「クールジャパン」はどれだけCoolなのか・・・「ゲームウォーズ 海外VS日本」第31回 | GameBusiness.jp

「クールジャパン」はどれだけCoolなのか・・・「ゲームウォーズ 海外VS日本」第31回

麻生太郎氏が総理大臣を務めていた時、アニメ館を計画した事を読者の皆さんは、覚えていらっしゃるでしょうか。

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麻生太郎氏が総理大臣を務めていた時、アニメ館を計画した事を読者の皆さんは、覚えていらっしゃるでしょうか。

当時、税金の無駄使いと言う理由で、民主党政権下でこの計画は頓挫したのですが、私はこの計画を初めて聞いた時、素晴らしいと思い、予算の117億円は決して大げさなものではないと思ってました。

考えてみれば、アニメ・マンガ・ゲームは日本の現代文化の中心でもあり、これらの産業は多額の税金を国に納め、貢献している上、外貨も稼げています。国レベルで貴重なアーカイブを管理できるようになる上に、国の戦略そのものを考えると、金銭的な理由だけでこのプロジェクトを停止した事は、当時どうしても理解出来なかったのです。

20代から30代前半の外国人観光客の殆どは、アニメやマンガを通してこの国の文化に興味を持つようになり、やがて来日する事になった人達です。私自身もそうですが、初めて日本という国について知ったのは、「マジンガーZ」のおかげで、「マジンガーZ」や「ゴルゴ13」の影響がなければ、日本に移住していなかったと思います。

スペインの地元に「マジンガーZ」の12メートルもある彫刻があり、6歳の時、クラスメートに「マジンガーZ」はスペインのロボットではなく、実は日本のロボットだと言われた時には、軽くショックを受けた記憶もあります

「・・・日本って、どこだよ、そこは・・・」と言う感じでした。

それはさておき、21世紀に入ってから国外に対して様々なアピールをしている日本政府が、117億円のためにアニメ館を断念した事に関しては、理解に苦しみました。

同じように、クール・ジャパン機構が設立された際にも、実に素晴らしい試みだと思いました。(イギリスのような他の国は、クール・ブリタニアを設立してから20年近く立つので、遅過ぎではないかとも思うものの・・・まぁとりあえず、置いておきましょう。)

最近、ゲーム業界ではクールジャパンを利用して、海外展開を行っている会社の話もよく耳にするようになりました。これから日本の優れたコンテンツがさらに海外に持って行かれる事を期待しております。

しかしながら、海外に日本のコンテンツを輸出するプロフェッショナルとして、強く思う事が2つあります:

一つは、支援金の申請手続きが非常に複雑で、大手企業やそれなりの馬力のある企業でないと、申請の段階で断念する会社が多いことです。もちろん、国のお金ですから不正を防ぐために最低限のルールを設定せざるをえない事は理解しておりますが、上場企業レベルでしか支援を受けられないものならば、支援の意味もないのかなと思います。

そもそも支援を必要としている中小企業のような会社や、極端な話、インディーズまで、支援を受けられるような体制を組むべきのではないかと思います。国レベルで、企業ではなく、個人の才能、いわゆる、「インディーズ」を積極的に支援と援助をしないと、日本のゲーム業界の将来がないと思います。

しかし、海外展開を行うにあたり資金援助だけでは不十分で、もう一つの支援も必須となります。それはやはり、ノウハウの提供でしょう。海外展開には色々と困難なことがある中で、皆さんが最も苦労されるのは、資金よりも市場に関する正確な情報の無さや、販売やプロモーションチャンネルの無さです。そこは、クールジャパン機構としては、コンテンツ提供者を成功に導けるような情報を集めて、的確に共有することが重要ではないかと考えています。

今後、この2つが導入されれば、システムは全体的に公平になるだけではなく、価値のある多くの作品が海外にスムーズに展開されるでしょう。国からの基礎サポートの上に、インディーズと大企業の連携が上手く取ることができれば、日本のゲーム産業が多く外貨を稼ぐことは簡単だと確信しておりますし、2020年までに世界のゲーム業界のトップにたてるはずです。

20年後に留学生や観光客として日本に訪れる若者は、今、海外で日本のポップカルチャーに触れ合い、昔の私のように、「マジンガーZ」の巨大彫刻を見上げている子供達なのです。

■著者紹介

イバイ・アメストイ
ゲームのローカライズや日本最大のインディーズゲーム「PLAYISM」などを手掛ける株式会社アクティブゲーミングメディア代表。近年は、モバイルゲームのパブリッシングや新分野にも進出中。
《イバイ・アメストイ》

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