【ありブラ vol.22】ゲームアプリの9割が使う「予約トップ10」の魅力(アドウェイズ取材/後編) | GameBusiness.jp

【ありブラ vol.22】ゲームアプリの9割が使う「予約トップ10」の魅力(アドウェイズ取材/後編)

今回は、前号に引き続き、アンバサダー・プログラムによる協業先でもある、株式会社アドウェイズのキーバーソンお二人に、ゲームアプリのデジタルマーケティングに関する最新動向についてお話を伺います。

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GameBusiness.jp、インサイドをご覧のみなさま、こんにちは!

今回は、前号に引き続き、アンバサダー・プログラムによる協業先でもある、株式会社アドウェイズのキーバーソンお二人に、ゲームアプリのデジタルマーケティングに関する最新動向についてお話を伺います。

それでは「ありがとう、ブラックボックス」略して「ありブラ」、今週もスタートです!ぜひリラックスしてお楽しみ頂ければと思います。

予約トップ10、その開発のきっかけとは?



今回のエントリも、インタビュー対話形式でお届けします。

まずは、登場人物のご紹介です。



井上 数馬
株式会社アドウェイズ
ビジネスデベロップメントグループ モバイルディビジョン
ヴァイスアカウントマネージャー

マザーズ上場直後である、2007年度入社。
モバイルゲームアプリのクライアント様向けの広告提案を担当し責任者を務める。
フィーチャーフォン時代から含めモバイル領域の広告事業を手掛けて8年目という実は古株。
新規企画や教育など様々なプロフェッショナル職(チーフ)メンバー達の統括責任者も担当。



西村 彰洋
株式会社アドウェイズ
新規領域グループ
予約トップ10ユニット
ユニットマネージャー

2010年末に中途入社。
リワード広告商品「AppDriver」を中心としたスマートフォン広告営業を担当。
2012年、社内の新規事業に関するスタートアップ会議にて「予約トップ10」を提案し事業に携わる。
現在は、同サービスの責任者。

聞き手:幅 朝徳(株式会社CRI・ミドルウェア)


幅:そもそも、なぜ「予約トップ10」を作ろうと思ったのでしょうか?

西村彰洋氏(以下、西村):エンターテインメントのコンテンツは消費されるものであり、鮮度があります。どれだけそのアプリがヒットしても、時間とともに鮮度は必ず落ちていきます。ユーザ獲得のためには、他のアプリや話題性の高い新作アプリと闘っていかなければいけない。

「予約トップ10」の構想当時は、今ほどアドテクも進化しておらず、施策がかなり限られていました。つまり「予算はあるのにその適用先がない」「ユーザ獲得のための許容単価(CPI)を上げないと配信すらままならない」という状況に陥っていたんです。

私が営業だった時代、そうした案件を担当したこともあって「これはなんとかしなきゃいけない!」という問題意識を強く持ちました。

そんなときに、社内の「スタートアップ会議」で何かアイディアを出さなきゃいけない立場になりまして…。現在のスタートアップ会議は自由参加制なんですが、当時はドラフト制だったんですよね。突然指名されて「何か提案しろ!」と(苦笑)。

幅:業務命令だったんですね(笑)

西村:もともと漠然と問題意識は持っていたこともあって、点と点がつながる感じで、「予約トップ10」というアイディアが生まれました。

▲予約トップ10(2015年9月15日のサイトキャプチャ)


一般的なほかのエンターテインメント系コンテンツと同様に、商品サービスのリリース前にプロモーションが可能になる手法を創りたい、ということから始まりました。それによって、ひょっとしたらLTV(顧客生涯価値)を最大化できるのではないか、と。

幅:たしかに、アプリだけが発売前にプロモーションできないというのは、ちょっと不自然ですよね。

西村:そうなんです。でも、いざ「作ろう!」と決定がなされても、当時私は営業だったので、どうやってサービス開発を進めたらいいのかも分からなくて(汗)。上司からのサポートもあり、エンジニアがアサインされて開発がスタートしました。

現在「予約トップ10」は、日本、海外版含め私のユニットでは10名ほどの体制です。(その他にも海外に現地メンバーなどがいます)

幅:海外でも展開されているんですね

西村:日本と同様、海外でも事前予約という文化がなかったので、積極的に展開しています。すでに、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、等でサービスを提供中です。



幅:順番が前後してしまいますが、「予約トップ10」のサービスについて詳しく教えて下さい。

西村:みなさんご存知のAppStoreやGooglePlayというのは、リリース済みのアプリをダウンロードするためのプラットフォームです。それに対して「予約トップ10」は、リリース前のアプリを予約するためのプラットフォームを目指しています。

ユーザが「予約トップ10」を訪れると、これからリリース予定の多くのアプリがチェックできて予約もできる、という世界観を実現しています。予約数によるランキングになっているので、どのアプリの人気が高いのかも一目瞭然です。

当初はゲームに特化させるつもりは無かったのですが、結果的にゲームが中心のプラットフォームになりました。8~9割がゲームアプリとなっています。

予約トップ10を活用するメリット



幅:ゲーム企業にとってのメリットは?

西村:「予約トップ」10の基本機能は利用無料(フリー)なので、ゲーム企業様にとって手軽に利用できるプロモーション施策になっています。ゲームアプリを新規にリリースされる企業様の大多数が、「予約トップ10」を利用されています。

幅:それは凄いですね!

西村:ありがとうございます。予約する場があることで、ゲーム好きのユーザもリリース前にゲームの情報に触れることができるようになりました。類似の競合サービスもありますが、予約に対する成果報酬型で費用が発生するので、イニシャルの予算が確保できない企業様は利用しにくく、結果的にユーザもそのゲームを認知しにくいという状況になってしまいます。そもそも、予約という施策そのものが「広告」として扱われてしまうので、アプリ会社の広告方針に左右されてしまうことになります。

「予約トップ10」については事前予約を受け付ける基本機能は無償なので、「やらない理由がない!」と認識して頂けているかと思います。結果的に掲載アプリが大量に集まり、それがゲーム好きのユーザにとってのメリットにも繋がっています。

幅:いつからサービスを開始したのですか?

西村:サービスリリースは、2013年1月です。まずはiOSのみで始め、半年後の7月にAndroidにも対応しました。

リリース当初は、料金体系が成果報酬型だったこともあって、掲載タイトル数が限られてしまっていたのですが、2014年7月に現在の基本機能は無料というスタイルへとビジネスモデルを変えたことで、掲載アプリ数が激増しました。

現在では、常時約200アプリが掲載されている状態になっています。

幅:ビジネスモデルの見直しにはなにかきっかけがあったのですか?

西村:当初のように予約に対する成果報酬型ですと、アプリの掲載期間がゲーム企業様の予算枠に依存してしまいます。わかりやすく言うと「うちは5,000名の予約分しか予算がない」となると、予約者が5,000名に達した瞬間に、他のユーザは予約ができなくなってしまうわけです。

ユーザにとって本当にこれで良いのか?という疑問は実はずっと抱いていたので、検討の結果、現在のモデルへの切り替えに踏み切りました。

幅:掲載無料は英断だと思いますが、どのようにビジネスをしているのでしょうか?

西村:いくつかの有料オプション機能をご用意しています。

例えば、「先行ガチャ」というものがあります。こちらは事前予約段階からガチャを引く事が出来るようにする機能です。他にも、事前予約開始時に予約トップ10会員にメールまたはプッシュ通知でお知らせする「予約開始通知」やトップページの「バナー広告」、スクリーンショットの「A/Bテスト機能」などがあります。

井上数馬(以下、井上):無料掲載のご利用のみの場合でも、「予約トップ10」によって良質な初期ユーザを獲得して成功して頂くことで、その収益をリリース後の広告展開にご活用頂ける可能性もあります。

幅:予約ランキングに入りやすいアプリの傾向はありますか?

西村:「予約トップ10」を訪れてくれているユーザさんは、もともとゲームが好きでコアなゲームユーザが多いという傾向があります。なので、やはり王道系のRPGゲームは予約が伸びます。一方で、キャンディクラッシュのようなカジュアルゲームは予約が入りにくいようです。また、GoW(ゲーム・オブ・ウォー)やクラクラ(クラッシュ・オブ・クラン)といった、RPGよりももっとハードなゲームについても予約が伸びにくい傾向があります。もちろんこれは、あくまで「予約トップ10」でのお話にはなりますが。

幅:アプリのリリース前にユーザの反響を可視化(数値化)することができるというのは、事業計画をたてる意味でも役に立ちますよね。

西村:そのとおりです。実際に「予約トップ10」にアプリを登録して頂くと、予約数だけではなく、管理者画面でいろいろな情報がチェックできるようになります。

インプレッション数やクリック数、CTR、CVRなどが確認できます。自社の過去のタイトルと比較することもできますし、「予約トップ10」全体平均と比べた分析などもできます。ページのインプは高いのに予約が伸びない場合は、バナーのデザインに問題があるかもしれません。予約数をいかにして伸ばすか、という分析のために管理画面のレポートをぜひ活用して欲しいと思っています。

幅:予約したユーザのうち、どれくらいの割合が実際にダウンロードしてくれるのでしょうか?

西村:30%くらいが平均です。予約開始からリリースまでの期間が長すぎると、この割合が減ってしまうことがあります。ユーザさんも予約したことを忘れてしまうのかもしれません。だいたい1ヶ月前を目安にされると良いと思います。

幅:ユーザさんは、どれくらいの頻度で「予約トップ10」をチェックしているのでしょうか?

西村:コアなユーザの方は、それこそ毎日チェックして頂いています。ボリュームゾーンとしては、数日おきに一度チェックする、という方ですね。もちろん、特定のアプリに興味があってそのアプリを予約する手段として「予約トップ10」を使っているという方もいます。

幅:ちなみに、事前予約をやらない企業さんっていうのは・・・

西村:ソーシャルゲームを開発されている企業様ではほぼいないのではないでしょうか?私の知る限りでは必ずといっていいほど事前予約は実施されています。「予約トップ10」だけで事前予約を行う場合もありますし、自社公式サイトと併せて行う場合もあります。前者は、とくに個人のデベロッパーさんの場合が多いですね。

予約トップ10 × CRIWARE



幅:アンバサダー・プログラムの開始にあわせて、「予約トップ10」とのタイアップ企画も始まりましたね!

西村:はい!先ほどもお伝えしたとおり、新規にリリースされるゲームアプリの大半は「予約トップ10」をご利用頂いています。アドウェイズとしても、CRIWAREは「お客様にオススメしない理由がない」と思っている注力商材ですので、「予約トップ10」のアプリ掲載申請の際に、そのアプリがCRIWAREを搭載しているかどうかを確認させていただくことにしました。

具体的には、アプリ掲載申請のフォームに「CRIWAREを使っていますか?」というチェックボックスを設置しています。



井上率いる営業チームとも連携して、まだCRIWAREを使われていないお客様にはできるだけタイムリーにご紹介をしていこうと思っております。

幅:ありがとうございます!ところで話は変わるのですが、ゲームアプリのデジタルマーケティングにかける予算って平均的にはどれくらいなんでしょうか?

井上:全体で3,000~5,000万円というケースが最も多いですね。

内訳としては、事前予約に2~3割、リリース後のリワード広告に2~3割、アドネットワークなど運用系に5割、という構成になる事が多いです。

幅:思ったよりも事前予約に対する比重が大きいんですね?

井上:はい、徐々に事前予約に対する予算は増えてきていますが、この規模になったのは去年の冬くらいからです。事前予約で獲得したユーザのARPUが高い傾向にあるということをゲーム企業さまも気付かれてきたのだと思います。現アプリでの成功を次のアプリでの成功に繋げていこう、という姿勢もあるのかもしれません。

幅:今後、「予約トップ10」はどのように発展させていきたいですか?

西村:一定のユーザ認知は得られているので、今後はコアユーザだけでなくもっと裾野を広げていきたいです。誰でも知っているAppStoreのようにもう少しライトなユーザにも「予約トップ10」をもっと認知してもらえるようにしていきたいと思っています。また、海外にもさらに積極的に展開して、グローバルなサービスに育てていきたいです。

変化が激しい業界というのはキャッチアップしていくのが大変ではありますが、ギャップが生じやすい故に、ビジネスチャンスも生まれやすいはずです。つまり変化に強い企業がこの業界で生き残っていくはずですし、新規事業のやりがいがある分野とも言えます。今後も、需要と供給のギャップを探し続けながら、新たなサービスの糸口をつねに見つけていきたいと思っています。

ゲーム開発者に向けてのメッセージ



幅:では最後に、今回の記事をご覧になっているゲーム企業の方々に向けてメッセージをお願いします。

井上:今回のアンバサダー・プログラムや「予約トップ10」でのタイアップを通じて、ゲーム企業さまがCRIWAREを知るきっかけを増やしていければと思います。当社にとっても、広告商材だけではない付加価値をお客様にご提供できることは、我々にとっても大きなプラスです。

アドウェイズはデジタル専門の広告代理店ですが、今後もお客様が抱えていらっしゃる課題や問題点を共有させて頂き、一緒に解決していきたいと思っています。

当社のスローガンでもあるのですが、「なにこれ すげー こんなのはじめて」、お客様にそんなふうに驚いて頂ける価値を提供していきたいと思います。


▲会議室のドアにも貼られている、アドウェイズ社のスローガン


西村:今後、スマホ向けゲームの産業はもっと成熟していくと思います。市場の成熟にあわせて、単なる広告屋は価値を見いだせなくなっていきますし、マーケティングもさらに複雑化、高度化していくと思います。

発注元と発注先という関係ではなく、お客様の内部の施策と我々が担当しているような外部の施策をより緊密に連携させ、パートナーとして一緒にユーザを楽しませるという姿勢を大事にしていきたいです。

幅:井上さん、西村さん、ありがとうございました!


▲取材終了後、アドウェイズ社のエントランスにて撮影(右:井上氏、左:西村氏)


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幅朝徳(はば とものり)

株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。ゲーム企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュース等も行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。最近は、ウェアラブルやIoTといった領域での新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当、業界の枠組みを超えた協業、世の中にとって全く新しい付加価値の実現のために日々奮闘中。

趣味は、クロースアップマジックと陶芸、映画鑑賞とドライブ、鳥類/フクロモモンガ/爬虫類の飼育、そしてもちろん、ゲーム。デジタルガジェット大好きなギーク。

幅朝徳Facebook
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幅朝徳Twitter
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CRI・ミドルウェア ウェブサイト
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《幅朝徳》

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