オリンピックとe-Sportsの関係。アメリカでギャルゲー?【オールゲームニッポン】 | GameBusiness.jp

オリンピックとe-Sportsの関係。アメリカでギャルゲー?【オールゲームニッポン】

テレビゲームの世界は、新しいデバイスや技術の普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか考える余裕のない現代ですが、少しだ…

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テレビゲームの世界は、新しいデバイスや技術の普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか考える余裕のない現代ですが、少しだけ立ち止まって一緒に見つめてみませんか? 毎月1回、「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」ゆるーくお届けします。


山﨑:
2月です。今月は平昌オリンピックがありました。開幕直前まで「政治色が強い」「寒すぎる」などと言われていましたが、本番がはじまってみたらオリンピックらしく、かなり盛り上がったように思います。

安田:
そうでしたね。やはり純粋に戦う選手の姿は美しかったですね。日本選手も大活躍したいいオリンピックでした。

平林:
私も相当数の競技を観戦していました。大好きなオリンピックが閉幕して、一気に寂しくなりました。

山﨑:
私はフィギュアスケートの宇野昌磨選手がとても印象に残っています。おふたりはどの競技、どの選手の印象が残っていますか?

安田:
どの選手も讃えたいですが、あえて挙げるとすれば、やはり羽生結弦選手でしょうか。66年ぶりのフィギュアスケート・男子シングルで2連覇。しかも怪我の後の復活劇。感動しました。日本では全世代のファンから支持され、日本以外の国でも人気があって、まさにスーパースターだと思います。

(c) Getty Images

安田:
あとは、小平奈緒選手ですね。アスリートとして自分自身を表現する言葉を3つ教えてほしいという記者の哲学的な質問に、躊躇なく「求道者、情熱、真摯」と答えていたのはとても印象的でした。スケートの道をきわめて「究極の滑り」を完成してほしいですね。

(c) Getty Images

山﨑:
小平選手は韓国のライバルの選手を思いやる態度も話題になっていましたね。平林さんはどうですか?

平林:
安田さんがアスリートの王道を行く選手を挙げられたのでゲーム視点で。観戦していてこれは最高のゲームだ、と思ったのはスピードスケートのマススタートです。運動能力に駆け引きや作戦の要素が加わってきます。まるで、生身の人間が競輪をやっているかのような新鮮さがありました。あとは、カーリング女子。難しい場面でも明るくスパッと決断を下すのが見ていて気持ちよかったです。マススタートとカーリング、オリンピックが終わってもいろいろな試合を観戦したいですね。

(c) Getty Images

山﨑:
オリンピックにも関連しますが、今月はe-Sportsでも動きがありましたね。2月1日、e-Sportsを振興するための団体、日本eスポーツ連合(JeSU)の設立記者会見が行われました。

平林:
そうですね。この団体設立とオリンピックはつながっています。昨年10月、ドイツで行われた五輪サミットでIOC(国際オリンピック協会)はe-Sportsの五輪競技化に向けて、前向きに検討を行う旨を発表しました。つまり、早ければ2024年のパリ大会で、ゲームがオリンピックの新種目になるのかもしれません。


山﨑:
アジア大会(アジア競技大会)ではe-Sportsが公式メダル種目となることが決まっているんですよね。

平林:
はい。2022年に中国・杭州で開催されるアジア大会からです。アジア大会は今年8月にインドネシア・ジャカルタでも開かれ、e-Sportsのエキシビション大会が行われます。そこに日本選手団を送る準備のために、この時期に発表されたようです。アジア大会やオリンピックに出場するにはJOC(日本オリンピック委員会)に加盟しなくてはいけません。

そのためには種目別団体が統一する必要があって、乱立していたe-Sports関連3団体(日本eスポーツ協会、e-sports促進機構、日本eスポーツ連盟)の統合となったようです。

山﨑:
この流れに異論を唱えた平林さんの記事を読みましたが……

※参考:日本のeスポーツ、流行らせる理論と危惧する感覚
https://news.yahoo.co.jp/byline/hirabayashihisakazu/20180202-00081165/

平林:
ゲームの対戦が興行として盛り上がるのは大賛成です。ですが、ゲームがオリンピックの種目になっていいのかどうか。そこには疑問があるんです。オリンピックの競技種目は「誰のものでもない」という条件があろうかと思います。あらゆるスポーツは誰かがルールを考えましたが、普及するにつれて誰のものでもない存在になった。誰のものでもないからこそフェアに戦えると思うんですね。


山﨑:
なるほど。

平林:
というわけで、ゲームがプロスポーツ化するならばオリンピックというよりは、企業色が出てもおかしくないモータースポーツのほうがモデルとして適しているのではないか? と考えています。オリンピックのくくりにゲームが縛られるのではなく、ゲームでくくって、その中にいろいろなジャンルがぶら下がる。そんな方向で発展してほしいです。

安田:eスポーツについてテレビで論争している場面を観ましたが賛否両論、いろいろあるようですね。

平林:はい。そもそもゲームはスポーツではないと主張する意見、パズドラやモンストがe-Sportsというのはおかしいという意見をネットでよく見かけます。いっぽうでマスメディアでは「日本はe-Sports後進国だったけれども、これから巻き返す」といった肯定的な意見が目立つようです。

で、これが大事だと思うんですが、特に声高に主張しないけれども自然にeスポーツに慣れ親しんでいる層がいます。eスポーツに対して何の思惑も主張もなく、純粋に『レインボーシックス シージ』を楽しんでいる。じつは、こういう層の人たちが日本のe-Sportsの今後を左右するのかもしれない。最近はそんなことを考えるようになりました。

安田:
いま論じられているのは、団体設立とか、JOC加盟とか、プロライセンス制度とか、いわゆる制度設計の話ですよね。制度が生まれて人々の価値観や文化として定着するには、すごく時間がかかるものです。eスポーツがどうなるのか。そのゆくえはゲームファンが決める。時間をかけて決めていくものなんじゃないでしょうか。

平林:
そうですね。e-Sportsをめぐる議論は、まさに価値観や文化まで広がる議論になります。急いで結論を出さないで、見守ることも大事だと思っています。なので、平昌オリンピックはスポーツって何だろう? オリンピックって何だろう? を考える良い機会になりました。

そうそう、そういえばオリンピックって正式名称は「OLYMPIC GAMES」なんですよね。オリンピックはゲーム。いっぽうでゲームはスポーツになろうとしているのが、なんとも興味深いです。

山﨑:
オリンピックとe-Sportsの話をいろいろとしてきましたが、他で気になることは?

安田:
先月から引き続きですが『モンスターハンター:ワールド』には注目していました。結果は大成功のようです。すごく売れているみたいですね。日本のハイエンド機対応のソフトが、世界で500万本を超えるのは珍しいことです。海外のレビューサイトでも絶賛されています。さすがです。


平林:
昨年の『バイオハザード7』もそうでしたが、カプコンは世界で売れるものを出しますね。

安田:
ところで『モンスターハンター:ワールド』がランクイン中のイギリスのヒットチャートを見たんですが、日本のソフトが他にもたくさんランクインしていました。Nintendo Switchのタイトルのほかにも『ドラゴンボールファイターズ』や『ディシディア ファイナルファンタジーNT』もランクインしていました。日本のゲームが世界と比べて遅れている、と言われていたのが隔世の感があります。日本のゲームが世界で再評価されていますね。

※イギリスのヒット・チャート「ukie」
http://ukie.org.uk/content/data

平林:
そういえば、アメリカで開発された日本風のギャルゲーがヒット中というニュースも見ました。昨年秋に発売された『Doki Doki Literature Club!』。ナツキやユリやサヨリといった登場人物たちが制服を着て登場する学園モノ。これがSteamでは大評判になっています。


※参考:Doki Doki Literature Club!
http://store.steampowered.com/app/698780/Doki_Doki_Literature_Club/

安田:
日本のゲームをオマージュした作品づくり。『陰陽師』や『アズールレーン』のように、中国ではそういう動きが見られましたが、そのアメリカ版が『Doki Doki Literature Club!』ということですね。じつは『ルートレター』もアメリカでの販売が好調なので、2Dアニメ風CGの支持層、テキストアドベンチャーゲームの支持層がアメリカにもかなりいることは肌で感じていました。


山﨑:
島根県のローカルなゲームのようでいて、じつは世界に広がっているなんて夢のある話ですね。今月もいろいろなお話をうかがいました。ありがとうございました。
《平林久和@インサイド》

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