【China Joy 2015】SCEAJ織田博之氏に聞く中国市場「課題は残るが、ポジティブに変化」 | GameBusiness.jp

【China Joy 2015】SCEAJ織田博之氏に聞く中国市場「課題は残るが、ポジティブに変化」

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SCEAJ織田博之氏(右)
  • SCEAJ織田博之氏(右)
  • プレスカンファレンスでは多数のタイトルを発表した
中国メディアを中心に数多くの業界関係者を集めて行われたSCEプレスカンファレンス。終了後にアジア事業を統括する織田博之氏を囲んでの、日本メディアによる一問一答が行われました。20分という限られた時間でしたが、密度の濃いインタビューとなり、同社の中国展開にかける意気込みが伝わってきました。

―――発売からこれまでの感触についてはいかがですか?

タイトル数が重要だと思っています。3月20日の発売から今日までで、PS4で12タイトル、PS Vitaで8タイトルを発売いたしました。一方で下半期から来年にかけては、これだけのタイトルが用意されています。厳しいことで有名な中国のセンサーシップを前に、これだけ多くのライセンシー様からタイトル供給をいただき、一緒に盛り上げていこうとしてくれていることに対して、非常に満足しています。

―――今回発表されたもの以外で、発売日が決定されたものはありますか?

各ソフトごとのセンサーシップ(検閲)の問題もあり、まだ正式に決まっていません。決まり次第プレスリリースという形でお知らせさせていただきます。

―――Morpheusの発表もありましたが、中国展開はするという理解で良いでしょうか?

SCEとしてMorpheusの発売地域は明言していません。今回はまず中国のお客様にMorpheusを体験してもらうために持ってきました。参考出展という扱いです。

―――直前に中国政府から家庭用ゲーム機の市場開放に関するアナウンスがありました。

もともと市場開放については中国政府としても目指している方向と伺っていましたが、ご承知の通りこのタイミングで発表があり、上海の自由貿易区以外でも家庭用ゲーム機のビジネスが可能になりました。しかし、これは生産と販売が可能になっただけで、一番大切なソフトのセンサーシップが必要なことに変わりはありません。市場開放への一歩という意味では、大変ポジティブにとらえていますが、センサーシップが必要な点では、まだまだだなと思います。

―――今後北京にSCEの拠点を作られる可能性はありますか?

すでに上海で生産して中国全土で販売しており、上海からのオペレーションでまかなえていますので、わざわざ拠点を増やす必要はないと思っています。今後規模が増えればそういったことも検討材料になりますが、現時点ではありません。

―――日本と同じように中国でもソフトはパッケージとデジタル流通の両方で行われているのでしょうか? デジタル流通の方が海賊版には効果的だと思いますが。

両方で行っています。PS3の時代からコピープロテクションを強固にしており、特にPS4とPS Vitaでは、それが非常に効果的に機能しています。そのためパッケージでもデジタル流通でも安心してお客様に楽しんでいただける環境ができています。

―――PS4とVitaの販売目標について教えてください。

正直なところ、具体的な販売目標は立てていません。というのも、ご存じの通り十数年間もずっと家庭用ゲームのビジネスが禁止されていましたから、まずは市場を立ち上げることが重要です。また今回は2016年の発売も含めて、合計で70タイトル以上を発表しましたが、まだまだPS4向けにゲームを作ってもらえるようにライセンシー様を増やしていく段階です。そのため、販売目標については今のところ申しあげる数字はございません。

―――PS4とVita、すなわち据え置き機と携帯機では、どちらが強い市場ですか?

どちらかというとPS4の方が売れていますね。

―――人気タイトルはどんな感じですか?

ローンチで発売した『DYNASTY WARRIORS 8: Xtreme Legends Complete Edition(真・三國無双8)』『TOUKIDEN-KIWAMI(討鬼伝 極)』などは人気がありますね。また『FINAL FANTASY X HD Remaster』『X-2』については、アジア版から1ヶ月おくれでリリースできました。リードタイムが短いものは販売も好調ですね。

―――今後発売されるタイトルで、中国のゲームとそれ以外の割合はどれくらいですか?

センサーシップの結果、発売が延期される可能性もあるので、なんともいえません。ただ現在の段階で中国開発のゲームを30タイトル以上、審査に出しています。国内外でバランス良くリリースできるのではないかと思います。

―――中国のお客さんは中国のゲームを求めているのでは?

そこは両方ですね。今日も『ストリートファイター5』『FF14 新生エオルゼア』で歓声が上がっていましたし。日本も含めた海外タイトルに対して強いデマンドを皆さんお持ちです。それもあってバランスが重要かなと。

―――中国本土のタイトルが大手からインディーまで幅広く揃っていたのが印象的でしたが、どのようにして探されたのでしょうか?

日本人の駐在員、ローカルスタッフ、それから台湾のスタッフも含めてパブリッシャーリレーションを行っています。実は昨年12月に正式発売の発表をして以来、非常に現地から多くの問い合わせをいただきまして、それらに一つずつお伺いして、対応させていただいています。

―――中国開発のタイトルでPS4独占タイトルはどれくらいありますか?

メインはPCオンラインゲームなどからの移植で、正直これからです。中国ではディベロッパーさんがPS4のみでゲームを作るという段階に、まだ至っていません。まずは移植からはじめて、そこから次第にPS4向けにオリジナルタイトルを作ってもらうという、ビジネスを一緒に作りあげていく段階です。でも、良い流れになってきたと思います。

―――総じて中国の開発会社をどのように見ていますか?

中国の開発会社さんは、すでに海外大手の外注などを経験されているところも多く、開発スキルは非常に高いものがあります。PCからの移植だけでなく、PS4、PS Vita向けにオリジナルタイトルを作っていただきたいですし、そのための支援はどんどん行っていきます。

―――デベロッパー向けのサポートはどうなっていますか?

資金援助という意味ではなく、PS4向けのコーディングであるとか、エンジニアリング向けのテクニカルサポートを、東京のスタッフが中心になって行っています。

―――IGF Chiaなどのインディ向けイベントを積極的にサポートしていくような考えはありますか?

もちろんです。

―――今年の台北ゲームショウでは多くの日系タイトルが繁体字へのフルローカライズと共に発表されました。SCEとしてのアジア戦略と、その中での中国戦略について教えてください。

台北ゲームショウでは多くの日系企業の方々にご協力いただき、ローカライズを進められました。繁体字・簡体字・韓国語などなどです。インドネシアやタイのようにゲームはローカライズされていなくても、カタログなどを現地語に翻訳して展開している地域もあります。ローカライズの言語数を増やすことで市場が広がるという強い実感がありますので、今後もさらに踏み込んで力を入れていきたいと思います。

―――『FF14 新生エオルゼア』の三社共同プロジェクトは、どういった切り分けを行われるのですか?

ご存じの通り開発はスクウェア・エニックス様が行われていますが、外資系企業がオンラインゲームのパブリッシングをできないという規制があり、盛大ネットワーク様がPC版の運営を行われています。一方で盛大様はPCプラットフォームでの運用経験は豊富ですが、PSでの運用経験は初めてです。そこではSCEの開発サポートチームが入って、三社で一緒になって中国向け・PS4向けの運用を進めていく予定です。

―――ローカライズの内容はPS4版とPC版で同じと考えて良いですか?

今日はまだ発売時期の発表(2016年)だけで、詳細については決まり次第、発表させていただきます。

―――今日発表されたタイトル、たとえば『ストリートファイター5』などのセンサーシップなどは、すでにパスされているのでしょうか?

まだ正式にはパスしているわけではありません。ただ、これまでのやりとりの中で、良い感触を得ています。最初からまったく駄目なタイトルについては発表できませんので、期待してもらって良いと思います。

―――中国市場は広大ですが、プロモーションで何か特別なことをされていますか?

まだまだ少人数のスタッフでやっていますので、なかなか手が回っていませんが、eコマースが非常に効果的な販売チャネルになっていますので、主要eコマースサイトとはしっかりタイアップさせていただいています。

―――プレイ動画の配信などはいかがですか?

「配信」について規制があるのも事実ですので、まずはお客様が触れる、体験できるタッチポイントを増やしていくことを優先的に進めています。

―――タッチポイントを増やしていく上でどのような計画を立てられていますか?

ソニーストアに限らず、一般店もふくめて、アンテナショップ的な施策を通して、増やせればと思っています。ただ出店や展開については、立地や地域も含めていろいろと検討中です。すでにPS販売店が中国全土で200店舗以上ありますし、もっと増やしていきたいですね。一方でeコマースについては大手中心に、がっちりちプロモーションをかけていきます。オンラインとオフラインの両方で進めていきます。私自身も地方を回って、いろいろと調査を進める中で、可能性のある地域が見えてきています。

―――日本と違って中国はF2Pゲームが一般的です。PS4でも『Warflame』をはじめF2Pゲームがありますが、こうしたタイトルを推していく考えはありますか?

PSビジネスを成功させるにはおおきく2つのソフト戦略があると思っています。一つは『ストリートファイター』『ファイナルファンタジー』といった海外の有力タイトルを簡体字にローカライズして販売すること。もう一つはF2Pに非常に親和性の高い市場ですので、国内外のF2PタイトルをPSプラットフォームで展開すること。この2つが両輪となってビジネスを育てていけると考えています。

―――China JoyのSCEブースでは、どういったメッセージを発信したいですか?

弊社のアンドリュー・ハウスや吉田修平などがご挨拶させていただくかと思いますが、まずは正式にPSを中国市場で発売できて、これだけのタイトル数が増えて、ますます楽しんでいただけるプラットフォームに育てていくために、体制を整えていきますというのが一番のメッセージだと思っています。またProject Morpheusの『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project: VR Tech DEMO』はE3以降、初めての一般向け公開になります。今月、上海で初音ミクのライブがあり、たくさんのお客様に喜んでいただけたと聞いていますので、Project Morpheusでも楽しんでいただきたいですね。
《小野憲史》

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