『モンケン』ゲーム開発への道のり(その1)・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第20回 | GameBusiness.jp

『モンケン』ゲーム開発への道のり(その1)・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第20回

2月28日開催の「黒川文雄の黒川塾・六」にてゲーム開発プロジェクトを発表しました。

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2月28日開催の「黒川文雄の黒川塾・六」にてゲーム開発プロジェクトを発表しました。
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2月28日開催の「黒川文雄の黒川塾・六」にてゲーム開発プロジェクトを発表しました。

タイトルは『モンケン』です。ゲーム内容は、人質をとってビルに立て籠もるテロリストにモンケン(鉄球)でビルを破壊して人質にダメージを与えず開放することがミッションです。

テーマですが、「ビル破壊 解体&人質解放アクションゲーム」です。ビル破壊のカタルシスと人質救出というゲーム的な要素をミックスしたものです。展開するデバイスは、パソコンを最初に想定していますが、スマートフォンやタブレットなどのタッチデバイスでもプレイできるようにしたいと思っています。導入時期は今年の夏で、ターゲットは世界です。



ここに至る経緯は色々とありますが、まずは自分自身で何ができるかという点が根源的な課題でした。音楽や映像、ゲーム、オンライン、など様々なエンタメを体験してきたものとしてのナレッジや経験を活かせないだろうかという点でした。

そんなことを昨年の秋ごろから考えていたのですが、ふとした瞬間に、1972年に起こった「軽井沢あさま山荘」事件の映像が頭のなかでフラッシュしました。連合赤軍が人質をとって立てこもった山荘、そして陥落すべく攻防戦をめぐらす警察。突破口のひとつとしてクレーンの先端につけた鉄製分銅がモンケン、それでした。決め手にはなりませんでしたが、山荘に大きな穴をあけることに成功し、厳寒のなか、そこから放水や催涙弾を投下し突入作戦を成功に導きました。その時の映像は当時中学生だった自分のなかに鮮明に焼き付いています。

そして、そのフラッシュアイディアが「モンケン」企画の原案になっています。

今回の『モンケン』開発プロジェクトには著名なクリエーターが参加表明をしてくれています。ゲーム企画、仕様策定には、『アクアノートの休日』『巨人のドシン』『ディシプリン*帝国の誕生』などのコンテンツを世に問うた、飯田和敏、ゲームの世界観を変革したセガの3次元格闘ゲーム『バーチャファイター』『剣豪』『LUMINES』をはじめ数多くのゲームサウンド制作で知られる中村隆之、『チュウリップ』『牧場物語  わくわくアニマルマーチ』『ディシプリン*帝国の誕生』のアートディレクションを担当した納口龍司が顔をそろえました。そのチームは「グランドスラム」と呼んでいます。

すべてのメンバーがゲーム業界の第一線で活躍するメンバーですが、大手資本に依らずインデイーズとして本プロジェクトを進めております。プロジェクト開始に際しては、大手の会社(SAP)様にも打診はしましたが、「KPI」「リワード」「アフィリエイト」などの言葉が返ってきました。または「カードゲームじゃないんですね?」というものでした。

あらかじめ反応は予想していた範囲を超えるものではありませんでしたが、残念な気持ちにもなったことは事実です。

純粋にあったら面白いだろうなというコンテンツ、遊んでみたいと思うコンテンツ、個人的には、事件や事実をゲームというエンタテイメント手法で構築することが、あたらしい歴史記述の方法やコンテンツになり得るのではないかというコンセプトのもとでプロジェクトを推進しました。

また、今回はこのコンテンツの考え方を「クリエイティブコモンズ」に基づく「表示―非営利―継承」を採用します。ゲームコンテンツを形成する様々なデータを開示し、CCライセンスで運用します。ゲーム開発支援者によるゲームの改良、またあたらしいコンテンツが派生していくことなどを推進したいと思います。原著作物の権利を保護しつつ、ネット時代にダイナミックにコンテンツを展開するためにそのコンセプトを踏襲したいと思います。

リナックスOSのようにみんなで創りあげるようなゲームコンテンツを目指しています。そうなるとソースコードにウイルスを仕込むことも可能なのですが、あくまでも善意の開発者でなければなりません。もしかすると、これによってコンテンツは無限の可能性を持つのではないでしょうか。または、世界観やキャラクターを活用してほかのテーマのゲームコンテンツを作ることも推奨したいと思います。

ゲームはプレイヤーの「遊び」なくしては存在し得なません。さらにクリエーターとプレイヤーの境界がどんどんあいまいになっていく現在のカルチャー状況のなかで、ゲームはルールメイキング、グラフィックス、サウンド、シナリオ、プログラム、プレイからなる複合的なコンテンツであり、すべてのパートにプレイヤーの関与機会があれば、誰もまだ想像することが出来ないゲームが誕生する可能性があります。


私と私の仲間ができることをエンタメの世界で実現するという気持ちで開発に取り組んでいます。このプロジェクトをご支援をいただきたく思います。よろしくお願いします。

■著者紹介

くろかわ・ふみお 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、映画・映像ビジネス、ゲームソフトビジネス、オンラインコンテンツ、そしてカードゲームビジネスなどエンターテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。ブログ「黒川文雄の『帰ってきた!大江戸デジタル走査線』」、まんたんWeb「サブカル黙示録」や「ニコニコチャンネル 黒川塾ブロマガ」も更新中。
《黒川文雄》

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