もはやなくてはならない存在に―スマートフォンゲーム制作におけるCLIP STUDIO PAINTの活用事例【CEDEC 2019】 | GameBusiness.jp

もはやなくてはならない存在に―スマートフォンゲーム制作におけるCLIP STUDIO PAINTの活用事例【CEDEC 2019】

セルシスのイラスト・マンガ・アニメーション制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」は、プロの創作現場ではどのように活用されているのでしょうか?CEDEC 2019のセミナー「CLIP STUDIO PAINTによるビジュアルデザイン事例」のレポートをお届けします。

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もはやなくてはならない存在に―スマートフォンゲーム制作におけるCLIP STUDIO PAINTの活用事例【CEDEC 2019】
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多くのクリエイターに親しまれるセルシスのイラスト・マンガ・アニメーション制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」。創作活動に勤しむ個人ユーザーのみならず、多くのプロにも愛用されていることで知られますが、実際にプロたちの創作現場ではどのように活用されているのか? 2019年9月4日から6日にかけてパシフィコ横浜で開催された「CEDEC 2019」のセミナー「CLIP STUDIO PAINTによるビジュアルデザイン事例」のレポートをお届けします。

ゲームの"入り口"となるキャラクターが生み出されるまで


まずはサムザップより、ディレクターの飯田隼一氏とイラストレーターの森田柚香氏が登壇し、同社が開発・配信しているスマートフォンゲーム『リンクスリングス』の制作現場における事例が紹介されました。

同作では、すべてのイラストの制作でCLIP STUDIO PAINTを使用し、Photoshopも最後の加工等の工程で併用しているそうです。


飯田氏は「『リンクスリングス』は戦うだけではなく、陣取りをするだけでもない"わいわい陣取りアクション"というゲーム性ありきで動き始めたプロジェクトです。その魅力をいかに表現するかが、ビジュアルやキャラクターを決めるうえでの大前提となりました」と語ります。


キャラクターデザインを手がける森田氏に提示した要件は「キャラクターの性能と見た目が一致したデザインであること」、「ゲーム画面が映えるように、ビュー(見た目)を意識したデザインであること」、「多くの人に好かれるよう、広がりやすさを意識したデザインであること」の3つだったそうです。

森田氏は引きこもりの少女・ルルの表情を声優の演技に合わせて調整したことや、フェイフェイが酔拳使いであることがビジュアルだけで伝わりやすいようなデザインに修正した実例を紹介。また、本作にはスピードタイプ=青、テクニックタイプ=緑、パワータイプ=赤というイメージカラーが設定されていますが、それに固執しすぎることはせず、各キャラクターのタイプがなんとなく想起できるレベルに抑えてデザインの自由度を確保したそうです。



「ビューを意識したデザイン」に関しては、キャラクターたちはゲーム内ではデフォルメされた頭身で表示されるため、カラーかシルエットのどちらかでしっかり差別化。最後の「広がりやすさを意識したデザイン」は、各キャラクターの顔付近に、それぞれを象徴させるアイテムを設定することで対応しました。こうすることで、キャラクターの新たなコスチュームを実装しても認識しやすさを担保できるうえ、ユーザーたちがファンアートやコスプレを楽しむ際にも特徴を捉えやすくなるとしています。


次に、2枚のキービジュアルが描かれるまでの制作過程が紹介されました。同社ではキービジュアルを「ユーザーがそのゲームについて知るとき、一番最初に見るもの」と定義しており、作品の魅力やウリが端的に伝わるものであることが求められました。

その前提で、飯田氏は森田氏に「楽しく、躍動感があること」、「かわいらしく魅力的なキャラクターがたくさん描かれていること」、「4対4の陣取りゲームであることが伝わること」、そして「いわゆるファンタジーモノのRPGではないこと」、「バトル(≒殴り合い)がメインではないこと」も合わせて伝えられるイラストにしてほしいとディレクションを出しました。

それを受けて森田氏は「すべての条件を満たすよりは、ある程度取捨選択をしたビジュアルの方が魅力的なものにできる」と提案。試行錯誤の末、以下のようなビジュアルが完成しました。「4対4」をビジュアルで見せることには固執せず、背景にデザインされた赤と青のラインで陣取りゲームであると表現することで、躍動感あふれるキャラクターたちが同じ方向を向いているデザインを実現しています。


その後に描かれた2枚目のキービジュアルでは、「キャラクターだけではなく、彼らがいる世界を感じてもらうことでキャラをより身近に感じてもらう」との提案を受け、作中世界での日常のひと幕を切り取ったようなイラストが描かれました。


2枚目キービジュアルの初期案。このイラストについては背景はPhotoshop、キャラクター、全体的な仕上げはCLIP STUDIO PAINTで制作されています。制作途中で、キャラクターを大きく見せる構図変更が発生しましたが、CLIP STUDIO PAINTはレイヤーフォルダ内のレイヤーを一度に移動、拡大、縮小させられますので、こうした変更にも柔軟に対応できたそうです。


飯田氏は最後に「ゲーム性が先に固まっていれば、キャラクターはそれをいかに表現するか、その魅力をいかに伝えるかというコンセプトで考えるのが望ましい」、「キャラクターはユーザーにゲームに触れてもらうための大切な"入り口"となる」、「キービジュアルは要件を取捨選択し、表現したいことをしっかり絞ること」が肝要であると語り、セミナーを締めくくりました。


複数作家による共同制作の現場での活用事例


続いて、配信中のスマートフォンゲーム『ジョーカー~ギャングロード~』(以下『ジョーカー』)でクリエイティブディレクターを務める、アプリボットの鍛治健人氏が登壇。「スマートフォンゲームをメイン事業にする会社におけるマンガ制作」をテーマとした講演が展開されました。


アプリボットは、スマートフォンゲームの制作・配信を主としながらマンガ制作専門部署「MAGNA」も有しており、鍛治氏はその責任者を務めています。そんな同社によるスマートフォンゲーム『ジョーカー』は、マンガを読み進めて物語がバトルに差し掛かるとその部分をゲームとして楽しめるなど、一風変わった"マンガを主体としたスマートフォンゲーム"という作風で多くのファンの心を掴んでいます。

鍛治氏は、スマートフォンゲーム会社が自らマンガも手がける理由について「ゲームとマンガは、実は親和性が高いんです。ゲームもマンガも共感できるかが大切。共感を得られない作品は、どれだけ遊んで(読んで)も楽しくならないんです。そして、共感を得るにはまず作品に没入してもらうことが大切です」と語ります。



ゲームとマンガが混然一体となった独特な手法に関しては「マンガは日本の誇る文化のひとつです。ストーリーをゲームとしての体裁で描くより、(マンガで描いた方が)より魅力が伝わりやすいこともあります」と述べました。

その狙いは功を奏し、『ジョーカー』はマンガ連載の開始を機に、DAUが大きく上昇したそうです。同作では複数本のマンガの公開間隔を週間、隔週、月間と使い分けており、それによってDAUが上がる日(ユーザーがマンガの最新話を読みにくる日)をコントロール。各種ゲーム内イベントなどの施策を打ち出しやすくなったそうです。


そうして、『ジョーカー』にとってなくてはならない存在となったマンガの制作に使われているのがCLIP STUDIO PAINTです。50名超のマンガ家が所属しているMAGNAでは、マンガを複数名による共同作業で制作するスタイルを採用しています。鍛治氏は「CLIP STUDIO PAINTの共同作業機能のおかげで、複数名で一つの作品ファイルを同時に開き、誰がどこに手を入れているのかを逐一確認しながら作業を進められます。いまや、アプリボットにとってマンガを描くのに欠かせないソフトとなっています」とあらためてその魅力を語り、講演をまとめました。




CLIP STUDIO PAINTはゲーム制作現場でどのように使われているのか。また、その使用感は? 次のページでは、上記セミナーの終了後に、サムザップの飯田氏と森田氏に率直な感想をうかがったインタビューをお届けします。


《蚩尤》

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