「ゲームのしごと ~ いまを知る、これからを語る ~」でKLab&オルトプラス高知が明かした地方での業界の現状とその生活とは? | GameBusiness.jp

「ゲームのしごと ~ いまを知る、これからを語る ~」でKLab&オルトプラス高知が明かした地方での業界の現状とその生活とは?

3/15、Web・ゲーム・IT業界を専門に取り扱う転職エージェント『マイナビクリエイター』を運営するマイナビワークスは「ゲームのしごと いまを知る、これからを語る」と題したセミナーを開催しました。

ゲーム開発 その他
「ゲームのしごと ~ いまを知る、これからを語る ~」でKLab&オルトプラス高知が明かした地方での業界の現状とその生活とは?
  • 「ゲームのしごと ~ いまを知る、これからを語る ~」でKLab&オルトプラス高知が明かした地方での業界の現状とその生活とは?
  • 「ゲームのしごと ~ いまを知る、これからを語る ~」でKLab&オルトプラス高知が明かした地方での業界の現状とその生活とは?
  • 「ゲームのしごと ~ いまを知る、これからを語る ~」でKLab&オルトプラス高知が明かした地方での業界の現状とその生活とは?
  • 「ゲームのしごと ~ いまを知る、これからを語る ~」でKLab&オルトプラス高知が明かした地方での業界の現状とその生活とは?
  • 「ゲームのしごと ~ いまを知る、これからを語る ~」でKLab&オルトプラス高知が明かした地方での業界の現状とその生活とは?
  • 「ゲームのしごと ~ いまを知る、これからを語る ~」でKLab&オルトプラス高知が明かした地方での業界の現状とその生活とは?
  • 「ゲームのしごと ~ いまを知る、これからを語る ~」でKLab&オルトプラス高知が明かした地方での業界の現状とその生活とは?
  • 「ゲームのしごと ~ いまを知る、これからを語る ~」でKLab&オルトプラス高知が明かした地方での業界の現状とその生活とは?
3/15、Web・ゲーム・IT業界を専門に取り扱う転職エージェント『マイナビクリエイター』を運営するマイナビワークスは「ゲームのしごと いまを知る、これからを語る」と題したセミナーを開催しました。

東京や大阪、福岡といった大都市を中心に拠点を構えることが多いゲーム企業。ゲーム業界で働きたいと思ったら上京しなければならない、と考える方も多いのではないでしょうか。しかし、IT技術の発達や、地方行政の熱心な企業誘致活動もあり、実は大都市以外でもゲーム業界に挑戦できる環境が整ってきています。

本稿では、地方に拠点を構えるゲーム企業のキーマンが、就職活動中の学生や転職を検討している業界人、ゲーム業界にチャレンジしたいと考えている方に向け、赤裸々に内情を語ったセミナーの模様をレポートします。


今回、地方での取り組みを明かしてくれたのは、KLab株式会社 KLabGames事業本部プロデューサーの北牧涼輔氏と、株式会社オルトプラス高知 代表取締役CEOの石川哲大氏。

▲北牧涼輔氏

▲石川哲大氏


MCはインサイド編集長の山崎浩司氏が務め、両社の試みや地方で働くメリットとデメリットを明らかにしていきました。

▲山崎浩司氏

ゲーム業界の転職事情、未経験には厳しい状況


トークはいくつかのセクションに分かれて進行し、登壇者の自己紹介からスタート。北牧氏はCGM/SNSのディレクターやプロデューサーを経て、ソーシャルゲームの開発に参画。いくつかのゲームをリリースした後、2012年にKLab株式会社へ入社、現在は同社の岡山事業所の責任者を任されており、KADOKAWAとの共同プロジェクト『ラピスリライツ ~この世界のアイドルは魔法が使える~』のプロデューサーも務めています。


(※ 岡山事業所のオフィス内にはゆっくりとくつろげる休憩スペースなども用意されているそう。現在は60名弱が同拠点に所属)

オルトプラス高知の石川氏は、ソーシャルゲーム業界を目指しオルトプラスにエンジニアとして入社後、ブラウザゲームの運営ディレクターを務めた後に「高知県に拠点を作るから代表をやってみないか」と設立を任され、縁もゆかりもない高知県に飛び込むことに。そんな同社は今年で創業1年を迎え、どういった会社にしていくか、という方向性が見え始めたところなのだと言います。拠点を設立して1年ほどで40名が所属するほどまでに拡大しており、その内の8割程度が高知県内からの採用とのこと。


(※高知県のオススメスポット、社内では社員同士がゲームをプレイしながら交流する様子が紹介されました)

その後、本セミナーの主催であるマイナビクリエイターの松本 武雄氏から今のゲーム業界の就職・転職事情について語られました。現状、東京のゲーム会社は人材不足が激しく、多くの企業が即戦力の獲得に力を入れていると言います。一方で、ゲーム業界での経験が浅い方、未経験の方は参入がし辛い状況であるとも話しました。入社ができたとしても年収が下がったり、派遣のような雇用形態になることが多く、そこからどうステップアップしていくかがキャリア形成において重要とのこと。

▲松本 武雄氏


両社が地方に事業所を構えた意図とは


続いて、「何故ゲーム開発のメインストリームでない地方に拠点を構えたのか?」という話に。KLabの岡山事業所は元々は別会社だったそうですが、規模が拡大してきたところでKLab側から一緒に事業をやらないか、と声をかけられたからだと言います。

対するオルトプラス高知は、まず高知県の実情を説明。同県は人口が国内ワースト3位、少子高齢化の先頭を走っている状況であり、若者の県外流失防止のため、他県からの企業誘致を行い雇用の創出に力をいれているとのこと。同社も都内での人材確保の難しさを感じており、雇用を創出したい高知県、人材確保がしたいオルトプラス、双方のニーズがマッチしたことから設立を決めたのだと述べました。

また、お二人自身をモデルケースに地方での生活面の話題に。石川氏は東京では10万円はかかるバストイレ別の1Kの部屋に半額以下の値段で住んでいることを明かし、移動に関しては公共交通機関が発展しておらず、車がないと苦労する、と苦笑いをしていました。

北牧氏はかつて日本各地を転々としておられたようで、その話から東京や大阪とそれ以外の場所での大きな違いに言及。家賃や物価もそうですし、車が無いと生活できないといった一面はやはり地方ならではの苦労があるようです。

行政や他社との関りは?地方では未経験でも活躍できる?


ここからは両社の業務について話が移りました。司会の山崎氏から「これからKLabとして育てていくオリジナルIPの『ラピスリライツ』をなぜ岡山事業所で作っているのか?東京での方がパートナーとの連携もとりやすいのでは?」と問われた北牧氏は、「自分が岡山でやりたい」と宣言したからだと言います。同社では自ら先陣を切って企画を動かすことが求められ、そこに岡山も東京も関係ないのだと述べました。

オルトプラス高知では、ゲーム業界未経験者でも積極的に採用を行っていると言います。「未経験だと教育など大変なのでは?」と問われると「問題ない」と自信を覗かせた石川氏。設立当社はゲーム運営をメインに行っていたそうですが、現在は本社から大きなタイトルの一部を受諾できるくらい成長できたそうです。そんな同社には未経験で入社し、ディレクターやマネージャーを任される人も出てきていると明かしてくれました。

続いて行政との関係の話題になると、石川氏はオルトプラス高知は高知県と深い付き合いがあると答えました。高知をゲームで盛り上げたいと話すと共感してくれる人が多く、そんな地元のみなさんとお酒の席で仲良くなれたとも言います。また県内のIT企業で合同説明会も行ったほか、県の主催で勉強会やセミナーも行われており、県全体でゲーム・IT産業を盛り上げようと努力していると述べました。

一方、KLabでは行政との関わりは薄いようですが、ゲーム関連のデザインに特化した会社や、遊技盤関連企業の技術者との交流があり勉強会の実施など企業同士の連携は密に行っているということでした。


ぶっちゃけ地方での生活は楽しいのか!?


そして「どんな人がゲーム業界や地方で活躍できるのか?」という問いに、北牧氏はあくまでKLabにおいてという前提で「ゲーム作りにやる気を持っている人」と答え、石川氏は「作品のクオリティや納期を管理するマネジメント力を持つ人」と述べました。

一方で地方で活躍できる人についは、北牧氏は「スキルがあるに越したことはない」としつつ、「ゲームでこういうことがしたい」という情熱を持っていることが重要だと話します。岡山事業所では、過去には人差し指でパソコンのキーボードを打つレベルの人が入社してきたものの、現在ではゲーム内の演出面のリーダーを任されるほどまでに成長した事例もあると話しました。

石川氏も学生や未経験者については熱意を重視しており、そこに共感できるマインドがある人を優先して採用しているとのことでした。そういった人たちを増やし育てたい想いがあるとのこと。


セミナーも終盤にさしかかると、地方で働く際の金銭面の話題がでてきました。オルトプラス高知では未経験からでも昇進ができるそうですが、やはり東京との差を考えると給料は下がらざるを得ない部分もあるとのこと。大体東京の水準の7割になるそうですが、最低賃金は年々上がってきており、家賃や物価が安いので悲観するレベルではないと述べました。

KLabに関しても東京と比べると少し下がるそうですが、給料に関しては個人の能力が上がったかどうかで判断されるそうで、しっかりと成長して実力を伸ばせば昇給は可能とのことでした。


最後の話題は「ぶっちゃけ地方は楽しいか」どうか。北牧さんは仕事の面で多少の不便さはありつつ、プライベートが楽しいと一言。アウトドアがやりやすい環境で、仕事の面の不便さを毎週東京へ行くことでカバーし、あまり嫌なことは無いと感じているそうです。

石川さんは都市部から田舎に移り住んだ所謂Iターンとなりますが、やはりプライベートに関してはレジャーが多く楽しいと話していました。仕事の面の苦労も同様で、ChatWorkというツールでコミュニケーションを取っており、相手の表情がわからないことによる弊害はあるようでした。その対策として、プロジェクトの立ち上げ時には出張をし対面による業務の引き継ぎ、月に一度全社員に向けて事業の方向性を伝える会議を行っているそうです。




休憩を挟んだ後に行われた座談会では、登壇者と直接話しを聞けるだけあってところどころ内情が飛び出す一幕もあり、参加者も積極的に質問をしていました。

大都市と地方、どちらがゲームを作りやすいのか?お二人のお話からは、特段大きな差はないように感じられましたが、触れられる情報量や競合他社の存在は圧倒的に大都市の方が多く、ゲーム作りにおいては刺激になり得ます。一方で地方は、雑多な情報が入ってこず、目の前のゲーム作りに集中できる環境があると言えるでしょう。

地方では未経験者でもゲーム業界にチャレンジできる環境がある。ゲーム業界を目指している学生の方や転職希望者は、「地方でのゲーム作り」も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
《井の上心臓@インサイド》

この記事の感想は?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら