フランス取材で見た社会的活用が進むシリアスゲーム | GameBusiness.jp

フランス取材で見た社会的活用が進むシリアスゲーム

フランス北東部のヴァレンシアンヌで5月24日にシリアスゲームの国際会議「e-virtuoses」(主催:CCI Grand Hainaut商工会議所)があり、フランス各地から約300名が▽コミュニケーション&マーケティング▽訓練&教育▽リスク&危機管理▽概論−−の4分野に分かれて議論

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フランス北東部のヴァレンシアンヌで5月24日にシリアスゲームの国際会議「e-virtuoses」(主催:CCI Grand Hainaut商工会議所)があり、フランス各地から約300名が▽コミュニケーション&マーケティング▽訓練&教育▽リスク&危機管理▽概論−−の4分野に分かれて議論
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フランス北東部のヴァレンシアンヌで5月24日にシリアスゲームの国際会議「e-virtuoses」(主催:CCI Grand Hainaut商工会議所)があり、フランス各地から約300名が▽コミュニケーション&マーケティング▽訓練&教育▽リスク&危機管理▽概論−−の4分野に分かれて議論を行いました。

また23日に開催された前夜祭では優れたシリアスゲームを表彰する年間アワードが開催され、視覚障害者向けアクションアドベンチャー「The explorer and the mystery of the diamond scarab」がベストプロダクト賞を受賞しました。開発スタジオはオランダのMAD Multimediaで、今年1月にWiiで発売されています。

前夜祭は古城のホテルで開催された晩餐会でアワード結果が発表MAD Multimediaの受賞風景


他の部門賞は下記の通りです。なお映像は下記サイトから視聴できます。
http://www.e-virtuoses.net/uk/the-awards.html

・コミュニケーション&マーケティング部門
「Disney stars, l'agence virtuelle」【開発:KTM Advance(フランス)】

・訓練&教育部門
「Ludwig」【開発・販売:Ovos (Autria)】

・リスク&危機管理
「Wattou」【開発:Succubus Interactive(フランス)】

「Disney stars」は仏最大手のシリアスゲーム開発会社KTM Advanceがディズニーランド・パリの発注で開発した社員教育用ゲームで、お客様の要望にこたえてホテルやアトラクションなど、最適なパッケージングを提案するというもの。「Ludwig」は物理法則をゲームで学ぶアドベンチャー。「Wattou」はフランスの電力会社ERDFの作業員が、電気工事を行う上での注意点をゲームで学ぶという内容になっています。一般向けに販売されるゲームもありますが、総じて企業向けのB2Bタイトルが中心である点がフランス(そして海外)のシリアスゲームの特徴です。

The explorer and the mystery of the diamond scarabDisney stars, l'agence virtuelle
LudwigWattou


■国や地方自治体の産業政策としてシリアスゲームが拡大
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国内ではゲーミフィケーションに比べて議論が停滞気味のシリアスゲームですが、海外に目を向けると、着実に市民権を得つつあります。フランスのゲーム振興団体AFJV(French Agency for Video Game)は、2011年の全世界のテレビゲーム売上高(ハードウェア+ソフトウェア)は520億ユーロ(約5兆円)なのに対して、シリアスゲームの売上高は1/5の100億ユーロ(約9600億円)としています。

またAFJVによるとフランス国内のテレビゲーム市場は27億ユーロ(約2600億円)ですが、シリアスゲームの国内市場については公式資料がありません。一方でヴァレンシアンヌ地方で本社を構えるシリアスゲームディベロッパーのCCCP社は、約5000万ユーロ(約49億円)と推測します。テレビゲーム市場に比べると微々たる額ですが、数年で急速に拡大しており、さらに大きな成長が見込めると言います。

このフランス国内におけるシリアスゲーム市場の拡大については、会場で多くの企業から聞かれました。ヴァレンシエンヌを含むフランス北東部のノール=パ・ド・カレー地域圏におけるゲーム業界団体GAME INによると、フランス政府は4年前に2000万ユーロ(約19億円)をシリアスゲーム分野の産業育成に投資。ノール=パ・ド・カレー地域圏だけでも、毎年60万ユーロ(約5700万円)のファンドを実施していると言います。こうした強力な財政支援が市場拡大の背景となっているのです。

ノール=パ・ド・カレー地域圏の地図e-virtuosesの会場となったles ateliers numeriques近代的な内装で設備もよく整っていた


e-virtuosesもまた、産業政策の一環として2009年に始まり、今年で4年目の開催となります。非常にざっくりまとめると、地元の商工会議所が中心となって、国と地方の税金を使ってデジタル産業を用いた地域おこし、街おこしを行い、その一環としてシリアスゲームの産業育成を行っていると言えるでしょう。

ノール=パ・ド・カレー地域圏は人口が約400万人ながら、フランスではパリ・リヨンに次ぐ第3のデジタル産業集積地です。シリアスゲーム関連のカンファレンスもリヨンとヴァレンシエンヌの2箇所で開催されています。ベルギーとの国境地帯に位置しており、ロンドン・パリ・ブリュッセル・アムステルダム・ケルンといった欧州の大都市の中心に位置するという地の利を備えています。首府は人口22万人の工業都市リールです。

またGAME INでは、ノール=パ・ド・カレー地域圏が地理的にシリアスゲーム大国として知られるオランダと近いことが(オランダはシリアスゲーム分野に5年間で1900万ユーロ=約18億円を投資とのこと)、彼の地でのシリアスゲーム産業育成に影響を与えているといいます。カンファレンスでもオランダから講演者を招待しており、冒頭のコンテストでもオランダとオーストリアの企業が受賞しています。また昨年度のコンテストでもオランダRANJ SERIOUS GAMESの「HOUTHOFF BURUMA THE GAME」が入賞しています。

■成熟するシリアスゲームの開発技法

会場では4トラック22セッションが開催されました。GDCの約19000人、CEDECの約2000人という数字に比べると、約300人という参加者は少なく感じられますが、特徴はそのほとんどがマネージャ層以上だったこと。経営者や大学関係者も多く、現場開発者の姿はあまり見られませんでした。講義そっちのけで、ロビーでミーティングが行われるなど、会場全体から熱気が感じられました。

講義では地元企業による事後検証やパネルディスカッションなどに加えて、海外の招待講演もいくつか見られました。イギリスからシリアスゲーム・インスティチュート、オランダからゲームズ・フォー・ヘルス・ヨーロッパ、アメリカのMITなどです。地元企業が事例紹介や事後検証を行い、海外講演者が体系化やフレームワークの提示を行うという役割分担も見られました。

このうちKTM Advanceのバレリー・ブードワァ氏は「テレビゲームはジャンル先行のトップダウン形式で開発できるが、シリアスゲームは対象となる現場のヒアリングから、ボトムアップで開発されなければならない」と指摘。対象となる環境をゲームで再現する必要があり、シリアスゲームはシミュレーションゲームの文脈で捉えられると整理しました。またアムステルダム大学付属病院AMC(Academic Medical Center)のモーリッツ・グラフランド氏は開発プロセスを「調査」「コンセプトデザイン」「開発」「検証」の4ステップで説明。総じてシリアスゲームの開発技法が成熟しつつある様が感じられました。

概況について講演するアルバレス氏とドゥジャチ氏全世界のシリアスゲームタイトルの伸び国別のシリアスゲームディベロッパー
シリアスゲームのジャンル比較シリアスゲームの構成比(1952-2001)シリアスゲームの構成比(2001-2010)


またヴァレンシエンヌから50キロ離れたリールにある産学集積地、ポール・イマージュのジュリアン・アルバレス氏と、仏トゥールーズ第三大学のダミアン・ドゥジャチ氏は、2007年から全世界でシリアスゲームが急増したことと、2002年から2010年にかけて、広告関連のシリアスゲーム(アドバゲーム)のシェアが拡大したと語りました。またディベロッパー数でフランスがアメリカに次いで第2位であることを示しました。なお、これらの数字はSerious Game Classificationの資料に基づくとしています。

一方、小児病棟の入院患者向けに病気の治療法を教える「LUDOMEDIC」や、工場の作業員を訓練する「Safe Metal」を開発したCCCPのディディエール・ウィンティン氏は、シリアスゲーム開発の上で「クライアント企業とのコミュニケーションが最大のポイントだった」と語ります。前者は開発費が約7000万円という大作で、後者は共通のプラットフォームの上で、1シナリオごとに約500万円の開発費を企業から受けてカスタマイズするビジネスモデル。これらがビジネスとして成立している点に驚かされると共に、異業種協業の重要性が感じさせられます。

■任天堂とアップルと少子化対策がシリアスゲーム産業を育てた?
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一方で日本と異なり、ゲーミフィケーションに関する事例や盛り上がりが乏しい点も印象的でした。アメリカで企業向けにゲーミフィケーション・ツールを提供するなど、先行者として知られるバンチボールのモリー・キトル氏の講演も、まずはゲーミフィケーションの特徴やシリアスゲームとの違いから説明するなど、啓蒙段階と言ったところ。「アメリカでもゲーミフィケーションとシリアスゲームの融合事例は、まだ存在しない」と語り、シリアスゲーム産業との融合に新しい可能性を見いだしていました。

ちなみにオランダ人の関係者に聞いても、ゲーミフィケーションはそれほど盛り上がっていないとのこと。すでにシリアスゲームが根付いている地域では、ゲーミフィケーションとの違いがピンと来にくいのかもしれません。またシリアスゲームの多くがB2Bビジネスであることから、クライアント企業が現状で満足しており、ゲーミフィケーションに対して投資を控える傾向にある、という話も聞かれました。

一般にシリアスゲームでネックとなるのが効果測定と企業担当者への導入訓練ですが、産学官の連携が日本より進んでいる点も背景にありそうです。一方でゲーミフィケーションをマーケティング分野に用いる場合、効果測定を売上などの客観データに求めやすい点も、企業の導入に拍車をかけている部分があります。

ゲーミフィケーションについて語るキトル氏CCCPのクリエイティブディレクター、クェンティン氏ポール・イマージュのシャイウ氏


学校向けシリアスゲーム開発の大手パラスクールのミリアム・カレン氏は、全国400校以上の大学と200校以上の高校で自社のiPad向け学習教材が採用されていると語りました。

分野はフランス語・英語・歴史・地理・数学・化学・物理などです。中には幼稚園からPCやタブレットを教材として用いるところもあり、フランスでほとんどの生徒は授業でシリアスゲームに触れた経験があるとのこと。もっとも、以前はフランスでも中高年層にゲームアレルギーがありましたが、ここ数年で大きく状況が変化したと言います。

この変化は何に起因するのでしょうか。ハッキリした解答は得られませんでしたが、関係者に聞いて回ったところ、▽ニンテンドーDSのタッチジェネレーション▽iPhone、iPadの登場▽高い出生率(2010年で2.01人)に支えられたデジタル教育への需要−−という3つの背景が浮かび上がってきました。ポール・イマージュでディレクターを務めるクリストフ・シャイウ氏曰く、「年寄りは頭が固いが、孫とタブレットなどで遊ぶうちに、デジタル機器やゲームに対するアレルギーが薄れていく」というわけです。

このようにe-virtuosesや、シリアスゲーム企業への取材を通して、日本とフランスのゲームの社会的活用を巡る違いが、次第に明確になってきました。シリアスゲームが産業化する前にゲーミフィケーションの波を受けた日本と、シリアスゲームが政府や地方自治体の産業育成政策の一環として立ち上がったフランス。Wii Fitや脳トレなどB2C市場が中心の日本と、B2B市場が中心のフランス。共に学び合う点は多そうです。
《小野憲史》

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