「売れるスマホゲームの鍵は?」『消滅都市』『ジョーカー』『ドラゴンファング』のクリエイターが語る | GameBusiness.jp

「売れるスマホゲームの鍵は?」『消滅都市』『ジョーカー』『ドラゴンファング』のクリエイターが語る

KLab本社にて、ゲーム開発者向けイベント「ゲームクリエイター座談会」の第1回目が開催されました。第1回目のテーマは「オリジナルヒットタイトルのクリエイター」とし、スマホゲームを手掛ける3名のクリエイターが登壇しました。

ゲーム開発 プロデュース
座談会の様子。お酒を飲みながら、
  • 座談会の様子。お酒を飲みながら、
  • アプリボットの前田貴文氏
  • トイディアの松田崇志氏
  • グリーの下田翔大氏
  • 座談会のモデレーターを務めたKLabの孟山嘉起氏
  • 座談会の様子。事前に参加者から集めた質問に対して、3人がやり取りする形となった
  • 当日は80名近くものゲームクリエイター・学生らが参加
六本木ヒルズのKLab本社にて、ゲーム開発者向けイベント「ゲームクリエイター座談会」の第1回目が開催されました。第1回目のテーマは「オリジナルヒットタイトルのクリエイター」と題し、スマホゲームを手掛ける3名のクリエイターが登壇しました。

登壇したのは、アプリボット『ジョーカー~ギャングロード~』プロデューサーの前田貴文氏、トイディア『ドラゴンファング』プロデューサーの松田崇志氏、グリー『消滅都市』ディレクターの下田翔大氏です。

同イベントには、募集人数を超えた80名近くものゲームクリエイター・学生らが参加。大きなセミナー会場が満席となっていました。当日は、3名のクリエイターから個別にセッションが行われたのち、3名による座談会が開催されました。

■大事なのはコンセプト、そしてミッション

まずセッションに登壇したのは、アプリボットの前田貴文氏。売れていなかった『ジョーカー』を作り直し、ヒットさせるまでの話がされました。前田氏によると「始めはやばかった」とのこと。リリース当初は全く売れていなかったそうです。

そこで、前田氏が始めに行ったのは、ゲームを再定義すること。それまであやふやとなっていた『ジョーカー』のコンセプトを見直し、同作品を「新・王道不良コンテンツ」と再定義したそうです。これにより、「何を作ればいいかが明確になった」と言います。

次に、前田氏が行ったのは、明確なターゲットを置くこと。特に、誰か一人、具体的な人物をイメージすることが重要と言います。そして、ゲームコンセプトとターゲットが決まったあとは、「その人物のためにどのようなコンテンツを提供できるのか、とことんみんなで話し合った」とのことです。一時期は会社近くのファミレスで朝4時まで話し合い、体重が10kg増えてしまったという話も(笑)。前田氏は笑い話で話をしましたが、ゲーム制作への真剣さや真摯な姿勢が窺えました。

前田氏の話を突き詰めると、コンセプトを明確にした上で具体的なターゲット像を置き、彼のために何を提供できるかとことん考える、ということになりそうです。

次に登壇したのは、トイディアの松田崇志氏。これからのゲームクリエイターの在り方について語りました。松田氏は「誰でもゲームを発信できる世界になった」と指摘。スマホゲームが登場するまでは、ゲームソフトの量産化や流通経路の確保に莫大な時間と労力、お金がかかっていましたが、「今はAppleに手数料を払うだけでゲームを世界に発信できる」と述べました。

そのような時代となったため、「今はゲームクリエイターが経営者になれる」と松田氏は言います。いちゲームクリエイターとしてゲーム会社の中で制作に携わる選択肢があるのはもちろんですが、今ではゲームクリエイターが経営者になる道もあるとのこと。実際、松田氏自身もMicrosoftのXbox事業部から退社したのち、自身でゲーム制作会社を立ち上げた人物です。社員は自身を含めて4人で、「制作したタイトルは爆発的に売れている訳ではないが、食うのには困っていない」とのことです。これからは小規模なゲーム会社が多く誕生していくのかもしれません。

そして、3番目に登壇したのは、グリーの下田翔大氏。60枚以上の資料を作り込んできており、熱い口調で話がされました。下田氏が何度も口にしていたのは、ミッションの大切さ。この話は、前田氏のコンセプトの話と共通する部分があるかもしれません。

下田氏によると、ミッションが大切なのは2つの理由があるとのこと。1つは”人作り”のため。開発チームがひとつとなるために、共通のミッションを持つことが重要であると言います。そしてもう1つは”プロモーション”のため。ゲームを制作する上では「どんな手を使ってでも、ユーザーの感情を揺さぶらないといけない」と指摘。ユーザーの感情を揺さぶるようなミッションを掲げ、そしてそれをキャッチコピーとして広告に打ち出すことで、ユーザーの反響が大きく変わってくると述べました。

■ユーザーのために、開発チーム一丸で作りあげる

個別セッション後は、3名による座談会に。事前に参加者から募集していたお題に対し、3人が話をするという形になりました。モデレーターを務めたKLab孟山嘉起氏の配慮により、3人はお酒を飲みながら座談会を行うことに(笑)。「居酒屋での飲み会のようにざっくばらんに話してほしい」という孟山氏の気配りでした。

まず飛び出したお題は「オリジナルタイトルのコンセプトをどのように考えていますか?」という内容。これに対し、前田氏は、「『これを作りたい!』という強い想いがある人のところにみんなが集まり、その想いをみんなでより具体的に考えていく」と述べました。決して独りよがりなコンセプトにするのではなく、みんなで想いを具体的化していくことに気をつけているとのことです。また、松田氏によると「開発チームに共感を巻き起こすようなコンセプトを考えている。自分で作りたいと思っているゲームの考えを伝えるためにコンセプトが必要」とのこと。コンセプトを明確に持つことは、ユーザーに対してだけではなく、開発チーム内にとっても重要という話がされました。

次のお題は、「理想的な開発プロセスは?」というもの。前田氏は「『おれがターゲットだ!』と言えるものを形にしていく」と述べました。すると下田氏は「それは、僕は良くないと思います(笑)」と反論。「プロデューサーをターゲットとして置いてしまうと、開発チームのメンバーが答え合わせをしてしまう」と指摘しました。前田氏も納得したようで、モデレーターの孟山氏「ユーザー志向で開発していくことが大事なんですね」と締めくくった。

さまざまな話が飛び出した同座談会。Klabによると、今後も不定期で座談会を開催するとのことです。毎回違ったテーマで開催していく予定となっています。
《Kazunari Matsuki》

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