PS5リリースから間もなく1年―プレイヤーをゲームへ没入させ続けるためのポイントと新たな開発環境への対応【CEDEC2021】 | GameBusiness.jp

PS5リリースから間もなく1年―プレイヤーをゲームへ没入させ続けるためのポイントと新たな開発環境への対応【CEDEC2021】

プレイステーション5がリリースされてそろそろ1年。ハイスペックなのはもちろん、いくつか独自の機能を兼ね備えています。今回のセッションでは開発者に独自機能をもっと掘り下げたものを作ってもらうために、各機能の魅力を振り返ります。

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PS5リリースから間もなく1年―プレイヤーをゲームへ没入させ続けるためのポイントと新たな開発環境への対応【CEDEC2021】
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国内最大のゲームカンファレンス「CEDEC2021」が8月24日から26日にかけて開催され、「PlayStation®5 Overview」のセッションが公開されました。

次世代機としてリリースされ、大きな話題を呼んでいるPlayStation 5(以下、PS5)。発売から間もなく1年を迎えるにあたり、本セッションではPS5の特徴的な機能をあらためて紹介するとともに、PS5のゲームプレイを向上させるために、開発で注力すべきポイントをまとめています。

PS5は現行のハードの中でもかなり独自の機能が実装されたものです。このハードの機能を使い、いかにユーザーをゲームの中へ没入させつづけるかのポイントが、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの秋山賢成氏によって語られました。

プレイステーション5のゲーム開発において、ユーザーを没入させるポイント

現行のビデオゲームは、かつてのようにプラットフォームごとに機能が異なり、ハードの機能に合わせることで独自のゲームデザインができる時代とは少々異なっているでしょう。

今は流通のグローバル化やゲーミングPCの普及などの影響で、各ゲームがマルチプラットフォームでのリリースを当たり前としており、特定ハードの独自機能を生かすことに特化したサードパーティータイトルは少なくなりました。そんな中で、国内コンソールではハードそのものが持つ独自機能を押し出すことが目立っています。

先行事例としてニンテンドースイッチが独自機能を搭載しており、特に任天堂の自社タイトルに見られるハードの機能に特化した内容は知ってのことでしょう。PS5も独自の機能を押し出しているがゆえに、現行のゲームの状況と差別化するハードの独自性を、より推したいものだと見られます。

秋山氏はまず開発ポイントを説明する前に、あらためてPS5の機能が紹介。超高速SSDや革新的な統合I/O、3Dオーディオといった機能や、高いフレームレートの実現、4Kモニターへの対応からPS4への後方互換を高速で行えることなどが本ハードの特徴です。

ここから開発者にとって重要な4つの機能を解説。秋山氏は「これらを上手く使えば、よりゲーム体験を拡張させられる」と説明。これらは特にSIEがPS5の独自性を生かすために開発者に使ってほしいものである、とも解釈できるでしょう。

まず初めに「Speed & Immediacy(速さと即時性)」について解説。PS5にはカスタムされたCPUやGPU、SSDによる処理能力の速さが特徴で、秋山氏によれば「業界最速の処理速度」なのだと言います。 

この処理速度がもたらす利点のひとつは、プレイアビリティの上昇があるでしょう。たとえば死にゲーとして名高い『Demon's Souls』はなんどもゲームオーバーになり、リトライを繰り返すゲームですが、前世代機ではリトライまでの処理に少々時間がかかっていました。そこでPS5では、圧倒的な速度でデータを読み込み、リトライしやすくなっていることもあり、ユーザーのリプレイ性をかなり高めています。

ゲームの表現面では『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』の次元を移動する演出が挙げられました。本作はハイクオリティな背景の描写が印象深いところ、次元の裂け目を越えると同じくらいの高度な描写が行われた世界へ、ロードもなしにシームレスに移動できる演出が可能になっています。

こうした処理速度は、オープンワールドのジャンルでもかなり効果が大きいものです。『Marvel's Spider-Man: Miles Morales』ではオープンワールドを処理落ちも無しに、高フレームレートを維持したまままスムーズに表現しています。

このようにリソースの読み込み時間が無くなることで、大容量化したAAAタイトルにてハイクオリティかつ新しいゲームの表現を可能とし、よりプレイヤーゲームに没頭させるゲーム開発が可能になったとのこと。よりシームレスな表現や、ロードを差しはさまないことで、プレイヤーをゲームの世界に集中させ続けることを開発に求めているといえます。

続いて「Deep Immersion & Control(深い没入感と操作)」の解説。 新たに開発されたコントローラー「DualSense」による、よりゲームプレイと一体化できる機能をどのように生かすかについて改めてファーストパーティの考えが語られました。

デュアルセンスコントローラーでは、たとえば『ASTRO's PLAYROOM』に見られたようにプレイアブルキャラが氷や砂漠のステージを歩いたとき、その触覚が伝わるような微細な振動表現が可能となっています。

この機能の目的もゲームの没入を進めるものとして開発。「ゲーム中、ゲームをやっているとは思ってほしくない。世界に入りこんでいる」と感じてもらうコンセプトで開発されたといいます。

本機能は現在リリースされているタイトルでも作りこまれたものが見られますが、これからの開発では、さらに掘り下げたものも求めているようでした。

サウンド面ではTempest 3Dオーディオ技術を導入。ゲームオーディオも没入に関係するため、オーディオを通じて、より深い没入感を目指していると言います。ゲームサウンドから今まで以上にゲームの実在感をもたらすことも、開発には求めているようです。

目玉の新機能としてレイトレーシングも紹介。これは現実世界でどのように光が動き、物体に光が当たるかを個別にシミュレーターするもので。髪の質感や水などを現実のように見せるグラフィックを実現するものです。

近年の3Dグラフィックでも大きなトピックスとなっていたこともあり、PC最先端のグラフィックボードのスペックによって実現される機能でした。

PS5が新世代機らしく、最先端のグラフィック表現を持っているのは言うまでもないことですが、先述の機能が目指したようなゲームへの没入感をもたらす最たるものでしょう。

続いて「Direct Access」の紹介。PS5ではゲーム中の特定のステージやチャプター、ミニゲームといったアクティビティを、わざわざタイトル画面から戻らずPSメニューから選択してすぐにプレイできる機能が実装されています。

たとえばシングルプレイにおいては、自由度の高いタイトルでは次に何をすればいいか迷ってしまうこともあります。そこでアクティビティでは何をするかの選択肢を見せてくれるそう。メインミッションやサブミッション一覧をチェックできるほか、各アクティビティのクリア時間の目安まで記載されています。

それだけではなく、ゲームプレイ中にたとえばパズルを解くのが分からなかったときも公式からヒントをもらえる機能が実装されています(これはPS plusに加入していることが条件)。

この機能はプレイヤーの有限なプレイ時間をいかに使ってもらうかがポイントであり、気持ちを切らさずにゲームを続けてもらうことが大事なのだと言います。

今ではゲームプレイ中に、スマホなどでヒントをネットで見ながら遊ぶのも当たり前ですが、秋山氏はそのプロセスさえもゲームからの集中が離れることだと指摘。開発者にはプレイヤーにアクティビティの充実やヒントの実装を求めており、ゲームプレイを途切れさせないようにしてほしいようです。

最後に「Communications」を解説。ここではユーザー同士のコミュニケーションはもちろん、開発者とユーザーとのコミュニケーションを指しています。

現代のゲームは続く限り、パッチやアップデートなどで進化を続けるものです。ここではユーザーにゲームの概要はもちろん、追加コンテンツの告知などをシステムメニュー上でニュースとして出していくものです。

PS5が用意するチャットについても解説。インゲーム中でのチャットチャンネルなど複数チャンネルを切り替えることができるなど、チャット機能なども充実しています。

これはPS4やスマホアプリからでも参加できるほか、フレンドがシェアしているゲームプレイを観ることもできるなど、ユーザーのコミュニティを活性化する機能が実装されています。

以上の4つの機能からは、PS5ではとにかくゲームから離れる時間を少なくし、没頭させ続けようとするゲームベースの考えが徹底しているといいます。各機能の目標は、大容量ゲームによるゲームそのものへの没入にあることは確かながら、攻略を見たりフレンドとコミュニケーションしたりするゲーム外についても、ハード内のサービスに触れ続けてほしい考えが伝わりました。

PS5での、さらにゲームへ没入させるVRのデザイン

そんなゲームへの没入の最たるものといえば、やはりVRでしょう。続いて秋山氏は現在、PS5用のVRが開発中であることを説明。

そこで目玉となるのは新しいVRコントローラーだと言います。デュアルセンスコントローラーに基づいて構築されており、あたらしくタッチ感覚を導入した操作が特徴だと言います。デザインは遊びながらコントローラーを自然に持てることを目指し、人間工学に基づいて使いやすくしているとのこと。

またVRゲームのプレイ方法を変え、次世代VRの没入感を変えることをテーマとしているそうです。たとえばVRコントローラーを使って、弓を引くアクションを行うとしたら、その実感を一段階上にデザインしているとのこと。デュアルセンスで培われた触覚の面から、VRの没入感を高めようとしているのがわかり、現行のVR機器との差別化も感じさせるものでした。

開発者向けのリモートワーク環境のサポート

最後に開発者向けのリモートワークの支援について説明。新型コロナの流行によって。世界中でリモートワーク環境の構築が進んでいます。

PS5向けのゲーム開発を助けるために、SIEもそうしたサポートを考えているとのことで、たとえばVPN接続による開発においてはPS5の開発機から映像をとばして、自宅でゲームのチェックを行えるようにするなど、遠隔の開発ができるようにするらしいです。秋山氏は「働き方が変わる中、こんな開発がしたいとヒントがほしい」と開発者にお願いしていました。

本セッションのまとめとして、PS5の特徴的な機能が目指すゲームへの没入を実現できるタイトルというのは、AAAタイトルのような選ばれたタイトルに絞られる印象がなくもありません。現行のコンソール機で、ハード独自の機能に特化したタイトルの開発はプラットフォームホルダーによる自社製のものになりがちな印象があり、ある程度規模が小さくなるタイトルが着手する場合はアクティビティやヒントの使い方の掘り下げが面白くなるのだろうか? などと考えてしまいました。

一方で、PS5ならではの機能を完全に達成したものが今後開発されたならば、現行のゲームシーンでも豪華さと特異さを兼ね備えたものになるのは確かだろうとも思わされました。


《葛西 祝》

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