit-list/e-sports.html

池袋PARCOで過去最大レベルの集客を達成
SCARZ

ーー最近の新しい取り組みについて教えてください。

eスポーツチーム「SCARZ」を強くすることに軸をおいているのは10年間変わらないのですが、その軸を横に広げるような活動に注力しています。例えば、イベントや大会運営です。

弊社は昨年の12月、パルコや大丸、松坂屋を展開するJ.フロント リテイリングの子会社になりまして、全国のパルコなどの商業施設を使って様々なイベントができるようになりました。

また、今年の10月から東京、大阪、名古屋の3会場で『VALORANT』の大会を開催しています。SCARZは『VALORANT』の日本大会(「VALORANT Challengers Japan」)で優勝してアジア大会に出場しましたが、そのパブリックビューイングを渋谷パルコ内にあるパルコ劇場で実施して、約1,000名の方にご来場いただきました。

ファンの方と選手が直接会えるような機会を提供することも重要だと思っているので、パルコや大丸、松坂屋と同じグループになったことでオフラインイベントが開催できるようになった強みを活かしていきたいです。

ーーオフラインイベントでは具体的にどのような点に注力していますか。

弊社は早い段階から、アクリルスタンドやアパレルなど、他のファンカルチャーで盛り上がっているグッズをeスポーツのファンビジネスに取り入れましたが、ファンの方はもっとコアなものを望んでいます。

「選手たちの裏側(練習風景など)を知りたい」と思っている方も多いので、そういった需要に応えられるように取り組んでいます。

ーー大きな反響があった事例を教えてください。

パルコで開催したポップアップストアが大盛況でした。リアルスポーツのようにホームゲームがあるわけではないのにこれだけ熱狂されているので、eスポーツ業界のポテンシャルを改めて感じました。ファンの方たちとの接点をさらに作っていきたいです。

アクリルスタンドをお一人で20~30個も買ってくださる方もいて、自分のデスクに推しの選手のグッズを並べているそうです。そういうファンを増やすにはチームを強くするだけではなくて、選手と実際に会える機会を増やし、選手の内面を感じていただくのが大切だと思っています。

ーー今後達成したいことを教えてください。

私たちのゴールは世界で活躍できるチームを作ることです。その軸は変わりません。ただゲームが強いとか、ただのインフルエンサー集団でいるのではなく、競技に向き合っていく過程もコンテンツ化し、感動できるようなドラマを作りたいと思っています。

それを継続的に行うためには安定した経営基盤が必要で、大手グループに入るという意思決定をした理由です。

昨年はありがたいことに『VALORANT』の大会で日本一になり、『Apex Legends』の大会でも2位になりました。

徐々に「SCARZ = 強いチーム」という地位が築けてきているので、しっかりとファンになっていただけるようなファンマーケティングに注力していく予定です。

SCARZ 事業内容

VALORANT Challengers Japan国内優勝・APAC大会2位、eモータースポーツ部門 Olympic esports WEEK 7位、Rainbow Six SIEGE部門 世界大会8位などの成績を残すプロesportsチーム。

引用:https://tgs.nikkeibp.co.jp/tgs/2023/jp/display/exhibit/exhibit-list/e-sports.html

ボトルから中身までプロゲーマーと共同開発
カンロ

取材したビジネスデイ2日目には、忍ism Gaming所属の『スマブラ』プレイヤー あばだんご選手(写真左)とtakera選手(写真右)の直筆サイン入りBRAONグミが販売された

ーーカンロといえば、ピュレグミなどを販売する食品メーカーですが、eスポーツチーム「忍ism Gaming」と共同開発した「BRAON(ブレオン)グミ」も販売していますね。なぜeスポーツとのコラボレーションを始めたのですか。

まずは私たちは、弊社の事業の柱である「糖の価値創造」に沿って、多くの方に糖の魅力を伝えていきたいと考えており、「糖の素材や機能性を活かそう」という商品開発方針があります。糖を食べると消化吸収されて体のエネルギーになり、eスポーツシーンでも役に立つということで、プロeスポーツチームとパートナー契約をしました。

糖というと運動だけでなく、脳と直結するイメージがあると思います。eスポーツ選手はとても頭を使っていらっしゃいます。長時間ゲームを練習しますし、試合ではほんの一瞬で勝敗が決まるようなこともあるので、選手たちをサポートしたいという思いがありました。

「eスポーツ選手を支援するためにどうしたらよいのか?」と考え始めたのですが、我々が独断で考えるのも違うだろうという話になり、eスポーツ選手に寄り添った商品開発をするために忍ism Gamingさんに依頼しました。

忍ism Gamingの代表であるももちさんは、eスポーツ選手として大会で成果を出しつつ、次世代教育や業界を盛り上げていきたいとの思いで忍ismを立ち上げていらっしゃって、純粋にすごいなあと思っていたのでお声がけさせていただきました。

ーー実際にeスポーツ選手からフィードバックをもらっていかがでしたか?

選手は食事をきちんと取れない場合も多く、時には誤魔化しながらゲームしている状況もあるようで、糖の力でお役に立てると改めて感じました。

BRAONグミでは、手を汚さずに食べられることを重視して、パッケージはボトル型を採用しました。

また、ハードグミなら咀嚼が脳への刺激になるため良いと思っていたのですが、口の中にグミが残った状態ではプレイできないので、隙間の時間にさっと食べてすぐなくなるものが良いとの声もありました。

食感など細かいところまでご意見をいただき、4ヵ月で10パターン以上の試作品を作りました。頂いたご意見にお応えして、良いものが作れた自信があります。オンラインショップ限定販売ですが、気合いの入った商品になりました。

ーー今後の抱負を聞かせてください。

海外でも現状ゲーミンググミというのはあまりないと思うので、グミとeスポーツの市場が大きい海外にチャンスあるのではと思っています。

実際に食べてみると本当に歯切れがよく、サクサクとネトネトの中間のような今まで食べたことのない食感で、甘みも程よく後味がさっぱりしています。一粒一粒が小さくて非常に食べやすく、eスポーツに限らず、勉強や仕事の合間に食べるのにもぴったりなものが完成しました。

カンロ 事業内容

カンロ飴やピュレグミなどで有名なカンロ。頭脳で戦う人のパフォーマンスをサポートする「BRAON(ブレオン)グミ」をeスポーツチーム「忍ism Gaming」監修の元作成、販売。

引用:https://tgs.nikkeibp.co.jp/tgs/2023/jp/display/exhibit/exhibit-list/sales.html

ゲームが麻雀やゴルフのような共通言語になる未来が来る
日本テレビ放送網

ーー今月、eスポーツイベント運営事業を行うJCGを子会社化したことを発表しました。経緯を教えてください。

eスポーツというコンテンツをライブエンターテイメントビジネスとして育てたいと考えた時に、eスポーツに関する専門性や特化した実績、大規模なイベントが開催できるインフラが必要になりました。その結果、ゼロから内製するのではなく、実績と体制がすでにあるJCGさんに入っていただいた形です。

例えば『ポケモンユナイト』の高校生大会「ポケモンユナイト甲子園」では、数百チームが参加し、1,000人以上の選手がエントリーするんですが、その受付だけで大変ですよね。JCGさんは大会プラットフォームをお持ちなので、ホームページを開設して応募を受け付け、数百試合に対応できるわけです。トーナメントを組むシステムをお持ちであることにも魅力を感じました。

また、決勝では日本テレビのスタジオで4チームが戦うんですが、放送するにはベストシーンを切り取る必要があります。eスポーツの専門性がないと、その試合ごとの見るべきシーンをとらえることができないので、JCGさんの力をお借りしています。

ーー今後、地上波でeスポーツの試合を見られる世の中になりますか。

(テレビで継続して放映するためには)単純に視聴率が必要になってきます。

今は野球などのスポーツ中継ですら視聴率が取りにくくなっていて、地上波からBSに移行している段階です。eスポーツでテレビの視聴率を取るのであれば(eスポーツ界の)ヒーローを産み出す必要があるでしょう。

ラグビーの例を挙げると、日本代表が大活躍して盛り上がったので、そういった(良いタイミングにしっかり盛り上げられるような)工夫が必要ですね。

もちろん、有名なタレントさんを起用して視聴率を取るのも有効ではありますが、やはり「タレントが見たいからeスポーツの番組を見る」となると本末転倒だと考えています。

ーー今後eスポーツ界はどうなっていくとお考えですか。

最近はゲームが好きであることを公表しやすくなりましたよね。上の世代はゴルフとか麻雀が共通の話題で「俺やってるんだよね」「一緒にやろう」ってなるじゃないですか。そこにゲームが入る時代が来ると確信しています。

日本テレビ 事業内容

eスポーツ・ゲームにおける大会やイベント制作をしている。eスポーツチーム「AXIZ」の運営も行っており、様々な角度からeスポーツイベントの制作や各種PRを可能としている。

引用:https://tgs.nikkeibp.co.jp/tgs/2023/jp/display/exhibit/exhibit-list/e-sports.html

《Ogawa Shota》

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