記野直子の『北米ゲーム市場分析』2014年7月号― 嵐の前の静けさ…年末商戦へ | GameBusiness.jp

記野直子の『北米ゲーム市場分析』2014年7月号― 嵐の前の静けさ…年末商戦へ

こんにちは。北米のE3と並びヨーロッパの大きなゲームショーであるgamescom 2014はドイツのケルンで行われています。今年は日本のお盆やコミケとバッティングしています。欧米の各メーカーにとっては年末商戦に向けた最後のタイトル告知のチャンスですね。私は今回games

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こんにちは。北米のE3と並びヨーロッパの大きなゲームショーであるgamescom 2014はドイツのケルンで行われています。今年は日本のお盆やコミケとバッティングしています。欧米の各メーカーにとっては年末商戦に向けた最後のタイトル告知のチャンスですね。私は今回games
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こんにちは。北米のE3と並びヨーロッパの大きなゲームショーであるgamescom 2014はドイツのケルンで行われています。今年は日本のお盆やコミケとバッティングしています。欧米の各メーカーにとっては年末商戦に向けた最後のタイトル告知のチャンスですね。私は今回gamescom 2014をパスしたので他の専用記事を読んでください。7月31日〜8月3日まで行われたChinaJoy 2014に行ってきました。その記事は別で書くことにします。さて、7月の北米市場データの速報をレポートしましょう。

■市場全体動向

北米では静かな動きが定説の7月ですが、北米市場は総額で5億1430万ドル(約525億ドル)と前年の4億4310万ドル(445億円)からの 16%アップをマーク。ただし前年比100%アップの1億9880万ドル(約200億円)をたたき出したハードウェアに対して、前年比15%ダウンのソフトウェア売上は1億7820万ドル(約180億円)が相殺した形となりました。

■ハードウェア動向

gamescom 2014でのソニーの発表によるとPS4は全世界で1千万台の販売を達成し、その発表を裏付けるように北米の7月売上速報ではPS4が7カ月連続で販売数首位を継続中です。数値は明らかにされていませんが、Xbox Oneの追い上げも悪くはないとの報告もありましたが、いずれにしても100ドル安いバージョン「Kinect非同梱版」をマイクロソフトに決断させたPS4の快進撃は引き続いているようです。

Wii U本体は『Mario Kart 8』のおかげで好調と報道があります。PS4とXbox Oneの陰になってはいますが、インストールベースではそれほど劣っていません。Wii U 本体とそのソフトの売上は前年比60%アップとのことです。

3DSも好調です。優良なソフトウェアがけん引しているため現行ハードで一番インストールベースが大きいのは3DSです。7月末現在で約1,250万台が行き渡っています。

その反面PS Vitaは本体の販売数で伸びていません。他のプラットフォームと売り上げの桁が違うからです。今のペースでは年内に200万台に達するのも難しいかもしれません。『フリーダムウォーズ』などPS Vitaエクスクルーシブタイトルの投入が待たれます。日本発のみならず北米発でこのようなエクスクルーシブタイトルが複数開発されるようなファーストパーティ、サードパーティとの連携もソニーには努力してほしいところです。


■ソフトウェア動向

ソフトウェアランキングを見てみましょう。

1. The Last of Us (PS3/PS4) - Sony Computer Entertainment
2. Minecraft (X360/PS3) - Microsoft/ Sony Computer Entertainment
3. FIFA 14 (PS3/PS4/X360/X1/PSV) - Electronic Arts
4. Watch Dogs (PC/PS3/PS4/X360/X1) - Ubisoft
5. Mario Kart 8 (Wii U) - Nintendo
6. Call of Duty: Ghosts (PC/PS3/PS4/X360/X1/Wii U)  - Activision Blizzard
7. Grand Theft Auto V - (PS3/X360) - Take-Two Interactive
8. Sniper Elite III (PS4, XBO, 360, PS3) - 505 Games
9. NBA 2K14 (PC/PS3/PS4/X360/X1) - Take-Two Interactive
10. Lego Marvel Super Heroes (PC/PS3/PS4/360/X1/Wii U/NDS/3DS/PSV) - Warner Bros. Interactive


『The Last of Us』は、いつもは静かな7月の北米市場にやってきた大きなリマスタータイトルです。新ハード向けを待っていたユーザーは何の迷いもなくゲットしたタイトルでしょう。9月からの年末商戦に先んじて発売したソニーの戦略が功を奏した形となりました。

大型タイトルとは言え前年に発売されたタイトルのリマスターであり、年末商戦に待っている大きなタイトル群の中に入ってしまえば埋もれてしまうところだったかもしれません。

「北米で大型タイトルを売るには年末商戦!」という定説も、戦略的に裏をかく手法によってダイナミズムが生まれています。実際に7月のチャートは『Minecraft』をはじめとする旧作で占められています。新規タイトルが混み合っていないこの時期は「大穴」とも言えます。

『Mario Kart 8』は北米単独で100万本の売上を達成しました。これで169万本売り上げている『New Super Mario Bros. U』 に続きWii U向けタイトルの第2の大きなタイトルとなりました。Wii U 本体とそのソフトの売上は前年比60%アップとのこと、年末に向けて9月26日発売の『Hyrule Warriors (ゼルダ無双)』、10月以降は『Bayonetta 2』、『Super Smash Bros. for Wii U』、『Captain Toad: Treasure Tracker (進め!キノピオ隊長)』 などの発売が楽しみです。これらのソフトに合わせてamiiboがどのように北米で展開されユーザーに受け入れられていくかは見守りたいですね。

Activisionの『Skylanders』の再来か?と思いきや、単一タイトルではなくビッグタイトルをまたいでのグッズ展開ですから、任天堂ファンにはたまらないフィギュア展開かもしれません。

3DSも好調です。タイトルランキングをSK U別で並べ替えると『Tomodachi Life』、『Pokemon Y 』、『Pokemon X』、『Mario Kart 7』の3DSの 4タイトルがTop10に入っています。Wii U同様年末に向けて『Super Smash Bros. for Nintendo 3DS』や『Pokemon Omega Ruby』、『Pokemon Alpha Sapphire』なども期待されています。

■北米の年末商戦

欧米では、この冬新ハードが投入されて2年目の年末を迎えることになり、ハードの動きが順調なこと、大型タイトルが投入されることから業界的にも大きな期待を持たれています。今年こそは日本メーカーのタイトル群が頑張ってくれることを期待しています。

市場としては現在「嵐の前の静けさ」の様相で発売タイトル数も少ないため、7月も旧作がメインでランキングされているのです。欧米メーカーからするとE3から始まった年末商戦への仕込みもドイツで行われているgamescomで最終段階に差し掛かったところです。

北米では「モノが売れる時期」として年末の「クリスマス商戦」が挙げられます。クリスマスプレゼントのためにみんなが買い物に行くので、それを当て込んで商品を準備するのですが、ゲーム業界もご多分に漏れずハロウィーン、サンクスギビングも含め年末のホリデーシーズンに向けて商品投下を行います。売上高を見てもQ4(第四四半期)が年内で一番の稼ぎ時というのは定説で、Q4のみで年間売上の約50%を占めています。


(C) Getty Images
最近では日本も初動のみでは語れなくなってきていますが、欧米の場合、口コミによる商品需要の喚起率の高さを考えると、発売が早ければ早いほど市場の滞留時間が長くなって、ユーザーの目に触れる機会を増やせるわけで、最近では9月も年末商戦に入ると言われ10月、11月に投下、少なくとも12月上旬までに発売しないと「商戦」に参戦したことにはなりません。

ただし、メーカーが発売したいタイトルをすべて置くだけの棚は小売店にはないので、年末商戦に向けてメーカー側はE3から始まる「棚争奪戦」とも言える対小売店プロモーションを6月から始めているわけです。E3の各社ブース内で「クローズドア」と言って開発中のゲームをこっそり小売店のバイヤーに見せているのもこの一環です。

しかしながら、上記7月の報告中『The Last of Us』のところで述べたように、商品量が増加して熾烈な闘いをするよりも、立て込んでいない静かな時期にタイトル投入するのも戦略としてアリです。年末は確かに購買意欲増の雰囲気はあふれていますが、ユーザーのお財布もプレイ時間も無限なわけではないので、必ずしも「年末なら売れる」というわけではありません。むしろ大型タイトルの嵐に呑まれてまったく奮わずということも考えられるのです。

今後、ダウンロードの波がこれらの商習慣を一気に変えてしまうかもしれません。これも「パッケージ時代の話」と数年後には言われるかもしれませんね。

それでは、また来月!

■著者紹介

記野直子
カイオス株式会社 代表取締役
青山学院大学文学部卒業。日産自動車株式会社を経て、ゲーム好きが高じゲーム業界へ転身。コナミ株式会社、株式会社バンダイ、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントにてゲームソフトの海外展開、ゲームソフト発キャラクター展開などに従事。2007年よりカイオス株式会社代表。 

写真提供: Getty Images
《記野直子》

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