「OPTPiX ImageStudio 8」β版が無料公開中…20年以上の歴史で初となるUI刷新の狙いを聞く | GameBusiness.jp

「OPTPiX ImageStudio 8」β版が無料公開中…20年以上の歴史で初となるUI刷新の狙いを聞く

「OPTPiX imesta」と最新版の「OPTPiX ImageStudio 8」がどういうソフトウェアなのか、株式会社ウェブテクノロジの皆さんに伺いました。

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画像最適化ソフトウェア「OPTPiX imesta」シリーズの最新版となる「OPTPiX ImageStudio 8」が、2019年に発売されるのに先駆け、β版が無料公開されています。ユーザー登録等も不要で、下記のURLから誰でもすぐにダウンロードできます。

https://www.webtech.co.jp/imagestudio/teaser.html

β版とはいえ、この手のツールが無料かつユーザー登録不要で公開されるのは珍しいこと。なぜこういった施策を取ったのか、また「OPTPiX imesta」と最新版の「OPTPiX ImageStudio 8」がどういうソフトウェアなのか、開発者の皆さんに伺いました。

お答えいただいたのは、「OPTPiX imesta/ImageStudio」シリーズのプロダクトマネージャーを務める小野知之氏と、プログラマーの橋本孔明氏です。

【インタビュー・ライティング:石田賀津男(フリージャーナリスト)】

■Webサイト制作からゲーム開発へ。「OPTPiX imesta」の歴史をたどる


――まずは「OPTPiX imesta」について、製品の概要を教えてください。

株式会社ウェブテクノロジ R&D部 マネージャー
小野 知之

小野画像最適化ツールです。最適化とは、画像の画質を落とさずファイルサイズを小さくすることと、ファイルサイズを小さくしつつも画質を落とさないという、2つのアプローチがあります。前者は画像を減色してファイルサイズを小さくしつつ、見た目は美しく保つというもの。後者は3Dのテクスチャなどで使われるPVRTCやETC2のように圧縮率が固定で決まっているものを、同じファイルサイズでも他のツールで圧縮するより綺麗に見せようというものです。

Web向け減色ツールがゲーム開発でヒット



――「OPTPiX」の最初の製品が出たのは、もう20年以上前ですよね?

小野1997年秋に初代「OPTPiX」をシェアウェアとして発売しました。当時は減色機能のみで、WebサイトのGIF画像(※GIF形式は1,677万色の中から256色を選択して使うインデックスカラーを採用している)作成に向けたものでした。また、インターネットも低速でしたから、なるべくファイルサイズを小さくしたGIF画像をアップロードしたいという人をメインターゲットとして開発しました。

――当時の「OPTPiX」は私も使ったことがありまして、減色のクオリティは他のソフトとは一線を画していました。しかし最近の「OPTPiX」は個人よりゲーム開発企業向けというイメージがあります。


小野「OPTPiX」を発売した頃、PC向けのゲームで、それまでは主に16色だったCGが256色に移行する時代でした。そういうゲームで、より美しい画像を使いたいというニーズが出てきて、減色ツールである「OPTPiX」の需要が出てきました。特に美少女ゲームメーカーのLeafさんが自社のwebサイトで紹介してくれたことで、ゲーム業界関係者を中心に、一気に「OPTPiX」の名前が知れ渡りました。

その後、家庭用ゲームを手がける大手ゲーム会社さんから、プレイステーション向けに使いたいというお話をいただきました。しかしテレビの画面は、PCのモニターとは色味が違い、そのまま減色しただけでは思ったような色のバランスにならないため、チューニングして欲しいという要望をいただきました。そこでゲーム開発向けに作ったのが、現行製品「OPTPiX imesta」の前身にあたる「OPTPiX iMageStudio」です。最初のビッグタイトルとしては「ファイナルファンタジーVIII」で使われました。

――そこからゲーム開発向けツールとしてスタートするのですね。

小野その後登場したプレイステーション 2では、メモリの制限が大きく、テクスチャは実質的に減色した画像でなければ使えませんでした。高性能な減色ツールは他になく、ゲーム業界の中で一気に広がりました。当時のプレイステーション 2の国内タイトルでは、ほぼ全て採用されています。

OPTPiX iMageStudio 5 for PSP + PlayStation2(2005年)

小野その後もゲームボーイアドバンスやニンテンドーDSでも減色したテクスチャの需要があり、採用実績は少なくとも3,000タイトル以上あります。ニンテンドーDSでは任天堂さんに米国での販売代理をしていただけて、海外でも採用実績があります。ゲーム業界で最も減色のニーズが高まったのがこの時期です。

携帯電話の壁紙サイト向け~スマートフォンアプリ向けと時代の変化に対応


――その後の時代はどうなったのでしょうか?

小野2006年にWiiやプレイステーション 3といったゲーム機が登場すると、ゲーム機の性能が上がり、インデックスカラー以外にもダイレクトカラーや圧縮テクスチャなどが選択肢に上がるようになりました。つまり減色しなくてもよくなり、そこから家庭用ゲーム機向けの採用は縮小していきます。

代わりに伸びたのが携帯電話、いわゆるフィーチャーフォン向けコンテンツへの需要です。当時は壁紙サイトが大流行していましたが、携帯電話は機種ごとに画面サイズがバラバラで、何百、何千種類とありました。そこで端末ごとに最適な解像度へのリサイズと減色を同時に行う機能を付けるなど、とにかく携帯電話向けの機能を強化しました。これによりモバイルコンテンツ業界にも広めることができました

――同じ減色機能でも使われ方が全く違うわけですね。では、昨今のスマートフォン向けには?
小野フィーチャーフォンからスマートフォンも、家庭用ゲーム機と同じく、その需要が減色から圧縮テクスチャへと移り変わっていきました。ただ、家庭用ゲーム機と異なり、画面の大画面化や高解像度化が一気に進んだこともあって、綺麗な圧縮テクスチャを求められました。そのため、スマートフォンのコンテンツ向け「OPTPiX imesta」では、iOS向けの圧縮テクスチャをより高品質にする新エンジンを搭載しています。

OPTPiX imesta for Mobile & Social(2013年)

――最近の採用実績はいかがですか?

小野Cygamesさんの「シャドウバース」や「グランブルーファンタジー」などのロングヒットタイトルを中心に、たくさんのゲーム会社のタイトルでご採用いただいています。いずれも美麗なグラフィックなタイトルです。

――「OPTPiX imesta」の採用は、テクスチャを綺麗に圧縮することの他にはどんなメリットがあるのでしょうか?

株式会社ウェブテクノロジ R&D部 エキスパート
橋本 孔明

橋本コンテンツがリッチ、すなわち画像データが豊富なコンテンツ/ゲームタイトルほど、圧縮による転送量の削減効果が大きくなります。通信量を減らせるのはもちろん、ダウンロード時間が長いだけでゲームを遊んでもらえなくなることもあるので、大きなメリットがあると思います。

HTML5から家電まで。時代を経てもなくならない減色の需要


――他にも新しい分野への進出はあるのでしょうか?

小野最近だとHTML5の再注目によって、webブラウザゲームでの需要が出てきました。ここでもPNGの減色はもちろん、スマートフォン向けのテクスチャ圧縮技術がこちらでも使われています。

――時代が変わっても、再び減色の価値が出てきたのですね。

小野とはいえ、最近のスマートフォンアプリの開発から入ったような若い方は、「OPTPiX」を知らない方も多いです。10年ほど前までにゲーム開発をされていないと、「OPTPiX」どころか減色という行為すら知らないという方もいらっしゃいます。そういう方々にも「OPTPiX」の名前を知って欲しいというのが、今回の「OPTPiX ImageStudio 8」を作る思いとしてあります。

■「OPTPiX ImageStudio 8」でシリーズ初のUI刷新


今や不要となった機能を削り、モダンなUIへ


――最新版となる「OPTPiX ImageStudio 8」ですが、開発に至る経緯を教えてください。

小野シェアウェアだった「OPTPiX」に始まり、ゲーム業界で広く使われるようになった「OPTPiX imesta」ですが、20年以上にわたってアップデートを繰り返してきた結果、機能が多く、また操作が煩雑になりすぎてしまいました。端的に言って、とにかくとっつきにくいのです。

――もはや時代的に使われない機能も、削られずに残っているわけですか。

橋本はい。また、プログラムの構造もそのままなので、例えば4Kなどの高解像度ディスプレイで動かすと、UI要素が小さすぎるという問題もあります。

小野20年の間に機能が詰め込まれている上に、コードは古い。だったら作り直そうということになりました。今のスマートフォン向けのアプリを作っている方々が使う機能を軸に、今はあまり使われない機能をなくしつつ、現在のUIのトレンドに合わせた見た目に作り直す。そこから「OPTPiX ImageStudio 8」の開発プロジェクトが始まりました。

――エンジン側ではなく、UI側の課題を克服するプロジェクトですか。

橋本「OPTPiX」の歴史の中で、初めてUIを1から作り直したことになります。下回りとなるエンジンは元のコードを抜き出してブラッシュアップし、UI等の上回りとは完全に分離して、上回りを作り直しています。


――では「OPTPiX ImageStudio 8」の注目ポイントを教えてください。

橋本UIのリファインがコンセプトですので、減色の性能や処理速度はそれほど変わっていません。ただ以前のバージョンではCPUの並列処理の導入が遅れており、1スレッドだけで減色していました。「OPTPiX ImageStudio 8」では、複数の画像は複数スレッドで並列処理するように変わりましたので、パフォーマンスも向上しています。マクロ処理も1ファイル1スレッドの処理でしたが、CPUの数に応じてスレッドを増やして並列処理します。

減色の前後を比較できるプレビュー機能




橋本使い勝手の面では、減色のプレビューが入りました。赤い線を左右に動かして減色や各種フィルターのプレビューがしやすくなるなど、表示モードをいろいろ用意しています。また減色するとファイルサイズがどのくらいになるのかをリアルタイムに試算、表示するようにしました。具体的なファイルサイズと、元の画像から何%小さくなったかも表示しています。パラメータを調整してプレビューすると、試算値もリアルタイムで変わります。

――プレビューでの比較はとても便利ですね。減色の効果がよくわかります。

ウィンドウのレイアウトを自由に変更




橋本以前のバージョンではフロートのままだったツールウィンドウ類も、今回はドッキングできるようになり、ユーザーの好きなようにウィンドウレイアウトの調整ができます。特定のウィンドウを外してサブモニターに持っていくといったこともできます。今時、マルチディスプレイで作業されるのが当たり前ですので、やっとモダンな設計になったと言えます。

Undoせずに処理を調整できるタイムライン機能




橋本マクロ処理も改善しています。以前のバージョンでは手作業とマクロのUIが完全に分かれていて、手作業の減色処理とは全く違う操作が必要でした。今回はタイムラインという領域を用意し、減色やフィルターなどの操作をタイムラインとして並べていきます。例えば、ぼかしフィルターを適用した後で減色するという操作で、ぼかしフィルターの強度を変えたい場合、以前のバージョンではUndoしてぼかしのパラメータを変えて再度減色していました。「OPTPiX ImageStudio 8」では、タイムラインでぼかしフィルターの部分を選んで変更でき、その後の減色処理をそのまま残すことができます。

タイムラインをアクションとしてマクロ化




橋本さらに一連のタイムラインをアクションという形で保存でき、別の画像にもすぐに同じ処理を施せます。マクロ機能は以前のバージョンと同様、入力と出力のフォルダを指定して一括処理するのですが、その処理内容でアクションを実行するという項目があり、フォルダ内の全ファイルにアクションを一括適用できます。なお「OPTPiX imesta」と同様にマクロダイアログからマクロの手順を操作したいという声もいただいています。現在のβ版ではできませんが、正式版ではマクロの編集手段も提供する予定です。

将来的にはコマンドラインインターフェースの提供も


橋本マクロのコマンドライン実行ツールについても、アクションを指定したコマンドラインの実行や、減色やぼかしなどのフィルターを指定したフォルダに適用する実行ファイルのような形も、将来的にはできるようにしようと思っています。この辺りができてくると、JenkinsなどのCIツールに馴染みのある、最近の開発ワークフローにも対応しやすくなるはずです。実は途中まで実装は進んでいて、現在の実装でも、ログウィンドウのコマンド入力欄で、例えば “reduce 256” と入力すると、256色に減色できます。

定評のある機能の踏襲と、新機能とMac版


――他に今後考えている仕様はありますか?

橋本新しい機能ではありませんが、「OPTPiX imesta」で定評のある、“重要領域指定減色”があります。この機能は減色の際に、色を残しておきたいポイントを指定する機能です。例えば、キャラクターの目やイメージカラーなど、画像の総面積に対してごくわずかでも、そのキャラクターにとって大事な色要素を残したい時に重宝されています。昔からの機能は「OPTPiX ImageStudio 8」でばっさり切ってはいますが、こういう需要のある機能はきちんと残しながら、やはりUIの見直しをかけていきます。


新しい機能では、HDR(High Dynamic Range)への対応を予定していまして、既にHDR画像の読み込みはできます。現時点ではPC向けのHDR対応モニターが少なかったり、Windows側のHDR対応との歩調を合わせきれていないので、下回りの実装にとどまっています。

また今回は他のOSへの移植を考えた設計になっています。以前のバージョン、「OPTPiX imesta」は、Windowsの機能を多用していたこともあって、移植がしづらい状態でした。今公開している「OPTPiX ImageStudio 8」のβ版はWindows向けに特化したUIで作っていますが、Mac用も上回りさえ作れば似たようなものができるという設計思想になっています。

小野ゲーム開発では、Macのユーザー数が非常に増えています。Mac版はリリース時期こそ未定ながら、予定はしています。

■夏前のリリースに向けて新たな無料β版も用意


――今後のスケジュールを教えてください。

橋本正式リリースは今年の夏前にはと思っていますが、その前に現在公開しているβ0を改善したβ1を2月頭くらいに公開したいと思っています。不具合の解消や、未実装だった機能を加えたものになります。その後、β2、3と何段階か公開していくつもりです。

――そもそも、トライアル版は以前のバージョンでも提供されていたのですか?

橋本主にゲーム会社等の企業を対象としていましたが、期間限定のトライアルは過去にも、現在も提供しています。但し、今回のようにユーザー登録不要で、というのは初めてです。

――というと、企業以外、つまり個人でも使えるということですね。

橋本はい。個人の方、例えばインディーゲームデベロッパーの方にもご評価いただきたいと考えています。もちろん、今回のβ版を商用利用していただいても構いません。また、もし20年前のシェアウェア版「OPTPiX」を使ったことがある方がいらっしゃったら、ぜひ触ってみて、大きく変わったことを感じていただきたいです。

――β版の機能制限はありますか?

橋本現時点でまだ未実装の機能はありますが、『β版だから』と制限した機能はありません。またβ0バージョンは3月末までの期限付きとなっていますが、β1などが出れば期限も延ばしていくつもりです。


小野: もちろん発売後もトライアルとして試せる形は続けていく予定です。

――最後に、β版のアピールや注目点についてコメントをお願いします。


橋本ある程度ヒアリングした上で考えた新しいUIではありますが、β版を実際にお使いいただき、『うちのフローに合わない』『こういう機能があれば良くなる』といったフィードバックをお待ちしています。今後も改善を続けて、実際の運用シーンに合わせた改善をしたいと思います。また特殊なファイル形式なども、もしあれば情報をください。

――ありがとうございました。

2019年1月現在、鋭意開発中の「OPTPiX ImageStudio 8」。
この、新しくなったユーザーインターフェースに、現行バージョンの基本機能を搭載した最新版は、メールアドレスなどのユーザー情報登録なしに、即ダウンロードして使える状態で配布中です。「OPTPiX」をご存知の方もそうでない方も、どなたでもお試しください。

■OPTPiX ImageStudio 8 Teaser
https://www.webtech.co.jp/imagestudio/teaser.html
※上記リンク先の中段、ダウンロードボタンから是非どうぞ!




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《石田賀津男》

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