リブートした『SAMURAI SPIRITS』における、さまざまなエフェクトの実装例【UFE 2019】 | GameBusiness.jp

リブートした『SAMURAI SPIRITS』における、さまざまなエフェクトの実装例【UFE 2019】

リブートした『SAMURAI SPIRITS』では3D化によって、必殺技などの演出には豊富なエフェクトが実装されました。これらをいかにして作り上げたかが語られます。

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2019年、剣戟格闘ゲームの代表格である『SAMURAI SPIRITS』が長らくの沈黙を破り、リブートしました。Unreal Engine 4をゲームエンジンに採用し、装いも新たにしたこのタイトルでは、さまざまな演出が強化されています。

そのひとつにエフェクトが挙げられるでしょう。2019年10月6日、エピックゲームズ・ジャパンが主催するUnreal Engineの大型勉強会である「Unreal Fest East 2019」がパシフィコ横浜会議センターで開催され、SNKより、『「SAMURAI SPIRITS」におけるエフェクトの実装例』の講演が行われました。

3D化した剣戟を彩るエフェクト「武器残像」


左から、田代氏、大前氏。

UE4で蘇った『SAMURAI SPIRITS』では「Effekseer」が使用されていることをVFXアーティストの田代廣幸氏が説明。「Effekseer」はオープンソースで開発されているエフェクトツールであり、SNKではカスタマイズして使ったといいます。


では、このツールをどのように使用したのでしょうか?VFXアーティストの田代廣幸氏と、プログラマーの大前祐人氏が解説します。

田代氏は各キャラクターを例に、攻撃した時の残像エフェクトである「武器残像」について覇王丸を例に挙げ、「斬る」「突く」といった動作は、刀の残像をMayaで制作し、漫画のような見た目を意識したと語ります。筆で描くように表現した刀の先端をCVカーブで作り、LOFTでサーフェスを作成。このプロセスを基本に武器残像を作っていきます。

ここでCVのポイント数が多すぎると調整で苦労するため、ポイント数の違う複数のカーブでサーフェスを作ると、UVが歪むため同数で作ることに決めたそうです。


「覇王丸と比較して、手間は数倍になりました」と田代氏が語ったキャラクターが徳川慶寅です。ほとんどの攻撃が直線を描くキャラクターであり、一見すると簡単なのではないかと思いますが、ここではキャラクターを生かすエフェクト作りのこだわりが見られました。

慶寅は主に直線かつ、折れ曲がる武器残像を持っています。基本的は覇王丸のエフェクトと同じですが、慶寅の場合、残像の色が特殊だということが挙げられます。

今回の『SAMURAI SPIRITS』ではプランナーによる動作設定があり、細やかにキャラを生かした動作が用意され、過去の2Dでのデザインに合わせて制作されていますが、エフェクトに関しては前例がなかったそうです。

そこで3Dとなった今回では、慶寅の持つ多数の刀の柄、それぞれに色設定があることに注目し、残像は刀の色に合わせてデザイン。華やかなキャラクター性を生かすために、手間がかけられたことがわかります。


他の武器残像の種類として「立体残像」についても解説。正確にはどの武器残像もモデリングされているため立体なのですが、より厚みをましたモデルによる残像表現を指しています。

たとえば、今作から登場する新キャラクター・呉瑞香は「羅盤」を武器としています。こちらは武器の輪郭にあわせてサーフェスを作成することで、厚みのある残像を作成。また羅盤を振った後に頭上で回転させるという、複合した動きもありますが、これは武器の軌道にふたつモデルを用意して対応するなど工夫したそうです。


ただ立体残像には若干の問題もあり、そのまま表現すると残像の3Dモデルがそのまま見えてしまい、不自然に映ってしまいます。

大前氏がこの問題にいかに対応したかというと、モデルのフェイスカリングを調整することで、武器残像をきれいに見せたと解説。大前氏は実装の肝として「TwoSidedSign」を挙げます。これを利用し、指定した向きの面を非表示する処理を加え、モデルの裏面を非表示することで残像をスムーズに見せました。


武器残像のまとめとして、長所に攻撃判定をカバーできること、個別に太さや末端の形状を変えられる自由度の高さ、形状の調整が簡単な点が挙げられました。一方で短所として、攻撃判定の調整が入った際、直すことに手間がかかったといいます。

表現規制にあわせた、カッコ良い流血表現



本作が剣戟格闘ということで、血しぶきのエフェクトにも言及がありました。残酷表現で迫力を出しつつも、昨今の表現規制に配慮し、グロテスクになりすぎないようにするというジレンマの中で作成したそうです。

血のテクスチャを共通にし、約20個ほどのモデルのバリエーションを準備。血のテクスチャーアニメーションにも噴出タイプや拡散タイプなど、多数用意されました。地面に飛び散った血が徐々に消えていく演出には、しきい値から画像の透明と不透明を操作する技術である「アルファクランチ」を活用したということです。

キャラ別の専用エフェクトはどう作ったか?



またキャラクターごとの必殺技においては、千両狂死郎を例に挙げ解説が進められました。火炎を出す技では 炎のテクスチャーアニメーションをパーティクルのデータと組み合わせ、武器残像と同じくCVカーブを利用して作成しています。

徳川慶寅の必殺技には花びらのエフェクトが用意されているのですが、3D化した本作では独自に花をモデリングしているとのこと。田代氏はこうしたリッチな表現について「3D化の恩恵を最も受けたキャラ」だと評価します。そのほか、鞍馬夜叉丸については飛び道具の弾のエフェクトに工夫を施したといいます。多数の弾をそのまま重くなるため、わずか3つの弾を演出によって、膨大な数に見せました。


これらの演出のなかでも、人気キャラのひとり、牙神幻十郎の必殺技では多くの工夫が施されます。彼を象徴する必殺技である「三連殺」の花札演出では、発光処理や札が消えていく処理にアルファクランチを使うことで、過去作での表現を踏襲しました。


一方、花札の演出では問題があり、テクスチャが1P側と2P側とで札の絵柄が反転してしまうことが起きました。大前氏はこの課題に対して、2P側のエフェクトのX軸がマイナスへスケールされることを利用して、X軸の符号をポイントに計算し直し、無事2P側でも絵柄が反転しないように仕上げたそうです。

見事に反転させないように処理する。

3Dとしてリブートした『SAMURAI SPIRITS』では、このように多数のエフェクトに工夫を凝らされていることがわかるセッションとなりました。さらに詳しい技術解説が、SlideShereにて公開されています。こちらもぜひチェックしてみてください。
《葛西 祝》

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