ゲーム最終章『SAO アリシゼーション リコリス』発売記念!二見Pに聞く同作の魅力とシリーズPC版「前作はPCでも50万本ほど。日本からも世界上位の売上」 | GameBusiness.jp

ゲーム最終章『SAO アリシゼーション リコリス』発売記念!二見Pに聞く同作の魅力とシリーズPC版「前作はPCでも50万本ほど。日本からも世界上位の売上」

ついに発売となった『SAO アリシゼーション リコリス』だけでなく、版権タイトルとして珍しいシリーズのPC日本語対応の結果についても。

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長年原作とは異なる物語で独自の展開を続けてきたゲーム版「ソードアート・オンライン」。同シリーズの新作『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』がついに2020年7月9日にSteam/PS4/Xbox One向けに発売となりました。

また、同シリーズは版権タイトルゲームとしては珍しく、積極的な日本語PC版展開を行っていることでも知られています。本記事では同シリーズに長年関わり続けた、二見鷹介総合プロデューサーに新作だけでなく次世代機対応や、旧作のPC版展開についても含めて気になるところを直撃。インタビューの模様をお届けします。



気になるPC版展開の結果。『フェイタル・バレット』売上は意外な規模に!?


――今回『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』(以下、『リコリス』)は版権タイトルとしては珍しく、日本でもPC版が同時リリースとなります。PC版を発売することになったきっかけを教えていただければと思います。
二見鷹介総合プロデューサー(以下、二見)前作の『フェイタル・バレット』からPC版をやらせていただいています。日本ではどうしてもPS4の市場環境が非常に大きいですが、前回世界同発でPCを含むマルチプラットフォーム展開を行ったところ、PC版の売上が驚くほど多くて。その上、日本からのPC版売上は殆どないかなと思っていましたが、そうでもなく。

YouTubeなどでのゲーム配信者の隆盛にともなって「PCでゲームをやる環境っていうのが徐々に増えてきたのかな?」と強く感じさせていただきました。そこで今回も最初からPC展開も決定させていただきました。2018年ぐらいですね。2016年頃では未だ色々不透明で、前々作(『アクセル・ワールド vs ソードアート・オンライン』)は日本版を出していないのですが、昨今『PUBG』などのブームをみて、「PCで遊んでいるユーザーさんにも、ちゃんとしたゲーム環境を届けたいな」ということで。

――日本におけるPCゲームの広まりに応じて、「出していくべき」となっていったと。
二見僕自体、PCとかPS4とかデバイスにこだわっていなくて。ここ4年ぐらいは、もしやれるのであれば、PCでも、PS4でもXbox Oneでもやる環境って言うのは整えていきたいな、と。PC業界の成長っぷりをみると凄いなと感じている次第ですね。

――二見氏が驚いた、その具体的な売上というのはどれぐらいだったのでしょうか。
二見細かい数字は正確ではないのですが、『フェイタル・バレット』はトータルで今130万本ぐらい販売させていただいていて、内50万本ほどがPC版。日本だけで考えてもPC版は3~4万本売れているんじゃないかと思います。ワールドワイドで比較しても5位くらいです。他のタイトルだと『ホロウ・リアリゼーション』はPC版の日本向けの販売は行われていないのですが、こちらも20~30万本ほどですね。

市場として、PS4でも昨今は10万本~15万本という流れの中で、3~4万本はすごく大きいですね。あと『SAO』ってオンラインゲームを舞台としているので、PCと相性が非常にいいなぁっていうのは凄く感じましたね。ワールドワイドのユーザーを含めて。


――キリトたちが使っているナーブギアとかは現実にはPCに繋がっているイメージですしね。設定上はスタンドアローンみたいですけど。
二見MMORPGを舞台にしているので、そういった意味では本当にお客さんが遊んでいただける環境ができてきたのかなと思ってますね。

『ソードアート・オンライン フェイタル・バレット』

――しかし三分の一がPCユーザーとは。存在感スゴイですね。日本のSteamユーザーに限っても、人口比では1%いないのに売上本数は総数の10%近いですからね。
二見本当に感謝をしている感じです。『SAO』のユーザーは10代、20代の若い子が多いんですけれど、確かにPC自体やPCゲームに興味のあったりする属性の方が多いのかな?という印象ですね。なので結構、Steamに関しては、お客さんからもお問い合わせとか、出して欲しいとか言う声は多くありましたね。

――ところで。Steamでシリーズを並べてみた際に「日本語版が出ていないタイトル」が2本ほどあるのに気づくユーザーさんも多いと思いますが。詳しいところを聞かせて頂けると。(筆注:英語版ではシリーズ全部が揃っている)
二見そうですね。Steam日本語版だと『ホロウ・リアリゼーション』などが途中抜けてるんですよ。なぜかというと、その時は予定がなかったので、日本向けのローカライズをしていなかったんですね。その上、開発のチームは解散して(自分は)『リコリス』に移行してしまったので、余力がない感じです。

イイ解釈の仕方をすると、(抜けているのは)丁度完全オリジナルの内容の部分なので、アインクラッドだったり、ALOだったりアリシゼーションだったり、GGOだったり、の原作の世界は……全部楽しめるはずでございます。

ビジネス的なところで難しい話なんですけど、ローカライズにはややお金がかかるものであって。ソースも含めて、日本語版に替えればいいってだけでは無くて。デバックもちゃんとしなければいけないですし。その上で三年前、四年前のタイトルを新しくPC版だけで出すとなると「会社をどう説得するか?」っていうのが。ワールドワイドで同時発売して、長くって話だと、すんなり通るんですけど。今の環境で、例えば5800円、4980円みたいな価格帯で出すっていうのは、多分もう前の作品ではできなくて、やるんだったら、リマスターみたいな感じで、1980円、2980円かなと。英語版発売当時、勢いでやっちゃえば出せたとは思うんですが。

収益関係が、もっと改善されるとか、なにかしら何十周年とか周年記念(筆注:ゲーム『SAO』シリーズは2023年で10周年)みたいな所で出すとかっていう形であれば出せるかもしれないけど、いま現在は考えていないですね。ただ、それらの日本語版もいつかは出したいな~とは思ってはいます。

――そうなると今後、なんかの拍子に、両作の日本語版がSteamでも買えるようになる……日が来るかもしれないと。
二見そうですね、どういう風な考え方をしようかな?とは思っていますね。いまって他のAAAのタイトルもリバイバルブーム、リメイクブームなので。作り直すブームっていうのが、ここ何年か続いてはいるので、次世代機だったり、次の環境で、またどう見直すのかというのを合わせて考えていきたいな、と思っている感じですね。そのまま過去のヤツを出しても問題無いんですけど、まあどちらかというと次の未来に向けて『SAO』の作品をどう作って行くのかっていうのと合わせて、妄想はしてます。

『COD』も最近『MW』のリブートだったりリマスターを出したりとか、色々世界の流れとして、現環境で作っているモノっていうのをなんか上手く、新しい時代に対してのリブートして見せているところがあるので、その辺りどうやってアプローチをしていこうかな?みたいな。

――コンソール版とPC版って、コンフィグであったりとか、操作系であったりとか、そういった部分が異なってくるとは思うんですけれども、新作である『リコリス』のPC版では、その辺の細かい部分にも気を使って開発されていた感じでしょうか?
二見PC版の操作系については、コンソール機同様コントローラをベースに考えられているのですがキーボードでも遊べるようにはしています。コンフィグに関してですが、発売日以降、ユーザーさんの意見は結構あると思うんですよ。それに対する細かなアップデートは色々してこうかなというのは考えております。PC環境だと、細かく設定ができたりとか、自分で使いやすい様にキーアサインできたりは普通になってきているので、本当に遊びやすいように、セッティングをさせていただきたいな、と。PC向けのユーザーさんが細かくカスタマイズ出来るように、対応を随時していきたいと思ってます。

――その辺はやはり、『フェイタル・バレット』の大成功も関係して、PC版に向けてある程度最適化していかないとなというのもあった感じなんでしょうか?
二見そうですね。そこはすごい意識もしていて。あとは僕も、PCのゲーム配信者の人の映像を見たりするんですけど。そこは意識して、今の時代にフィッティングするようにさせていただいています。まあ、経験値としてはまだ三作目、現場としては二作目くらいになるので、そこは発売してからもドンドン、アップデートをしていこうかなと。

――なるほど。やっぱりその辺はもう、ユーザーさんの意見を聞きながら、さらに進化していくぞと。
二見僕がしたいこととかも含めて、MMORPGって凄いセッティングできたりするじゃないですか。その辺は結構、ドンドンドンドン、入れて欲しいなぁって。開発に要望を出してくださったりとかで、本当にお客さんが遊びたい形にフィッティングしたいと思っています。

大ボリュームの『リコリス』。完全オリジナルの後半戦でもうひとつの「アリシゼーション」が楽しめる


――そろそろ、『リコリス』自体のお話しをお聞きしたいと思っております。今回、最終的にゲーム規模はどの程度になったのでしょうか?
二見一応、プレイ時間で言うと、大体メインストーリークリアするまでに40~50時間くらいって感じですね。やり込み含めると~100時間はいくんじゃないかと思いますね。

――かなり大ボリュームという感じですね。
二見大ボリュームになりましたね。「こんなに頑張らなくて良かったんじゃ?」とも思っています。(笑)

今までは大体、2クールアニメの1クール分とか、1.5クール分をゲームにしていたことが多いんですけど、今回は、24話分+オリジナルストーリーっていう形なので、かなり、現場は大変だったのかなぁ、と思っていますね。僕も含めて3年くらいかかったんでホント長かったなと思います。

――シリーズの中でもボリューム、開発期間共にトップクラスということでしょうか?
二見トップクラスですね。原作追体験がちゃんと出来るパートにはもちろんボイスもあるのですが、前作だと主人公のセリフが8000個くらいだったんですね。8000回しゃべってもらった、と。今回は、1万5000くらい行ってるので、そういった意味では倍ぐらいのボリュームにはなっているのかなと思ってます。


フィールドも前作の大体4倍くらいの広さになっているので、そう言った意味で、世界の広さを含めてアニメの空気感っていうのは、再現できるようにはなっているのかなと。

――ファンとしてはかなり嬉しい悲鳴というか、「「アリシゼーション」編の途中までが原作の内容だから、結構短めかな?」とか思ってる人もいると思うんですよね。実際には、それでも十分長いとは思うのですが。それどころじゃないと。
二見ユーザーさんは、多分、短いとは思わないんじゃ無いかなぁ。僕も「長っ!?」と思ってプレイしてましたから。(笑)

――原作の時点で、本当、大ボリュームですからね。「ソードアート・オンライン」編は1~2巻ですし。その後も短めなのに「アリシゼーション」編だけ何十巻も。
二見そうですよね。「アリシゼーション」編だけで、原作の9巻から始まってるんですけど、終わったの18巻なんで、原作小説約10巻分なんですね。今回、前半戦を舞台にしているっていうところもあるので、大体4巻ぶんとか、5巻分なんですけど、それでも普通に考えると、今まで作ったゲームの、小説巻数二冊分多いみたいな。そんな感じのボリューム感でやらせていただいていますね。

――ゲームの『SAO』シリーズというと、ゲームオリジナルのIFの物語、原作から変わって来た展開がありますが、その辺は何かサプライズが用意されている感じでしょうか?
二見全体の四分の一位は、原作を追体験しながら、アニメの前半戦を体験するゲームになっているんですけど、後半戦はもう全てオリジナルのお話になっています。

なので、皆様にはゲーム版ならではの「アリシゼーション」編っていうのはどういう解釈をしているのか、みたいなところを楽しめる作りにはなっています。プレイヤーが感情移入をキリトくんにしているので、そう言った意味でプレイヤーが解決する、大きな「アリシゼーション」編の問題だったり、事件だったり、世界で起こっていることっていうのは、本当にゲーム版ならではになっているので、全体通すとオリジナル要素の強くなっているお話だと思います。

――そういえば今作ではユージオが生き残ると言う話があるんですが。やっぱり、生き残った分、出番はどうでしょう。
二見前半戦ではユージオの(直接の)活躍が多いです。後半戦の焦点は、アリスとの対比になるオリジナルキャラのメディナとアリスの確執みたいなところに移っていきますが、ユージオはそこに対して、キリトと一緒に冒険をして彼を支えるパートナーになっているという空気感は出るんじゃないかなと、思っております。

――アリスの方にもゲームオリジナルの、心の動きというか、物語が与えられているのですね。
二見アリスとメディナに関しては本当に対比構造になっていて。アリスって何でも出来ちゃう娘なんですよ。整合騎士としてスゴイ優秀な娘なので。まあ、ただ、じゃあ、なんで人界を守らなきゃいけないの?とか、なんで人を守るべき存在なの?とか含めて人の心が判っていく様と、「でも、人を助けるためには良いことばかりいってられないよね」というメディナというキャラクターのぶつかりあいが、後半戦の見所になっているかなと。


――今作でも『SAO』の原作者である川原先生の監修が入っていると思うのですが、どれくらい密に行われたのか、というのが気になる所です。
二見そこに関しては、最初の設定周りは見ていただいた感じですね。今回アンダーワールドをいちからやるってところは、かなりお話しをさせていただいて。原作だとSTLっていう(アンダーワールドにダイブするための)装置があるんですけれども、そのSTLがですね、シリカとかシノンとか色々入ってくると足らない問題とか(笑)。

「原作の数だと全然足りない。六本木含めて6台しかないのに…」ってな話をしたりとか。そう言った意味ではこのゲームの入りはスゴイ丁寧にやらせていただいたのと、川原先生にチームが言われたのは、『リコリス』自体がめちゃんこクソ暗い話で救いが無いってことで「救いを入れましょう」って感じですね。

――原作通りですと(ゲーム原作範囲では)確かに、救いの無い話ですからね。
二見なので、いろんなメディアにもお話しはさせていただいているんですが、今回は「承認欲求」がテーマになっています。人間の承認欲求をテーマにさせていただいていて、キャッチコピーも「世界は君を忘れない」ってコピーになっています。

自分がAIの世界に生きていて、生まれた意味ってなんなんだろうな?とか、存在している意義って何なんだろうな?っていうのが、今SNS上で溢れている若い子を含めて思っていることっていうのを、真っ直ぐにテーマとして描かせていただいています。その辺りは川原先生としっかりお話しをさせていただいて、やりたいことを承認していただいたって感じです。

なので、本当に『リコリス』に関しては、ゲームならではの「アリシゼーション」の解釈がふんだんに入ったお話になっていて、AIと人の違いってなんだろう、みたいなところも含めて、何でこの世界で生きているんだろう、何でこの世界を救おうとしているんだろう、みたいなところも含めて『リコリス』らしいお話が展開していると思っております。

――ところで『リコリス』のエンディングでは物語の区切りが付くんでしょうか?
二見お話としては区切りがついて『リコリス』の話で終わってます。『リコリス』本体とDLCの話を合わせて、全体の話だと思っていただければと思います。それをひっくるめて『リコリス』を楽しんでいただければと。ちゃんと『リコリス』単体で、お話しとしては納得できるようになっているハズなので、御期待下さい。

『FF12』の「ガンビット」に影響受けたAIシステムや、他ユーザーアバターの取り込みも搭載



――なるほど、テーマ以外での、ゲーム的な見所はどのような部分になるのでしょうか。
二見見所はもう、いつもの『SAO』ゲームらしく、色々なキャラが、特にまあ、今回は整合騎士だったりとか、「アリシゼーション」編の人界のキャラクターがいっぱいでてくるので、アニメでは見れない、原作では見れない関わり合いですね。ユージオが生きているからこそ、ゲームでは復活するんですけどキリトくんが放心状態になっていた間や、関わってないキャラクター、本来関われたかもしれないキャラクターとの関わり合いが見れるのも、1つの魅力だと思います。作品ファンに関しては、新しい物語が見れる、ゲームならではの物語が見れるというのも1つの楽しみですし。

あと、今回、バトルが非常に変な感じになってて、AIを自分で細かくセッティングできたり、プレイヤーの行動タイミングの記憶をするようになっております。なので、闘っていると自然に、メチャクチャ強いAIになってたり、「このタイミングで一緒に技を出してほしいなぁ」とか思うとやってくれたり。それらのAIをネットにアップロードして、他のプレイヤーのヤツをもらうこともできます。

――最近の流行的に、人の創ったモノを使わせてもらうっていうやつですね。
二見そうです。メチャクチャ上手い人がいたときに、その人のAIを使えば、もしかしたら圧倒的に勝てるかもしれない。そういうのを目指していて。その辺は昔『FF12』でガンビットっていうシステムがあったんですけれども、そのガンビットの新しい形ってなんだろう?って所が発想です。ユーザーさんが細かくセッティングできると、プレイヤーの戦い方が変わってくると思うんですよ、AIの良し悪しって。その辺の色々を皆で楽しみながら作って行く様な環境ってのが出来たらいいなぁ。ていうのが、今回の見所でしょうか?

――攻撃時に仕掛けてくれなかったらいやですし、ここぞって時に一斉攻撃してくれたら嬉しいですよねぇ。
二見一応は、そのタイミングで、例えばダウンした特殊な状態の時に何かをするみたいな、優先順位的にこれをするとか、そういうのをやっておけば、本来、自分がプレイしてもできるんですけど、放っておいてもやってくれるみたいな形のAIに育っていくので、結構その辺は面白くなるんじゃないかなと思ってます。やり込めばドンドン、面白くなると思います。

――そうなると、プレイヤーの強さって言うのは、RPG的な能力値だけじゃなくて、AI自体が成長していく強さっていうのも関わってる感じですよね。
二見そうですね、かなり頼れる味方になるんじゃないかなと。今回MMORPGっぽく、ヒーラーがいたり、バッファーがいたり、タンクがいたり、とスキルによって性質が変わってくるんですが、タンクであれば本当にヘイトを取ってもらう行動をセッティングすれば、かなり敵を引きつけてくれて、その横でかなり気持ち良い連携をしたりと。回復してよってタイミングのヒーラーの設定をちゃんとやっておけば、HPが何%減った状態で回復してくれるとか、そういうのも覚えてくれるんで。

――便利ですね。
二見便利です。ちなみに、ムチャクチャ上手いプレイヤーなら全部一人でやれます。

キャラクター変えて、一人で全部やれるんですけど、そのメチャクチャ上手いプレイヤーってユーザーさんの中でも結構レアなわけで。1~2%くらいですかね、そういう人は。大半の人はできない。その人たちに、そういう上手いプレイヤーさんの戦い方をAIが代わりにやってくれるっていうのを体感してもらえるといいなぁと。

――自分で全部出来ちゃう様な人はそのAIをぜひアップロードしてほしいですね。
二見そうですそうです。なんで、結構そういう要素もあるし、あと、冒険者って存在がいます。本作ではキリトくんをカスタマイズアバター化できるのですが、そのアバターをネットワーク上に上げて、他のプレイヤーの『リコリス』の世界で冒険をしてもらうっていうものです。

――自作キャラがあちこちにウロウロしている感じですね?
二見そうです、データの更新で、日々変わって行くし、ロックしたいキャラクターがいたら、ロックしていいし、例えば、フレンドのキャラクターが来たら、フレンドで固めてもいいし。みたいな遊びが出来ます、はい。

――これらの機能はクロスプラットフォーム対応だったりするんでしょうか?
二見クロスプラットフォーム対応はしてないです。あくまでハード毎にいろんなNPCがワッシャワッシャいるっていう感じでしょうか。よく見たらメチャクチャつぇぇプレイヤーだな、こいつみたいな。何装備してんのこいつ?みたいな。っていうの見れたり、仲間に入れられたりっていうのも考えております。

――モブかな?ってキャラがもの凄く可愛く格好良く作られてたり、新しいオリジナルのメインキャラかな?と思ったらユーザーのキャラだったりと。
二見プレイヤーのAIも搭載されていて凄く強くなってるんで、「あれ?こいつ入れた方がいいんじゃね?」みたいな遊びも、全然していただいて構わないというか。どこかに冒険に行って手伝うと、アイテムをもらえるような仕様もあって。なので、他のプレイヤーに使ってもらうほど、アイテムをもらえたりとか、そういう遊び要素もあったりします。

一応、キャッチコピーの「世界は君を忘れない」の通り、お話しのテーマにもなっています。あとはゲームでユーザーさんのデータをアップロードして、ユーザーさんの知らない所でも、ユーザーの行動した記録だったり、プレイだったりはこのゲームのサーバーが記憶しているよ、と。忘れないよ、という意味合いも込めてあります。

本当に、いつでも帰ってきた感じだとか、この世界にいればキミのコトは忘れる事は無いよと言うところの、承認欲求というところをテーマにゲーム性を作らさせて頂いているので、RPGとして普通に楽しんで頂いても構わないし、アンダーワールドの世界にドップリつかって、自分ならではのアンダーワールドに塗り替えていただいても構わないしというところの遊びができる様になっていると思います。

――ゲームとしての自由度は高そうですね。
二見非常に高いです。どういう構成がベストなのか?っていうところを探す遊びだったりとか、今回アクション要素が若干強めに入っているので、普通のRPGみたいに「基本この構成で行けばいいよ~」みたいなところに加えて自分のプレイスタイルにあった一番の最適解を見つけてもらえればなぁと。思っている感じですね。

今後、アプデのネタで、「AIが変な行動を取る」って言うのもやろうかなと思っていて。「決め技したら、絶対にエモートして、笑顔でカメラ目線で手を振る、無駄だなぁとか。」アップデートがすごい続くので、そういうプレイヤーが遊んでもらえるような環境とかっていうのは入れたいねっていう話はしている感じです。

まだまだ続く『リコリス』。今後も多くのコンテンツが追加に


――アップデートが続くというお話しが出てきましたが。今回も前作の様なシーズンパス等が用意されているのでしょうか。
二見もう、発表させていただいていて、今回『リコリス』では有償通貨を提供させていただいているんですね。ガチャ要素はほとんどなくて、ガチャは無料のしかないんですけれども、当たらなかったアイテムを指名買い出来る様なシステムが入っていますね。

無料のチケット自体は毎日遊んでいれば普通に手に入るくらいな感じなので、時間が無い人向けのシステムでもあるんですけれども、何ヶ月かに一回、ショップを更新したりとか、衣装を更新したりとか。あと大型の無料アップデートは毎月挟む予定です。そこはお話も入ってるし、新しい要素も入ってる感じになっています。さらに、シーズンパスで販売させていただいている大型DLC、拡張コンテンツっていうのも何カ月かに一回のペースで定期的に配信させていただくっていう形です。一応僕としては「一年間遊べる、一年間進化するRPG」っていうのを今回、テーマにやらせていただこうかなと思っている感じですね。なんで実は全然終わらなくて……。

――開発はマスターアップしても、一向に終わらない感じですね。
二見DLCは2つあるんですけれども、後編のシナリオが終わったくらいです。なので、僕は全然、まだシナリオ見ていますって感じで。一個一個単独した物語で、文字数だけ見たら、『リコリス』本編のボリュームと、無料でアップデートとDLCを合わせたボリュームがイコールだったんで、多分、DLC買って、無料のアップデートを楽しんだら、本編が2つ楽しめるくらいにはなっているはずです。

――本編のみで40時間という話がありましたが、アップデートなどを加えると、80時間という話になってくるんでしょうかね?
二見そうですね。なので、毎月楽しめるモノを用意して、10時間20時間楽しめるモノは大きな、拡張コンテンツで用意ってところを一年間続けていこうかなと。買って損しないというか、毎日遊べる仕組みとかも全部入れ、このゲーム買って良かったなぁと言う形のアップデートは日々続ける予定でいますので、本当に広がっていくアンダーワールドの世界っていうのを楽しんでもらえるような作りにしていきます、はい。どういうペースでやるのかっていうのは、今後、発売日以降に告知をしていこうかなと思っております。

――発売日以降も乞う御期待と。
二見毎月はやろうと思ってますので、確約できませんが。僕個人的な考え方として、どんなゲームでも、対戦ゲームは別として、発売後二週間で話題が無くなるって言うのがボクの中での自論なんですね。そしてみなさん、消費するスピードが早いという。嬉しいことなんですけどね。なんで、すぐアップデートの方をかけさせていただこうかなと思っていて、それが毎月。

ちゃんとその後ちょこちょこプレイしていれば、ストーリーはみれるし、難しいコンテンツ、楽しいコンテンツも出てくるよっていうみたいな感じの空気感で、一年間お付き合いしていただける様なものを楽しんでもらいたいなと思ってる次第です。普通のRPGっぽくないんですよね。普通のRPGならストーリーをクリアすると終了みたいな。拡張でミニストーリー出してとかはあるんですけど。ただ、今回はスゴイ「運営」を意識した作りになっていて。

――いわゆる最近の「ライブコンテンツ」的な考え方の作りですね。
二見(やってみて)僕が思ったのはRPGでやるべきではないなと思って……反省しております、はい。オンラインでガシガシ、MOとかPvPとかのコンテンツでやるのは全然イイと思うけど、ストーリーモノでやるとこんなに苦しいのかっていうのが判りました。その分楽しいモノができているとは思います。

――その分、ユーザーの方は楽しめると。ところでエキスパンションパスでの追加キャラクターはいるのでしょうか?
二見います。一人もう、言えるキャラがいて。アプリのキャラなんですけど、『アリシゼーション・ブレイディング』というタイトルのイーディスってキャラがいるんですけど、東京ゲームショウのときにCVの花澤香菜さんから、直接「出してください」と頼まれまして。それは確実に入れないとな思っております。その他も用意しているので、ちゃんと、追加キャラクターがでると思っていただければ。と。

――あと気になるのは、ファンから人気の高いユウキとか、微妙にネタバレですが『フェイタル・バレット』で遂にサチが復活というかそれっぽい存在が出てきてしまったので、今回も追加で出ないかなと。サチに至っては、呪いの様に過去作でもキャラクターの外見だけが延々でていましたしね。
二見そうですね。サチに関しては、アレ、メチャクチャ重いんですよ。扱うのも、メチャクチャ大変で。そう言った意味もあって、追加のキャラクターとか操作できるキャラクターとか、エピソードのあるキャラクターをどうするかはまだ教えられない感じです。

――ところで展開タイミング的には、本作は次世代機にもかかると思うんですが、PS5への対応などはどうなるのでしょうか。
二見僕自身としては、次世代機の作品もやりたいと思っています。そろそろ情報を集めて、やっていきたいなと思っています。タイトルによっては無償のアップデートなんて言う話もありますが、どうしようかなと。『リコリス』が一年間くらい続きますので、そういった意味では次世代機に対して最適化したモノをユーザーさんに提供していくのか、アップデートとして対応していくのか、今後どうしようかは、PS5、Xbox Series X含めて結構考えてますね。

シリーズの今後、そして次の世代へ


――判りました。話は変わりますが『フェイタル・バレット』では主人公がキリトではなかったわけですが、その分、初心者にも分かりやすく入りやすい作品でした。今後、またシリーズ作品で、再びオリジナル主人公を立てる作品とかの構想はあるんでしょうか?
二見構想はあったりなかったりなんですが、僕、いろんな所で言ってるんですけど、ゲームの方、『インフィニティ・モーメント』っていう一作目からずっとゲームの話って、アニメと違う世界線で進んでいるんですね。原作だと「アリシゼーション」で終わったと思わせて、「ユナイタル・リング」編が始まってるんですけれど。ただ、川原先生にも何度も言ってるんですけど、ゲームの、七十五層から始まったキリトくんの分岐した物語は、実は『リコリス』で一旦終わりです。終わりにしようと思っています。

その先に、キリトが主人公じゃないゲームが出たり、たとえば、またキリトが主人公の「ユナイタル・リング」編が出たり。どうなるかわからないですけれど。まだ企画もありませんが、僕が本作で一応プロデューサー終わりなので、初代のゲームと一緒にスタートしたキリトくんの物語は、一回『リコリス』で終わらせようと思っています。ゲーム自体が最終章になるか、はおいておいて。

これからの『SAO』の未来はぜひ、『SAO』の本質を引き継ぐ若手プロデューサー達に任せようかなと思っております。というのは、三十代前半、二十代後半なんかの『SAO』に関わった若いプロデューサー達が結構居るんで、その子達が新しい『SAO』の未来を作っていくような姿がみていきたいという感じです。ただ、実際はどうなるのかは、僕もまだわからないです。

オリジナルストーリーも人気があったので、そういうのもやりたいという若い子が出てきたらやればいいと思ってます。『SAO』はIPも先生も含めて、作品の本質を守っていただければ、かなり自由にやらさせていただける作品なので。僕が次の世代に託すのためのタイトルが『リコリス』。バトンタッチをしたプロデューサーが、どうやって次を描いていくのかっていうのは、僕も楽しみにしている感じですね。本当にオリジナルの作品ができるかもしりないし、シリーズの内容を継いだ作品ができるかもしれないし。

――次の世代が何を作るかが楽しみですね。
二見僕はもう、ずっと引退するっていってて引退詐欺になっているので(笑)なので『リコリス』に全力投球です。僕が関わって既に10年です、もう。原作が10年、アニメもゲームも二年後に十年。そういうタイミングで、若い子の新しい発想で『SAO』っていう作品を魅力的に色々描いて欲しいなというのが僕のイメージでございます。

――原作が世界観をいくらでも広げられる作品ですよね『SAO』。特にキリトが主人公であるという前提を外すと、いくらでもなんでもできちゃうシリーズだと思いますので。
二見そうです。外伝シリーズもいっぱいあるし、『SAO』って受け皿が広いので、むしろ自由な発想で、これまでに無いゲームの世界観を作ってくれてもいいし、「ソードアート・オリジン」(筆注:『ホロウ・リアリゼーション』の主舞台になった、「ソードアート・オンライン」のクローンゲーム)でもいいし、違うモノでもいいし、『SAO』イズムが体験出来るゲームをどんどんどんどんつくって、みなさんに遊んで欲しいなっていうのは願っておりますね。

――二見さんは関わらないとしても、今後もゲームのシリーズには乞う御期待という感じですね。
二見僕はもう、引退しようかなと、皆に言ってますし。『SAO』は好きなので、ずっと関わっていたい気がしていますけど、やっぱり、若い力っていうのが、クリエイターのヒーローが育ってもいいと思っている感じですね。

――ひと区切りという事で、次に何かやりたいことはあるのでしょうか?
二見僕はオリジナルのゲームを作りたくて。色々考えたりしていますね。昨今だと、大手会社でしか家庭用のゲームのプロデュースってできないと思っていて、いま大活躍している方を見ると、四十、五十代の方が多いと。ボクらには悔しい部分もあるんで、ちょっと若手のパワーで、家庭用のコンソールを中心にした、新しいIPっていうのを生み出したいなと日々思ってますね。

――PCはどうでしょう。ユーザーも開発者も増えてきているというのは数字としても出てきてますよね?
二見そうですね。オリジナルを作るとしたら、前提としてPCも入れるんじゃ無いかと思います。『SAO』で培った、楽しい体験、ユーザーとも出会いましたし、勇気をもらいましたし、みんなゲームを好きなんですよ。そういうユーザーさんに対して、今の世代が作る新しい遊びって言うのを、「日本のゲーム業界も元気だよ」っていうのを今後の目標としてはやっていきたいなと。とはいいつつも『リコリス』はこれから一年あるので。それをやりつつも、現場と「新しいモノ創らない?」と仕込んで行こうかなと。

――Game*Spark読者はPCユーザーが多く、最近の他社さんも含めて、PCも同時発売という状況を喜んでいる読者が多いので、今回のお話しも喜んでくれてるのではないのかな?と思います。
二見プラットフォーム自体はフラットになっていくと思っています。本当にハイエンドで遊びたいとか、高スペックで遊びたいのならPCを選べばいいし、環境に応じて遊び方を変えずに、自分の求めているモノの違いによって、プラットフォームを選べばいい時代になっていると思います。そう言った意味では、PCユーザーさんを大事にしていく時代になっているのかなと。

――ところで、PCだとModとかあるじゃないですか。その辺に関しては。
二見僕個人的には肯定も否定もできません。ただ、そこに対しての文化に負けないようなゲームを提供しないといけないなと思っています。

――では、今後Modなどをあることを前提にしたOKにした新作を出す可能性もあると考えていい感じでしょうか?
二見そうですね。僕個人的には、パーソナルなドラマ体験って言うのはやっていきたいとは思っていて。誰かを犠牲にすることなく、一人がプレイしたらドラマティックな展開になっていくようなものをやっていきたいなと。

対戦モノにしてみたら、勝者は絶対一人しか勝つ人がいないとか、PvPやっても誰か強いヤツがいるとか、僕は優劣があまり好きじゃなくて。プレイしてて、惜しいとこで終わったけど、スゴイ楽しかったねっていうパーソナルな体験ができるものを提供したいなと。『SAO』のテーマでもある、疑似MMOというか、一人でもMMOをしている感じというか、否定がされない世界だったり、AIだったり、『SAO』イズムを踏んだものを提供していきたいなと思っていますね。

――最期に何かシリーズファンの方にコメントをお願いしたい感じです。
二見『SAO』は7月からアニメの最終章が始まり、ゲームも発売させていただく、原作もまだ続いているということもあって、ゲームで『SAO』を知ったよ、原作で知ったよ、アニメで知ったよ、という人が、本当に全部の作品を楽しめるように全てのチームで頑張っています。『SAO』波というか熱を、みなさんも楽しんでいただけると嬉しいです。

シリーズを通して遊んでいただいたユーザーさんに対してですが、ゲームで生まれたキリトに関しての七年越しのお話は、これが最終章になっております。アニメとはまた違う結末が待っている作品であるので、ぜひ、ゲーム版でずっとお付き合いしていただいた、キリトのサーガ、自分でプレイしたキリトの物語を最終章まで楽しんでいただけたらと思っております。『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』よろしくお願いいたします。




『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』はPS4/Xbox One/Steamにて好評発売中です。



※ UPDATE(2020/7/9 20:03):本文中キャラクター名を修正しました。ご指摘ありがとうございました。

ゲーム最終章『SAO アリシゼーション リコリス』発売記念!二見Pに聞く同作の魅力とシリーズPC版「前作はPCでも50万本ほど。日本からも世界上位の売上」【UPDATE】

《Arkblade@Game*Spark》

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